2012年01月20日
意匠図を説明していました。
先日、本社へ来られたお客さんが、
帯について、製作部分の深い所まで聞いてこられたので、
専門的になことも加えつつ、説明していました。
素材のこと、紋図や図案、織り機など、その他にも、
あまり入りすぎると、全体が掴めなくなるので、そうならない程度、
できる限りのはなしを伝えました。
その中で、特に興味を持たれたのは、意匠図です。
この日記でも過去なんども登場しましたが、
普通、織物を詳しくないと難しく感じてしまいます。
来られていたお客さんも織ること自体は
『がちゃん、がちゃん』と何となくイメージできる、
図案も判る、でも意匠図っていうのが、なかなか・・・。』
とイメージを掴みにくいようです。
ある意味、柄に関しての設計図なのですが、
織物全体(組織)を作る設計図とは、また違いますので、
世間で言う典型的な設計図ともちょっと違う。
少し立ち位置を理解するのが難しいモノです。
この方は、どんどん突っ込まれて聞いてこられたので、
こちらも喜んで説明→説明を受ければ受けるほど、
職人の深ーい深みにハマられたようです。
そんな状態になっても職人の作業現場や私達がモノを作っている
現場も見たい、という話もありましたので、
それはまた頃合いをみてご招待する予定です。
(職人になりたいのかな?という疑問が湧きました。)
そんな意匠図ですが、社内ではそう呼ばず、簡単に
『紋図取って〜。』とか『あの紋、どうなった?』と、
『もんず』や『もん』と相当気軽に呼んでいます。
ただ、作る際には・・・。
こうやって、一つずつマス目を筆で潰して行き、
経糸と緯糸が渡る様子を具体的に想像しながら、
製作していかなければなりません。
写真で言うと、一マス一マスが糸の交差点で、
これによって柄が織り成されています。
この製作する前段階は、
実際に紋図を制作する職人と私達とが打合せをします。
場合によっては何ヶ月と進まないこともあり、そのまま織物自体中止と
なることもあります。
紋図自体も、職人さんと私達が何ヶ月も掛かって製作するものなので、
コスト的にも非常に高価なものです。
ですので、たまに新入スタッフが触っていたりすると、
遠目で、ちょっとドキドキしながら、見守っています。
和紙で出来ていて丈夫ですが、投げない、踏まない、またがない、
開けるときはゆっくり開ける。
と当たり前のルールを会社へ入った後は、注意を受けます。
またこの『意匠図』、これを上のように製作していく技術は、
残念ながら、ほぼ西陣で失われつつあります。。。
製作しているのは、以前『涅槃図』のものです。
西陣は、超高度で強烈な技が集まって、一つのものを製作して
いきますので、少しでも興味の有る方が、この職人の技に触れれば、
とりこになってしまうと思います。