となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「ケルト」と一致するもの

2016年07月29日

輪宝文で紗を織ってみました。

帯にするかは、ちょっと横に置いておいて、まず色んな試験を取ってみました。

輪宝文』の総紗縫です。

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唐長11代目奥様好みとして、最近物凄く注目されている意匠。
最初の帯は紹巴織で織りました。

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この帯は、南蛮七宝を陳列する際には常に一緒に持って行きます。
唐長文様同士をコーディネートしたりもしますが、この輪宝文、
気がつけば自然に他の着物の上にコーディネートされ、上手く着姿の顔になっています。

その様子はかなり自然に。
文様としての主張はあるのに、どこでも馴染んでしまう。
唐紙で頂いた異なる配色もありますが、全部そんな感じ、ホントに不思議な柄です。

今回は一番上の写真。
総紗縫の輪宝文の試験です。目出し(試験織)で取ったのは6つ、横段になっている部分です。
色と素材を変化させて、柄の見え方、色の出方、素材によっての帯巾は?透け感は?
等々、1つずつ様子が違うので、チェックしていきます。

生地として織り上がっているので、モノづくりの終盤に見えるかもしれませんが、
全体を100とすると55〜60くらいの中盤です。

最初に織った紹巴織とは違い、各織物には表現力に限界、得手不得手があります。
今回の仕上がりを見て判断するつもりでしたが、この総紗縫の帯に関しては、今のところ無地に近い感覚で、
全体の色目を今まで無いような【青】を使って、モノづくりする。そちらへ持っていくつもりです。

おそらく帯まで持っていけると思いますので、仕上がりを楽しみにしていてくださいね。

2016年07月20日

久々の更新/夏しぼの新作途中。

一週間ぶり、久々の更新です。
その間、ちゃんとモノづくりも進めていましたが、8月と9月にあるイベントの段取りで、ここの所あまりメーカーらしくない動きばかりです。

このブログやとなみFBページもそうですが、帯メーカーが何をしているのか?どんなモノを作っているのか?等々をを伝えること。僕の中で優先順位の高い、ほとんど永遠のテーマのようなモノです。今回やることは、随分苦手な分野ですが、頑張ってやっていきたいと思います。

なにをするのか?、というのはまたお知らせしますね〜。はぁ~(苦笑)。

さてさて、モノづくりはというと・・・。

一つ新作の『しぼ織』が上がってきました。

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『Candy Circus(アネモネノクモ)/夏しぼ』

しぼ織という織物は、普通の帯よりも一つ手間を加えて完成させる帯です。まず御召緯を使い通常よりも広い巾で製織します。その後織った丸巻き上のモノをお湯に浸け、キュと糸が縮む力を使って、帯巾を縮めることで、帯地表面にしぼを作る。そんな織りの帯です。

ちなみに、この帯地表面のしぼを作るために、御召緯の代わりにナイロンの糸を使い、それに熱を加えることで縮ませ、類似のモノを作る。そんなのもありますが、風合いが固いですし、何か違う気がします・・・。折角だったら、似たものでなくて、全く違うモノを作ったほうが良いような・・・。

この帯も基本は御召緯を使って、お湯に浸け、しぼを作ることは同じ。違うのは、全体にしぼを付けるのではなくて、花弁部分にしぼを集中させ縮めることで、ボリューム感と面白みを作るようにしました。

また、しぼ織を作るベースの考え方として、縮む御召緯の特性を、いかにコントロールして『柄や文様』を作りだすのか?が基本です。

この帯では図案の面白みを活かしたいため、敢えてコントロール部分をほとんど考えず、思い切って開放してみることをコンセプトにしています。『一体、どうなるんだろう?』ちょっと無責任の様に(笑)始まり、当然のように最初失敗しながら、次はちょっとだけコントロール⇒チェック・・・、を繰り返してここまで来ています

結んで頂いても大丈夫ですし、縮み具合や紋の具合に関しては問題ありません。後は配色、お湯に浸ける際の細かな問題を一つずつ解決してければ、帯として皆さんに見て頂けると思います。

写真の帯から箔を変え織った二本目も上がってきましたので、また実験し、チェックし、修正を繰り返していきたいです。真夏に結んでもらうには少々遅い完成になりそうですが、夏にも結べるということで、できるだけ長い季節結べる配色のものも考えていきたいです。

CandyCircus
 ⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/candycircus/

2016年05月09日

ざっくりとした注文を頂いたところから・・・。

 

『こんな感じの柄でこんな感じの色』と、相当ざっくりとした御召の注文(笑)を頂きましたので、まずそのための見本を織ってみました。夏に近づくにつれて、御召の場合限定ではありますが、圧倒的に薄い地色に人気が集まります(帯や他の着物はそうでもないのが、また面白いところ)。

 

その見本裂地です。

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写真の部分で6柄2配色あります。

 

この御召は総紗縫や上品綟のように綟って透け感を作っているのではなくて、緯糸と地紋の工夫と改良で風を通す夏単衣モノに仕上げています。反物を下に置くと、透け感が少なく色の重さを感じますが、着ることをイメージして、写真の様に反物を立てると、濃い緯を通して織ったにも関わらず、透け感を感じることができますし、『これだったら夏に濃い色の着物を着てみようかな?』と思って頂けると思います。

まだ、今のところ出来上がってから日の浅い織物でもありますので、薄地が一通り人気が出た後は、この濃い地色の方で・・・。と画策しています(笑)。

 

薄地色のも含めて、この織物が反物になるまで、試作の繰り返しでした。自分でもプロトタイプのモノを着ていて、完成版は良いなぁ・・・(笑)と、思い入れも沢山(柄によってはこの織物に全く向かず、織れなかったとか)のあるモノですので、大事に紹介していければと嬉しいです。

 

今年はいよいよ自分用に濃い地で作ろうかな〜。

2016年05月01日

一旦休止。

 

となみ織物は、5日までのGWに突入です。体調不良からも、やっと脱しつつ(もうちょっと早かったら良かったのですが・・・ 笑)、あります。この休みの間に、仕事的にやってしまいたいことが沢山あります。あれもこれも、例えば、もっとデータで図・図案を触れる様になるとか・・・、(毎年毎回のことながら)図案・書類・走り書きを整理する、だとか。詳細にそれらをこの日記に書いて自分にプレッシャーを与えるのも良いですが、いつも『あー休みが終わる!』と休みらしくない過ごし方になってしまいますので、今年は密かに例年と違うパターンで、コツコツとこなしていきますね。

 
それプラスして、3〜4月はモノづくり以外で、本当にバタバタとしていましたので、十分に時間が取れなかった目出し(試験織)の検討はやりたいです。そのために、ちょっと前に上がってきたモノから直近まで、写真に撮ってきました。それらを見ながら、この織物で次にどんな柄を織る?色は?それがもし上手く行ったら、その次はどういう表現ができそう?等々、ちょっと先までのことを(社内にいなくてもできますし、かえってやりやすい)想像、膨らませておいて、準備をしておきたいです。
 
そんなことで、なんやかんやとやりたいことはありますので、充実しそうなお休みになりそうです。今年は、頭で覚えておけると過信せず(苦笑)、ちゃんとメモして残しておきます。これが一番大事かもですね(笑)。

2016年04月11日

『アンティークと唐長の世界』展

 

9日(土曜日)には、京都の『ギャルリー田澤』さんへ。
唐長11代目のギャラリートークへお邪魔してきました。

 

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『アンティークと唐長の世界 4月7日〜22日』

 

ギャラリートークでは11代目から、
ケルト・アイルランドから始まる文様が時間を掛けてユーラシア大陸を渡り、日本へ。
日本とアイルランドには1万キロ以上の距離が離れているが、ほぼ同様の文様がある。
アンティークと唐紙との相性の良さ。
唐紙を感じるのに、必要な光の話、等々。

今まで何回か聞かせて頂いたことのある話もありましたが、実際に唐紙とアンティークがコラボとして形になった姿を見ながら、唐長や唐紙に対して多大な興味を持たれている方々が30名集まり、一緒に聞く、その空気感は格別に良かったです。これはついでですが、自分も南蛮七宝の御召(薄ベージュ)を着ていたせいもあって、作品にはなれないまでも(笑)、他の方よりも作品に近づくことができた、ちょっと特別な時間を体験してきました。

 

今回の11代目の話にも出てきたこと。また自分の唐長さんでのモノづくりで意識していることがあります。

それは、季節や光、調度品などを含めたその場の空気感を唐紙に映すこと、です。

 

例えば、今の時期であれば、襖に入っている唐紙が、その季節の空気や射してくる光、周りの調度品を映して、4月らしい色目になる。5月だったら5月、秋であれば秋・・・。そういう色使いを常に意識すること。

きものに置き換えると、帯だったら帯の色目がその時の季節や着る人の雰囲気、着物の色に応じて、雰囲気を映してくれる。
もちろん、コーディネートは必要にしても、その帯を結んだときには、それらを越えて何かいい感じを与えてくれる。そんな帯作り、を意識しています。

 

最近、上がってきたのはこの『角花文様』の帯。
意匠的には、日本が文明開化期に入って、洋が流入、急に変化するその時代の空気感も受け入れて、消化できる、そんな雰囲気を持っている文様です。

 

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【角花/紹巴織】

 

いくつかの配色替えも意識して意匠図を製作していますので、もう数色は織りたいと思っています。ただ、どうしても一番目に作りたかったのが、この配色。地色は柔らかなベージュに胡粉をくすませた白、また柄部分の緯糸は絹と箔を使い、素材感の差、異素材のメリハリを利用して柄を浮き上がらせました。裏地はまだですので、袋帯として完成するのはもう少し先ですが、おそらく周りの空気感を拾いながら、着物や小物とコーディネートしていくと、上手く馴染んでくれる帯になったと思います。

 

この文様でも、沢山試作は取りましたが、まだまだ素材部分やってみたいことはあります。また、文様が変わるとそれに応じて、したいことも変わります。それに応じて、倍々と試験織も考えて、試し織りもやっていかなくてはいけませんが、一番シンプルな文様で、色んな話やモノを見て、色や文様の表現にプラスすることができる環境、なかなかありません。最大限、活かしたいと思います。

 

 

ギャルリー田澤さんでの唐長の世界展は、22日まで。もう少し会期があります。
もし、お時間と興味のある方は是非、訪れてみてください。

桜が終わった京都は少し空いてくるかもしれませんので・・・、ぜひ。

 

 

 

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2016年04月07日

初めての配色変更2

 

ここから(初めての配色変更)ほぼ一ヶ月、皆さんに見て頂けるだけ、少し前に進みました。
最終の調整までは、まだまだ遠い道のりになる、配色合わせの最中ではありますが、こんな感じです。

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【南蛮七宝に光悦蝶2(配色途中)】

 

約一ヶ月掛かってなんでそんなに時間が掛かるのかというと、金の素材に困っています(こないだのきものSalonさんとの帯も同じでしたが、金の相方が銀だったので、そこまで苦労せずに上手く行きました。。)金だけをイメージ(宿題)に近づけるというのは、難しくありません。また、その反対の地色だけを、も大丈夫です。

 

この両方を近づけるとなると、お互いの素材と色が影響し合います。ですので、影響することを予想しながら、ちょっと金糸を控えめの色になる様に細くする、または混ぜる色糸を薄くする。その時は地色の色が移りやすくなるので、こちらも・・・。反対に金が茶に負けそうになったら、糸の色は変えずに、金糸の太さを変える。等々。

 

こちらを立てたら、こっちが立たない、そのバランスの中で配色をしています。写真の試験は、イメージに今まで一番近づきました。ただ、地色にもう少し赤茶系が欲しいので、金色と相談しながら・・・。等々、シーソーに乗ったような感覚で、最終の色に近づけていく、そんな状態が現状です。

 

このもうちょっとでできそう、後ちょっとで手が届きそう、そういう状態から数週間(苦笑)、もうちょっとなので、最後の最後、転けないように詰めていきたいです。

 

また懲りずに、もう一つ襦袢でも白に金色という配色で・・・。と思い、こちらも職人さんと悩んでいます。また、それはそれで別の話ですので、いずれ書きたいと思います。

2016年03月17日

少し新しいことをした南蛮七宝。いよいよ。

 

2016春夏『きものSalon』の左下。

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『きものSalon春夏 p130』

 

『きものSalon編集長好み』の南蛮七宝の袋帯。
初めの一本が仕立て上がってきました。今日、結んでもらうべく発送しました。

仕立て上げると、芯の厚みで表地が僅かに持ち上がり、ふっくらとして、反物の時よりも遥かによく見えます。
(でも、写真を撮るのを忘れてしまった・・・。すみません。)

 

そう書いておいて、今日の所はこの丸巻きの写真で・・・。
(裏地は初お目見えです。)

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紹巴織ではあまりしない(特に最近では見ない)、金糸を全面に通しています。正確には金糸と通常の糸を混ぜ、糸に光沢を与えつつ、光らせ過ぎないように、抑えることをしています。金も銀も同じことを行っていますので、奥から輝きが出てくるような上品さに仕上がっています。


ただ、目出し段階での試験はしているものの、全面に金糸が通っています。そのため、糸のみで製織するよりも結ぶ際に、帯が滑りやすいかもしれません。金糸に混合させた糸でその辺りもバランスを取っていますが、最後は結んで見ないとわからない部分があります(そんなこともあって今回結んでいただくことに)。それに加え、裏地には紬糸を通し織った裏地を採用。考えつく、出来る限りのことは行いましたので、あとは問題なかったくらい、結びやすさに触れられないか。改善が実を結び、結びやすかったよ、と言って頂けるか。それても、もうちょっとと言われるか。

どれを取っても、次のモノづくりへポジティブに活かせると思います。
もちろん、社内でも繰り返して結ぶことを行っていますが、新しい考えで作った帯が社外で初めて結ばれる場合、いつもこうやってドキドキしています。

 

全てクリアした後は、まず唐長三条店で販売開始を予定しています。

 

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2016’春夏 きものSalon

2016年03月02日

若手に向かって、自分に言っています。

 

『これで完璧。』と言ってみたいですが、モノづくりでそんなことはあり得ません。同じ様に見えるモノ、例えば以前製作した同柄の帯を織っていたとしても日々進化するように、意識してモノづくりしています。帯の場合、土台となる織組織は完璧に近いと感じても、ずっとそれを織り続けるとマンネリしていきますので、成功するか分からなくても、常に変化をさせるようにします。たとえば、無地だったら地紋を入れてみたり、緯糸の素材を変えたり、糸種が同じでも合わせる本数を増減させてみたり。

 

大きなモノづくりとは言えないまでも、上手く行った時は今まで無かった表現をすることができ、次のモノづくりの核の様なモノになることもあります。日々、この積み上げをする、できなくても意識してアンテナを張っておくことは、とても大事です。稀に、革命的なモノづくりが突然ポンとできることもありますが、うちで言えば『総紗縫』、できてもそれに気がつかないこともあるので、作ったままでなくて、それを使ったモノづくり、その後のメンテナンスが重要です。

 

これは帯の話ですが、おそらく着物も小物もそう変わりません。そう思っていますので、今日は若手とそんな話をしながら、まずは問題意識の発見として、草履の重量を測ってみました(笑)。

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となみさんの草履はちょっと重いな、反対にちょっと軽いな、と両方言われたことがありますが、これが重くても軽くても、これを元に何か進化させる気付きが、今日でてきました。漠然意識ではありますが、小物一つとっても、できるか分からない状態でも、何か変化が起こせないか?常に意識して、より良い面白いものを作ろう!疲れていたり、物凄く売れていたり(苦笑)するとついつい忘れがちですが、とても大事ですね。

2016年02月01日

2月、新たな期のスタート。しぼ織;花柄。

 

無事、棚卸しの勘定が全て終わり、あとは集計等の事務的な作業に入ります。昨日は社内が原料、商品、人も引っくり返って、お盆・年末の大掃除以上の掃除となりますので、今日はビシっとすっきりとした空気が社内には漂っています。まずは一息です。いつもビシっと空気が大事ですが、片付けるとともに、帯見本があっち行ってたり、していますし、もう一度散らかさないように気を付けながら(笑)、自分のモノづくりのモノを集めていきます。その中の一つ。

 

現在、試験を繰り返し、なんとか前に進んでいるモノが『しぼ織』の新しいアイデア。

この試験は(帯になればいいですが)、今後作って行こうとする『しぼ織の土台』、柄の一部になるようなモノづくりです。しぼ織に使う素材には、今では希少と言っても良い、『御召緯』を使って製織しています。その特徴は水分に浸けると縮むことです。織りの段階では、それを見越して帯巾を広く織り上げ、お湯に浸けて縮め、帯表面に隆起(しぼ)をつけ、帯巾として再度巾を整えます。

 

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ちなみに、これがベーシックなしぼ。
縦に流れる隆起になる様に、柄に沿って縮む様に設計。織りでは糸で止める様にします。何も考えずに、この糸を使って織ると、しぼが暴走して生地が捻れてしまい、帯になりません。←しぼ織の織り始めは、そんな感じです。

 

新しいアイデアは、しぼをある意味暴走させながら、周囲を深く括って、それ自体が柄になる様に糸で止めています。


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(花に見える部分は袋状になっていて、触れるとしぼが動きます。)

 

これをこのままで進めてしまうと、生地的に弱くなるので、ここからはバランス。糸で所々止めながら、しぼが動けるスペースは残しておく(帯をお湯に通す→縮める、というのが前提なので、予測は難しく、やはり経験が重要です。)。

 

今後、帯にしていくためには、これをどの程度のバランスが良いのかを理解して、その時点で使う意匠と相談しながら実用的な地紋を作る、となります。考えているのは、従来のしぼと写真のしぼを共存させながら、しぼだけで出来た帯やこのしぼは意匠の無地部分を構成、あとはしぼを立てず、柄で見せるモノ。等々、完成すればしぼ織で作る帯の表現力は確実に上がりそうです。

このモノづくりのキッカケはある方から頂きました。上手く使えるように試験繰り返していきます。
ありがとうございました〜。

2016年01月29日

極めて充実の奄美研修。

 

昨日から奄美大島にいます。初奄美のスタッフも含めて研修、一方でモノづくりの詰めも順調に進んでいます。今回のメインは大島の特徴『絣』ではなく、染め分野。そこを徹底して拘ろう、原料集めから染料作り、染めまで全て行ってきました。

反物を見る前に、京都に原材料を送ってもらうことも可能ですが、やはりモノづくりの現場はちゃんと足を運んで一度でも見ておかないと、作るのも、お客さんや社内スタッフへ説明をするのも軽くなってしまいます。だから、今回の研修は今後とても役に立ちます。

ここ奄美には十数年間、となみ織物の帯や色を見て、大島を作って下さる職人&メーカーさんがいはります。うちの社内の空気も良く知って頂いていますので、その帯に合わせる着物の色、ほとんど口を出すことはなく、意見交換だけで済みました。新しい試みも『これどうやろ?』。と幾つか提案を頂いていますので、さらに意見を交わしつつ、ブラッシュアップしたモノづくりができそうです。今年中盤以降、上がりを楽しみにしていて下さい。

熟練の職人技を見つつ、自分たちもやってみる。どれだけ大変か骨身に沁みてきたので、うちは帯屋ということを忘れないように(苦笑)、今後の帯作りにも活かしていけると思います。

 

ほんのちょっと、何気ない流れで行う作業ですら、自分でやると苦労します。産地独自の技術やこだわり、工程がありますが、無くすわけには行かないモノです。

 

2016年01月25日

麹塵染めも面白いかも・・・。今思いました。

 

ベースがしっかりとしているモノ(今日は図案です)は、完成度が高いのでイジりにくいのはあっても、一度突破口を見つけると、多くのモノづくりの土台となってくれます。今日あがってきた試験織(一本目)を見てそういう気持ちを強くしました。

 

あがってきたモノは、過去の紋(デザイン)を修正&リメイクしたものです。

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元の図案から製作した一つ目の帯を含めて、4つほどの種類を見た記憶があります(実際の製作はもっと多いかもしれない)。ものすごく人気のあったモノが時代の流れや好みに合わせて、色や柄のサイズ、織物を修正して作りなおすのであれば、分からなくないですが、この柄は、そこまでの人気があったわけではありません。それなのにリメイクをする、何かが隠れていそうな柄です。おそらく今後も5,10年単位で大ヒットになるまでリメイクを繰り返しそうです(当たれば、かえって止めてしまうかもしれませんね?)。言い換えれば、図案にあった帯がもっとできるはずと、さらなる可能性を図案から感じているのかもです。

 

社内にはこんな図案、過去に作った帯があります。一度でも帯になったものは、壁として残っていますので、ここを乗り越えるモノづくりも今年は力を入れていきたいです。頑張ります〜。

 

 

今日の朝。全国的に話題になっているので触れておかないと・・・。
会社のある寺之内通まで南北に通る堀川通もしくは烏丸通を北上していくと、数キロ走るだけで、気温がドンドン下がっていきます。(会社よりも北に行くと、北大路通り1度、北山1度、御薗橋1度、下がる感じです。)そんなこともあって、職人さんとの会話の出だしは(同じ地域だと思われる様な狭いエリアでも)、『雪ありました?』です。

 

今日は、珍しくマイナス気温でしたが、まだ業界的には若い僕らよりも、60後半〜70代の職人さんのほうが遥かに元気よく、全く普段と変わらないペースでした。織り上がりの商品を持って/糸を取りに、来られる等々。今日は本当に寒かったです。。。見習わないとダメですね・・・。

 

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2015年12月01日

数寄屋袋にも新しいモノを足したい。

 

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『左;しぼ織、右;雲龍』

帯地を使った数寄屋袋。帯のクセ見ながら、柄も合わせながらと革と縫製して製作しますので、なかなか上がってきませんが、ちょこちょこ作ってはWebやショールームに並べています。使われている方からは一様に良い評判を頂いています。とても有難いのがお会いする度に、『(鞄から出して)ほらほら。』と見せて頂けるところ。これは不思議と全国的で、周りから見るとすこし奇妙かもしれませんが、普段使いとして日常生活の中に入っている帯地を見れて、とても嬉しいです。

 

このモノづくりは『帯を違う用途として見る』ことが必要なので、脳みその切り替えが必要です。ただ上手くやり切った時は、そのまま普段のモノづくりにも役に立ちます。最近没頭していたクラッチづくりも同じです。今から作ろうとしている帯シリーズのベースとなりそうです。

ちなみに、脳みその切り替えと言うのは・・・。通常図案から始まるモノづくりは経糸と緯糸の関係性を発色や柄の表現を重視します。切り替えた後は、たとえば、帯とは違う用途なので擦れに対する耐久性だったり、直接手に持つことが多いので風合いにいつも以上気を払ったり・・・。意匠の大きさもお太鼓のサイズに限らないので、そこにも意識をする。そんなことです。

『勿体無い。』と思われる膨大な数の試行錯誤をしますので、そこからちょっとチョイスして通常のモノづくりへ移行するだけでも、一風変わった帯になったりします。費用対効果は置いておいて(苦笑)そんな役に立ってくれてもいます。

 

前置きは長くなりましたが、今は帯地選びをしています。前回人気だった『しぼ織』も良かったですし、紹巴の紬も良さそうですし、クラッチと同シリーズということで同じ帯地を使っても・・・。

2015年10月06日

一式着物がほしい(男物)。

 

仕事の様な趣味の様な風で『男物を着て集まる会(少人数)』を1ヶ月または2ヶ月に一回実施しています。全く着物に興味を持たれていない、お付き合いの方もおられましたので、『いつまで続くだろ?』と少し不安に思いながらも、今月も含め結構な回数を重ねています。最初は美味しい食べ物につられ、最近は着物を着て歩くこと自体にも楽しみを感じてもらえるようになったのかな?

 

着物業界は、お客様へ着物を勧めるのに、なぜかスーツだったりと、ちょっと不思議な所もあります。実際、販売する方の着物に対する思いは『着物は着るものではなくて、売るもの。』(非常に残念ですが)そんな考えを持っている方も少なくありません。そんなこともあって、男物を着て集まる会が続くというのは、不思議な目で見られたりもします。

 

最初は、『今日は雨降りそうだし』とか『着る時間が・・・』だから、スーツ?最初の何回は毎回、そんな話も出てきました(気持ちは分かります(笑)。また実際に作られた着物も『一着で夏も含めて、ずっと行けるのが欲しい。』(未だに着物は難問です。。)と言われていました。ただ、会が回数を重ねるうちに、段々と目が肥えてきて、要望も出てきて『やっぱり、自分にはグレーが似合うから、次はグレーで。』『それに合わせて羽織は・・・、任せるわ。』そんな話になって、今では明らかにハマって来られました。

やっぱり、まず自分着てみて少しでも興味が出ると、日常もそれが目に入る、人の物を見て比較する。目が肥えて、自分に似合うものが判るようになる。そして欲しくなる。私も同じで、自然の流れです(笑)。着てイマイチと言われると、どうしょうもありませんが、値段がはるもので、しかも仕事の様な趣味の様な世界です。それでもハマって頂けると、これ以上嬉しいことはありません。

 

そんなこんなで、『新しい着物が一式欲しい。』と要望を頂きました。しかも、今回は前回のオールお任せと違い『色味の要望』(嬉しいです)を頂きました。それに沿って、お作りしようと思います。色味以外は基本的に全部任せる、と言って頂いています。

それを受け選んだものは『次自分が欲しい物リスト』の中から、その方の要望に応じ、かつ似合うモノを選びました。前回は、着物、羽織共に『御召』。それを踏まえて、選択したモノは・・・。

 

 

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【左:東郷織物、右:大島紬無地】
色目は要望を頂いた通り、黒×グレー。

 

とかなり落ち着いた感じに。両方の反物とも語りがありますので、納品の際にはどういう思いで作られたモノなのか、それをお伝えしてお納めしようと考えています。いまは要らないかな?とも思いましたが、いずれ必要になる、なって欲しいですので、まず(右から左に抜けても)言葉で伝えるのと同時に紙に書いてでも、伝えておきたいです(笑)。

知っているのと知らないのとでは、着る時の思いの入れようが変わってくると思いますし・・・。

 

さらに、長襦袢は任された強みで、ちょっと個性の感じる特別なものを入れる予定をしています。

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【希少な東郷織物の綿長襦袢】

 

リストに入れているモノではなくて、その上のリスト自分の取り置き分です(泣く泣く譲ります)。。。今回の着物と羽織は今お持ちモノとのコーディネートはし易く、どこにでも着て行き易いモノです。たくさん着て頂いて楽しんでもらいたいです。

 

世間一般には、なかなか普及しないと思われる着物、その中の男物。和気あいあいと一緒になって楽しみながら、じりじりと着物ファンが増えればと思います。この会の話をすると、異なる業界の方からは『ぜひ参加したい!』と言われる方も結構おられますので、長く続けていきたいですね。

 

 

2015年09月16日

一つずつ見ると・・・

出張2日目です。バタバタ、ピタ、バタバタ、ピタ。そんな時間の流れなので、多少空き時間があります。その間に検討するのは、この配色。昨日も予告していたモノで、紹巴織を太子間道を地色三色、トータル4色使った試験織です。

『太子間道』
 

この写真の様に試験織は上がってきます。一度にこの三色の地色を見ると『。。。失敗したかも。』と一瞬思ってしまいますが、このまま織るわけではなく、地色の一色ずつ織っていきます。一番上の朱系のモノは今のところ使うのは難しいですが、後の2色については(ぜひ一色ずつ見る様にして下さい。)、帯として成立しそうです。紹巴織の利点でもあり、モノづくりの際には頭を悩ます所でもあるのが、地色の3色が混ざり合うこと。

絵の具の様なイメージで、今まで見たことの無い三色を混ぜることで、見たことの無い地色→見たことのない雰囲気の帯ができる。そこを目指しています。社内では『なんだこの色。』となっていると思います(笑)が、ここから会社としての新しい流れができるかもしれません。

このモノづくりは少し長い目で見ていただけると嬉しいです。

 

2015年09月14日

なんとも言えない色作り

 

唐長文様で帯や着物を作る場合、紋意匠(柄作り)にも、もちろん力を入れますが、さらに一段気を入れて作るのは『色』。今まで相当チャレンジしながら、色々やりました。特に今、進めているモノは先染めの反物の上に、さらに色を加えてなんとも言えない色を作ること。単に下地を染めて上に色を掛けるのでなくて、それだけでも着物として成立する織りの反物(先染め)の上に、敢えて色を掛ける、そんなことをしています。

最初の方は、『下の色が上から掛ける色と上手く馴染む様に』ということを狙っていました。たとえば黒と白を掛けてグレー。そんなイメージです。そこからスタートして今進めているモノづくりは、『上から掛ける色が完全に下の色を覆い隠すように』。そんなことを意識しています。

 

なぜ、そんなことをするのか?というと、上の色で下の色を完全に消した様でいても、今使っている先染め生地の場合、先染めという性質上や生地の打ち込み具合のため、人の動きや生地の角度によっては、(完全に消したと思っていた)色が下から浮いてきます。コツは色を出す際や染める際に、下の色を完全に忘れてしまうとダメですが(だから真っ黒はダメです。)、僅かに下の色を気にしながら進めていきます。この『気にしながら』のあんばいが重要で、それが色々やった現在やっと掴めてきました。そんな段階です。

 

今は手元にありませんが、下の色が『ベージュ×若草色』。その上に少しヒネたグレーを掛ける。そうすることで、柔らかく元気なグレーの反物です。一番気に入っている配色です。

 

上がりたてのモノは『ベージュ×真っ白』の上に濃いモスグリーン。

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『ベージュ×白』×『濃いモスグリーン』

 

にすると、濃いグリーンの着物の中、遠くに霞んだ文様を感じられ、奥行きもいつも違う奥行きを感じることができます。食い合せを一つ一つ探す、そんな試行錯誤ですが、この感覚を薄地から濃い地まできっちりと掴み、今までに無い、なんとも言えない色味をまず唐長文様で表現できれば、考えています。シンプルな分、映えてくれそうです。

 

たまに今でも、下の生地を完全に殺してしまったり、同化させてしまい過ぎることもあるので、モノづくりするリスクとしては低くはありませんが、実際に見て触って頂けると、『お〜。』と思って頂ける色に仕上がっています。少しずつお披露目したいと思うので、楽しみにしていて下さい。

 

2015年07月21日

サーカス  ver1

 

 

先月のモノづくり続き。

少々ふらつきながらの出社ですが、
遠くから見て気付く個性的な柄がありました。

記念すべき、一回目の目出しです。

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ただし、遠くから見ると非常にいい感じでしたが、
近くから見る完成度からすると、失敗です。

全体的には悪くないですが、細部を見るとう~んと思う箇所が多く、
配色の問題でもありませんので(配色にはもう少し薄く、緑を加えたいです)、
再度、意匠図から手を加えていく予定です。

つまり、やり直しです。

 

一番の失敗は、やはり急いでしまったこと。反省です。
元の作品と自分のイメージをギリギリのところを合わせて、ここで行けると
思っていましたが、暈す部分の詰めが甘く、織りの限界が見事に出てしまいました。
(ココが腕の見せどころなのに・・・。)

もう少し織と配色とで、工夫した紋を作らないとな。。。
と反省です。

 

ビシッと一回で決めるつもりだった柄でしたが、少し立ち止まって。
今回上がってきた試験織りを元に、もう少し異なる配色で織って、
そこで上がってきたモノを元に修正を少しずつ加えて、完成させていく予定に
変更します。

 

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希望的観測を沢山加えた予定には、間に合いそうにもないですが、
当初予定よりは早く完成できそうですので、今度はジックリと作りこみをしたいです。

 

周りからは、『いや悪くないとおもうけど・・・』。そんな声も入ってきますが、
元に戻すのは難しくないので、まずは良くなる様に修正したいです。

 

 

3日間全く外出せず、大人しく寝て過ごしました(iPhoneの歩数計で300歩くらい・・・)。

そのお陰か、今日は随分と扁桃腺の腫れはマシです。

今週はイベント事が盛り沢山なので、無理せず早寝を心がけます〜。


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2015年07月14日

やり残しの優先順位。

 

忘れていなくて、いつかやらなくてはイケない、そう思っているモノづくりが
数多くが残っています。後にしたから、優先順位が落ちるモノ、そうであれば、
まだ良かったと言えるのですが、そこまで上手く出来ていませんで、今すぐに
しなくては!そんなモノづくりも手元に眠っています。

そんな資料は定期的に決まったやり方で見直さないと、後から大きな後悔になるので、
自分の仕事の棚卸しとそれに基づく優先順位の組み替えは、とても大事な仕事です。

 

そのため、今回は紙資料とEvernoteにある大量の走り書き、これまた大量のクラウド上の写真を
当たっていきます(今回は7千枚程度です)。ほんのちょっと前から考えると、簡単に残せる分、
当たらなくてはいけない資料は何倍にも増えてしまいましたが、すり抜けてしまうアイデアも
補足できる様になってきましたので、ホント便利で助かっています。

 

そんな資料の山を今は掘り返しています。
出てきた案はパズルみたいに幾つかを引っ付け、新しい形に整えて、モノづくりできる様にします。
また、その時に端数として残ったものは、キッチリと何に使ったか、なぜ今回は使わなかった、
使えなかったのか?付記して、資料の山に再び沈めておくと、いずれ役に立つことが多いです。

とそんな仕事をしていきます。

 

資料の山を開けるまでは、どーんと気が重い。
そんな仕事ですが、一度手を付けると(だから無理にでも定期的にします)相当楽しい、
しばらく机の前から離れなくなるほど、の仕事です。

 

今日見つかったのは総紗縫群。
【黒】シリーズは、上の様に資料の山の中から出来たモノづくりですし、その時の端数を集めて
膨らませて、製作した五線譜柄のモノづくり(一本目製作はトト神)、それが止まっています。

汕頭や相良刺繍(こちらは刺繍で柄を際立たせるモノづくり)とは別に、
こちらは刺繍で意匠自体を作ってしまうモノづくりです。

 

 

L1890697.jpg
『黒シリーズの音符&五線譜柄』

 

今見てみると、製織した反物数以上に、この柄の上に刺繍やその他で載せるアイデアの方が多かったので、
まずどこから始めるか?が問題です。
(そこまで練っていたのに、止まっているのはなぜ??そんな状態です。)

 

総紗縫だけで、数日掛かりそうですが、どのモノづくりのタネも
半年ほど寝かしてあっただけあって、その分良いモノが出来そうな気がしています。

2015年07月06日

性格の出る裏無地。

 

袋帯がメインのとなみ織物のモノづくりでは、裏無地作りはとても大事です。

 

合わせ方として表地に動きがあれば、裏地には比較的静かなモノ。
その反対でも大丈夫ですし、表も裏も同じくらいの空気感もあり。

要はなんでも良いのですが(笑)、モノを作る人の性格はストレートに出てきます。

 

昔は字の通り、ほとんどが柄無しの無地で、となみ織物もほとんどがそうでした。
そのまま、思考を停止して、裏地は無地のままでも、そんなに問題はないのかもしれません。
が、現在のとなみ織物のモノづくりでは、真無地はほぼ織っていません。

 

製造からすると、コストを下げるため、表地は自社で織っても裏地は無地屋で仕入れ。
実際に他社ではそうされている所も少なくないです。

ちゃんとそれはそれでお客さんに説明が成されていれば、
それはそれで裏無地の性格の一つかもしれません。

 

となみでは、そこではコストを掛けるべきと考えて、
同じ職人の同じ素材、織るのも同じ時期に拘って、裏地を表地に合わせます。
そのため、表地と裏地の沿いが最高によくなるため、結び易くなると考えています。

それはそれとして、裏無地作りへのメーカーの性格が出ていると思います。

 

最近作った裏地は、生糸の生らしい色を染めて作った淡いベージュにグレーで意匠を織ったもの。
紬の節で全体の色を柔らかくしました。

 

L1890245.jpg
伊藤若冲の世界/裏無地】

 

この柄の表に来るものは、ドンとしたお太鼓柄です。
 

お太鼓柄のインパクトは6通や全通のモノよりも力が強い事が多いので、
これだけ大柄を裏地にしても、柄の力では負けるとおもいます。

 

それでも、着物の不思議なところは、着物柄が入ってくることで、表の柄よりも
インパクトが無いのに、コーディネートした時の全体の力が強くなる時があります。

しかも、この表の柄を選ばれる方はあまり小柄や大人し目の柄では満足されない、
と作ったときは思っています。だから、表裏の両者とも、大柄で印象的なモノにしました。

 

さて、表の柄はどんな柄でしょうか(笑)?

 

 

2015年06月09日

今日はその工房の一つへ行ってきます。

 

先週末にふわふわバッグが上がってきました。

DSC05452.jpg
『しぼ織/若冲の世界/ふわふわバッグ

 

よく勘違いされてしまいますが、仙福屋で製作するロット数は、
他から見ると『超』が付く小ロットの製作。8つです。

こういう風に書くと『8個って、一つの帯の柄につき?』と聞き返されますが、
すべての柄のほわほわバッグ、今回の製作数です。

 

それでも一度発注を掛けると、こちらの意図する柄の出し方での裁断、縫製。
全部を日本国内の職人に一つずつ仕上げ行ってもらうので、来週すぐに上がってくる。
ということはなく、1〜2ヶ月もしくはそれ以上掛かってしまうものばかりです。


自分たちのモノづくりも同じで、『つくったもの』『できたもの』がどういう反応を頂いて、
どのように使われるのか?毎日聞きたいですが、そういうわけには行かず(FBには感謝)、
出張スタッフからも含め、できる限り時間を作って、情報収集をやりたいと思っています。

 

おそらく今日行く工房も同じ。情報はとても大事です。

今まで作ってきて定番と言われるものは、これからも作り続けていくために、
お客さんの喜ばれている意見、どういう風に使われているか、あれば改善点の話。

を出来るだけ生々しく詳細に伝えて、これからも新しい気持ちを持って、
作り続けてもらえるように。

 

今から作る新しいものには、自分たちが想定する使い方を伝え、
帯の見せ方をそこに加えて検討、試作、本番と行っていきます。

 

やることは違っても日々行っている帯づくりも、全く同じです。
 

また成果は上がり次第、紹介していきますね。

2015年05月26日

帯以外のものも。

またまた雪佳

 

つい最近こんなのが上がってきました。

DSC05346.jpg
 

軽く身長を超える高さがある雪佳のバナーアップスタンドです。

いつもは図案や図を八寸二分の中にギュッと収めることを意識しますが、
これは思いっきって拡大。

モノづくりストレス一杯な時、スッキリする大きさです。(笑)。
(やっぱり帯巾が好きで、落ち着きますが。)

 

『雪佳』の帯つくりをしているので、まずそれを知って頂く入り口部分のモノです。
モノづくりと違ったこういう部分、あまりが上手くないのが、となみ織物でしたが、
そういう社風(?)を少しずつ変えれるようにがんばります。

 

単純に原画を拡大したわけではないので、これだけ大きくても大味にはなっていません。
データでも手を入れて、雪佳らしさは残すようにして頂いています。

 

帯や着物じゃないので、単純に拡大して印刷。
そうすれば手間が掛からず安くて楽なのかもしれませんが、折角作るんだったらと、
これにも相当力を入れていました。

 

この近くに陳列するはずの帯や着物に注目をして頂きたいですが、
そこまでに誘導するこのバナーアップスタンドへのコダワリにも少々注意を払って
いただけると嬉しいです。

 

2日連続、カキツバタでしたね。

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