となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「上品綟」と一致するもの

2016年06月16日

上品綟と総紗縫

ここ数日特によく触れるのが『上品綟』。織物の的には綟り織の一つ、夏の代名詞『紗』の一つです。

となみではこの上品綟の他に、総紗縫という紗の一種がありますが、こちらは改良しすぎと言っていいぐらい徹底して、作り込んでいます。そのため、よく言われるのは『えっ、この帯、紗?』と。そんな風に仲間とは思って頂けないことが多いのです。それに比べて、上品綟もとなみ独自の改良を加えていますので、世間の紗よりも、遥かに豊か表現力を持ってはいますが、まだ『紗』の原型が残ります。

ですので、この上品綟が完成した当時は、となみ織物モノづくりのベテランにとって、長く織っている総紗縫よりも、まだ日の浅い上品綟の方が目新しさを感じていました。そうは言っても、世間は『紗』が残る上品綟よりも、原型がほぼない総紗縫に新しさを感じる。この2つのギャップは最初のモノづくりでは、非常に難しい問題でした。(例えば、総紗縫は無地に近いものでも、お客さんの反応は、お~凄い。となるのに対して、上品綟の場合は、かなり凝ったものでも、お客さんからは、どこかで見たことあるかも・・・。と言われてしまったりしたことも。)

そこから様々な情報を加味し、モノづくりを濃く絞ることで、上品綟自体の良さ、らしさ、織物としての特性を掴み出すことができました。それから、上手く回りはじめ、最近の強みが目立つ織物に進化したような気がします。作り手からしても、実際には『この織物でしか出来ないこと』、当然なんですが、それがちゃんとしていないと、モノづくりしていても楽しくありませんし、続きません。

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『右も左も織物は上品綟』

先日の撮影会はそんな空気もでき始めたのか、総紗縫よりも多くの上品綟を撮すことができました。こうなると、今度は総紗縫!と、また総紗縫モノづくりも盛り上がっていきそうです。

ありがたい事に進めたいこと一杯です〜。

2016年06月14日

撮影会

用途色々で着物の撮影を行いました(自分も含む。笑 それはまた別の話で・・・)。
少し前から撮影の日を決めていて、その基準としては、梅雨に入ってもまだ本格的なじゃないはず(笑)の頃。そんな感じでしたので、前の日から当日の午前中は雨が降っても、昼からは止んで、空気も澄んでちょうどいい頃合い。という狙い通りの撮影日でした。

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私は、撮られる方の役回りもありましたので、着物を着たまま、撮ることもし、バタバタながらも、この時期にあったいい写真が撮れたと思います。

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『上品綟/袋帯、総紗縫/日傘』


メーカーとしては、帯、着物単体を出来上がった際に、見ることが一番多いです。そのため、帯・着物・小物等々、その方の意思でコーディネートされた姿を見るのは、その機会が増えたと言っても未だに幸せです。特に、カメラだと通りすがりパッと見るわけでも無く、ファインダー越しに一つ一つ真剣に凝視することができるので、またいつもとも違った感覚で、自分たちのモノづくりを確かめることができて、本当に良かったです。

たまにはこういう時間を作るのも、モノづくりには大事ですね。

2016年05月25日

399g

随分と時間が掛かりましたが、一つ完成しました。『夏しぼ』シリーズ一柄目。

未だに周りからは『なに、この帯?』という目で見られてしまいます。この帯の前段階(目出し)では、一応『こんなイメージを持って作ろうと思う帯です。』という話はしていましたが、未だに『なに?』です(苦笑)。確かに分かりにくい。。それでも、この反応は総紗縫がまだ認知度の低い時と同じで、それを考えると悪く無いかもしれません(笑)。

帯としての織物は,ハリ、手に持った質感、結んだ後の耐久性等を考える必要があります。それらを気にしなければ、どれだけでも透けさせることはできるし、重量も軽くなります。反対に、透けて、ハリがあって、結んでシワになったモノでも、ちゃんとお手入れをすれば綺麗に伸びる・・・と多くの要素をクリアするとなると、なかなか簡単には行きません。この辺りのバランスを最大限に調整しつつ、軽く薄く制作したものが、この『夏しぼ帯』。

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今のところ、裏地に考えている別組織の織物(おそらく上品綟の無地)を組み合わせて袋帯にすると、400gを切る、399gと予想よりも随分と軽くなりました(予想は420gです)。この次は、上品綟の裏地と合わせて、仕立てして、その上で手持ちや重量バランスを見て、結び心地のチェック。全てがクリアすれば、完成となります。

この織物、目標は、総紗縫と上品綟に続く、夏使える帯の柱の一つになること。まだ一柄目ですが、野望は大きくですね〜。

2016年05月09日

ざっくりとした注文を頂いたところから・・・。

 

『こんな感じの柄でこんな感じの色』と、相当ざっくりとした御召の注文(笑)を頂きましたので、まずそのための見本を織ってみました。夏に近づくにつれて、御召の場合限定ではありますが、圧倒的に薄い地色に人気が集まります(帯や他の着物はそうでもないのが、また面白いところ)。

 

その見本裂地です。

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写真の部分で6柄2配色あります。

 

この御召は総紗縫や上品綟のように綟って透け感を作っているのではなくて、緯糸と地紋の工夫と改良で風を通す夏単衣モノに仕上げています。反物を下に置くと、透け感が少なく色の重さを感じますが、着ることをイメージして、写真の様に反物を立てると、濃い緯を通して織ったにも関わらず、透け感を感じることができますし、『これだったら夏に濃い色の着物を着てみようかな?』と思って頂けると思います。

まだ、今のところ出来上がってから日の浅い織物でもありますので、薄地が一通り人気が出た後は、この濃い地色の方で・・・。と画策しています(笑)。

 

薄地色のも含めて、この織物が反物になるまで、試作の繰り返しでした。自分でもプロトタイプのモノを着ていて、完成版は良いなぁ・・・(笑)と、思い入れも沢山(柄によってはこの織物に全く向かず、織れなかったとか)のあるモノですので、大事に紹介していければと嬉しいです。

 

今年はいよいよ自分用に濃い地で作ろうかな〜。

2015年12月26日

無地とずっと格闘中。

 

シンプルな夏帯、無地に近い形の飽きの来ないシンプルな意匠、色は薄地で涼しげに、織は総紗縫よりも粗いけれども、それでも世間にある紗よりは随分と細かい『上品綟』。糸使い等は今あるものから少々変えて、夏単衣専用、そんな帯を3月までに発表できるように、数柄考えています。そのうちの一つは目出しが上がっています。

 

昔、ある方から『最高の無地が織れれば、欲しい。』と言われたことがあります。どこまで行けば最高か分からないので、とても難しい注文です。今のところ、様々なキッカケで生まれる新しいモノづくり毎に、サイズ的には僅かですが、真無地を少し織っています。寝ていても、『最高の、最高の、無地がほしい』と時々頭を過ることのある言葉です(苦笑)。

 

まあ、そんなことを何年も繰り返していることもあって、やればやるほど無地の難しさも分かるようになります。シンプルなモノほど本当に難しいです。そこに近い、縞や格子など無地的なモノも同様。そのためにまずは足掛かり作りから、と思い織った試験です。

 

写真の帯は、仙福屋のシリーズとして、小物で印象が大きく変わるシンプルな帯を目指しています。イメージがあると言っても、それだけ。漠然としていますので、膨大な数の案が出てきそうです。その中から来年の春が来る頃には4、5柄くらい作りたいと思っています。このモノづくりに関しては、お正月休み中も進めることができそうです。何気なく図案を見て、紋を考えたり、練ったりと進めていきますね。

 

2015年08月07日

着物に囲まれる一日2

 

昨日一昨日と一日中、着物姿に囲まれた幸せな一日でした。
ある程度の撤収をしてから東京⇒京都まで車で帰宅したのが、朝の4時くらいでしたので、今日は少しフラフラで、久々に立ちっ放しだったので、足もパンパンですが(笑)、となみの帯、着物、小物を使われている所を沢山見せていただけので、本当に行けてよかったです。喉風邪も喋っているうちに、いつの間にか治っていました。今は、違う意味で痛いです(笑)。

 

明日が終わるとお盆休み。最後の詰めを行いたいので、今日明日とバタバタの2日間になりそうです。6月末にUPしていた【蝶千種】の目出しも上がっていますので、お盆の長い休みに入らない今日明日中に目処を付けて、今月中くらいに一本目を完成⇒2柄目。。そんな予定です。

 

まだ大勢の方に囲まれる前の一枚。


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作楽/上品綟』

2015年07月31日

作楽上品綟を使って。

 

長いお盆休みに向けて、済ましておかなければ行けないこと、
溜まった書類処理のために、バタバタと一日はあっという間に過ぎます。

昨日も一昨日も言っていました(笑)が『モノづくりには心の余裕が必要(絶対に)。』
こんな今の時期なかなか難しいです。

 

それを作るために、僅かな時間でしたが、今日は少々心を静めるためにも、
ほんの短時間、作楽/上品綟を見ていました。

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この写真の他にも夏物に合わせてみたり、羽織生地やコート生地に合わせたり
(関係ない)風呂敷、テーブルに乗せたり、外に持っていたり(今日は相当暑い・・・。)、
していました。

 

バタバタが続くと、どうしても何かを処理しよう、効率良くしよう、ショートカットしよう、
と対目の前にあることに向かって合理的にどうしょう?という感情で一杯になります。

どちらかというと、モノづくりにはあまり要らないです。

 

そんな状態から短期間リハビリ的な事として、反物の上に帯を持ってくるだけで、
『あ。意外にもこの色が引き立てるな。』『この紬、いらん思ったけど、次も使える?』
『ついでに帯締も持ってきて、色足そ。』等々の気づきがあります。

今あるモノに何か足したい、とか次はどうするとか、
こうやってもイイんでは?そんなのは、モノづくりに絶対に必要な感情です。

 

そんな時間を一日一瞬でも取っておくと、『何かを作ろう!』と切り替えてモノづくりに
掛かる状態になるまで、そんな時間は掛からなくなりますし、良いモノを作れそうな気持ちにもなります。

 

これらの話が全く関係ない切り替えの上手い人も、もちろんいますが、
自分ではスイッチのオンオフがスムーズに動くために、こういうこと良くしています。

 

 

 

2015年07月27日

京都の夏を着物で気持ちよく乗り切るために。

 

先週はほぼ毎日着物を着ました。

手持ち着物の中で一番少ないものは、真夏モノで薄地色のモノ。

 

単衣が一番多いので、まだ夏っぽいかな?という単衣で乗り切ろうと思いましたが、
流石に今年の京都の気温は難しいです。

 

先日紹介したモノが、私物夏物で一番涼しいモノです。
結果、今年の登場回数はNo,1です。
 

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その真夏モノは、真ん中に挟まれたようになっている淡いベージュの着物です。
(南蛮七宝文様)

織は総紗縫や上品綟と比較すると、
織り目の粗い紗組織で、糸に工夫をしてシャリ感を強調した織物です。

下の襦袢を写真の様に文様がはっきりしたモノすれば、紗合わせの様にも見える透け感です。

 

 

ちなみに、去年一番はこの着物。

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もちろん真夏も着ることはできるので、登場回数も2番目に多いですが、
上の真夏ものよりは、少し涼しくないですし、35度を超えると涼しい方を手に取りたく
なってしまいます。

 

 

同じ織組織の色違いの着物を着ても良いのですが・・・。
やはり今年の夏の記憶を忘れずに、来年真夏用のモノづくりの動機にしようと思います(笑)。

 

 

 

2015年06月29日

参加します。

 

7月8日から『協力』という形で帯を出展することになりました。
詳細はまた後日になりますが、京焼の作家さんとのコラボ展です。

今日はその打ち合わせと下見に、白沙村荘へお邪魔してきました。

 

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『煌星の饗宴』

 

話の中で『帯をどんな風に使って頂いても良いですよ。』と申し出てました。
ずいぶんと遠慮はされていましたが、どんな形になるのか、準備の日になるまで分かりませんし、
楽しみにしたいです。

 

焼物はグレー色との相性が良い、との話を聞きましたので、
その辺りも考慮しながら、帯選びしたいです。

夏なので、涼やかな上品綟か総紗縫。
それとも先日FBで載せていた緯糸もガッツリ通し、帯らしい帯系統なのか、まだ未定です。

 

打ち合わせの中で、
焼物を見せる、紹介する場所というのは非常に少ないということも聞きました。
帯を見て頂けるのも、焼物と比較してどうか?は分かりませんが、こちらも少ないです。

 

折角こういう機会を頂けましたので、来られるお客様の反応はとても楽しみです。
正直、全く想像も付きません。

 

もう日はありませんが、上でも書いた様に、持っていくモノについては悩んでいます。

細密な織りで『これって織物?』という自慢作か、
敢えて多少息を抜いた、帯を見ていると『これだったら結びたいな。』と思えるものか?

南蛮七宝に下弦の月に関しては、いまのとなみ織物の色にもなっていますので、置きたいなぁ。。。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年06月08日

次の一歩。『輪宝紋様』

 

唐長さんとのコラボで製作している南蛮七宝文様。

取り組み始めてから気がつけば随分と月日も経って、
そこには(少なくとも)十数年のノウハウが蓄積されています。

帯で、紹巴織、総紗縫、紬、しぼ、千寿錦、秘錦、紗楽、上品綟で8組織。
着物も御召や大島、紗、三重紗、ブラタク×2等。
さらに、小物もバッグ、草履、財布、帯揚、ショール等。

 

好きにモノづくり?試作作り?させて頂いていますので、
同じ期間で比較すると、通常のモノづくりよりも、遥かに多くの経験値がたまっています。

 

次の一歩として現在は2柄目に取り組んでいて、今までの路線には、全く同じ様には
乗せられませんが、山ほどの失敗(苦笑)をしましたので、根気強く
それらを活用しながら、進めることができると思います。

 

2柄目は、この『輪宝紋』です。

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『輪宝紋』

 

この紋様は、11代目当主と奥さまとの打ち合わせの中で、
柄と色を幾つか選択して頂き、その中から、まずは・・・と選ばせて頂いた柄です。

 

この柄を選んだ理由はいくつかありますが、その一つは・・・。
南蛮七宝がありました。

となみ織物のモノづくり、スタートは当然帯からの製作です。
そうすると、関した帯に合わせたくなるものは、南蛮七宝の着物。

だったら、はじめに取り組むのは、南蛮七宝とは趣きが少し変わるもの。
候補となっていた数柄は、全て素敵でしたが、まずは2つの版木を使った
(その時点で趣きが異なります)この輪宝紋がいいのではないか?

そんなことから選びました。
おそらく何を選んでも間違いないから、余計に迷いました(笑)。

 

この輪宝紋は、七宝繋ぎと同じ様に、吉祥紋様の一つです。

意匠図を作る際に、この柄とずっと向き合っていると、柄の意味、配色関係なく、
柄に惹きつけれられるました。

なにか、あるな、この柄。
文章では説明できませんが、今はそんな感じを紋様から受けています。。

 

まずは頂いた唐紙の色に合わせた配色を行っていますが、
『糸』と『和紙』ですので、全く同じにはできません。

そのため、同じ空気を纏う位の雰囲気を近づけたいと思っています。
それを考えると、現状はまだ色を修正する余地があります。

今後、そのあたり詰めていきたいです。

 

 

この帯も、検品が終わり次第、となみ丸で他の着物との親和性を試したいと思います。
柄の大きさ、色味、やりたい要素は多くあります。

 

 

他の自分としてのモノづくりも、昨日の本袋も含め、山ほどあります。
一つずつ、確実に乗り越えていきたいです!

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2015年05月30日

今年じゃなくて来年用の・・・。

籠バッグです。

 

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『南蛮七宝文様/椰子籠』

 

今日上がってきたので、
早速陳列してみたところ、夏の風を感じました。

 

写真のものは、襦袢地を使い製作。
その他にも、この籠用に織った上品綟組織のモノもあります。
ただ、製作数は大3つに小3つの計6個だけ。

評判や使い心地を聞いてから、来年どうするか考えようと思っています。
(出来上がりのモノは試作じゃないけど、試作のような商品です)

 

巾着袋を籠の中に入れるので、当たり前の様に袋に使う柄や織物を検討していました。

ただよく考えてみると、着物地や襦袢地はまだしも、帯地で巾着袋を使える贅沢。
また巾着袋にしても違和感を感じない裂地の軽さや厚み、外から言われて思い出す、
自社帯の優れたところです。

 

この辺り下手くそです。
もっと訴えてないと、といつも色んな人に同じことを言われています(苦笑)。

 

 

 

 

2015年05月09日

次はこの二つ。

 

帯の柄を着物にそこまで詳しくない、
ただデザイン関係の方に見て頂く機会が最近とても多いです。

 

そこでは、典型的な和柄に関しては『素敵』で終わりますが(『古臭い!』ではないので有り難いです)、
シンプルなモノ、例えば裏無地に近いシンプルなものなどは、『洋に持って行きたい。』
と、かなり真剣に言って頂けます。

常にそこには『帯だけでは勿体無い』とい気持ちが有るようです。
(帯屋としては微妙なところもありますが・・・、喜んでいいですよね?)

 

コラボ的な話も頂いていますので、どう進むか分かりませんが、
一生懸命モノづくりを続けてして行きたいと思います。

 

帯揚げへ

 

自分たちもその『帯だけでは勿体無い』部分も感じる所が、確かにありますので、
少し前から、和からは離れない程度で、帯揚げの意匠にもしています。

 

以前製作した『上品綟』の意匠を使った帯揚げです。

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帯揚げの常識に近づけるのではなく、敢えて修正せずに帯の意匠のまま作りました。
そのため、その道のプロ?からは常識外なところも多く、どの方面から見ても面白い帯揚げに
なっています。使う人にとって興味深いモノに仕上がればそれで充分ですが、作り手からの
評判も良い越したことはないですよね。

 

 

次は・・・

今、予定しているのはこの2つの柄。

元は両者とも紹巴織の裏地意匠です。
シンプルな上げ方にはなっていますが、その分配色のメリハリが活きやすく、
思い切った配色で行く予定です。

 

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ただ、問題が一つ。

夏物なので今から型を作って(写真はその元となる図です。←帯そのままです。)、
配色をして、染めに入るのでどの時期に上がってくるか?

 

寒い間はどれだけ頑張っても配色が多少抑え気味になるので、思い切ってするには、
暑い日がせめて一日は必要です。。。

 

救いは生地は用意済みなので、なんとかなるかな〜。

 

2015年04月06日

帯を活かすためには、確保とモノづくりの必要があります。

 

京都は、桜が終わりに差し掛かってきました。
毎年ちょうどこの頃に、仕込んでいた夏向きの小物が上がり始めます。
ここから秋単衣が終わるまで、少しずつ上がり続けていきます。

 

帯締めも帯揚げも最初は世間にあるもので、帯とコーディネートしていました。

山ほどの素材、織、配色がありましたので、合わないものも沢山ありましたが、
コーディネート出来るものもその分ありました。

ただ残念ながら、最近は特に夏小物(帯締、帯揚げ)は面白いものは急減しています。
例えば、帯揚げを染める生地自体が上がってきません(そこそこ良いものよりも上のものが特に)。

 

そんなことが続くので、近年ではとなみ&仙福屋オリジナルで製作します。
例えば、帯の柄を使っての帯揚げの製作など。

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モンステラ/仙福屋の夏帯揚げ

 

これを見て、やっぱり手の込んだモノって良いな、と小物屋さんが言われたりも
するそうですよ。。

 

この辺りは新しい柄を作りながら、職人さんが継続出来る限り、
面白いものを作って行こうと考えています。

 

今日、紹介するのは夏/無地。

 

何でも合わせられますが、基本的に『総紗縫』と『上品綟』に合わせるつもり、
色を選択した帯上げです。

 

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となみ織物の特長は色。とも言われるます。
こういう中間色、ヒネた色を見るとテンションまで上ってきます。

 

総紗縫や上品綟に使う緯の色目は幅広くありますが、
ベースとなる色に色味には共通点もあるので、その色と合わせイイ色を探し出しながら、
帯上げを染めてもらったものです。

 

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もちろん、人に似合う色、好みの色あります。

それらも全て包含しつつ、使いやすい色というと、大体30色前後で、
素材自体にも、涼感を作るために、『麻素材』を使っています。

 

 

その麻自体も帯上げの生地として、なかなか上がってこないそうで、
良いモノに関しては、絹も麻も少ない状況ではありますが、着物を着る上では必需品の帯上げ。

 

自分たちの帯を結ばれる方には、合わせるものが無いや何でもイイや。
と言われてしまわないように。こういった小物の確保も今後重要な帯屋の仕事の一つになっていきそうです。

 

色に関わることなので、どちらかと言えば、かなり好きな部類ですので、
拘って拘って、無地だとしても、『お~。』と言って頂けるモノを作っていきたいですね。

 

 

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2014年08月04日

8-1

1,近況

あっという間に7月終わり、となみ織物では恒例というか、例年通り、棚卸しを行い、滞り無く終了です。

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(この展示場の全ての帯をPCに通していきます。)

 

棚卸しは本来の目的とは、別にメーカーとして全ての帯をチェックすることが出来る数少ない機会です。

目の前を沢山の色柄の帯が通り過ぎていきますので、その際、刺激を受けて、
新しいモノづくりへのアイデアが思い浮かぶこともあります。

今年入ったばかりの新入社員は、帯運びで重労働に思えるかもしれませんが、
良いチャンスでもあります。

そんなことも伝えつつ、がんばれ〜と声援を送っておきました。

 

帯以外にも、図案や紋図、原材料、全てチェックしていくので、本当に丸一日仕事です。

こういう図案も見ながら、今だったらどう配色する?という話もしながら・・・

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今回のメルマガにも載せていますが、昔の柄は学ぶことが沢山あります。

 

この何年かは、糸代や染め代、今年後半からは織り手さんの織り工賃が上昇、
小物に関しては帯揚げの白生地や草履のキルク等、全てが急上昇ですので、いいモノを作りつつ、
それの価値がちゃんと伝わるように、今後もメルマガ、Facebook、ブログ等続けて行きたいと思います。

まずは、上半期ありがとうございました!

1,2日だけホッとして、下半期スタートです。

 

2,Facebookランキング

③7/10『あしあと帯揚げ』726
 ⇒Facebook『猫足帯揚げ』

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『仙福屋宗介Web』⇒http://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=1190

 

 

藍よりも少し青掛かった深い色味に白でシンプルに絞りをして製作した帯揚げ。

別織りで製作したちりめん地を使い、少し光沢を抑えて可愛らしさをプラスさせました。

 

最近は、何でも合ってコーディネートし易さよりも、アクセントになるような小物に人気が
集まっています。この帯揚げもFacebook上でも非常に人気です。

 

 

②7/28『昔の図案』775
 ⇒Facebook『昔の図案』記事へ
 

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数十年という昔の図案です。

整理していて、出て来たものですが、今描かれる図案とは、パワーが違います。

見た目通りボリュームがあり、色味も原色に近く、いかに古典柄にアレンジを加えるか、
今の洒落帯中心とはまた違った考えで作られています。

皆さんの懐かしいという反応以外にも、帯としても好意的な反応がありましたので、
今後のモノづくりももっと面白いことをしても良さそうな気になりました。

 

 

①7/19『上品綟で夏すごす』861
 ⇒Facebook『上品綟で夏すごす

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先月のTOPは、上品綟を使った共感のコーディネートでした。

 

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この帯は、綟織で織っていて、総紗縫よりも目は粗いですが、様々な素材、太細の異なる緯を使うことで、
入ってくる光によって、帯の雰囲気を変えることができます。

多くの着物姿の方がおられましたが、とても目を惹いていた着姿でした。

 

 

 

3,アヅマ袋説明。

製作の始まりは、いつも帯地を縫って袋モノを作ってもらっている職人さんからの提案でした。
手にされていた帯地は『総紗縫』。となみ織物の中では一番か二番を争う使い勝手良い、帯のシリーズです。
この職人さんが言うには、『これだけ薄くて、シワにもなりにくく、張りがある生地はないよ。しかも縫いやすいし。』ということです。帯を作るメーカーとしては、軽さやシワというのは考えていますが、裁断後の縫い易さまでは考えないもの。早速、その職人さんに『好きなように作ってみて。』というメッセージとともに生地を数反送りました。

 

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しばらくして、見本として上がってきたのが、烏瓜(からすうり)の帯地を使ったアヅマ袋。
それを見た瞬間、総紗縫の帯地が袋モノにピッタリな生地なんだと思いました。

このアヅマ袋で使っている帯地は全て『総紗縫』の機。
ただでさえ難しい綟織、さらに手を加えた織組織ですので、織れる職人はベテランの職人の僅か。
それでもたまに出てくるキズ物を上手く使って製作しています。

小さく折りたたんで、バッグの中に入れて置けますので、荷物が増えた時のセカンドバッグとしても、
活躍してくれると思います。

ただいまのところ、ショールームでのみ展示中です。

アヅマ袋皆さんのご感想

 

 

4,ショールーム

https://www.facebook.com/senpukuya?ref_type=bookmark

 

とても順調に進んでいますが、小売屋さんが来られた時などに振り袖の陳列に使ったりもして、
今のところ、多目的ルーム化しています。

 

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なぜか頂いた大瓶のビール20本も飲む機会ないまま冷蔵庫に入っていたりと、
自分の部屋よりも居心地が良くなってきそうですので、早いこと常設になるようにと思っています。

もう一つは、何年も使っていなかった、置き場所にも困っていた大きな机。

それを捨てるのは勿体無いので、帯との相性も悪くない、革の様な風に張替えました。
大きな陳列台、作業台ができることで、段々と雰囲気良くなってきました。

職人に依頼している懐紙入れやバッグ等も上がってくると思いますので、さらに形がしっかりしてきます。

 

この振り袖の後には、下の写真の様な感じで
南蛮七宝の利休バッグばかり並べています。

 

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利休バッグは、他のバッグと並べると、当たり前すぎて光が当たることの少ない形ですが、
こうやって様々な色目、形態を並べると、見応えがありまし、気に入っています。

ちなみに後ろも利休バッグが並んでいて、囲まれています〜。

 

 

 

2014年07月04日

来年用の夏帯

 

少し久々に南蛮七宝文様のモノづくりを。

今年も夏物が注目されることが多いように感じましたので、南蛮七宝でも来年に向けて、
試験を繰り返しています。

 

今のところは総紗縫だけですので、もう一つの夏織物の柱、『上品綟』です。

 

上品は、総紗縫よりも織にボリューム感を付けれるのが特長です。
その分、少し織りは粗くなってしまいますが、それも総紗縫との対比で特徴立っています。

 

その上品を使ってモノづくりをすると、南蛮七宝と言うのは、メリハリを付け難い柄でも
ありますので、その辺りの柄と織組織との調整を付けつつのモノづくりです。

 

今のところ、数度試験織を取っていますが、そろそろ一本織っても良いかな?
織らないと、これ以上は詰めようがないかな?という辺りまで進みました。

 

それがこれです。

 

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シンプルなので、悩みどころが少なく、早く進みそうですが、
それが余計に難しいかったです。

 

糸の合わせ方一つ取っても簡単に進みますが、ある程度進んだ所、例えば試験を取った段階で、
色味が違ったりすると、それ以上こねくり回しても、大して状況が変わらないので、ほぼ一から、
スタートとなってしまいます。

 

このままの色でも悪くはありませんが、もう僅かに(それが難しいんですが・・・)深みを付けて、
一本の袋帯にしたいと思います。

 

来年なので、、、と思っているうちに、こういうモノづくりは、あっという間の時間ですし、
出来る限り今月中には形になるよう、鋭利製作中です。

2014年06月09日

来年かなぁというモノづくり。

 

 

梅雨の雨のお陰で少し涼しくなった京都です。

暑い時にそのままの感情で夏物を作ってしまうと、あまり練られたモノができず
(ならず)、単純なモノづくりになってしまうような気がしてしまいます。

ちょっと涼しくなったこの梅雨の時期に夏物を作るのは、
もしくは考えるのは意外に重要です(もちろん個人的には、です。)。

 

どっちにしても、来年用なのでじっくり作り込んでいきたいと思います。

 

夏物というと、となみ織物では、大きく分けて、上品綟と総紗縫があります。
今年は総紗縫の『黒』を作りました。

 

この黒も普通の総紗縫よりも面倒くさいといえば、
面倒くさいことを紋の段階で行っていて、それが他の総紗縫との違いになっています。
だれでも考えつきそうだけれども、わざわざやらないモノづくり。

 

同じような考え方を導入して、上品綟で出来ないかな。と思っています。

まだ、漠然としたアイデアが漂っているような状態ですが、上手くいきそうな。
そんな気も今からしています。

 

L1780268.png

 

現状の上品綟。総紗縫よりも紋口は少ないですが、その代わりにボリューム感を
持たせた表現ができるので、総紗縫は総紗縫。上品綟は上品綟。そんな住み分けです。

 

まずは写真に写っている地紋から当たっていく、ところから初めて、
時間は掛かりますが、『おっ作楽っぽい』みたいなものが出来ればと思います。

 

また、報告します!

2013年03月27日

綟りへ

 

先日、美しいキモノで発表した『作楽』

その中の一柄が機の具合で、織れなくなってしまいます。

(なんとか復帰できるよう模索中・・・)

 

OL_??13_?????_2.jpg

『作楽』⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/

(その一柄は写真ド真中)

 

面白みのない柄であれば、

しばらく、そのままにしておいても良いのですが、

(個人的にとても好きな柄でもありますので)

もし今後もダメなことになったことも考えて、新たに新しく紋を

起こして製作をしていました。

 

その最初の目出し(試験)です。

 

IMG_0576.jpg

『作楽/上品綟』

 

柄のコンセプト等は替えずに、製作しても、

織組織が異なるので、元の方はボリューム感が得意、

今回のモノは、綺麗さと透け感が特長となりますので、

その辺りも、このモノづくりの楽しさです。

 

織りを変えて作る際は、前に作ったものよりも、さらに良い物を。

と思って製作しますが、前よりも良い物が上がってくると、

それはそれで、『あの時なにしてたんやろ。。』と反省も。

 

もし、上手く行った場合

今回は時間が経っていない分、余計にそう思ってしまいそうですね〜。

 

会社的には、

職人の高齢、技術、機の部品等で今後もこういことが、

増えていきそうですので、早め早めの対策を行なって行きたいです。

 

 

 

2013年03月26日

こんな帯が上がってきました。

 

今までは総紗縫や上品綟といった帯に多かった、

『+汕頭刺繍』ですが、今回は捩り織ではない帯に行いました。

 

今回、ベースとなる帯の製作に多少関わったので、

とても気になる一本です。

 

L1230860-2.jpg

神坂雪佳の世界『海路横段』×汕頭刺繍

 

 

単純に全部を刺繍するわけではなくて、横段に柄に応じているので、

(地がそのままの部分に刺繍を施しました)

動きのある帯になっています。

 

ちなみに、経糸は一切キズつけられず、このようになっています。

 

L1230860.jpg

 

この織物自体、経緯のバランスが非常に繊細な織物ですので、

このように経を綺麗に出すとなると、相当の注意を払わないと、

筋が入ったように見えます(キズです)。

 

ですので、この帯上がってきたばかりの帯を見た時は、

帯一本の長さ(約4m40cm)をずっと一人の職人さんが同じ手で、

高い集中を持って、刺繍を施していく、その姿が目の前に浮かんで来ました。

 

日本もそうですが、段々と腕の良い職人さんが、色々な事情で減っています。

いいものを作るのも残すのも本当に難しい時代ですが、

可能な限り、やって行きたいと思います。

 

 

 

 

2013年01月29日

だれに勧めましょう?

 

最近、『変わったものを』といわれることが多いです。

帯でも、ほぼ口癖で『何か無いかなぁ』というのと一緒に、

『変わったもの無いかなぁ』と思いながら、図案を作ったり、

図案展を見に行ったりとしています。

 

その帯のポイントとして、帯留めでも職人さんにお願いする時は、

同じように『変わったものを』考えます。

 

そして、以前お願いしていて、何度か手直し後、上がってきたのが、

この帯留め。

 

IMGP9336.jpg

 

ぱっと見ただけでは、すぐに何かわからないような微妙な形ですが、

これは『落花生』です。

 

今までのモレッティと同じく全てイタリアン硝子で、

職人の手で製作してもらっています。

(網目の微妙な凹凸もすべて硝子で表してあります)

 

すでにこの帯留めの時点で個性がありますので、

シンプルな綟り織の帯と合わせてみました。

 

L1230023.jpg

モレッティ/落花生と上品綟』

 

三分紐も通していないので、なんともですが、

上手く行ったんじゃないかと、個人的には納得しています。

 

ただ、落花生好きな人に勧めればイイのか?

変わったものが好きな人に勧めればイイのか?

分かりませんが、個性的なモノが好きな方に・・・。

 

 

 

 

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2012年07月06日

綟りの角帯。

 

自分の作る帯がどれだけ結びやすいのか、を確かめるためと、

趣味であまり世間に角帯を作る。

 

というところから製作し始めた、角帯。

 

今回は、綟りの帯を使って作ってみました。

 

『仙福屋の角帯/綟り編』

IMGP8326.jpg

『上:紗楽、下:総紗縫(大場松魚の世界)』

 

 

IMGP8321.jpg

『上:総紗縫/作楽、下:総紗縫』

 

IMGP8316.jpg

『上:上品綟、下:総紗縫』

 

と、自分では全部結びたいのですが、あまり持っていない、

三枚の写真の一番下の下。白地の帯を結ぼうと思っています。

 

自分ところの織った帯がどのように結びやすくて、どのように見えるか、

というのも、もちろん興味がありますが、スタッフがこの帯を見て、

自分でお金を出して買って、この角帯を結びたい、と行ってくれるのが、

とても嬉しいことです。

 

モノづくりしているメーカーとして、

自分たちが作ったものを自分で使いたい!と思うことは、

当たり前だと思っていますが、意外にそうでもなかったりするのが、

悲しいですがこの業界です。

 

やはり自分が使って周りに自慢したい、とか、

自分の周りの人に結んで欲しい。

という感情はモノづくりする上で、とても大事だと思います。

 

 

 

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