となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「名古屋帯」と一致するもの

2016年12月21日

不思議な魅力を持つ猫つなぎでモノづくり。


今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。

帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。


IMG_9420.jpgのサムネイル画像

ここから型を起こして、その間に配色を決めたり、白生地を選択・・・。
それらが合わさって、帯揚げとなります。

先日も紹介していまいしたが帯の意匠はこちら
『猫つなぎ』
 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/10/post-2436.html

帯の意匠は、違う織物へ変更して作ることもあります。
たとえば、紹巴織バージョンは袷の着物用で制作、そこからもっとシンプルにして、
夏中心の総紗縫に変更するなど・・・。

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(不思議な魅力の猫つなぎ)

この『猫つなぎ』は、同じ柄に見えないほど修正しましたが、最初の紹巴織から始まって
②紬や③総紗縫と、織組織を3種類も作った珍しいデザインです。

そして、今回の帯揚げ・・・(合わせて4種類、凄いなぁ・・・)。

となみ織物が新しく意匠を作っていない訳ではなく(笑)、過去のモノでも、
なぜか作りたくなってしまう、意匠というのは、たまにあります。

また、他スタッフが制作した自分の好きな意匠を織物を変えて、
自分の意思を入れて再度、作り変える(ただこの場合は大きく手を入れることが多い)。

と新しいモノづくりとはちょっと違いますが、今までとなみ織物が何万と制作してきた柄です、
今一から作るよりも、いいモノ作りができるのであれば、今後も並行して作りたいです。

個人的にはこの帯揚げ作りにハマっています。
型を使う意味では同じの襦袢制作も同様、来年は名古屋帯作りととも、面白いモノが皆さんに
紹介できると思いますよ〜。

もちろん、となみ織物としては、新しいモノづくり、袋帯中心ですので、
少しそれとは異なる動きになると思いますが、それはいつものこと、ご心配なく(笑)。

2016年11月26日

CandyCircus3のお腹『作品』

明日からの『打ち合わせ中心』出張に備え、モノづくりはこの数日間、少々滞り、それ以外の仕事、撮影や会議、資料作りなどを中心に行っていました。


『撮影』はカメラ好きなので、ストレス無く、(そんなこと、しなくても良いのに 笑)敢えて課題を課しながらでも、楽しめるものの、それ以外は、特に資料作りなんかは困難に困難を極めています(苦笑)。


何か頭の中にあるものを喋って、自分の思った通りに伝えることや、メールや紙にでも、文字、絵、何でも良いので書いて、伝える。いやー、なかなか難しいですね。

帯だったら、(絶不調なとき以外であれば)頭の中にある形にするのはそう難しくないのに、う~ん・・・。と呟きながら、ちゃんとすることはした数日間です。


そんな真っ只中、届けて頂いたのが、


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CandyCircus3の『蝶々』柄、お腹部分の元になった作品。


それをしばらく見て、お腹だけでなくて、お太鼓に持ってきたいなぁ。そんな帯には、今作っている名古屋帯の織組織がイイかなぁ〜。それか紗にしようかなぁ。このまま利用して、半巾もおもしろかも??

と今ある問題をちょっと横に置いて、帯を想像しているだけで、少し気が楽になりました(笑)。
やっぱり、わたしには帯作りが向いているのかもしれませんね〜。

2日間ですが、明日から行ってきます〜。

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2016年11月18日

唐長さん打ち合わせ。今月その2 2017〜の打ち合わせも

今月は2回目となる12代目との打ち合わせ。

机の挟んで瓢箪や雀形、南蛮七宝などの唐紙や帯を目の前にしながら、話すべき点が数多くフワフワと出てきて、それを一つずつ片付けていきながら、最後にわーっと一気に集約する。そんな濃い2時間です。


世間話の雑談が、いつの間にか今後の重要なモノづくりの話になり、少し俯瞰してみた戦略的な仕事の話が、気付いたら趣味の話にもなりながら、結局そこにいる全員が見ている部分は、本物を来られた方に伝えること、そこに向いています。


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例えば今回は、名古屋帯で登場する予定の『雀形七宝』を帯と唐紙、同じ空間に展示したいため、唐紙制作をして頂くことになりました。ただ単に文様がある、それを帯にした、のではなくて。大きさも色も雰囲気も様々あるこの雀形七宝、その中から着姿に映える大きさ、雰囲気、帯であれば織組織、それが様々な雀形の唐紙を見て、感じて頂きたい、このコラボだからできる帯、それが伝わるようになれば、と考えています。

知れば知るほど、世界にハマりこんでいきますが、
それを『柄だけ』の上辺でなく、織物の組織から活きてくるように、
今までも意識しているのですが、知れば知るほどやりたいことが山ほど出てきます。

ちなみに、雀形七宝は帯にするとこんな雰囲気になります。
(着物の上から身体にあててみた状態です)

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2016年11月04日

修学院・唐長工房へ。

修学院の12代目工房へ行きました。
しばらく見てもらっていなかったモノや試作を交えて、秘密のモノづくり&企画会議中です(笑)。


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『経箔/名古屋帯』

自分ではほんの僅かに理解し始めたかもしれない、と勝手に思っていた唐長文様のこと、
今日の打ち合わせの間だけでも、『ホントにまだまだだなぁ。』と深みを感じながら、
圧倒されてしまいました。

唐長文様を帯にする場合、唐紙を見せて頂いて(場合によってはお借りして)、
そこから新たに、帯としての図案→意匠図→試し織→帯にしていきます。

その一つ一つの工程、どこを取っても、唐紙の空気感を織りにするコダワリと、
そのままモノづくりした場合、帯地としてどうなのか?の間にスッポリと挟まってしまって、
しばらく作業は進まず、悩むことは多いです。


そこから進めるために、たとえば、『あー、もうこれでいいわ!』と自分の中で納得してしまおう。
と諦めそうになりますが、そんな時は一旦一呼吸おいて、できれば、次の日くらいに『あかんあかん。』
またやり直そう〜、となります。そんなこと、よくあります(苦笑)。

減ってはきましたが、そうなってしまうことが今でも時々ありましたが(だから勘違い?)、
今日の様に、面と向かって唐長さんの話を聞かせてもらうと、ここに関わっている有り難さがわかって、
次のモノ作りへのモチベーションが頂けます。

そんなことをしながら、会社としては何十年、個人としても20年近く唐長さんに学ばせてもらったこと、
驚くほど、本当に沢山あります。

また、この秘密会議の行く先、楽しみにしていて下さい。

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2016年10月29日

『CandyCircus4』 マンゴスチン

舟田潤子氏とのコラボシリーズ『CandyCircus』。
今、制作中なのは4柄目。今までも十分個性的な意匠が多い中、今回も面白い帯になりそうです。


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『CandyCircus/マンゴスチン』(試験織ver2)』

新しい試みとして、今回は紹巴織に紬糸を入れること。
それ自体は他の柄でやったことはありますが、今度は舟田さんの色を保ちながら、
紬の節も上手く利用したい、そんな試み。

柄を出すために、
糸の通す順番、場所を考え意匠図を作り、紬糸を通すと、
節が立ち色が濁るところを、糸本数でカバー、
(織物の限界はあっても)できるだけ地色を最大限『白く』したい。

意匠図(設計図)を作る際、漠然としたイメージだけ取り掛かるのではなくて、
自分がイメージすることを、ちゃんと言葉&文字にして、モノづくりに誤解が生じないよう、
気をつけること、今までやってなかったことを明確にして、取り組みました。

どっからどう見ても、何かの打ち合わせに見えて、
帯づくり、という感じは全くしない、制作現場でしたが(笑)。

紋は終わり、今は最後の詰めの配色段階ですが、困ったことに悩んでいるのは、
そもそも、『この帯を袋帯にするのか?名古屋帯にするのか?』の部分です。

先日制作した紬糸を通した紹巴織の八寸名古屋帯(『Henna』)が、
いい具合に織り上がっていますので、余計に悩むところです。
(本来、はるか手前で決めておかなくては行けない所なのですが・・・ 苦笑)

このCandyCircusシリーズ、帯だけでも、3柄(水花、舟、蝶々)の袋帯。
しぼ織(アネモネ)名古屋帯。
この後に、もう数柄名古屋帯を加えても・・・。

CandyCircus3 蝶々

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 →『Candycircus3完成

CandyCircus2 舟

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 →『Candycircus2 仕上げ最終。

CandyCircus1水花

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2016年05月24日

雀形七宝、初披露

先日FB上でとても評判が良かった名古屋帯『唐長文様/雀形七宝』。社内で着物に合わせて色々とイメージを膨らませていましたが、やはり実際に身体に帯を巻いてもらうのが、一番です。

合わせるモノは、『南蛮七宝文様/夏・藍大島紬』。これもまた最近上がってきた、面白い曰くつきの着物(苦笑)。

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『南蛮七宝文様/夏・藍大島紬 ✕ 雀形七宝(名古屋帯)』(七宝の中に雀が・・・)

名古屋帯は袋帯と違い、裏地を必要としない分、コスト的には下げれますから、柄や色を思い切って遊ぶことが(袋でもやってましたが・・・ 笑)し易い形態です。となみの生産数量からすると、名古屋帯はほんの僅かしかなく、織る際は筬の巾が違う(八寸二分or九寸)ので、今ある全ての織組織ですぐに、袋帯→名古屋へと移行できるわけではありませんし、袋帯の裏地も含めた世界観もとっても楽しいモノづくりです。

ただ、こんな感じの名古屋帯の世界をもっと広げることで、ここから『となみ帯/織物』に触れて頂ける機会が大幅に増えるのかな?と、この帯の評判を見たり聞いたり、実際に目にすると、そう思いました。数柄待機していますので、少しずつ進めていきますね。

2016年04月21日

上がりが楽しみな・・・夏しぼ。

 

今までとは流れを変えて作っている帯です。
 

織物のベースとなる織組織自体はイジっていませんが、イジった?と周りが感じるほど、糸使いや地紋に変化を付けています。そのため、今までだったら、『こんな感じでできあがるんじゃないか?』とイメージできますが、今回のモノづくりはぼんやりと霧がかかった状態です。名古屋帯にした方がイイような気もするし、裏地を上手く利用した袋帯にした方が・・・と、まだ気持ちは揺れています。

 

それでも、生地自体の完成度は試験を取る度に上がっていますし、着実に完成へ進んでいます。
(こう書いた途端、この下の目出しの後、大きく失敗しましたが・・・苦笑)

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『試験織3 CandyCircus4』

 

見切り発車に近い形で、この織物を使って3柄、新しいモノづくりを進めています。
一つは横段柄。意匠自体は今までも何度か製作していて、見慣れたといえば見慣れた柄です。現在は試験織でのチェックが終了して、配色の最終段階です。3つの柄の中では遊びは少ないものの、この織物の指標となってくれそうな帯になりそうです。

あと二柄は、ドンと思い切った意匠です。『Candy Circus』シリーズの4柄目となりますが、しぼ織全体としても、今までに見たことのない、またはやったことのない意匠・しぼの使い方の帯ができそうです(だからこの帯が一番霧がかかっています・・・。 笑)。

完成して、結んだイメージは可愛い、思いのほか着物や小物とのコーディネートし易い帯、だけれども未知な部分がめちゃくちゃ多い、そんなモノづくりを今は色々な出来事と並行しながら楽しんでいます。

 

今日は、今から出張へ行ってきます〜!

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2016年04月13日

注目されて嬉しい名古屋帯

 

Facebook上で、物凄く沢山の『いいね!』ほどではないのに、メールや電話、直接のご連絡を頂くことが多いのが、この組み合わせ。

 

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海路八寸名古屋✕南蛮七宝文様/白大島紬(割込み)

 

この帯は八寸名古屋の『神坂雪佳の世界/海路図』(となみ織物には珍しく八寸)、着物;南蛮七宝文様/割込み白大島(限定)。こちらの着物は8反のみの製作(この色は4反のみ)のレアな大島紬です。

 

個人的な好みはシンプルな着物に、柄の込んだ帯。

ただ、帯はシンプルなモノだけに、配色を変わるだけで、大きく雰囲気が変わります。これが非常に楽しく勉強になるので、ちょっとハマっています。特に、この海路シリーズは、これからも追っかけて行きたいものですので、今回Facebookから注目されたのは、とても嬉しいですね〜。

 

 

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八寸含めて名古屋帯も今後力を入れて製作してきます。

 

 

【海路】
現在三色で八寸名古屋帯を仙福屋で取り扱っています。

 

海路八寸名古屋
 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2148

 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2157

2016年04月06日

生地作り。

 

途中の図案や仕上げ段階の意匠図(紋)を待つ間、次は『これやってみよう。』と、少しだけ新しい試みを色々としています。
試みが全てが思い通りに行くわけではないので、また思いついたこと全てを試すわけにも行きませんが、自分の中で上手く行きそう、やってみたい、そう思ったことに関しては試験を進めます。

今日紹介するのは、それなのに『今のところは』失敗に終わった風通の帯です(苦笑 ややこしい)。

 

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『右側が今回の試験。
左側(無地っぽく見える方)は地紋の見本

 

この試験織の経糸は、麹塵。そこに緯糸(横糸)として太めの紬糸を打っています。ここで入れた紬糸は通常の絹糸よりも倍近く太く、ただでさえ打込んでいる(目が細かい)この織物ではこれ以上織れません。この試験でも精一杯、織り手さんに織ってもらったものです。おそらく紬糸を細くすればなんとかなりそうですが、今進めたい帯の風合いがつくれませんので、このやり方では難しいため、今は方向転換を考えています。

 

もし、そのやり方が上手く行けば、ここにもう一色余分に使うことでき、さらに風合いも作ることができそうです。
もう何度か試験は必要ですが、ここで上手く行けば八寸名古屋帯(唐長文様)が進められそうです。以前から作りたかったモノづくりですので、継続して続けていきます。

 

 

2015年12月21日

名古屋帯。来年への備忘録。

 

これから本格的に作るシリーズの一部は名古屋帯の割合が高いモノも視野に入れています。その土台として、今までの織組織/名古屋帯を使って仕立も含め、細部のチェックを行っています。試験の要素が強いので、柄の一つにはやっぱり南蛮七宝文様が入っています。

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【南蛮七宝文様/九寸名古屋帯/紹巴紬】

 

試験と言っても、中心は単純に結ぶこと。結びにくいや重量面に問題があった場合、もしもベテランに結んで頂くすると結ぶ技術や経験でカバーされ、たいへん有難いですが、試験なので困ります。そのため、結び心地、生地具合、仕立ての可否を確かめるため、着物は着慣れているけど、どちらかと言えば名古屋帯が得意でない方にお願いしています。帯留めを入れてみたり、結び心地とはあまり関係のないことも、様々。(ちなみに、この帯留めは漆を重ねって作った檸檬です。素朴さがいい味を出していました。)

 

この試験が終わると、解いた(仕立て済み)帯の雰囲気を見ながら、その場聞いた意見、見た雰囲気・感覚を交えて、これから作る意匠・紋づくりを行っていきます。ただ、今から手を付けてしまうと、確実に年を跨ぐ ⇒ 記憶が薄れる ⇒ 勝手に改変 ⇒ 当初意図とズレる ⇒結果、いい方向に行くことが少ない。と今まではそうでしたので、ここで一旦止めたいと思います。多少、生々しさは薄れますが、できる限り多くの事を記録(写真を中心にメモ)で残しておきます。

 

また、実際に紋づくりを行わなくても、製作予定の図案を検討することができますので、設計部分の余計なことを考えず、集中して、できるモノづくりを進めていきたいと思います。年末は静かに籠もりたいなぁと、でも余計なことしそうだなぁと、まだまだそこまで日はありますが、今から年明けを楽しみにしています(笑)。

 

2015年06月24日

色んな意味で涼感をくれる帯。

今日はショールーム(となみ丸)でこの帯を眺めていました。

モノづくりをする前にキッカケとして、(イメージで)こんな素敵着姿になる帯を作りたい。
さらに、少しでも今までより結び易く、使い易い帯を。と考えます。

こういった意図がちゃんとお客さんに伝わればいいな。
と作り手としては思っています。

 

この帯、ある程度おなじみのバームクーヘン柄は、織組織自体が『総紗裏』という、
だいぶ変わった織り方です。

 

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透け感が角度によって変わり、色が浮いたり沈んだりと不思議な透け感があるため、
このバームクーヘンの大きな間と合わさって、柔らかな涼感を着姿に取り入れてもらえれば、
いいな、そんな気持ちで作りました。

 

(オールシーズン帯ながら)今はショールームでこの写真の様に陳列していて、
ここにいるスタッフ全員に目からの涼を与えてくれる、この夏に無くてはならないアイテム
(この表現が正しいと思います。。)になってくれています(笑)。

 

でも、名古屋帯ですので実際に結んだ姿も想像してみてくださいね。

2015年06月11日

色々出てくる名古屋帯。

 

名古屋帯の要望を頂いたので、(九寸と八寸帯)帯の山に囲まれながら、帯を探していました。
(となみ織物の名古屋帯というと)どこで聞いても、あまり印象のない様な返答が返って来ますが、
相当むかしから製作しています。

 

もちろん比べ物にならないほどメインは袋帯ではありますが、袋帯と比較して、
小回りが効くので、ある着物屋さんのオリジナル柄を作ってみたりと、結構面白いことを
している帯でもあります。

 

そんな帯たちに囲まれて、仕事をしていましたが、『そうそう、あったあった。』と
そんな昔ではないのに、作ったことを忘れていた帯も出てきます。

 

たとえば、このベースは総紗縫の機で織ったサイコロの帯。

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『さいころ/総紗縫名古屋』

 

 

実はこの帯が『総紗縫/黒』の元になっていたりします・・・。
たぶん、社内は誰も知らないかも。。。

 

図案・紋を作り、試験を取ってと、袋帯を作るのと、どこも変わることはないのですが、
それでも、少し遊びながら、生地に実験をしながら作ることができます。

 

自分のしなくては行けないモノづくりは沢山あるので、今はここには力が入れれない。。。
といった状態の時に、関わると、面白いものができることがあります。

 

他にも、かなりシンプル紬の名古屋帯があります。

経糸の関係で織ったモノで、数も揃っていませんが、一つ一つの帯はおしゃれです。
こういうモノは仙福屋に並べても良いかなぁ、と現在画策中です。

取り敢えず、秋単衣が欲しくなる、そんな時期には、仙福屋Labo
となみ丸に並べていこうと思っています。

 

さいころ帯は一年に一人、好きかも?と言っていただければ嬉しい帯です。

 

 

2015年05月23日

雪佳本袋。その一

神坂雪佳の世界より

雪佳が渡欧した際に見ていた海を図案化した『海路』。
今まで八寸名古屋帯で製作したり、紹巴織や雲龍錦で袋帯を製織していました。

 

今度は『本袋』で挑戦したいと思っています。
現在、手元にあるのは雪佳の図案のみですが、イメージは出来ていますので、
このモノづくりは停滞せず進めれることができるはずです。
(そうでないと、経錦に入れない・・・(苦笑))

 

今日の夜にFacebookにもUPされると思いますが、たとえばこの柄。

 

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『海路図/神坂雪佳の世界(雲龍錦)』

 

今のところ、4柄ほどピックアップしています。
できる限り、レトロさを残しつつ、結び易さ、軽さ、耐久性の進歩というか
今現代の織物の良さは取り入れて、製作したいと考えています。

 

この絶妙の空間と配色バランスは図案のまま、帯に濃縮できれば面白くなりそうです。

 

相変わらず法則通り、進みたい方向からは外れています。
良いモノができれば、いいかな(笑)。

2015年05月20日

名古屋帯のみせかた その1

 

今日のFacebookに上がる予定のコーディネートです。

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『南蛮七宝文様✕アリス名古屋帯』

 

南蛮七宝文様の大島紬、最新作の割込絣が(意外と)何でも合わせ易いです。
それを見てもらおうと、
アリス帯(名古屋帯バージョン)と合わせてみました。
写真の通り、問題なくコーディネートできます。

帯締めなどの小物は、ビタミンカラー等の色を入れてみても面白いかな?
と思っています。

 

続いては、
この帯の撮影時について。

名古屋帯は仕立てる前、『九寸巾』です(仕立後は袋帯と同じ様になります)。
通常の帯巾は、仕立て前も後も『八寸二分』。

ですので、仕立て前は3cmだけ九寸の方が、幅が広くなります。

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(仕立てする際にこの様に中へ織り込みます)

 

そのため、名古屋帯を着物に合わせ、正面から写真を撮ると
 3cmの違いで、どこか締まらない間延びした感じがしてしまいます。

 

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やっぱりお太鼓は一番上の写真八寸二分の巾がしっくりときます。

 

話がここで終わると締まりませね(笑)。

 

今まで(撮影を)避けていた名古屋帯。
面白い柄が沢山ありますので、今後は実際に結ばれた様子をイメージし易いように
撮り方を工夫したいです。

 

 

 

2015年05月11日

久々にテナントについて。

 

最近は昼2時〜4時までWebチームはびっしりと集中する時間を取って、
様々な作業をしています。基本的に自分の仕事をする時間なので、静か。
そこにMacを持ち込んで仕事をしていると、とにかく捗る。ここ数週間の
ことですが、たまりに溜まった図案や資料の3分の1くらいが無事処理で
きました。それが帯になることもあり、反対に全く陽の目を見ず、文字通り処分
されるモノもありますが、物理的ではない断捨離も定期的に必要ですね。
(外見上変わらないMacを見てても、なんとなしスッキリした様な・・・。)

 

 

さてさて、今日はその京都の本社向かいテナントについて、です。

今はこんなものを陳列しています。

経糸がまだ織れる時に少しずつ製織して貯めた、名古屋帯です。
披露できるくらいの柄数になりました。

たまに、端の方に写ったりもしていたので、ご存知の柄もあると思いますが、
基本的にここ京都に置いておいて、お客さんが来られた時に見ていただく、
そんな限定名古屋にしたいと思っています。

 

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通常、『帯の陳列』というと撞木に掛ける。
ですが、ここのスペースはできる限り、撞木を置きたくない。
(もし置いてしまうと帯ばかり掛けたくなってしまいキリが無くなる(笑)ので、
 掛ける場合は帯以外を。)

丸巻きで並べるよりは、いいのかな?
と思って現状、この様な陳列にしています。

 

この梯子上の棚は出張組が『帯揚げを掛けるものが欲しい』と言っていて、探したモノです。
がやっぱり帯を掛けてしまいました(笑)。

 

これら名古屋帯に合わせる着物。
置くとしたら、無地もしくは南蛮七宝だけ位が面白いかもしれませんね。

 

本社の帯展示場の何千本というのも、帯のパワーを感じるのに最適です。
ただ、選った小物や帯の中にいるのも、居心地がよいとおもいます。

まずは、自分が落ち着けてモノづくりが出来そうなスペース作り、していきたいです。

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2015年04月20日

明日、見に来られる方のために。

 

会社向かいのショールームを明日の『南蛮七宝』用に陳列替えをしていました。
ショールームと言いつつも、陳列練習のため、少しずつ商品だけでなく、棚板の位置、
商品台、商品並びを変えています。

 

毎回スタッフの打ち合わせで話し合っているのが、商品を良く見せる陳列ではなく、
一つ一つが立つ様な陳列です。言うの簡単、でも難しい。


有り難いことに、ここは売るためには?と考えなくて良いスペースです。
一つの商品に対して、どう売るか?との会議はせずに、作る時に考えていた利点以外に、
使っているうちに気づく利点ってなんだろう?そんな打ち合せをしています。

 

ですので、その話し合いが活きるような一つ一つの商品が立ち、
その陳列が心地いいと感じるまで試していきたいです。

 

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『南蛮七宝文様/御召、八寸名古屋帯←着る時は合わせなくても』

 

店の主張が前に出過ぎてゴチャゴチャな陳列、
スッキリし過ぎて何を見て欲しいか、伝わらない陳列。

そうではなくて、毎日試行錯誤して、考え続けていれば、
スペースも限られた場所なので、少しずつ良くなっていくと思います。

 

明日の皆さんの反応がとても楽しみです。

 

 

 

2015年03月26日

いつもよりも肩の力を抜いて

 

こてこて料理ばかりは飽きもきて、たまにはサラダのみがイイ。
そういう気分の日もあります。

 

着姿も同じです。
たまには、あっさり着姿や、シンプル過ぎるモノづくり、そうしたくなる時もあります。

 

こてこてに混み合った帯。

自分のモノづくりの中では、そんなに作らなくても、気持ちは非常にわかります。

そういう時、作ったのがこんな帯です。

 

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『仙福屋の八寸名古屋帯/格子』

 

縦と横の線が交わっただけの格子柄。

 

織物ですので、らしさは残しつつ、柔らかな線を出しました。
意匠面では、ほぼそこだけに集中です。

 

配色は1〜2色とのにらめっこ。
ここを外すと、となみが作る意味がなくなってしまいます。

 

そして筬での打ち込みは、いつもよりも少なく。ただ、組織点が崩れてしまわないように、
紋意匠でカッチリと組むように、工夫してつくっていました。

 

結果的に、非常に手持ちも生地感も非常に薄く仕上がりました。
(芯を入れたとしても、びっくりするほどです。)

 

そんなこともあって『紗』組織ではありませんが、ほぼオールシーズン結んでいただけます。
(この色味なので、12,1,2月は避ける方も。それでも、9ヶ月間OKの帯ですね。)

 

この織物は経が空いた時に織りますので、いつ織れるか?
わかりませんが、たまにはこういう帯もとなみ社内で織っています。

 

季節やTPOによってカラフルな帯締めが活躍しそうです。

シリーズ名には、『仙福屋』とある様に、小物屋として立場からのモノづくりでもあります。

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2015年02月28日

想像する、青と藍。

南蛮七宝文様/大島紬、泥藍。

語るところ満載の着物の上に、バームクーヘン名古屋帯を置いてみました。

 

DSC04624.jpg|
『南蛮七宝文様/大島紬・泥藍×バームクーヘン(となみブルー)/作楽名古屋帯』

両方とも好きで、思い入れのある柄なので、このコーディネートがどうだ、
とか、どちらが青いか?そんなことは
横においておき、しばらく見ていました。

 

はじめ、このバームクーヘンでは負けそう?そんな感じもしました。
ただ今回は、本仕立てした名古屋帯です。
(キズ
物が最近になって一本出たので、手元用に仕立てました。

 

袋も名古屋も、その帯に合った芯(それが綿であれ、カラーであっても)入れば、
まるで木彫の置物に魂が入ったかのように、風合いや変わるはずの無い色目までも、
かわります(もちろん良い方向に)。

その魂がプラスされた帯を置いたので、当初の心配と違って、
イイ感じに収まってくれたと思います。

 

 

柄を見ると両方これ以上、引き算のしようが無いです。


帯締め入れてみようとも試みましたが、『何色のどんな組を入れて写真を撮ろう?』
と考えてみると、相当悩みそうだったので、このまま、想像する余地を沢山残すことにして、
UPしてみました。

とっても好きな組み合わせです。

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2015年02月24日

モノづくり中は、間違いなく無地も柄に入ります。

 

と書くと文字的にも少し違和感を感じます。

ただ、帯製作中はタイトル通り、無地も柄として扱っています。

 

どういうことか?というと、白紙の上に絵を描くと、
特に西洋的な感覚からすると、多くの場合、白は何も無いと見なします。

反対に、伝統的な日本人感覚は、その白にも柄や模様と同じ意味を持たせる、
ことが多くあります。琳派でもその傾向は強く有ります。

 

それに似た感覚、実利的な意味も含めて、帯を始めとする織物も同じです。
無地=『そこに何も無い、何も描かれていない場所』ではありません。

 

意匠図では、当然無地にも糸が通る訳であり、そこには無かったモノとして、
扱わないわけには行きませんし、場合によっては柄が入る部分よりも手を入れる
こともあります。それによって、織物全体の雰囲気、良否を左右してしまうことも。

 

例えば、先日上がってきた、この紬の帯。

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『伊藤若冲の世界より』


色を変えながら、経糸の綴じも変えて、柄になるように。
でも無地という役割を果たしてくれています。

 

この辺り、丁寧に教えてもらうわけでもないので、モノづくりしていく上で、感じ取って
行くしかありませんが、普通の学生生活を送っていて、白が何も無いのではなくて、
『あるんやけど、無地』、その切替は難しいです。

頭では理解してそうで、まだ紙の白がどこかに残っているので、柄の部分のモノづくりに注力
し過ぎて、無地がおざなりになりがちです。無地になったら安心してしまう、そんな感覚。

非常によく分かりますが、そのまま帯になってしまうと、どこかで見たことある?
似た感じの帯なかった?と言われる可能性が高いです。

 

最近、作った帯で上手く行った地紋(あくまで、自分のモノづくりとしてです。。。)。

ここにUPする前、画像修正のノイズを消す、それをイジるだけで消えてしまう、地紋です。

それなのに、この細かなアラレがあるお陰で、紹巴織の良さでもあって、欠点にもなる細密さを
少し弱め、僅かですが遊びや温かみを(帯地は寒色ですが)付けることが出来ました。

 

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木花菱

 

織り初めの時には、経糸の都合で非常に難しく試行錯誤していた引粉地紋。


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senpukuyaの八寸名古屋帯/雪輪

 

 

数千本の経糸が複雑絡み合って作られる地紋のため、上に乗せる柄が繰り返しシンプルな柄でも、
奥行きを感じさせ、『何かありそう?』な深みを作ってくれています。

 

帯を結ぶ方には、あまりにも自然すぎて、なかなか気付いてもらえない部分ではあります。

ただ、着物を着られる際に、そこをいつもより少し注意をはらうだけで、今まで何も無かったと
思っていた無地が活きてきて、コーディネートにも少し影響があるかもしれません。

 

モノづくりをある程度してきて、突然ムジが気になり出してから、作るものが変わってきた
立場からして、試してみる価値はあるはずです。ぜひ!

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2015年01月29日

青のバームクーヘン/作楽名古屋帯。

 

DSC00679.jpg
作楽/青のバームクーヘン/名古屋帯』

 

このバームクーヘン帯の仕立てが上がってきました(名古屋帯の開き仕立て)。

仕立て前も帯の柄、色、雰囲気はとても好きで、気になる帯でした。

そこに帯芯を入れ、仕立てることで最後に龍の目を入れたように、帯地全体の風合いが変わり、
芯の重量分は増えているはずなのに、手に持つ帯の重さも軽く感じました。

 

DSC04113.jpg

 

紹巴織で通常の機から名古屋帯を織るために九寸幅へと筬等を変え織る以外は、
本当にシンプルな仕様の帯です。

ただ、どれだけ手間や時間、コストを掛けても好きな雰囲気の帯というのは、
いつも目標としていますが、残念ながら狙ってもできません。

そんなこともあって、時々好きな雰囲気の帯を見ていると、帯づくりって難しい。
とつくづく思います。

 

 

 

これを書いていて、この柄は無地部分が多いからキズにならない様に、
織るのは本当に難しいですよ。とのツッコミも来ました(笑)。

 

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