となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「唐長」と一致するもの

2016年12月26日

襦袢のものづくり・・・。とくに色目

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。
さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。
(生地の詳細は後日に・・・)


うちが独自に襦袢制作する場合、となみが帯で行うこだわりをそのまま通して、モノづくりします。
帯の場合は、糸の準備から染め、図案、意匠図、織り段階まで、行います。

襦袢の場合には、生地は仕入れることも、依頼して織ってもらうこともありますが、
となみ織物の名前が入るものに関しては、意味のあるモノづくりを行うことを心がけます。
襦袢生地でいえば、なんでその生地なのか?を制作スタッフはちゃんと応えることができます。
基本、染めも同じ。

そんなことをモノづくりの大事な所に据えていますので、このモノづくり当初言われたことは
『(染める場合)そこまで色合わせますか?』とか、『(生地の場合)これは襦袢地なので・・・。』
ということでした。

だんだんとこだわり続けていると、周りもそれに慣れてくれるのか、
今では、多大な理解を頂いています(と思います 苦笑)。

ただ、今日入ってきた襦袢は、今までのモノづくりの中でも強烈に難しい配色です。

IMG_9608.jpg
唐長文様『陰牡丹唐草』

これ襦袢・・・?。
だれが見てもそう思わってしまう、柔らかな色目です。
地は淡い桜色に、その色に添える位の若葉色で文様が浮き出ています。
また、生地のしぼが作る僅かな陰影が、柔らかな色目を浮かべたり沈ませたりする、
襦袢です。

写真では色目が消えてしまうので、これは実際に見てもらうしかありませんね。
もう一色も現在染めていますが、それは対象的な感じ上がってきます。

来年に掛かっていくモノづくりでした。

色つながりで・・・
昨日下鴨神社で、ずいぶん季節外れの紅葉を見ました。
目が冬に慣れてしまっているので、紅葉のオレンジがとっても印象的でした。

R0360231.jpg

季節外れの色でも、モノづくりの参考に大きなってくれそうですね。

タグ: , , ,

2016年12月16日

自分たちにも返ってくる仕事・・・。

400年のイベント準備のため、唐長さん(12代目工房)へお邪魔してきました。『来るのは何回目だろう?』と考えてもスッと回数が出ないくらい、今年は沢山お邪魔しています。本当にありがとうございます。


DSC02916.jpg

イベントまでの期間、自分としては大きなテーマ、課題があります。それは『本物を作り出す、モノづくりをどう伝えるのか?伝えるために必要なモノは何か・・・?』を探すことです。唐紙だけでなくて、自分たちがいつも行う帯づくりもそう、普段当たり前の様にあって、そのことをどう伝えるのか?というのは、意識しなくてもできる呼吸のようで、改めてするのは非常に難しいです。

今回は唐長のモノづくりを通して、自社のことにも大きな気付きになるのではないか?と予想しています。そんなこともあり、となみスタッフは沢山巻き込んでいく予定をしています。簡単に上手く行くはずはなさそうですし、これから7年間ずっーと頭の中にある、仕事になってきそうです。

DSC00081.jpg

さて、唐長さんでは(お忙しいところの)午前中を最大使わせて頂き、打ち合わせを中心に、南蛮七宝文様の原板!を使って、目の前で12代目の技を見せて頂く機会もありました。(これに関しては撮影させてもらいましたので、イベントの際に使わせて頂く予定をしています。)

一緒に行った中には『初唐長体験』の人もあり、その方の反応を見せてもらいながら、また12代目の文様ストーリーを聞かせてもらいながら、濃い半日を過ごしました。このあたりは皆さんにちゃん、と伝えれるようにしていきますね。

自分が少し関わった所は、(撮影される方は、全然慣れない 苦笑)12代目との対談。
こういうことです。
 →唐長12代目✕となみ織物5代目対談を撮影(お話は、楽しかったです)。

等々、これから行っていくイベントの土台作りでした。
徐々に積み上げていきますね。

タグ: , ,

2016年12月09日

唐長文様『南蛮七宝』のビロード

『わかりにくい』かもしれない。
というよりイメージが湧かない、との意見を頂き、
職人さんに、ビロードが『どう大変なのかがわかるモノ』を織って頂きました(笑)。


ビロードというと、憧れの着物の一つ。
仕立てず、丸巻きの状態でも特徴的なこのビロード。

IMG_3506-2.jpg


昔ながらのやり方で織っている所は、ホンの僅か・・・。
そうじゃないのは、こういう感じで反物で見ると、大体わかります。

この織りを説明する際には『鉄線の様なモノを通して織り上げ、柄を強調さたい部分をカットする。
しかも手で一筋ごとに・・・。』的な説明をしています。

『絹の反物に鉄線ってなに?』と思われるかもしれませんので、写真を載せておくと、
鉄線部分はこんな感じです。

P2220074 (1).jpg

この鉄線を織り込むことで、経糸が鉄線の太さ分、余計に糸が取られます。
その鉄線を抜くと『輪っか』になります。→いわゆる輪奈織

鉄線を抜く前の輪っかを一筋ごとにカットすると・・・、

P2220073 (1).jpg

この様な感じで輪の先が花開いたようになります。

そして、全体を染料で染めると、このカットした部分が濃く見え、強調される、
ということになります。

通常の織物より、一手間どころか、二手間も三手間も掛けた織物です。

今まで、南蛮七宝文様で様々な織物、素材を試してきましたが、
これだけやっても、全然飽きず、余計に好きになる文様です。

タグ: , ,

2016年12月02日

400年への打ち合わせ。

来年の1月から、400年に向けた唐長展示会を行うための、打ち合わせ。
(敢えて、この12月まで発表を控えていました)

DSCF0138.jpg

このイベントの大きな目的に『本物を知って感じてもらう。』ということがあります。また最終的には数多くの方に来場いただき、できる限り多くの人に伝え、そしてファンになってもらいたい、想いがあります。

ただ、簡単に『本物』と言ってみても、唐長さんの修学院工房であれば伝えられることも、場所や空気感が変わると、伝えにくい、伝わりにくいこともあると思います。また、単に陳列して、実施するだけでは、お客さんに『良いもの見たな。』だけぐらいしか伝わらない(それも難しい?)。それだけでなく『本物』を感覚として伝えたいですので、おそらく繰り返し、こういうイベントを実施して、試行錯誤と修正を加え続けていかなければ、満足する形にならないと思っています。

そのための、今は打ち合わせです。協力するメンバーで案を出し合い、今なら出来ること、自分たちがやりたいこと、見せたいものを決めていく。現状は、今から自分たちが、皆さんにも楽しい、何かができるかもしれない。そんな漠然とした期待いっぱいのふわふわした状態です(もしかして一番楽しい時期かもしれませんね。 笑)。

そんなこともあって、来年に関しては、まずイベントをプレ開催をしていきます。
場所も色々、意外性も含めて試行錯誤します。

お客さんに関しては、今回は『唐長の世界』に興味を持たれていて、来場を希望して下さる方を対象とする予定をしています。現段階でファンの方には、今回でさらにハマってもらって。周囲の方々へ伝播して頂ければな、と思っています。そんなことを繰り返していって、7年後の400周年には大きな流れを作りたいです。

今のところ、想いも人数分あります。
それがまとまって、集約されて、進む。

漠然としたイメージではありますが、これから楽しみなイベントになりそうです。

2016年11月22日

牡丹唐草①。型の前段階と白生地。

長い目で言うと400週年に向けてのモノづくり、その一部を新たに始めています。


唐長さんの中にある650の柄から、12代目と先日選んだ3つの柄(牡丹唐草、枝桜、瓢箪唐草)。
それを今から帯や着物、小物の形にしていきます。

その一つ目、唐長文様『牡丹唐草』。


IMG_8961.jpg
(白生地と右は唐紙を元に制作した型を作るための前段階)


最初のイメージに引っ張られることもあり、帯から?着物から?小物から?と数ある選択肢の中から、
『これから始めよう。』と決めるのは、意外なほど大事なこと、です。

その意味から帯のイメージがまだ固まっていない段階で、始めると後々苦労しそうなので、
まずは一番ニュアンスを掴みやすい着物作りからスタートしています。
その後、帯かな・・・。

(昔から帯にしたかった柄なので、ホントは帯から・・・の気持ちがありますが)

型が上がってきて、どんな風に上がるのか?
その段階の打ち合わせを入念に終わりましたので、そちらは後祈るだけ・・・。

次に、写真にあるように生地と、配色です。

着物としてはもちろん、唐紙の雰囲気も残しつつ、上品で色は柔らかく、使いやすくて、
ここぞという時にも出てきそうな着物。

気持ち先行で、まだまだ最終の仕上がりまで時間掛かります。

それまでに、見本で染めること、その前に型を見ること。それを元に、配色と生地の地風で雰囲気を考え修正をしていきます。
『やった。出来た〜。』といえるまで、上記のイメージを何回も頭で唱えつつ、後は進めていくだけです。

楽しみです。

タグ: ,

2016年11月18日

唐長さん打ち合わせ。今月その2 2017〜の打ち合わせも

今月は2回目となる12代目との打ち合わせ。

机の挟んで瓢箪や雀形、南蛮七宝などの唐紙や帯を目の前にしながら、話すべき点が数多くフワフワと出てきて、それを一つずつ片付けていきながら、最後にわーっと一気に集約する。そんな濃い2時間です。


世間話の雑談が、いつの間にか今後の重要なモノづくりの話になり、少し俯瞰してみた戦略的な仕事の話が、気付いたら趣味の話にもなりながら、結局そこにいる全員が見ている部分は、本物を来られた方に伝えること、そこに向いています。


DSCF2090.jpg

例えば今回は、名古屋帯で登場する予定の『雀形七宝』を帯と唐紙、同じ空間に展示したいため、唐紙制作をして頂くことになりました。ただ単に文様がある、それを帯にした、のではなくて。大きさも色も雰囲気も様々あるこの雀形七宝、その中から着姿に映える大きさ、雰囲気、帯であれば織組織、それが様々な雀形の唐紙を見て、感じて頂きたい、このコラボだからできる帯、それが伝わるようになれば、と考えています。

知れば知るほど、世界にハマりこんでいきますが、
それを『柄だけ』の上辺でなく、織物の組織から活きてくるように、
今までも意識しているのですが、知れば知るほどやりたいことが山ほど出てきます。

ちなみに、雀形七宝は帯にするとこんな雰囲気になります。
(着物の上から身体にあててみた状態です)

R0230321-2.jpg

タグ: ,

2016年11月17日

堀川通のイチョウ並木

今年も恒例、会社近所の堀川通のイチョウです。

いつもと様子が違うのは、
現在、水道工事中ということで赤いコーンとイチョウがずらーっと並んでいます。


DSCF2142.jpg

『なんでイチョウが黄色くなかというと、元々葉の中ある緑と黄色の物質のバランスが崩れて、
本来強いはずの緑が薄くなって、黄色が表に出てくるんやで。』と、
こないだ聞いた知識を確認しに(笑)イチョウの中を散歩していました。

そして、ちゃんと、じっと、よくイチョウを見みると、
黄色で地を染め、上から緑を置いた反物の様に下から黄色が滲み出てきたかの様に
表に来ようとしています。

DSCF2132.jpg

そんな時考えることは、紹巴織で織るんだったら・・・とか、

そう言えば、麹塵染めをした糸も、元々色はあるけれども光の波長で見える色が・・・。
等々書いてしまうと『帯関係の話で、何かを例えてばっかりやな。』とまた言われてしまうので、
止めておきます(苦笑)。

そういえば、唐長さんのはんなりとした色づくりの話も、
何色かを混ぜて、色通しのバランスで表現すると言われていました。

自然の色は配色時には、いつも意識して取り入れる様にしていますが、
新しい知識を入れて見てみると、新しい表現が作れそうな気がしてきますね。

また、頑張ります〜。

タグ: , ,

2016年11月15日

オッティ退院

帯地を全面に使って作るクマ(オッティ)。
唐長さんところに居候?している『輪宝文オッティ』がお直しから、
退院してきました。


今月17日唐長さんに帰るまで、2日間ほどショールームにいはります。


DSC02721.jpg
(ちなみに、制作には表地一本丸々使っています)


となみ本社向かいのショールームでは、この超ビッグサイズが3つ(人?、匹?、頭?)
その他、中小サイズ、しゃねこ、うま、ひつじ、さる、と群れになっています(苦笑)。

干支は揃えたいと思っていますが、
そろそろ、『何屋さんですか?』と言われそうですね(笑)。

Pinterest『オッティ』
 →https://jp.pinterest.com/senpukuya5/オッティ/

タグ: ,

2016年11月14日

南蛮七宝文様の広巾ショールを男物として・・・

ショールにストールにスカーフに、コート以外の防寒用の何かを南蛮七宝で。
と相当ざっくりとした依頼をもらうことがあり、制作した大判のショール。

作りはじめから、1年以上経ちました。


最初から『こんなのが欲しかった』と、好評を頂いたこともあり、必要以上にこねくり回さず、
(いつもであれば、試行錯誤したりしますが)今のところ、モノづくりし始めた状態、
一番シンプルな形を保っています。

スクリーンショット 2016-11-10 17.08.23.png

もし、このショールをどこかの展示会に持っていた場合、
説明としては下記のような感じです。

文様は『南蛮七宝』。素材は絹100%。

特長は帯も隠れる大判。生地自体、透けるかか透けないか、ぐらいの薄手で織ったため、
単衣シーズンに、コート代わりとして。
生地表面には、縦シボをつけ、シワになりにくい。
また今の季節であれば、そのシボに空気を貯め込み、温かい。

4つ折りにすると、マフラー代わりにも・・・。

スクリーンショット 2016-11-10 17.11.23.png

先日、朝7時から24時くらいまで、文字通り一日中、着物を着ていました。
しかも、天気予報では寒い。

とあったので、試作&撮影用の一枚を(写真の薄グレーです)使ってみました。
一番最初の試作段階を使った感想や買って頂いたお客様からの反応は知っていても、
今回に関しては自分で使ってみるのは初めて。

最初は、一年経ったので改善点が見えてくるか?
一応、女性を念頭に作ったものなので、なにかその面で自分が使うと、
不都合がでるのか?
もしかして、そもそも似合わない?(笑)などなど、頭を過ることは沢山ありましたが、
使ってみた結果、相当自分も欲しくなりました(苦笑)。

引染めバージョンではなくて、浸け染で染めようかな・・・。
個人的には藍の濃い色でと。。。真剣に悩んでいます。

タグ: , ,

2016年11月08日

お太鼓トートを使っています。

帯を使った小物作りの場合。
できるだけ早い段階で、帯地が日常の生活の中に普通に溶け込んで『素敵』とか『わたしも持ちたいなぁ。』、『いいなぁ(憧れ)』になれるようにしたい、と思っています。


そんなことで、小さな第一歩。
自分でも『お太鼓トート』(色は茶)いつも持ち歩いています。
ちなみに、この色です(一応リンクを貼っておきますね)


DSCF0201 (2).jpg

このバッグは、見た目の形が非常にシンプルなので、あまり手が掛かっていないように(試作は大量・・・)言われます。が、元々イメージしていたモノから、色んなモノを削いで試作、削いで試作と作り続けて、今の形に落ち着きました。


形だけではなくて、持ち手も帯地から、合皮、化繊などの見本作りを通って、今の配色の革に(となみブルー)。サイズも1.5倍くらい(帯地に足す)から、半分まで試作作り。ポケットの数なども検討事項の都度、怪しい、分かりにくい部分は実際に試作。

最後の決め手、拠り所は、名前にもある『お太鼓』という言葉。
帯地を使うので、大事にすることは、やはりお太鼓。それが意匠の魅力を一番引き出すはず。それを基準にサイズ、使い勝手諸々を検討して、今に至ります。

(南蛮七宝はまだ良いですが・・・)相変わらず毎回勿体無い、と言われるのが、裁断部分。4m50cm前後の帯地から、お太鼓を切り出すように裁断します。ムダもいっぱい・・・。
でも、それが一番良いなら、それをするしかない。それもこのバッグ作りにも生きています。

今の使い方としては、メインのバッグにカメラなどの嵩張るもの。
このお太鼓トートに、Mac,iPad、書類等々という風に。『もう一つ、バッグ持つよりも、荷物減らしたら?』と言われていましたが、このバッグを持つに当たって、しばらく容れ物にまだ余裕があります(笑)。

タグ: , ,

2016年11月05日

この前の続き/南蛮七宝の上に(下に)来るもの。

唐長文様『南蛮七宝』のモノづくりとして、帯、着物、襦袢、小物があり、
帯・着物でも、どちらか一方を南蛮七宝にすると、もう一方をどうするか?


自分が着物を着るときも、(軽く悩んだり)考えるところです(笑)。
南蛮七宝が好きなので、着物も帯も襦袢も、羽織も草履もそれで行こう〜。
もちろん、そんなときもあります。

ちょっとそれは、やり過ぎ・・・。の声もあるし、じゃ次は一箇所くらいは遠慮して、
他の柄で。そんなときもあります。(もちろん、全くどこにも入らないことも。)

南蛮七宝を一箇所でもコーディネートに入れるのであれば(それが多くても少なくても)
できれば、着姿全体を唐長の文様の中で、解決させてしまうこと、できないかな?
と思っています。

DSCF0317.jpg

そんなことをして絶対に欲しい、ではなくて、これからのモノづくりのキッカケとしても、
面白いですし、同じ世界観の中で、完結させる。結構なチャレンジになります。

今まであれば、帯と同じモチーフの着物を帯着物のセットで、はありました。

そこを進化させてしまって、
同じ世界観で、できれば唐長さんの様な根っこがしっかりした意匠と考え方に基いて、
帯や着物、小物を制作していく。(大変でしょうが)かなり楽しそうです。

DSCF1060.jpg

つい先日上がってきた『光琳大波』帯バージョンを南蛮七宝文様の御召の上に
乗せたとき、少し感じた事が、昨日唐長さんのお話を聞いていて、より強く、
思ったところがあり、こんな風に書いて残しておきます。

さてさて、どうなるでしょうね(笑)。

タグ: , ,

2016年11月04日

修学院・唐長工房へ。

修学院の12代目工房へ行きました。
しばらく見てもらっていなかったモノや試作を交えて、秘密のモノづくり&企画会議中です(笑)。


DSCF0258.jpg
『経箔/名古屋帯』

自分ではほんの僅かに理解し始めたかもしれない、と勝手に思っていた唐長文様のこと、
今日の打ち合わせの間だけでも、『ホントにまだまだだなぁ。』と深みを感じながら、
圧倒されてしまいました。

唐長文様を帯にする場合、唐紙を見せて頂いて(場合によってはお借りして)、
そこから新たに、帯としての図案→意匠図→試し織→帯にしていきます。

その一つ一つの工程、どこを取っても、唐紙の空気感を織りにするコダワリと、
そのままモノづくりした場合、帯地としてどうなのか?の間にスッポリと挟まってしまって、
しばらく作業は進まず、悩むことは多いです。


そこから進めるために、たとえば、『あー、もうこれでいいわ!』と自分の中で納得してしまおう。
と諦めそうになりますが、そんな時は一旦一呼吸おいて、できれば、次の日くらいに『あかんあかん。』
またやり直そう〜、となります。そんなこと、よくあります(苦笑)。

減ってはきましたが、そうなってしまうことが今でも時々ありましたが(だから勘違い?)、
今日の様に、面と向かって唐長さんの話を聞かせてもらうと、ここに関わっている有り難さがわかって、
次のモノ作りへのモチベーションが頂けます。

そんなことをしながら、会社としては何十年、個人としても20年近く唐長さんに学ばせてもらったこと、
驚くほど、本当に沢山あります。

また、この秘密会議の行く先、楽しみにしていて下さい。

タグ: , ,

2016年10月31日

伝統産業×イノベーション  西陣の匠の技等を建築・インテリアに!プロジェクト第二弾 三井ホーム「禅の家」内覧会@相国寺門前町




『西陣織、清水焼、京漆、京銘竹、京唐紙、丹後ちりめん、京杣木等』をインテリアなどに採用。その中の『西陣織』として選ばれ、地袋(一番下の棚)部分の襖に帯地を使って頂きました。

意匠は、唐長文様『光琳大波』。
DSCF0058.jpg
『地袋の部分に帯地』

帯部分のちょうど真上に、唐長一二代目が制作された唐紙の『光琳大波』があって、
見ていて、ほっとする様な『イイ感じ』の空気を流れています。

去年の古川美術館で行われた『唐長の世界』と似た、同じ空間に配された、唐紙と帯。
思った以上に、コラボとしても、今回行われた形は良かったんじゃないかな、と思います。

そして、今回の帯の織組織は、『紹巴織』。

襖に貼る話を伺っていたので、帯地の裏側(織り糸が見える方)の綴じを最大限細かくし、貼りやすくしています。そのための新たに設計をしました。また、襖に貼ると、帯地の居場所は、お太鼓以上に平面部分ですので、陰影を意識した織りに。文様のシンプルさに気を付けながら、損なうこと無く、仕上がったと思います。また、本来はこのためだけに作った意匠図でしたが、意図は全くしなかったけれど、帯地としても面白そうなことも見つかりましたし、今後に色々と発展させていけそうです。

今回は正確を期するため、引用だらけになっています(笑)。
まずは報告まで・・・。

タグ: , ,

2016年10月28日

『作楽シリーズ/Henna』

新しい帯が出来ました。
この帯について、書くことが沢山あります。


DSCF0033 (1).jpg

まず一つ目、相当久々の新作の作楽シリーズ。
しばらくは、唐長・CandyCircus、着物、小物のモノづくりにほとんどの時間を振っていました。
今回は土台仕様から作るために、多くの時間を使い、長期間試行錯誤の上、制作しました。

この帯意匠のモチーフは『Henna(ヘナ)』。
このヘナという名前はインド、中近東に数千年前も昔からある、ヘナという植物を使って肌に紋様を書く、ヘナアートから来ています。婚礼や様々な儀式に行われて、描かれる意匠には幸せや吉祥、魔除けの効果をもたらすとされています。

このHennaの帯は、ヘナアートの作家さんに一からデザイン、それを元に制作したものです。
市松を構成する一つ一つの柄に意味があり、祈りがこもっています。

そして、織組織は紹巴織+紬の『紹巴紬』。通常の紹巴織の緯糸に紬を加えて製織。
さらに通常の絹糸も合わせる本数を変え(約1.3倍増)しなやかさを残しながら厚みを持たせています。

生地の想定としては、八寸名古屋として結んでもらうこと。


デザイン、紋を最大限シンプルにして、原料、質、織りは変えることなく、(裏地も要らない分)
価格はお手頃なところまで・・・。と思っています。


個人的にはしばらく、そんなモノづくりにも力を入れていきます。


※ちなみに、帯の前にこれと同じ図案を使い、貴久樹さんとのコラボで制作した小紋もあります。
(そこから今回は帯用として、柄のサイズ・配色に修正を加えて制作したもの。)

IMG_7434.jpg
『小紋(タッサーシルク使用)』

タグ: , ,

2016年10月17日

唐長さん尽くし。輪宝文の御召も

昨日一昨日とお客様が京都へ来られていました。
本社に来ていただくのが、メインイベントでしたが、その前は特別に、
工房見学等で色々と体験して頂きました。

その中の特別な一つに唐長さんの12代目の工房(修学院)へお邪魔させて
頂きました。さらに、今回は特別に唐紙の制作工程も目の前で見て頂き、
(しかも12代目自ら・・・)数名のお客さんにはミニ唐紙講習も・・・。


IMG_8366.jpg

事前にお客さんにはこの辺りのことはお伝えてしていませんでしたので、
大きなサプライズにもなり、良い感動を持って帰られたと思います。
(実際に、唐長さんの話はこの後ずっと話題にされていました。)


12代目、ありがとうございました。

一昨日昨日とそんなイベントがあり、さらに先ほど図ったかのようなタイミングで、
唐長文様『輪宝文』の御召の仕立も上がってきて、一日唐長気分に浸っています。

L3170123.jpg
『御召:仕立て上がり』

経糸はベージュの濃淡縞に、黄緑で文様を淡く織ったモノです。

また、この着尺を作る際にあった自分の中のイメージと見比べるために、
帯と合わせてみて・・・。

L3170110.jpg

また結ばれた所を紹介させてもらいますね。

そんな2日間でした。。

タグ: , ,

2016年10月01日

唐長文様「光琳大波」帯、完成

唐長文様「光琳大波」袋帯を作るキッカケ
となったのは、結ぶための帯じゃない、ところからでした。


帯屋としては珍しいスタート(笑)で、そらそうだ、突っ込まれそうですが、
おそらくこんなキッカケは初めてです。

この光琳大波の意匠は以前、引箔を2丁使って織り上げていました。
(2色の箔が帯の中に入るイメージで、考えて下さい。。。)
地と波を金銀の箔だけで織り上げた、豪華な帯でした。
そこから考えると、今回の紹巴織で織るのは、色んなモノを削ぎ落とした、
かなりシンプルなモノづくりになります。


今回は今回で大変な要素もあります。
まず第一に帯が前提じゃない(苦笑)
第二に、そもそもシンプルなので、削ぎ落としが難しい。
第三に、だからといって、そのままやると、ほぼ裏無地になってしまう。

と、大きく分けて3つの山を超えながらのモノづくりでした。


意匠に関しては紋作りの段階で、穴が空くほど、この大波の唐紙を見て、
作り、配色に関しては12代目から頂いた今回指定の色を何度も試験で
織っては修正、織っては修正して、近づました。


ちなみに、その指定色の到着までは、自分の好きな色で配色したりして、
これはFBに掲載)、この柄の特性を掴みことを考えてモノづくりしていました。

14358834_1105135349523249_7969756665645290433_n.jpg

南蛮七宝文様と同じく、この柄も色で随分と雰囲気が変わるので、様々な配色が
できる。また、織組織を変えても全く変わるはずなので、今後やっていきたいです。


DSCF1062.jpg
「唐長文様/光琳大波(紹巴織袋帯)」

ざんねんながら、まだ指定色は紹介できませんので、雰囲気だけですが帯になった
光琳大波を載せておきますね。発表できるまで、もうしばしお待ち下さい。

タグ: , ,

2016年09月20日

まずは、『きものサローネ』参加報告・・・。

先週末から昨日まで『きものサローネ』へ参加してきました。
となみ織物としても初。今回は2つのシリーズを中心にブースを作りました。


1つは『南蛮七宝文様
IMG_7624.jpg

もう一つは『CandyCircus

IMG_7607.jpg

100社近いメーカー、問屋、小売店が参加されていましたので、
それを見に来られた何千人というお客様の目的もさまざま。



ちょっと広い『和』に関係するという括りでは同業なのに、扱う商品、価格帯、

見せ方も異なり、大変勉強になりました。

ただ、3日間日中ずっと立っていましたので(トータル25時間ほど・・・)、
今日は足がパンパンです(苦笑)。それに加え、台風のため、会社は早仕舞い。

モノづくりは明日から再スタートです。

2016年09月16日

お月・・・。

昨日の夜は中秋の名月。

ということもあって、
帯の意匠でお世話になっている(おそらくとなみ織物中では、私が一番。)
お礼も兼ねて、超望遠を持って撮影してきました。

DSCN0231.JPG
『2016年9月15日撮影』

ここまで望遠で撮ると、京都の月でも東京のも北海道のでも、大して変わりませんが(笑)
昨日の京都はどんより曇り。
時々雲の隙間から顔を出す、月をじっと待っているのも良いもんでした。

今日から来週初めまでは東京出張。

イイ刺激をもらって帰ってきます~。

この帯も持って行きます。
SDIM0031-2.jpg
『唐長文様【光悦月】』

2016年09月12日

準備月に突入。

先週初め、今週末、来週末、来月初め、と何やかんやと、イベントごとが続いていきます。 そのため、準備のバタバタで、気だけが急いています。


先週は、京都の白沙村荘で、トークショーでした。

前日搬入、当日の商品搬入陳列、本番、そして撤収と、何か考える間もなく、あっという間に終わりました(笑)。慣れないことに気は使いましたが(苦笑)、皆さんの帯への反応が楽しかったです。

ここから始まって・・・。


そして来週が東京で『きものサローネ』。右も左も分からん状態での初出場。未だによく分かってません(苦笑)。『ちょっとも知らんの?』『イメージぐらいはあるやろ?』等々と周りの方々に何回言われたことか・・・(笑)

分からんなりに、スタッフと一緒にショールームで、練習展示してみたり・・・。と涙ぐましい努力はしています(笑)。ここで見せたいモノが本当に沢山あります。が、スペースは相当限られたものですので、いつもの様な大量の持ち込みは止めておこう・・・。でも・・・。そんな感じの準備中です。

また、ここではトークショーと同く、となみ帯については一からの説明になることが多い(ほとんど全部?)と思いますので、極力見て、触って感じてもらえるものを中心にと考えています(予定は唐長文様『南蛮七宝』と『CandyCircus』)。


この週はどうなるんでしょうね?

そして、その次の週末は本社で『CandyCircus』の発表会。展示は舟田潤子氏の作品をメインにして。これも初めての試みになります。試行錯誤しながら、できれば細々と長ーく続けてれるように。

これもどんな形になるのか(笑)?

来月はおそらく『奄美へ』。ある柄(初めてのもの)の途中を見に行きたいとおもいます。その他、諸々も予定していますし、天気だけ何とか保つ様に・・・。今まで何度も行っているので、このイベントが一番安心かな?
(と言っていて、そんなのが一番危ない・・・? 笑)


他にも、今月末までには異業種とコラボする生地の見本を完成させる期限があったり、結構今からの9月から10月までは、ギュウギュウの忙しい日々が続きます。

2016年08月31日

洗える襦袢→洗う襦袢

昨年に続き今年も山ほど洗っては着て洗っては・・・
のお襦袢です。

nanbanjyuban.jpg


この襦袢、製作途中に色んな機能を搭載していきました(搭載って言葉がピッタリ 笑)。
『南蛮七宝の襦袢をずっと着ていたい。』お客様からの言葉でした。

そこからスタートして、
最初はオールシーズンの南蛮七宝を検討。
 ↓
折角なので、着ていて身体が楽なモノ=より軽い生地
 ↓
居敷当ても無しで⇒耐久性の検討
 ↓
樹脂とかの加工なく、絹そのまま風合いで、
洗える機能を➕!(ここが結構無茶・・・)


と、当然ながらコスト&手間が掛かりました。

そのお陰もあって、社内いても、複数の色数を見ない(いつも1色か2色があるだけ)
そんな人気のお襦袢になりました。

値段的にも通常品の3倍くらいなので、この人気は脅威的です。。。


ちなみに、上の写真は機能を詰め込みながら、あれやこれやと試作段階で仕立てたモノです。


実験として、例えば、着る度に洗濯→着る度に洗濯。本当は必要ないのに居敷当を付けてみては洗濯。


普通の衿つけては、そのまま洗濯。最後に乾燥機まで回してみる
(これは流石に途中で止めておきました・・・。苦笑)等々。


そんなことがあっても、今年の一番洗う時期を無事?乗り越えることができました。

普通に考えれば、『夏でも、簡単に洗えないの?』と言いたくなる襦袢。


それを洗える様にする。簡単そうで結構大変でした・・・。


見渡せば、他にも当たり前にあってほしいけど・・・、
そうで無いものが着物の世界には色々とありそうです。
妥協して安易な物にせず、良いモノづくりが発表できる様にしたいですね。


そんな気持ちを忘れないためにも、
この襦袢に関して、どこまで洗い続けれるのか、時々皆さんに見てもらいますね〜。

タグ: , ,

2 3 4 5 6 7 8 9 10  

カテゴリ

バックナンバー

  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介

となみ帯

Facebook

LINE@はじめました
友だち追加

新着記事

五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

携帯サイトのご案内

QRコード

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...