となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「宵待草」と一致するもの

2014年02月12日

宵待草/唐草 袋帯

 

IMG_0678a.png
『宵待草/唐花』

 

この柄はなぜ作ったのですが?と言われると困りますが、この図案の持っている
雰囲気と空気が好きだったので、帯にしました。
クスみながらも淡々と落ち着きを持った感じは、中央アジアの匂いがして、
本当に好みな帯です。

 

ただ、出来上がって見ると、配色に苦労した感は帯には全然出ていませんが、『黄色』と
『ベージュ』それと『緑』の3色の間で揺れに揺れた帯です。

 

IMG_0685c.png

 

基本的に、こういう色をメインに配色を行なっていますが、糸色の濃淡、合わせ本数、
金糸の有無で、『色浅いな』『地味』『目立ちすぎ』『柄がしんだ・・・』などなど、
とにかく納得が行くまで、配色をしました。

 

IMG_0681b.jpg

 

まだ、この写真は途中段階で、緑が勝ちすぎていましたが、とても新鮮な雰囲気が出ていて、
気に入っていましたが、この次の配色(一番上の写真)で、最終完成です(おそらく。。)。

 

特に、紋図を作る段階で色々とやりたかった実験を沢山入れていますので、
仕上がりも、面白くなったと思います。

 

また、この帯を結ばれると、最初に思っていたのと雰囲気が変わるかもしれませんが、
自分的には満足の行く帯になったと思います。

 

2013年11月11日

宵待草地紋

 

宵待草地紋』と呼ばれている、比較的新しい組織があります。

ベースは紹巴織なのですが、緯(横)糸を複雑に合わせることで、
絹らしい『きれいさ』ではなくて、奥行きのある手漉き和紙のような味を
作ることが出来ます。

どちらがいいのかは、完全に好みの世界ですが、今まで紹巴織という織りが苦手に
していた所ですので、表現方法は物凄く広がりました。

今までと違ったという織りですので、どうしても最初は手探り状態。
何をしても、返ってくる反応は鈍く、『作ったのはいいけど、どうしょ?』という
どん詰まりに入ることもありましたが、時間を掛けて、試行錯誤すれば、
面白い反応もあります。

 

Untitledff.jpg

『宵待草』

 

一つは、この紫使い。
今までは、こういう組み合わせの配色をすると、地に埋没して、色味が汚くなったのですが、
この地紋の場合、紫が地紋よりも奥か遠くにあるような感じに見えます。

地と、通常の柄部分(白や黃)、遠くにあるように見える部分(紫)と3層に重なった表現が
できるので、活かせれれば面白いです(簡単にはイメージ通り上がりませんが・・・)。

 

こんな感じで、柄表現の仕方を試行錯誤していますが、組織が面白くても、
色と柄が伴わないと、当然ながら全く結んでもらえない状態になります。

その辺りのバランスを取りながら、楽しんで製作していきたいですね〜

2013年06月17日

せかいじゅ/ひとまず完成

 

先日、『せかいじゅ』で紹介していた帯が今日ほぼほぼ完成しました。

 

L1680044.jpg

『宵待草/せかいじゅ

 

図案家さんに描いて頂いたものをモチーフに製作しました。

以前も書きましたが『世界樹』と大きなテーマだけあって、Celticの時とは違い、

地面から栄養を吸い上げる根の先がハート型になっているなど、

見ていても楽しくなる柄です。

 

ハート型の根で栄養を拾い上げ、それをみんなに振りまいて、

結ぶ人だけでなく周囲も幸せに。。。

そんな優しい帯です。

 

もう一つ工夫しているのが、

その帯でいうと地中部分(タレ)。

 

L1680042.jpg

 

元々は、一杯の栄養を含んだ土壌を表現するために、

メインの部分とは地紋を変えたくて、作ったものです。

 

構成する色数、色目は同じなので、お太鼓部分とパッチリは分かれませんが、

それでも底からジワジワ上がってくる、力みたいなものをが表現できたと思います。

 

結んでもらうまでは何とも言えませんので、楽しみにして行きたいです。

 

後は、同時並行で進んでいる裏地を作って完成となります。

 

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2013年05月27日

宵待草/流水 目出し

 

やっと風邪から復活して、今日は整理です。

風邪の間、あまり余計なことをせずに、今までの目出しや資料を大量に集めていました。

 

完成は少し後になりそうですが、シンプルに川に流れる葉。

まだ目出し状態ですので、本番には青濃淡の配色が変わると思いますが、

色を重ねて、奥行きと動感を作っています。

 

IMG_0082.jpg

 

濃いブルーを半分にして、その間に水色を加えて、ベージュの経糸で押さえる、

等々、少し離れてみると色がぼかされ、その隣の色に影響を与える。

 

そんな風にして、玉突きのように全体にボカシが掛かったようで、

葉の白さが際立つ柄。

多くの色を入れているので、着物に乗せたときに、

その色が着物の色を掬い取ってくれるものに、と思っています。

 

2013年04月09日

ふよう/作楽

 

作楽シリーズに一つ。

宵待草』というのがあります。

L1230002.jpg

『宵待草地紋』

 

その地の部分に金糸銀糸を通して織りました。

以前紹介した『もくれん』と同じですが、

それから、さらに細かくして、金銀糸を入れています。

 

IMGP0082-2.jpg

作楽/ふよう草花』

 

最近、『それでなにをしているのか?』と聞かれることもありますが、

自分で作る帯に金糸を入れることを考えています。

 

今まで作るものは、ほとんど絹糸のみでした(糸々(いといと)と言います。)。

絹と違うものを入れると、糸と馴染まない何かがあります。

紬でも、ベースとなる糸とは太さも違うし、撚りもことなるので、

多少の馴染ま無さがあって良いですが、紬糸も絹なので、親戚みたいなもの。

最後は、自然に収まります。

 

そこを昔の光らせる目的では無い部分で使いたいなぁ。

と思っています。

 

IMGP0086-3.jpg

 

分かりにくいですが、経に織り目が出て

金糸や銀箔を取り込んで沈めているので、糸を使った時との違いが出ています。

 

面白い仕上がりになっているので、実物を見ていただきたいですね〜。

 

2013年03月01日

作楽/もくれん

 

本当は、モノづくりをドンドンと前に進めて行きたいのですが、

一歩進んだり、下がったりしながらしているのが、帯のベース部分の地紋作り。

 

色素材変えて、楽しんでいます。

 

今行なっているのが、地に(銀色の)金糸を通すこと。

L1230405−2.jpg

 

単純に地がキラキラして綺麗なのは狙っていることなので、

予想通りですが、金糸系の糸は策無く織り込むと、絹より手持ちが硬くなります。

(パシパシになってしまいます。)

 

また、そのまま金が表に出てしまうと、ピカピカに光り過ぎてしまい、

安っぽくも見えるので、その辺りも加味して地紋を作っています。

 

下の写真がその途中ですが、

帯の切れ目みたいな所で、素材を変えています。

(地自体も新しく作った『大人しめの和紙地紋(仮称)』です。)

 

L1230405.jpg

『宵待草/作楽:もくれん』

 

柄もフワフワと浮いた浮遊感を作り出したいので、

縁取りのグレー部分の上げ方を少し立体感を持って、核の部分の金糸との

バランスを見ながら、紋作りしました。

 

まだ、完成までは少し時間が掛かるかもしれませんが、

順調に進んでいます。

 

 

 

 

 

 

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2013年02月23日

随分と離れていますが・・・。

 

ちょっと間が空きました。

今のところ、モノづくりと数字面挟まれています。

 

こういう時に動かすモノづくりは、今までのを切り替えたもの。です。

http://www.kyo-tonami.com/godaime/2013/02/post-1829.html

 

先日もこの棚卸しの時に書いていましたが(状況は今と似ています)、

お太鼓のモノづくりをしています。

 

その一部ですが、上がってきています。

 

IMG_2572.jpg

宵待草作楽』 写真はお腹部分

 

柄は夢二からです。

 

地と上の柄とが影響しあう地紋を新しく作りましたので、馴染むというか、

染み込んだようにみえる上がりになります。

 

お腹がこんな感じですので、お太鼓も当然この流れです。

 

特殊な柄になると思いますが、100人中一人、『凄く心のなかに入った』

と言われれば、満足です。

 

となみ織物の主流のモノづくりとは、随分と離れたところにはある、

モノづくりです。

 

 

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2013年01月28日

無地。

 

今現在、可能性を感じて取り組んでいるのが、

この無地。

 

L1230001.jpg

『宵待草無地/作楽』

 

砂嵐のように見えますが、和紙に染色したモノを紋に映した無地柄です。

 

織りは紹巴で、ワザと経てと横糸のバランスを崩して織っていますので、

表面は通常のものよりも、凹凸があります。

 

普通の紹巴でさえ、4Cm弱を織り進むのに、何百と杼を通しますが、

この織物は、同じだけ通して、さらに複雑な糸使いをしていますので、

織り・配色含め、時間がかかり、あまり織り上がってきません。

 

無地というと、このままでも良いのですが、柄を載せる場合には、

この無地が土台にもなりますので、入念にチェックをしていきます。

 

L1230002.jpg

 

現在進行中が、無地の地に通る糸を、『黒』にして、お太鼓柄で

強烈にインパクのあるものを。

と思っています。

 

今ちょうど製作中なので、ここではイメージだけの話ですが、

お太鼓の中心にある柄本体の色自体は、配色OKなのですが、

底の地部分の配色がまだ決まりきれていません。

 

建物はすべて出来たのに、基礎がまだ。。。

そんな不思議な進行でモノづくりが進んでいますので、

帯自体も出来上がったら、変わった存在感を放つと思います。

 

今日は、無地なので、絵的にはシンプルですが、

自分のイメージの中では、カラフルな柄が無地の上に乗っています。

 

 

2013年01月07日

今年の一柄目は

 

まだ、微修正を行なっていますが、この柄が一本目です。

 

IMG_2031.jpg

作楽/宵待草』

 

年末、相当の時間を費やして、作っていた地紋(和紙地紋)でこの日記にも

何度か登場していましたが、やはり配色上、とても難しいので、

まだ最後まで決めきれていない状態です。

 

一番右の緑のような灰掛かった色目は、実験なので、この煉瓦色とはまた

別ですが、それ以外は、目出しを取ったり、一本で眺めたりして、

色を決める最終段階です。

 

今年はこの地紋に力を入れていきたいので、早いこと紋を作る感覚を掴みたいと

思っていますが、まだまだまだまだです。

 

この後にも、お太鼓柄で『詩情 夢二』として作ろうとしていたものを、

この和紙地紋用にして、製作したものが待機しています。

かなり個性的なものばかり上がってくると思いますので、

楽しみにしていてください。

 

ちなみに、

『作楽/宵待草』というのも『夢二』モチーフに基づいたネーミングです。

 

今年も、試行錯誤しながらモノづくりを紹介していきますね〜。

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2012年12月25日

和紙地紋 その2

 

先日の和紙地紋

今回は、モノづくりしている際の試行錯誤を文字にしてみましたので、

ちょっとヤヤコシイかもしてません。

 

少し修正を加えながら、新柄です。

 

L1180708.jpg

作楽/宵待草』

 

まず、織り部分ですが、

底の地紋である和紙地紋は糸の綴じを変えていますので、

目で見ても(手で触っても)、立体感を少し付けています。

 

反対に、8つの光が出ている星部分ですが、ここはシンプルに糸を完全に

綴じて、真っ平らにしました。

 

おそらく帯全般に多い、地が名前の通り一番低く、

柄の部分は盛り上がっている(イメージは唐織)とは、

反対の紋の作り方をしています。

 

そこから今回は、その一番平らな部分(星柄)に、

この帯中では一番目立つ色目の『黒』を入れました。

(要するにボリュームが無い所が一番めだつ色目。)

 

また、もう一つ、その『黒』も浮かないように地の部分に、

同じ黒を混ぜてしまっていて、浮きながらも統一感を作ろうとしています。

(不思議な浮遊感を作りたいと思っています。)

 

ただし、今のところ、上の写真配色ではイメージよりも僅かに浮いて見えるので、

現在は色の構成をもう少し似せて、全体を沈ませようと思っています。

 

ということをこの帯では行なっていました。

他にも、図案の段階では柄のサイズや配置決めにも、試行錯誤していますし、

何が正解か?というのは無いので、なんとも言えませんが、

まずはやってみる。

 

新入社員にも言っている言葉が、このモノづくりには、

いつまで経っても重要です。

 

 

年が明けるまでに、新しく製作している図案等に掛かって行かないと、

また一からでは、モノづくりがリセットされてしまうので、

ゆっくりと急ぎながら、進めています。

 

まだまだ、今週もバタバタしています。

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