となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「月読」と一致するもの

2013年02月28日

4階建て。

 

少し間が空きましたが、再びモノづくりスタートです。

 

先日紹介の帯。実験を繰り返して、形になりましたので、

裏無地と合わせて紹介です。

 

L1230409.jpg

月読作楽

 

光の関係で少し黄色掛かっていますが、

紫をベースに配色しました。

 

表も裏も色糸自体は、全く同じ構成です。

同じ機で同じ職人さんが織ったものですので、組織自体は全く同じですが、

経ての抑え方、緯糸との関係で、立体感、滲みなど見た印象が大きく変わります。

 

完成されて、イジるところの少ない組織だと言われていますが、

柄によっては、まだまだやれることは多そうです。

 

L12304082.jpg

 

白の柄を作る糸の合間に紫を覗かせて、陰影の補助をしています。

 

新しい試みをこの白い糸部分でしているので、

予想していなかったことですが、経糸(見えないくらいの糸ですが・・・)が、

地の部分よりも底に影を作ってくれます。

 

ですので、シンプルな柄ながら、①白い糸②地③紫④経糸

と4階建てのような構成の帯となりました。

 

早く裏地と仕立てて、結んでもらいたい帯です。

 

2012年12月20日

地紋つくり『和紙地紋』

 

今日は、新しい地紋を作っていました。

名前は『和紙地紋』

 

L1180635.jpg

『和紙地紋/作楽』

 

写真の織物は、経の糸を横糸で覆い隠すように織っていくので、

表には緯(横糸)だけが出て、柄を作っていくものです。

 

筬の打ち込みや緯の使い方次第では、

頭の中で無数のパターンが作れる面白い織物です。

 

たとえば、ある緯だけを一越飛ばしに入れて、他はいつも通りで織るとか、

以前紹介した『月読(つくよみ)』のように、半分にした糸を2倍通すとか。

 

L1001634.jpg IMG_1256.jpg

『作楽/月読

 

まず、考えられる限りのパターンを考え、

その中から一つずつ潰してく、というようなモノづくりで、

いつもよりも味気はなさそうですが、

中には、杼が上手く通らず、全く生地にすらならないものもありますし、

その辺りは気が抜けない、工程です。 

 

今回の『和紙地紋』は、頭の中で予想していたのと、

仕上がりが随分ちがって、大きな可能性を強く感じましたので、

ここで採用してみました。

 

L1180637.jpg

 

この地紋というのは柄に合うものが作られるので、通常は柄と同時に作ります。

ただ、先に気に入った地紋ができた場合、(自分の場合は大変多い・・・)、

地紋ストックに入れておきます。

 

そんなストックはかなり沢山持っていて、そう簡単にハマるものはありませんが、

ピタっと来た時は、モノづくりしててよかったな、と思える一瞬でもあります。

 

上写真のように、唐草を乗せてみましたが、仕上がりはどうなるでしょうね??

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2012年12月10日

ただいま名古屋製作中で。

 

今までも製作してきた名古屋帯

あまり登場機会がないので、『苦手?もしかして嫌いなんですか?』

と聞かれることもたまにあります。

 

が、苦手でも嫌いでもなくて、裏も作れる袋帯にモノづくりの頭を取られていて、

そこまで気が回っていませんでした。

 

名古屋は、袋帯とは違った表現ができますし、

今までとあまり変わらないかもしれませんが、さらに柄や配色で遊ぶこともできそうです

(とうてい、袋帯では出来ないような帯とか・・・、そんなのあるかな?)

 

 

ただその好きなモノを作る前に、

『まず社内でこんなのは作れますか?』

と言われて作ったのは、柄や配色は、全然遊ばず『七宝』の柄。

 

L1180582.jpg

『名古屋帯/清泉』

 

代わりに、組織を物凄く遊んでいます。

 

基本的には、今までの織りを踏襲していますが、

中身は先日も紹介した『月読』のように、糸を半分に割って、2を掛ける、

そんな織り方をして、最後はコマの箔を通して全体安定させています。

 

おそらく完成した時、帯一本で見ると、気づく人もいるかも知れませんが、

色が裏から出てくるような不思議な濃度の帯になると思います。

 

こういう感じで始まりましたが、色々と遊びながら作って行きたいです。

2012年11月21日

コーディネート途中で。

 

現在、北海道にいます。

 

この出張は、自分たちで製作したものを見てもらい、意見を頂き、

また次のモノづくりへ、となっていますので最近の良い循環になっています。

 

やはり社内では、実際に作る方にほぼ10割時間を取られるので、

京都では、あまりできないことでは、帯を使った目の前でのコーディネート。

 

自分中心ではなくて、帯を見る方中心で進んでいくので、

新鮮に楽しく、勉強になります。

 

IMG_1256.jpg

 

例えば、この南蛮七宝白大島紬×月読+ミカヅキ帯留め(モレッティ)。

どうしても好きな『月』がモチーフなので、この後どう進んでいくんだろう?

と想像しながら、楽しんでいます。

 

と、こういう感じで滞在中の札幌です。

2012年11月02日

こつこつ地作り。

 

帯地メーカーとして大事なモノづくり。

その帯の土台となるのが、よく出てくる言葉『地』です。

 

作り手によって様々なイメージが有ると思いますが、

私的な帯作りイメージは、地面の上に家を建てて行く感じです。

 

そのイメージからすると、タイトルにもある『地』というのは、

文字とおり『地面』。

 

この上に建物を建てていくので、しっかりしていないとダメですし、

状態によっては、上に柄を乗せれないことも多々出てきます。

 

今回作ったのは・・・

L1001651.jpg

『月読(裏地)/作楽』

 

織物の組織を変えず、大幅に緯使いを工夫して織っています。

特長としては、絹のしっとり且つザラッとした感触や

柄の見え方が変わっていて、少し透明感を持った織物です。

 

土台はこういう感じで写真は裏無地ですが、

今後は、表づくりをしていきます。

 

地はこの織りで上に建てていく柄を考えたいと思います。

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