となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「水花」と一致するもの

2016年10月29日

『CandyCircus4』 マンゴスチン

舟田潤子氏とのコラボシリーズ『CandyCircus』。
今、制作中なのは4柄目。今までも十分個性的な意匠が多い中、今回も面白い帯になりそうです。


DSCF1241.jpg
『CandyCircus/マンゴスチン』(試験織ver2)』

新しい試みとして、今回は紹巴織に紬糸を入れること。
それ自体は他の柄でやったことはありますが、今度は舟田さんの色を保ちながら、
紬の節も上手く利用したい、そんな試み。

柄を出すために、
糸の通す順番、場所を考え意匠図を作り、紬糸を通すと、
節が立ち色が濁るところを、糸本数でカバー、
(織物の限界はあっても)できるだけ地色を最大限『白く』したい。

意匠図(設計図)を作る際、漠然としたイメージだけ取り掛かるのではなくて、
自分がイメージすることを、ちゃんと言葉&文字にして、モノづくりに誤解が生じないよう、
気をつけること、今までやってなかったことを明確にして、取り組みました。

どっからどう見ても、何かの打ち合わせに見えて、
帯づくり、という感じは全くしない、制作現場でしたが(笑)。

紋は終わり、今は最後の詰めの配色段階ですが、困ったことに悩んでいるのは、
そもそも、『この帯を袋帯にするのか?名古屋帯にするのか?』の部分です。

先日制作した紬糸を通した紹巴織の八寸名古屋帯(『Henna』)が、
いい具合に織り上がっていますので、余計に悩むところです。
(本来、はるか手前で決めておかなくては行けない所なのですが・・・ 苦笑)

このCandyCircusシリーズ、帯だけでも、3柄(水花、舟、蝶々)の袋帯。
しぼ織(アネモネ)名古屋帯。
この後に、もう数柄名古屋帯を加えても・・・。

CandyCircus3 蝶々

image-thumb-640xauto-7676.jpeg
 →『Candycircus3完成

CandyCircus2 舟

L3170121.jpg
 →『Candycircus2 仕上げ最終。

CandyCircus1水花

IMG_3692.jpg

タグ:

2016年04月14日

Candy Circus 3柄目、悩み中

銅版作家舟田さんとのコラボして製作している『CandyCircus』の帯。
今のところ、①水花と②舟(名前検討中です)の2柄が完成しています。

次は、3柄目の蝶々と4柄目の夏しぼの帯を現在進めています。
夏しぼに関しては、意匠図の製作が終わり、紋を彫りも終わりそうですし、近々3柄目を先に飛び越えて、帯の形になりそうです。

3柄目の蝶々に関しては、作品の色数と雰囲気を織物でどう作っていくのか、今現在悩みのど真ん中にいます。(多すぎて不可能ですが)もし作品の色を全て拾うとすると、色が濁りすぎる。反対に少なすぎると雰囲気を作り出せない。じゃ、そのバランスを織物の限界を踏まえて、どこで取るのか?そこが一番の悩みどころです。


メーカーが一番力を出せる部分でもありますし、その自負を持ってこの二ヶ月間、一歩進んで、また戻っての繰り返しを行っています(笑 ホントに大変です。)。悩みの元を解消するキッカケがもうちょっとで見るかりそうな感じもしますので、それを見つけることがでれば、何とか来月中には、目出しくらいは取れると思います。

昼間には、一柄目の水花を南蛮七宝の御召や大島に合わせたり、

L2200045.jpg
『水花✕南蛮七宝文様/御召』

外に持って出て、太陽光に当てて、黒緯と一緒に織り込んだラメ糸の具合を確認したり。
しながら、三柄目をどうするか、悩み中です。現実逃避ではなくて(苦笑)・・・。

このシリーズは、帯としては個性のある意匠と配色です。
最初は人を選ぶかもしれませんが、見ていると人を楽しくさせる何かありますので、ゆっくりとモノづくりしながら、帯や着物、小物?のファンがじわじわと増えるようになったらと思っています。自分の周りには少しずつですが、ジワーっと広がりを感じていますので、今後たのしみな、CandyCircusです。。ぜひ、一度見て、触って、当ててもらいたいです。

 

2016年01月14日

CandyCircus2柄目。最終⇒手直し(苦笑)

 

9日に最終とタイトルに入れていましたが、一歩戻って、最終の前の修正を行っています。
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/01/post-2316.html

 

IMG_4624.jpg

舟田さんとの打ち合わせで、総論OK、全体OK、各論9割OKと。銅板を帯にする上では、満足できなくもないですが、さらに完成度を上げるため、修正を行います。このこだわり、勉強になります。図案から作る自分の帯でもやっているつもりではいても・・・。とちょっと考えさせられました。

 

ちなみに、一柄目の【水花】はよりも技法の取捨選択を行えたので、修正しやすくなっています。例えると、一柄目は誰が配色しても似た配色になるように、ガチガチに作りこんだもの。今回に関しては、もう少し余裕を持たせたので、配色する人のセンス、バランス感覚に頼る部分が大きい。←紋を作る時には僅かな差ではありますが、やっぱり違います。

 

もう一つ、舟田さんと打ち合わせをしていて、気を付けなくては・・・。と感じるのが『織物の発色』。絹糸は発色に関しては他の繊維と比較にならない抜群の力を持っています。ただ、織物なので他の色との組み合わせを考えると、糸そのままの色ではなくて、僅かにくすむこともあります。それを極力減らすために、隣り合う色や裏に通る見えない糸に気を使っています。

 

それを気遣いつつ、作品に入っている全て色に触れつつ、デフォルメしていく。その方の作品の中に入れてもらえる位の空気感を大事に、モノづくりをする。時間も掛かり、突然表現方法に困って止まったり、悩むことも多々ありますが、今回の様に(まだできていませんが・・・)帯の形になると、やっていて良かったと感じる、登山の様な楽しいモノづくりです。コラボさせて頂いて行うモノづくりはいつもそう感じながら、コツコツと進めています。

2015年12月08日

ここには間に合いませんでしたが、進めています。Candy circus 2

 

『candycircus』の打ち合わせを兼ねて、個展へお邪魔してきました(作品展示は12月20日まで)。場所は『ホテルグランエムズ』。舟田さんがデザイン部分を受け持たれたホテルで、1Fのホールにcandycircusの世界が広がっています(ピンボケばかりの写真でしたので割愛。すみません。。)。

モノづくり的には今の時期、本当は二柄目を既に作り終えていて、三柄目もしくは着物を手掛けているはずなのに、現状図案の修正と織の試験を繰り返していますので、完成まではまだまだ掛かりそうです。

 

11903963_884218598281593_6220297382523138444_n.jpg

 

一柄目の『水花』が特急で仕上げましたので、足して2で割ると丁度良さそうな進度です。もちろん、帯作りはそんなのではダメです(苦笑)。来年早々には、目出し、試験と上がる様にします。

しばらくホールにいると、宿泊客が通り、エレベーターに乗り、降りて来て、そこそこ人の流れがありましたが、ほぼ例外なく展示してある作品を興味深く見ていかれます(今の京都のほとんどがそうだと思いますが、海外から方ばかりです)。

また、宿泊客から実際に『1日が幸せな気分で迎えることができて、嬉しいです。』という声も良くあるそうです。舟田さんからもそういう話は時々聞かせて頂いてましたが、実際に目にすると、なるほどとよく理解できました。この辺り、帯の空気として纏わせたいな、というのが二柄目へのモノづくりの課題です。技術部分ではないので、簡単ではないですが、良いご縁でコラボをさせて頂いているので、やってみたいと思います。

ちなみに、このホテルの各階はエレベーターのドアが開くと、舟田さんの作品が目の前にあります。

IMG_1643.jpg

一番上の階から順番に、全部ボタンを押して、各階に止まりたくなる、そんな作品に溢れたホテルです。

 

 

2015年11月24日

CandyCircusの二柄目、進めています。袋帯です。

 

風邪悪化のため・・・(声が出ません〜。)、テンポを落としてモノづくりを進めています。一つはしぼ織りのベース部分の改良と、もう一つは『CandyCircus(キャンディサーカス)』の二柄目。

その一柄目は、水滴が水面に落ちた時にできる『クラウン』を花に見立てて、作って頂いた『水花(すいか)』。今は作家の舟田さんと一緒に個展等にでかけています。作品と一緒に並ぶと、帯が居場所を見つけたみたいで、落ち着きます。

IMG_1685.jpg

 

9月にも書いていましたが、そこから二柄目の図案制作に掛かり(作品を元に)、微修正をしながらつい最近(約2ヶ月間)やっと図案が95%完成しました。ここからはこの図案を元に意匠図を作りながら、後5%を埋めていきたいと思います。おそらくこの2柄目は100%図案を完成させてしまうと、後々困りそうなので、5%の遊びの部分を残して進めます。

 

ちなみに、次回帯はCandyCircusのロゴにもなっている、この舟の元の作品から・・・。

IMG_1145.jpg

 

 

となみ織物が30年以上前に製作していた帯に宝船がお太鼓に来る帯がありました。似ても似つかない帯ではあるのですが、その宝船の大きさや存在感をお太鼓に持って来たら・・・。頭のなかにはそのイメージが先行して帯が出来上がっています。出来上がりは面白いものになり、このCandyCircusのフラッグシップの様な帯になることを祈っています。

 

というわけで、今は、残念ながら、ぼーっとしていますので、今週はこの2つに集中して進めたいと思っています。今、舟田さんが京都で長期開催中の展覧会に間に合えばなあ・・・、と。

 

2015年09月20日

コラボ帯、発表中。

 

シルバーウィークはちょこちょこ仕事を入れながらも、久しぶりに休ませて頂いています。今日は、コラボレーションでモノづくりをさせてもらっている舟田さんの展覧会(京都大丸)へ。     ⇒http://www.candy-circus.com/topics/322.html

 

現在製作したモノは一柄、【水花】柄(陳列中です)。

DSC06337 (1).jpg
『水花/紹巴織』

 

2柄も作品は決まり、作品⇒帯意匠への最中なので、この帯への皆さんの反応を聞かせて頂いて、次回の帯へ活かして進める予定をしています。舟田さんの作品の中にポツンと帯が一本、今までの帯の陳列とは異なる雰囲気でしたので、個人的には少し恥ずかしさもありつつ、とても新鮮でした。

 

次の帯への推進力にしてがんばります!

 

 

 

 

2015年09月11日

No,0

 

 

DSC06331 (1).jpg
【水花(すいか)No.0】

 

今日、この帯の本仕立てが上がってきました。袋帯の場合、まず①表面製織⇒②裏面⇒③仮仕立て⇒④仕立て。を通って結べる『帯』となります。お店に通常並ぶのは、③の段階。写真は④の段階、帯芯をいれた状態です。

 

殆どの場合、(となみの展示場でもそうです)③の仮仕立ての段階の帯を目にすることが多いですので、帯メーカーだといっても、その比率は999:1くらい。その帯芯を入れると一枚生地が挟まることもあって、僅かに帯の表面に立体感がでます。見た目的にはほんの僅かかもしれませんが、本当に最後の仕上げで魂のようなモノが帯にこもり、仕立て前とは印象が全然変わります。そんなこともあって、思わず写真を撮ってしまいました。

 

この帯シリーズには、全てシリアルナンバーが入ります。写真の帯は元々の作品の作者に結んで頂くので、特別にNo,0を入れています。まずは京都の大丸で展覧会(9月16日〜)をされますので、そこでこの帯を結ばれるかもしれません。お互い初めての試みです、これからも続けていくコラボで面白い形に進化していくことが、とても楽しみです。

 

次の柄にも取り掛かろうとしています。それも随時、紹介したくなる作品を元にしています。楽しみにしていて下さい。

2015年08月27日

となみブルーに金糸でネームを織る。

 

今日は帯地のネームについて。
帯の柄⇒タレ部分⇒その下の帯の名前が織り込まれている所です。


仕立てをしてしまうと表には出てこないので、気が付かれないことも多く『ネームってなに?』と残念なことになりますが、ここもモノづくりしている際に、当然力を入れて製作しています。

うち、となみ織物では、まず基本的に【西陣織、帯のシリーズの名前、となみ帯】の3つ、場合によっては、例えば変わった素材や珍しい織組織、意匠はここに+1されて、4つ。のほぼどちらかです(今回の写真の場合は3つ)。

 

拘りとして、何十年ずっと自分たちの会社名、ブランド名を入れていて、となみ織物では慣れきっています。最近になって気付かされたのは、(当然のことながら)この帯の責任所在を明確にするということも、主な目的の一つだ、ということです。西陣にはたくさんのメーカーがありますが、残念ながら、このネーム部分に自社名またはそれに類するものを入れないところが大多数あります。他社のことながら、結ぶ帯がどこの帯かわかない、または将来もし譲られた時にどこの帯?となってしまうのは、非常に残念なことです。

 

そんなこともあり、となみ織物ではここはとても大事に扱って、モノづくりしています。

 

今回のネームは、以前紹介した帯のものです。名前は新しく『水花(すいか)』(←作家の舟田さんに直接命名して頂けました。)となりました。帯意匠に関してはこちらのリンクで。

 

L1930036 (1).jpg
『水花(すいか)』

 

地色は、帯意匠部分と同じ地色。そこに少し黄味が落ちた金糸でネームを織り込みました。通常金は強くなってしまうので、フォーマル帯を除き避けられて来ましたが、このブルーには相性良く、とっても映えてくれました。

極まれに配色を間違えると、たとえば黒の地色に濃いグレーを合わせてしまったりすると、ネームが見えない・・・。敢えての場合は構いませんが、えっということも無くはないです。

 

配色も難しいですが、コラボのようにネームが決まっていて、それが上手く行かないと、折角作品を使わせて頂いたとしても、どこか間が抜けてしまった感じがしてしまいます。そのため、ここだけに時間をキッチリと割いて細部まで作り込む、それを大事にしています。

今回は見ての通り細かいので、意匠図を製作する際、サイズ、全体のバランスで多少悩みましたが、その分帯に相応しいものに出来上がりました。そんなこともあり、これだけを文様としてモノグラムの様に散らして、柄を作りたい。そんな風に頼んでみようかなと思っています。

 

1

カテゴリ

バックナンバー

  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介

となみ帯

Facebook

LINE@はじめました
友だち追加

新着記事

五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

携帯サイトのご案内

QRコード

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...