となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「総紗縫」と一致するもの

2016年12月21日

不思議な魅力を持つ猫つなぎでモノづくり。


今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。

帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。


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ここから型を起こして、その間に配色を決めたり、白生地を選択・・・。
それらが合わさって、帯揚げとなります。

先日も紹介していまいしたが帯の意匠はこちら
『猫つなぎ』
 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/10/post-2436.html

帯の意匠は、違う織物へ変更して作ることもあります。
たとえば、紹巴織バージョンは袷の着物用で制作、そこからもっとシンプルにして、
夏中心の総紗縫に変更するなど・・・。

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(不思議な魅力の猫つなぎ)

この『猫つなぎ』は、同じ柄に見えないほど修正しましたが、最初の紹巴織から始まって
②紬や③総紗縫と、織組織を3種類も作った珍しいデザインです。

そして、今回の帯揚げ・・・(合わせて4種類、凄いなぁ・・・)。

となみ織物が新しく意匠を作っていない訳ではなく(笑)、過去のモノでも、
なぜか作りたくなってしまう、意匠というのは、たまにあります。

また、他スタッフが制作した自分の好きな意匠を織物を変えて、
自分の意思を入れて再度、作り変える(ただこの場合は大きく手を入れることが多い)。

と新しいモノづくりとはちょっと違いますが、今までとなみ織物が何万と制作してきた柄です、
今一から作るよりも、いいモノ作りができるのであれば、今後も並行して作りたいです。

個人的にはこの帯揚げ作りにハマっています。
型を使う意味では同じの襦袢制作も同様、来年は名古屋帯作りととも、面白いモノが皆さんに
紹介できると思いますよ〜。

もちろん、となみ織物としては、新しいモノづくり、袋帯中心ですので、
少しそれとは異なる動きになると思いますが、それはいつものこと、ご心配なく(笑)。

2016年10月06日

総紗縫→総紗縫の日傘へ

総紗縫ほどある意味織りにくい織物はないかもしれません。
綟織を使って年中結べる。しかも軽くて、絹の復元力もあるし・・・、
そんな織組織の帯はなかなかありません。


マネをしようと、あの手この手でチャレンジされた話を聞きますが、
(相当悪質な手口も聞きも見もしました。 これは笑えません・・・)
それでもコピーされにくい、自信のある織物です。


そんな総紗縫は(織り上がるまでを除くと 苦笑)大変扱いやすい織物です。
帯だけでなく、小物の生地としても使っています。
たとえば、バッグ、草履の鼻緒。
これらのモノは他の織組織でも作れる場合もあります。総紗縫独自いうと、例えば、丸絎(まるぐけ)。

いま製作中の日傘に関しても、他の帯地で何とか無理に作れば別ですが、
見た目、持ったときのバランス、出来上がったときの雰囲気、自然に使いたくなる、
となると、この総紗縫以外にはなかなか思い当たりません。

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この『総紗縫の日傘』。

以前はこの帯地のことを理解してくれていた傘職人さんもいはりました。
が、今では引退されて、しばらく制作できていません。

その間していたのは、見本作ってはそこで止めの繰り返し。

えらく時間は掛かってしまいましたが、
今回、制作して頂く職人・工房は満足できるモノが作れそうだ。
とういうことで、これから制作に入ります、宣言を(嬉しくて)しておきたいと思います(笑)。

帯地は、総紗縫。
今までと同じく裏糸は避ける。
傘としての柄の組み合わせ方。

基本的に今までのモノづくり方針通りで進んでいくと思いますが、やはり
裏糸の限界はどこまでだったら良いんだろう?
帯地が無駄になっても(ホントはイヤですが)、贅沢な柄取りを極めたら、
仕上がりは、どんな風になるんだろう?

そんな疑問とモノづくりの限界には、少しずつ近づきたいと考えています。
ただ、最初からやり過ぎると、ただでさえ難しい総紗縫です、
そこで終わってしまいそうですから、
少しずつ・・・。

皆さんから要望を沢山頂いていますので、確実に進めていきます。

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2016年08月30日

今日の主役はいつもと違いますよ〜

総紗縫の帯というと、皆さん、まず一本目は悩まれます。

『今までに見たことの無い感じの帯・・・。』
薄過ぎて軽過ぎて、柄がシンプル。これって結べるんだろうか?と。


その一本目を超えると、2→3と総紗縫の魔力にドップリと・・・。

今回の主役、表ではなくて、そんな時に便利な総紗縫の裏地について、です。

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両面に好きな柄を選んで頂くのが特長の総紗縫。
3本めくらいの帯になると、裏も表を選ぶよりも、
まず今見ている表の柄を『とりあえず、新しく、帯のラインナップに加えたい。』
そう言われる時は、『裏は無地にして・・・。』となることもあります。


そんな総紗縫ができた当初、裏無地は色数も少なく、本当の無地。
『ちょっと無地過ぎひん?』という少し矛盾した声を頂き(苦笑)、工夫するようにしました。
また、確かに無地過ぎると、織物の構造から織り難にもなりやすい。

それらの改善で・・・。と制作したモノが現行のモノです。

その時この柄は、霞のような雲柄→『霞雲(かんう)地紋』と名前を付けて、
通常の『無地』とは分けていました。が、いつの間にか、無地が無くなって、
この霞雲が無地となっています。

作った方としては、多くの方に使って頂ければ良いのですが、
『この柄には、本当は名前もあるんやけど・・・。』とたまに言ってみたくなります(苦笑)。

随分昔の話なので、もしかして新しいスタッフは知らないかもしれません。
ですので、新しそうな、となみスタッフには、自慢できるかもしれませんよ(笑)。

ぜひ、聞いてみてください。

今日は、裏地にも名前をつけている、メーカーらしい話でした。

2016年08月29日

『8月最後の男着物』

ただでさえ、男物の着物はハードルが高い。その上、夏物。


『だったら、浴衣着る。』


そんな声もたくさん聞きながら、それでも夏は特にカッコいいと思う、男物の夏着物。
おそらく、次に着るのは9月初めになり、その時は単衣物になるので(とは言っても今回の着物はそこでも登場できそうですが・・・)、今年最後の夏男物を登場させてみます。

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まず、
◎羽織:南蛮七宝文様の三重紗。
今月で生産が終了する反物。とにかく軽く、着ているのを忘れるくらいなので、この夏はフルで活躍した羽織です。これの代用品もしくは・・・と来年用はどうするか、頭の痛いところです。


◎着物:格子柄/大島紬の夏物。
シンプルで羽織が無地じゃない場合、結構登場する着物。
これも軽くて風を通すので、よく出てきます。

◎襦袢:南蛮七宝文様の洗える襦袢(絹)
今年、自分が関わったモノづくりの中では最大のヒットだと思います。
少々コスト的に高く付きましたが、機能性は抜群。
今のところ、在庫0なので、頑張って製織中です・・・。

◎羽織紐:純銀細工。
どんな羽織にもコーディネート可能なので、これも夏によく出てきます。

角帯:この日結んだ角帯は、ただいま貸出中で撮影できず。
淡いベージュ色の組紐を繋いだ角帯。年中結べるので、自社の総紗縫角帯と共に、
この夏は活躍しました。


着物のお洒落は、女は男物へ。男は女性物へ。
という言葉を意識しているわけではありませんが、全て女性用の反物で制作しています。

ちなみに、反物の巾は狭いので、そこは仕立て方法でカバーしています。

『男物を着たいけど、なに着たらイイのかわかない・・・。』そんな声もたくさん聞きましたので、今回のように時々紹介していきますね。

2016年07月29日

輪宝文で紗を織ってみました。

帯にするかは、ちょっと横に置いておいて、まず色んな試験を取ってみました。

輪宝文』の総紗縫です。

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唐長11代目奥様好みとして、最近物凄く注目されている意匠。
最初の帯は紹巴織で織りました。

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この帯は、南蛮七宝を陳列する際には常に一緒に持って行きます。
唐長文様同士をコーディネートしたりもしますが、この輪宝文、
気がつけば自然に他の着物の上にコーディネートされ、上手く着姿の顔になっています。

その様子はかなり自然に。
文様としての主張はあるのに、どこでも馴染んでしまう。
唐紙で頂いた異なる配色もありますが、全部そんな感じ、ホントに不思議な柄です。

今回は一番上の写真。
総紗縫の輪宝文の試験です。目出し(試験織)で取ったのは6つ、横段になっている部分です。
色と素材を変化させて、柄の見え方、色の出方、素材によっての帯巾は?透け感は?
等々、1つずつ様子が違うので、チェックしていきます。

生地として織り上がっているので、モノづくりの終盤に見えるかもしれませんが、
全体を100とすると55〜60くらいの中盤です。

最初に織った紹巴織とは違い、各織物には表現力に限界、得手不得手があります。
今回の仕上がりを見て判断するつもりでしたが、この総紗縫の帯に関しては、今のところ無地に近い感覚で、
全体の色目を今まで無いような【青】を使って、モノづくりする。そちらへ持っていくつもりです。

おそらく帯まで持っていけると思いますので、仕上がりを楽しみにしていてくださいね。

2016年07月11日

廃盤・・・。

こう書くと少し悲しい気持ちになりますが、今まで織れてきた、作れたモノが出来なくなるので、実際にそんな気持ちです。原因は色々あります、職人がいなくなった、機や素材が無い、等々。特に、今はそんなことは日常茶飯事的に起こり得ます。

今後も織っていきたいモノに関しては何とか、織り組織を変える等で対応していきます。同柄同配色で極力近づけていきます。ちなみに、雪佳/海路横段はこのタイプです。

その際は同柄なので図案は要りませんが、意匠図(紋図)は一からの制作です。折角作り直すのであればと、元よりも良いモノになる様に作り変えます。元の帯と同じようなモノづくりでも、前より良く。と、ちょっと矛盾したモノづくりですが・・・(苦笑)。

今日は、既に廃盤となった帯を出してきて、これをベースに新しいモノづくりにできないか?と検討していました(折角なのでFacebookでも使う予定です)。

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『総紗縫』

総紗縫を織る前に経糸自体を雪輪に染めて、織ったモノです。
織った後は結ぶには問題ありませんが、織る段は難しく、難モノだらけに(正反率1割程度・・・)。途中、経糸を裁断⇒廃盤にしたものです。社内には写真のようにキズ物だけ残っています。

今日のように、時々倉庫から出してきては眺めて、打ち合わせに使う等をして、失敗は今のモノづくりに活きていますし、これからも活かしていこうと思います。

2016年06月16日

上品綟と総紗縫

ここ数日特によく触れるのが『上品綟』。織物の的には綟り織の一つ、夏の代名詞『紗』の一つです。

となみではこの上品綟の他に、総紗縫という紗の一種がありますが、こちらは改良しすぎと言っていいぐらい徹底して、作り込んでいます。そのため、よく言われるのは『えっ、この帯、紗?』と。そんな風に仲間とは思って頂けないことが多いのです。それに比べて、上品綟もとなみ独自の改良を加えていますので、世間の紗よりも、遥かに豊か表現力を持ってはいますが、まだ『紗』の原型が残ります。

ですので、この上品綟が完成した当時は、となみ織物モノづくりのベテランにとって、長く織っている総紗縫よりも、まだ日の浅い上品綟の方が目新しさを感じていました。そうは言っても、世間は『紗』が残る上品綟よりも、原型がほぼない総紗縫に新しさを感じる。この2つのギャップは最初のモノづくりでは、非常に難しい問題でした。(例えば、総紗縫は無地に近いものでも、お客さんの反応は、お~凄い。となるのに対して、上品綟の場合は、かなり凝ったものでも、お客さんからは、どこかで見たことあるかも・・・。と言われてしまったりしたことも。)

そこから様々な情報を加味し、モノづくりを濃く絞ることで、上品綟自体の良さ、らしさ、織物としての特性を掴み出すことができました。それから、上手く回りはじめ、最近の強みが目立つ織物に進化したような気がします。作り手からしても、実際には『この織物でしか出来ないこと』、当然なんですが、それがちゃんとしていないと、モノづくりしていても楽しくありませんし、続きません。

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『右も左も織物は上品綟』

先日の撮影会はそんな空気もでき始めたのか、総紗縫よりも多くの上品綟を撮すことができました。こうなると、今度は総紗縫!と、また総紗縫モノづくりも盛り上がっていきそうです。

ありがたい事に進めたいこと一杯です〜。

2016年06月14日

撮影会

用途色々で着物の撮影を行いました(自分も含む。笑 それはまた別の話で・・・)。
少し前から撮影の日を決めていて、その基準としては、梅雨に入ってもまだ本格的なじゃないはず(笑)の頃。そんな感じでしたので、前の日から当日の午前中は雨が降っても、昼からは止んで、空気も澄んでちょうどいい頃合い。という狙い通りの撮影日でした。

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私は、撮られる方の役回りもありましたので、着物を着たまま、撮ることもし、バタバタながらも、この時期にあったいい写真が撮れたと思います。

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『上品綟/袋帯、総紗縫/日傘』


メーカーとしては、帯、着物単体を出来上がった際に、見ることが一番多いです。そのため、帯・着物・小物等々、その方の意思でコーディネートされた姿を見るのは、その機会が増えたと言っても未だに幸せです。特に、カメラだと通りすがりパッと見るわけでも無く、ファインダー越しに一つ一つ真剣に凝視することができるので、またいつもとも違った感覚で、自分たちのモノづくりを確かめることができて、本当に良かったです。

たまにはこういう時間を作るのも、モノづくりには大事ですね。

2016年06月08日

御召作り『Kilim』 その1

仙福屋が作る着物で、夏単衣という季節を絞って制作しているモノがあります。柄的に色々と制約があって、なかなか新しいモノづくりが難航していました。『それよりも、もう一方の方を・・・。』と自分から避けていたこともあります(苦笑)が、今の時期やはり、人気が出て、毎年毎年、その人気も少しずつではありますが、右肩上がりです。

そうすると、もう一方を・・・とも言ってる訳にはいきません。案もあるし・・・。やるか・・・。
と決して嫌ではないのです(笑)が、とうとうスタートしました。

現状のシリーズにもある『Kilim(キリム)』の帯図案を活かしてのモノづくりです。

元々のKilimは織組織は『総紗縫』が中心。配色も非常に綺麗な色が多く、個性的な帯が揃っています。→PINTREST参照

それを元に作りますが、色にイメージが引っ張られないよう、頭の中はこんな風に白黒に。

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ここから着物としての柄のサイズ、意匠の方向、織りの見せ方等々を検討していきます。基本的に帯と着物の柄とは違いますので、この段階で良いと思っていたものの多くは弾かれ、再度織物として織れるのか?どこをデフォルメするか、そこを詰めて、進めます。

今日はまだ最初の段階。仕上がりはまだ先ですが、いいものができそうですよ。
一度、進めだすと、楽しくなりますが、それまでは非常にハードルの高いモノづくりです(苦笑)。

2016年06月03日

人気になりつつある、総紗縫の縞。

最近人気の『総紗縫の縞』。
昨日、FB上に着姿をUPしていましたが、写真でもやっぱり皆さんから良い評判を頂いています。

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FB(6月2日)

帯の製織からすると、通常(西陣の場合)経糸は一色の無地(下記写真の様に)が多いです。

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柄や色は緯糸(横糸)で織り成します。
例外的に、となみでも1200経錦(リンク)や二重織がありますが、だいたい西陣はそんな感じです。
だから、一つの経糸で沢山の柄を織ることができます。反対に縞柄の場合、経糸の段階で色糸を縞になる様に並べて作ります。
そのため、一つの経糸からは基本的に一つの縞柄しか織れず、その経糸が機に掛かっている時は、基本的にそれを織り続けることになります。

総紗縫の場合、またもう一つ山があります。それは製織段階で総紗縫独自の繊細なバランスを考える必要があります(細かさや糸同士の綟りなど)。そのため、少しのバランスが崩れるとキズになりやすく、そのほとんどが致命的なモノで、商品にはなりません。経糸を縞にすると、そのバランスがホンの僅かにくるってしまうので、織る段階でまた問題を抱えてしまうことになります。そういうこともあり(そこまでしても、あまり注目されていない縞柄は避ける傾向に)、柄数は増えていませんでした。

ただ、最近は総紗縫2本目、もしくは三本目を持とうと言って下さる方が増えてきてきました。その時『次は雰囲気の変わったモノを・・・。』と言われ、ほそぼそと作っていた(笑)縞に注目が集まっています。

いつもよりも気を払わなくてはいけない、総紗縫の縞。周りの雰囲気で新しい柄も起こされようとしていますので、自分ももう一度触れようかな・・・。それとも『5年後の総紗縫』のモノづくりとお題を立てて、違う表現方法で、新しい魅力を探そうかなぁ、と考えています。

2016年05月25日

399g

随分と時間が掛かりましたが、一つ完成しました。『夏しぼ』シリーズ一柄目。

未だに周りからは『なに、この帯?』という目で見られてしまいます。この帯の前段階(目出し)では、一応『こんなイメージを持って作ろうと思う帯です。』という話はしていましたが、未だに『なに?』です(苦笑)。確かに分かりにくい。。それでも、この反応は総紗縫がまだ認知度の低い時と同じで、それを考えると悪く無いかもしれません(笑)。

帯としての織物は,ハリ、手に持った質感、結んだ後の耐久性等を考える必要があります。それらを気にしなければ、どれだけでも透けさせることはできるし、重量も軽くなります。反対に、透けて、ハリがあって、結んでシワになったモノでも、ちゃんとお手入れをすれば綺麗に伸びる・・・と多くの要素をクリアするとなると、なかなか簡単には行きません。この辺りのバランスを最大限に調整しつつ、軽く薄く制作したものが、この『夏しぼ帯』。

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今のところ、裏地に考えている別組織の織物(おそらく上品綟の無地)を組み合わせて袋帯にすると、400gを切る、399gと予想よりも随分と軽くなりました(予想は420gです)。この次は、上品綟の裏地と合わせて、仕立てして、その上で手持ちや重量バランスを見て、結び心地のチェック。全てがクリアすれば、完成となります。

この織物、目標は、総紗縫と上品綟に続く、夏使える帯の柱の一つになること。まだ一柄目ですが、野望は大きくですね〜。

2016年05月23日

宿題の一つ/南蛮七宝文様

下の帯は、南蛮七宝文様を総紗縫+紬糸で織ります(=紗楽)。
使う糸はグレー濃淡2色。その2つを極力近づけつつ、綟織の特性、透け感の差で文様を際立たせています。
(ここは今回のテーマでは無いので、また詳しく書きます。)

今回は、その上から型を置き柄を入れたモノ。

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普通、型を地柄の上に置く場合、上に重ねますが今回は完全にずらしています。
不思議な立体感と浮遊感の面白さがでてきます。

もともとは12代目の唐紙作品から意匠を頂いたモノ。
簡単そうに見えて、満足行くまでに約3ヶ月掛かってしまった帯です。

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通常、着物で使う型は生地にあわせて真っ直ぐに置くもの。
それをズラして置く、しかも雰囲気良く、上手くズレるように(これが意味不明と言われました 苦笑)。
紗の帯の上に型を置くのも、そんな好まれる作業では無いのですが、色んな注文を付けながらの帯、なんとか一本完成できました。。

宿題として、3ヶ月間ずっと気持ちの中に残っていましたので、ちょっと安心しています。結ぶとき、型の際をお太鼓の中心に持ってくると、印象的な面白い着姿になりそうです。

ブログの更新が少し空いてしまいました。
その間は、出張へ行ったり、打ち合わせだったり、少々バテ気味だったりです。

モノづくりは少し前に進めていたものが上がり始めていますので、自分の中のイメージと比較して修正すべきは修正して、形にしていきたいと思います。

2016年05月09日

ざっくりとした注文を頂いたところから・・・。

 

『こんな感じの柄でこんな感じの色』と、相当ざっくりとした御召の注文(笑)を頂きましたので、まずそのための見本を織ってみました。夏に近づくにつれて、御召の場合限定ではありますが、圧倒的に薄い地色に人気が集まります(帯や他の着物はそうでもないのが、また面白いところ)。

 

その見本裂地です。

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写真の部分で6柄2配色あります。

 

この御召は総紗縫や上品綟のように綟って透け感を作っているのではなくて、緯糸と地紋の工夫と改良で風を通す夏単衣モノに仕上げています。反物を下に置くと、透け感が少なく色の重さを感じますが、着ることをイメージして、写真の様に反物を立てると、濃い緯を通して織ったにも関わらず、透け感を感じることができますし、『これだったら夏に濃い色の着物を着てみようかな?』と思って頂けると思います。

まだ、今のところ出来上がってから日の浅い織物でもありますので、薄地が一通り人気が出た後は、この濃い地色の方で・・・。と画策しています(笑)。

 

薄地色のも含めて、この織物が反物になるまで、試作の繰り返しでした。自分でもプロトタイプのモノを着ていて、完成版は良いなぁ・・・(笑)と、思い入れも沢山(柄によってはこの織物に全く向かず、織れなかったとか)のあるモノですので、大事に紹介していければと嬉しいです。

 

今年はいよいよ自分用に濃い地で作ろうかな〜。

2016年04月26日

人気だったもの。

 

今回の出張で、特に特に目立って人気だったのが、この襦袢。

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【襦袢/南蛮七宝文様】

 

今回の出張の結果、色によって偏りはありますが、納期まで最大5ヶ月待って頂くことになりそうな・・・、多くの注文を頂きました。この襦袢に関しては、以前も紹介したことはありますが、そこから徐々にパワーアップしていって、今は特性がてんこ盛り、『生地があり得ないほど丈夫、洗える(洗濯機)、でもシルクの風合い、しかも柄は南蛮七宝文様⇒見せたくなる、諸々。』になって、使い勝手の面からも良いモノに仕上がっています(お洒落ものだったら、この一枚でいい?)

 

 

 

これをお客さんお見せして返ってくる反応が『こんなのが欲しかった。』と言って頂けます。着物と帯だけではタンスの肥やしになっている可能性がありますが、この襦袢が洗える襦袢が欲しかった=必要ということは、そこから『着物着よう!』そんな意思が伝わってきますので、本当に嬉しいです。

 

自分が着物を来てどこかへ行っても、『いいけど、私は着るところないなぁ。』そんな話を聞くことが多い中、有難いです。

反対に、そういったものが今までモノづくり出来ていないから、着物は着にくい。そういうイメージが強いのかもしれません(反省です)。

 

帯だったら、総紗縫。オールシーズンと軽さ、結びやすさ、柄の多様性、コーディネートのし易さ等々。人気が集まるものというモノは、意識をしていなくても、こういった使う方の立場からの目線が優しくいつも入っています。

『使う身になって考える』当たり前のことかもしれませんが、モノづくりしていて、そこを忘れがち、考えた気になっていることが多いです。ちゃんとやっていきますね。

 

夏に近づくに連れて、涼やかな上の写真の様な色が人気です。次に染めるのは、こんな色かな?もしくは帯でこんな色が出るかな?というのが下の写真。質感のある色。糸で出るかなぁ・・・。

 

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2016年04月25日

夏らしい新色/南蛮七宝文様/総紗縫

 

機が空かなかったため、予定より約一週間遅れましたが、南蛮七宝文様の総紗縫・新色が上がってきました。夏らしい(オールシーズン帯なんですが・・・苦笑)色目で、とても新鮮です。

 

ちなみに、この文様で総紗縫を織ると、構造としては一番シンプルな形です。帯の色に影響する要素は、『経糸、緯糸、箔』の3つだけ。(糸の本数等々の話を除けば)基本的にこれだけで色が決まります。ただし、一番シンプルと言っても、この総紗縫は、独特な綟り織りですので、透け感も特殊。それに加えて、素材の箔も独自のものですので、横に通す糸の色味は、透け感と箔に持っていかれ、非常に仕上がりの予想を立てにくい織物です。

 

今回、織った帯の色目と織り上がりの帯を見比べると・・・。
色味はこれくらい違います。

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『南蛮七宝文様/総紗縫』

 

箔を使わない『KILIM(キリム)』等であれば、もう少し糸に近い色で、クッキリと色を出すこともできます。が、見る角度や光によって、この南蛮七宝文様が消えかねない、それくらいの柔らかな色をイメージしていましたので、この2色はとても上手く行ったと思います。

 

ただ、南蛮七宝文様の紗に関しては色ごと限定3本しか織りません。上手く行ったと満足して止まっていると、その後は直ぐに新しい配色を考えること、というのが後ろから迫ってきます。単なる配色変更だけにしても、常に色のこと、モノづくりを考えておかないと、自分の中の色ストックが無くなってしまいます(苦笑)怖い話です。。。

 

この帯に関しては、後これから2本ずと織り上げていきますが、織り上がり後、機が空いている間等々を考えると、時間は全然ありません。写真のように色糸のイメージだけでは織り上がりも異なりますので、色を考えて、試験取って、修正をして・・・と考え過ぎると、ヤバイ時間が・・・となってしまいます。

遅れるのは良くありませんが、色々と横に置いておいて、新緑の自然の色を眺めながら、色出ししてと、GW中は多少でもゆっくりと考えたいですね〜。

 

まずはこの2色、夏に結んで頂けることを楽しみにしています〜。

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2016年03月18日

若手とのモノづくり

 

若手と一緒にモノづくりを。。。。。。。で今までも何度かお披露目しています。
今度はとなみ帯地の土台の上に刺繍を施す、その土台作りを行っています。

 

商品は【arabesque(アラベスク)】(リンクはPinterest)。
織物は総紗縫+紬の『紗楽』地で製作中です。

 

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『紗楽/arabesque(アラベスク)刺繍土台』

 

この意匠は(黒の共感で非常に分かりにくいですが)草花モチーフのアラベスク。総紗縫の仲間で、緯糸に通常の絹糸と紬を通し、綟り織りで製織したモノ。寝かすと透け感が消え、立てると透ける、総紗縫とほぼ同等。

 

この柄をベースに、くすんだ茶、極めて濃い藍、ひねたベージュを製織する予定です。綟り織の透けと紬の節とで面白いモノになるんじゃないかなぁと期待しています。ただ、若手衆は出張へ行ってしましましたので、最後の詰め部分は引き継ぎがあったつもりで(苦笑)、進めたいと思っています。

2016年03月02日

若手に向かって、自分に言っています。

 

『これで完璧。』と言ってみたいですが、モノづくりでそんなことはあり得ません。同じ様に見えるモノ、例えば以前製作した同柄の帯を織っていたとしても日々進化するように、意識してモノづくりしています。帯の場合、土台となる織組織は完璧に近いと感じても、ずっとそれを織り続けるとマンネリしていきますので、成功するか分からなくても、常に変化をさせるようにします。たとえば、無地だったら地紋を入れてみたり、緯糸の素材を変えたり、糸種が同じでも合わせる本数を増減させてみたり。

 

大きなモノづくりとは言えないまでも、上手く行った時は今まで無かった表現をすることができ、次のモノづくりの核の様なモノになることもあります。日々、この積み上げをする、できなくても意識してアンテナを張っておくことは、とても大事です。稀に、革命的なモノづくりが突然ポンとできることもありますが、うちで言えば『総紗縫』、できてもそれに気がつかないこともあるので、作ったままでなくて、それを使ったモノづくり、その後のメンテナンスが重要です。

 

これは帯の話ですが、おそらく着物も小物もそう変わりません。そう思っていますので、今日は若手とそんな話をしながら、まずは問題意識の発見として、草履の重量を測ってみました(笑)。

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となみさんの草履はちょっと重いな、反対にちょっと軽いな、と両方言われたことがありますが、これが重くても軽くても、これを元に何か進化させる気付きが、今日でてきました。漠然意識ではありますが、小物一つとっても、できるか分からない状態でも、何か変化が起こせないか?常に意識して、より良い面白いものを作ろう!疲れていたり、物凄く売れていたり(苦笑)するとついつい忘れがちですが、とても大事ですね。

2015年12月29日

来年の干支、申。

恒例の総紗縫の干支『しゃざる』。

 

ちなみに、こちらは小猿の方です。

 

少し前は、なにそれ?今でも言われることもありますが、段々と浸透してきたのか、作る前に『来年の干支は?』もしくは『私の干支は・・・。』 と言われることが多くなりました。おそらく、期待して頂いている、ということで喜んでイイんですよね(笑)?

 

この干支ではないですが、オッティの方で活躍の場が広がりそうです。その話も含めて来年は4日から、いきなり全速力で駆け抜けて行けそうです。

 

2015年12月26日

無地とずっと格闘中。

 

シンプルな夏帯、無地に近い形の飽きの来ないシンプルな意匠、色は薄地で涼しげに、織は総紗縫よりも粗いけれども、それでも世間にある紗よりは随分と細かい『上品綟』。糸使い等は今あるものから少々変えて、夏単衣専用、そんな帯を3月までに発表できるように、数柄考えています。そのうちの一つは目出しが上がっています。

 

昔、ある方から『最高の無地が織れれば、欲しい。』と言われたことがあります。どこまで行けば最高か分からないので、とても難しい注文です。今のところ、様々なキッカケで生まれる新しいモノづくり毎に、サイズ的には僅かですが、真無地を少し織っています。寝ていても、『最高の、最高の、無地がほしい』と時々頭を過ることのある言葉です(苦笑)。

 

まあ、そんなことを何年も繰り返していることもあって、やればやるほど無地の難しさも分かるようになります。シンプルなモノほど本当に難しいです。そこに近い、縞や格子など無地的なモノも同様。そのためにまずは足掛かり作りから、と思い織った試験です。

 

写真の帯は、仙福屋のシリーズとして、小物で印象が大きく変わるシンプルな帯を目指しています。イメージがあると言っても、それだけ。漠然としていますので、膨大な数の案が出てきそうです。その中から来年の春が来る頃には4、5柄くらい作りたいと思っています。このモノづくりに関しては、お正月休み中も進めることができそうです。何気なく図案を見て、紋を考えたり、練ったりと進めていきますね。

 

2015年12月11日

まわた、草履、喪

 

価格は、世間にあるモノからすると、おそらく桁が変わるであろう『仙福屋の喪の真綿草履』。製作を初めてから切れず継続して注文を頂いています。セットと考えて作った【総紗縫をベースに作った喪の帯】も同じく、一つの経糸を織り切り次第終了と考えていましたが、数は多くないにしても、また新たに経糸をかけて織っています(それは後日紹介しますね)。

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仙福屋の真綿入り草履/喪

 

この草履を最初に作るとき、あるスタッフからは『(履く機会は少ないから)作るとしても真綿まで要らないのでは?』()内は表情から強く伝わってきました(苦笑)。その意見は世間の相場から見ると大変よくわかります。ただ、お客さんからは『真綿草履をしばらく履いた後、前のには耐えられないし、戻れない。』と言われることが多く、喪に関してはやってみないと分からないものの、耐えらないは人は少しはいるであろう、と思って製作しました。

 

ちなみに、花緒には総紗縫の帯地。台のダックジュエルに合わせて、そのためだけに特別の意匠を作り織った帯地をつかっています。花緒ですので、(バッグとは違い)生地はあまり要りません。結構注文を頂き製作しているのに、帯はまだ一本も使っていません。わざわざ帯じゃなくて花緒の生地のために・・・。と、それが勿体無いと指摘されれば、なかなか反論しにくいですが、完成した草履の花緒を見れば、やってよかったのは間違いなかったです。

 

どうしても、喪の草履は登場回数が限られ、普通履きのモノよりはその分痛みにくいです。また、ダックジュエルの耐久性もあるので、年中使えるオールシーズン仕様だとしても、喪用で一生使って頂ける、と言っても言い過ぎでは無い草履です。

そんな喪の草履、実は自分では、どうオススメしたら良いのか、まだ分かっていません。今日話題に出たこともあったので、、一度文章にしてみました。

 

 

興味のある方は仙福屋で是非。
 ⇒http://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=1297

※製作時間。
 少々混み合ってきましたので、通常40〜50日の後のほう、50日程度でご納品可能です。

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