となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「水仙」と一致するもの

2015年02月13日

やっぱり来たCelticの帯揚げ

 

作楽の帯揚げに続き、『Celtic帯揚げ』の完成です。
この柄のファンの方から、『絶対ほしい!』との強い要望を受けての製作しました。

 

DSC04268.jpg
『Celtic帯揚げ』

 

この柄をケルトノット(結目)は、魔除けの意味があるので、帯もお腹を守り、この帯揚げも魔除けで、
お襦袢に鱗柄を入れたりすると、もう守りは完璧になりそうな、そんな帯揚げです。

それは冗談でも、この帯揚げは職人が型を生地に置き、色入れて染めていきます。
型をずらして繰り返し、黙々と生地と型に向かい集中します。

その様子を見ていると、職人の気持ちが柄の持つ意味以上に、守ってくれる様に思えます。
(手で型を置き作られる帯揚げは、本当に少なくなってしまいました。)

 

このモノづくりは、コスモスやアリス、水仙を作っていたので、その延長に近いモノです。

幾つかの柄を作って、ずっと色違いを作る、そんなのも商売としては魅力的な選択肢です。
ただ、うちはモノづくりをしている会社です。職人に仕事をしてもらってこそ、の想いが強くあります。

売れ筋ができるのは(非常に)嬉しいですが、新しいモノを作り続けるのは、とても大事なことです。

 

この業界の超ベテランから、昔はよく売れたし良かった話も聞くことが多いですが、
爆発的には売れなくても、魅力のあるモノを作るために、工夫して考える。楽しいことです。
今の方が充実している部分も、少なくは無いはずです。

まず、昔の帯屋は帯揚げを作ろうなんて、思わなかったでしょうし。。

 

2012年04月25日

紗の新色で。。

 

久々に、『総紗縫』の登場です。

 

昨日、図案家さんが来られ、通りすがり、

帯をチラッと見て

『この柄、もしかして、私の描いたやつ?』。

と聞かれた帯です。

 

IMGP7432.jpg

総紗縫/新色』

 

見られていたのは、一番手前。

 

柄の生みの親でさえ、即答できないほど、アレンジした柄ですが、

総紗縫の場合、配色の具合で随分と印象が変わり、

柄によっては『新柄?』と思ってしまいます。

 

現在、総紗縫は柄数で400はありますが、

たとえば、紋を作らず、1つずつ配色を変えるだけでも、

大幅に種類が増えます。

 

自分では紋作りが好きなので、よっぽどの時にしか同柄別配色を

作りませんが(たとえば南蛮七宝、渦や水仙など)、モノづくり新人には、

この『配色替えのモノづくり』は、とても大事な場になっています。

 

今ある配色を変えるだけ・・・。

例えば、地の色を白⇒黒、と言っても、色を入れるだけ、

というようには行きません。

 

簡単そうに見えて、実はとても奥行きがあって難しい、

ある意味、手軽に味わえる、モノづくりの苦しみです。。。

 

もう少しで、『モノづくりしてみるか?』という時期、

モノづくり新人が登場する頃なので、頑張って欲しいです。

 

 

ちなみに、図案家さんも自分が関わったモノが形になると、

とても嬉しい顔をされて、しばらくその当時の状況を思いだしながら、

柄について語ってもらえます。

 

2012年04月12日

同じ帯で帯留めを替えてみる。

 

場所も変えながら、同じ柄で同じ三分紐で

モレッティ帯留めを替えて撮影を行なっていました。

 

IMGP7077.jpg

『経錦菊の帯留め』

 

 

IMGP7071.jpg

『水に浮かぶ花(水仙)』

 

IMGP7086.jpg

『アフリカの花』

 

使わないわけには行きませんね〜。

 

 

 

2011年12月19日

アフリカの花

 

以前紹介していた帯が上がって来ました。

IMG_1644.jpg

『作楽/アフリカの花』

 

タイトル通り、アフリカの花をモチーフに製作したもので、

色目はブルーを基調に濃い・中・薄と三段階にして、さらに花の核部分は、

横段に三色わけています。

 

IMG_1641.jpg

 

葉の部分(中)と底の部分(濃い)を逆転させて、配色しているので、

月も出ていなさそうな真っ暗な夜に、ほわほわ飛んでいるような青い花。

そんなイメージです。

 

この『青』を使って、花も渦も月も作って、もう自分の中では

『もうイイかな?』と思っていましたが、好きなモチーフが出てくると、

ついつい製作してしまいます。

 

水仙.jpg

 

この帯も以前作った『作楽/水仙』のかっこ良さとは違って、可愛い?

入っていけそうな隙が沢山があって、このアフリカ花も気に入っています。

 

裏地には、『配色キツすぎませんか?』と言われそうな、手引き横段。

これも合わせてもらえれば、意外にシックリはまってしまいます。

 

IMG_1803.jpg

 

とても面白いので、京小袋もつくろうか、と検討中です。。

 

2011年10月04日

水仙とてんとう虫。

 

いつものように帯留めを作ってもらいました。

一つは、イメージを伝えて。

 

IMGP6264.jpg

『作楽:水仙×水仙カット硝子』

 

 

通常のモレッティ・ノーススターのものと比べて、

何倍もの手間と時間が掛っている帯留めです。

 

その分、難しいなぁと言われていたイメージ、

『水仙を水の中に沈めて、ずっと色が褪せないように。。』

が表現できた帯留めです。

 

 

もう一つは、自分と縁のあるモノです。

 

IMGP6266.jpg

『胡蝶蘭とてんとう虫の帯×てんとう虫帯留め』

 

こちらは、以前から織っている帯の中にもいて、なぜか強い印象の残っています。

他にも、もう幾つかの理由で縁のある生き物です。

 

両方の帯とも、柄の中にあるものをピックアップしただけ、とも言えますが、

着姿のポイントになって、周りを楽しい気持ちにできそうですね。

 

 

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2011年09月27日

ピンク。

 

『ピンク』というと、周りから嫌われている色目です。

もちろん、帯作りの上で、です。

 

少し以前にも織りを錦地で作りましたが、その一本は

お気に入りですが、それ以降はこの色目にあまり触れていません。

 

R0010118.jpg

nord

 

最近、その一本が注目を浴びていたので、

再度考えています。

 

ただ、周りを見回しても

着物と馴染みにくいのか、どこの展示場へ行っても、

あまり『ピンク』は見ることが出来ず、西陣の機屋どこもが、

糸棚にピンクの糸はすでに無い?と思ってしまう、ほどです。

 

モノづくりは、人のしないこと(失敗すること多々)や、

風化しそうなほど昔からネタを捜索して、自分の中で消化、

というのが一つの方法でもあります。

 

そんなこともあって、

うちでもあまり使われていない糸棚から糸を掘り出して、

手探りの試し織りです。

 

その前に、上の写真のようにまず上手く行った流れを使っての

配色からスタートです。

 

IMG_6270.jpg

 

花一色をベタに織れば良いのですが、折角なので、

色を混ぜて(鹿毛引き調に)、奥行きを作っています。

 

また、白地の地と水仙の花の間には『黄』を使って、あまり派手なピンクを

使わなくても明るく見えるように、少し工夫をしました。

 

製品の『帯』とするには、まだ練り込みが足りませんが、全体のバランスは

上手く行きそうな・・・。と手応えはあります。

 

 

2011年07月08日

クリオネ。。。

 

帯屋なのですが、最近は小物ネタが多いブログになっていますが、

今日もちょっと面白いのが・・・。

 

モチーフになることが少ない、『クリオネ』の帯留めです。

 

IMG_5495.jpg

『クリオネ』

 

これも帯留めとして、作ったのかぁと、

ちょっと職人技に感動しました。。

 

思わず泳がしてみたりもしていますので・・・

 →http://p.tl/V9_A

 

 

この帯留めを見ていると思い出しのが、

『作楽』の帯。

 

こちらは水仙ですが、

帯留めの後だとフワフワ浮いているように、見えてきます。

R0013356.jpg

作楽:水仙』

 

そういえば、この帯作った時も花弁のボカシには、

水中の中にいる感じを思い浮かべて作ったような・・・。

 

 

もう一つ、人気だったのが、

アヴェ・マリアっぽくと言われて、製作した楽器の帯留め。

 

R0013352.jpg

『帯留め:ヴァイオリン』

 

正直言って、どのように作ってはるか、見てみたい。

そんな風に思う帯留めです。

 

今日は職人技を感じた一日です。

 

2011年05月25日

作楽:水仙の草履を見ていて。

 

今日、カッコイイ草履が上がってきたので、

しばらく見ていました。

 

IMGP4863.jpg

仙福屋の草履ダックジュエル×作楽水仙のツボ通し花緒』

 

タイトルにもあるように、

花緒は、作楽シリーズの水仙(良く出てくる柄です。)

と台は『仙福屋の草履』でも、ちょっと上のクラスのダックジュエル。

 

それにプラスして、花緒には『ツボ通し』という種類の

仕立て方をしています。

 

IMGP4868.jpg

花緒が羽の様に立ちます。

 

この仕立ては、花緒単体で見ていても、良く分からないのですが、

台とくっ付けると、花緒が持ち上がり、綺麗に見えるというものです。

 

手が早い職人さんではないので、まだ『仙福屋』では、全部がそうでは

ないのですが、こちらも選べるようにしていきたいと思います。

 

と書いていて、この当たり前に言っていることも、

最近は、どんどんと当たり前ではなくなってきました。

 

草履に関しては、台を作る人はもちろん、最高の真綿入り台を

製作できる人は、日本に2人だけ・・・

(類似品が多いので、出来上がりを見ると別物です。)。

と、後継者が難しい状況です。

 

また、花緒に関しても今までのように、綺麗に作れる職人さんは

ドンドンと減ってきて、このまま行けば・・・。

 

帯に関しても同じで、様々な工程で使う道具類も作れなくなって、

職人さんも高齢化で・・・。

と、とても厳しい状況です。

 

たった草履一足、帯一本かもしれませんが、その中にも凝縮して、

拘ったモノ作りできる、こだわれる部分を一緒に職人さんと

作れるというのは、本当に幸せなことです。

 

作る側にいますので、もし、毎日のモノづくりが

ここまででイイやとか妥協に走って、

様々な細部に拘らなくなってしまったとしたら・・・。

 

IMGP4869.jpg

草履のカカト

 

ドンドンと細部が無くなって、草履でいうと、革使わなくいいや。

カカトもあるもんでイイや、多少履きにくくてもイイや、

となると・・・。

あれが出来なくなって、これも出来なくなってしまいます。

 

いざ、いいもんを作ろうとして、

『ここをこうしたい』『こんなモノを作りたい』

と話をしても、『昔はできたけどなぁ。。』

 

そんな風にならないように、毎日こだわってキッチリと

モノづくりをしていきたいです。

 

草履一足見ていて、そう思いました。。

 

 

2011年03月24日

黄尽くし。

以前、紹介していた『作楽:水仙(黄)

IMGP4628.jpg

『作楽:水仙』

 

この『青』のように、

IMGP4144.jpg

『作楽:水仙』

 

帯、帯留めともに好評だったので、

黄色の方も帯留めを製作して、帯の上に乗せてみました。

 

この帯留め、実は帯ができるよりも先に作ったので、

帯の配色の際、(特に最終段階の)修正では、

結構活躍してくれました。

 

そのため、帯の黄色には少し透明感が出るような、

工夫をしています(糸の合わせ方など)。

 

IMGP4612.jpg

 

IMGP4604.jpg

 

ちなみに、この帯柄自体は水仙をモチーフにしたモノですが、

色目は、淡路島で見て、ずっと頭に残っていた花を配色しました。

IMG_0278.jpg

 

頭の中では、もう少し枝や葉が土の色に近くて、

黄色の花だけが、目に入って来るようなイメージです。

 

今から、皆さんの評判を聞いていく帯ですので、

とても楽しみにしています。

 

青は、静かな落ち着き感、

黄色は、動き・元気が出ていますので、

同じ柄ながら、上手く対比できたと思っています。

 

 

 

 

 

 

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2011年02月15日

作楽;黄色・表完成。

先日紹介していた作楽の水仙黄色バージョン。

前回、紹介時には、配色OK→織っている最中で、

一本の帯と見たらどうなるか?と思っていましたが、

上がってくると、イメージ通りの仕上がりでした。

R0012801.jpg

最後の最後まで、花の縁を白にするか、ベージュか、

と決めかねていたのですが、スッと見える白にしました。

 

全体のイメージはどうですか?

IMGP4144.jpg

帯留め載せ、作楽水仙

 

両方共に、納得行くまで配色をし続けていたので、

満足です。

 

後は、皆さんの好みを聞くのが楽しみです。

 

 

午後からは唐長さんへ行ってきます。

 

 

 

 

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2010年12月17日

出張中の新潟です。

京都→福島→新潟→東京→京都と
一週間近く、出張の予定です。

今日は、新潟で着物のイベントに参加

してきました。

自分の作った帯を見たり、
コーディネートした姿を見せて頂いたり、
R0012705.jpg
『作楽×塩沢』

帯締めのブルーと水仙の色目とが、合わさって
優しい落ち着いたコーディネートでした。

Photo 12月 17, 5 57 25 午後.jpg
『仙福屋の御召×トート』

あまりコートにとは、思っていなかった
仙福屋の御召でしたが、これが素晴らしく落ち着いた
感じで、かっこ良かったですよ。

それと、まだ非売品のトートですが、
モデルとして、写真を撮らせてもらいました。

と、着物を着た方に大勢囲まれて、
モノづくりしている立場としては、
なかなか幸せな時間です。

それと、せっかくなので、
いろんな小物や普段見れないものを
揃えて持ってきてみたり・・・

例えば、わんこの帯留めとか・・・
個人的には好きだなぁ
Photo 12月 17, 5 43 16 午後.jpg

なにかと、雪の新潟でわいわいやっています。

2010年12月07日

帯の帯留め。

一例です、
こんな組み合わせはいかがですか?

IMGP4144.jpg
『作楽』の中の代表柄『水仙』です。


IMGP4137.jpg

帯をモチーフにした帯留め。

IMGP4142.jpg

帯柄の中に、同じ柄を帯留めで足す。

頭の中だけで、考えていると、あまり意味が
無さそうですが、こうやって実際に合わせてみると、
とても素敵です。

帯の上に帯留めの置いて、カメラを向けて、
一度、やってみるのも大事だなぁと
ひしひし感じながら、今はモノづくりの案を練っています。

他にも面白そうなのが、
アリスの帯+うさぎ帯留め
音符の帯+楽器の帯留め
の帯に、肉球帯留め・・・


これだけでも、楽しそうですね?。


2009年06月30日

昨日の続き

昨日の、『世界に一本だけの帯』ですが、
評判はイイですよ。
attached.jpg
 ↑この柄です。 

この織り方は、経糸が表に出てきます。
(=経糸が配色を決める)

もし、配色を間違えると、経糸全部が無駄になる、
とても危険な織物です。

ですので、社内でも人によっては手を出さない、
出しても、今までの安全な配色で・・・

となってしまいがちな、織物です。

もちろん危険な分、いい所があって、
生地が手持ち糸の数から考えると、
信じられないほど薄い。

という特徴があります。
(他にも細かいイイ所も・・・)


前置き長くなりましたが、そんな織りを使って、
やってみたくなるのが、

『失敗しても、(気にせず)好きな色を使う。』

ということです。


そして、好きな色というと、
『南蛮七宝+光悦蝶』 蝶々の色、
C6EEC8DABCB7CAF5A3B3CBDC.JPG

『作楽:水仙』の色です。
ssImage2601.jpg


今まで、試し織しながら、合う柄を見ていましたが、
 ⇒http://senpukuya5.seesaa.net/article/122289164.html
昨日の柄と、もう一つがピッタリときました。

結ぶとなると、(配色の好みで)、好きな人にしか、
興味は持ってもらえないかも
しれません。

ただ、この帯で歩かれている姿を見てみたいです。

柄は、雪佳『海路』より。
自分の中で大事にしていきたい柄になっています。

一本だけなので、普通の配色よりも
少し割高になってますが、
それだけの価値はあると思ってます。


今日は、昨日大阪でもらったアイディア
形づくりをしていきます!

それについては
また、後ほど報告しますね~。

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