となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「若冲」と一致するもの

2016年06月13日

こだわりを浴びてきました。

先日は電車に片道5時間少々揺られて、モノづくりの打ち合わせへ行ってきました。
次の午前早めに打ち合わせがあったので、(泊まりたかったけど)日帰り。

5時間✕2は少々堪えます。年?(苦笑)

今回お邪魔したお店とのお付き合いが始まって、まだ数年。と比較的短いのですが、ここのモノづくりへのコダワリと姿勢は半端無く、うちのモノづくりへの共感も含めて、今後も一緒にモノづくりしていきたい、と感じさせられる、数少ないメーカーです。今回のモノづくりも、となみ色が全面に入りますので、0から摺り合わせを繰り返し繰り返しして、進めていくことになります。

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ちなみに、今回は【伊藤若冲の世界】と【神坂雪佳の世界】の着物作り。
若冲の場合、今年の生誕300年には間に合わない可能性も高いのですが、こことのモノづくりの性質上仕方がない(苦笑)、と割り切っています。

本来、帯屋である、となみ織物が着物を作るようになったのは、自社帯が活きる着物を作るため、でした。それが最近は、着物でも、となみらしいコダワリを作り出す。そこに強く意識が無くようになってきましたので、おそらく今後もこことのモノづくりは強くなっていくと思います。

頻繁には来れなくても、出来る限り顔は出したいです。
次回は一泊かな(笑)

2016年05月26日

最大4ヶ月待ち・・・。

最近は待つ、もしくは並ぶことに縁があるようです。若冲展しかり、昨日上がってきた襦袢も、注文を頂いたお客さんに最大で4ヶ月待って頂くことになっています(短縮の努力は行っています)。


この襦袢の良いところとしては、まずは意匠の南蛮七宝、夏としては究極の耐久性、手触りの秘密等々、他にも挙げる点はいくつもあります。が、それだけやりたいことを詰め込んだので、どうしてもコストは膨れ、ヘタしたら着物を買える金額になっています。それなのに、次から次へと注文を頂き、現在では最大4ヶ月待って頂いています。制作する方からすると、なんて幸せな襦袢なんだ、と滅多に思わないことをこのお襦袢には感じます(笑)。


そんな襦袢に今回は新色『白✕金』配色を作りました(写真右)。

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商品として、なかなか上がってこない理由の一つに、満足する数量の生地がまず上がってこない、というのがあります。
そんな状態ですので、生地が限られた中、注文の合間に新色を挟んでいますので、『私の後回し、もしかして?』とのクレームを頂いてしまいそうですが(頂いた納期は遅れませんので、ご安心を・・・ 苦笑)、納期の邪魔にならない限り(繰り返します 苦笑)、新しいモノは加え続けるべきだと思います。

特に、人気が出始めた時や定着しそうな時、ここでなにもせず、注文だけをこなす(=作業)みないになってしまうと、どれだけ人気があっても、いつの間に陳腐化して、はるか遠い昔の過去の商品群になってしまいます。そうやって頭で思っていても、上手く行っているうちは、本気で意識をするようにしないと、手を入れるのを忘れてしまいます。今までも何度かそいうことを経験していますので、今回関しては、少し早めに、意匠は同じでも、ちょっと冒険を繰り返し、モノづくりしています。

今回の金配色は、手にとって見ていただくしか無いのかなぁ・・・。という存在感であふれています。

良いものが出来ました。

2015年07月06日

性格の出る裏無地。

 

袋帯がメインのとなみ織物のモノづくりでは、裏無地作りはとても大事です。

 

合わせ方として表地に動きがあれば、裏地には比較的静かなモノ。
その反対でも大丈夫ですし、表も裏も同じくらいの空気感もあり。

要はなんでも良いのですが(笑)、モノを作る人の性格はストレートに出てきます。

 

昔は字の通り、ほとんどが柄無しの無地で、となみ織物もほとんどがそうでした。
そのまま、思考を停止して、裏地は無地のままでも、そんなに問題はないのかもしれません。
が、現在のとなみ織物のモノづくりでは、真無地はほぼ織っていません。

 

製造からすると、コストを下げるため、表地は自社で織っても裏地は無地屋で仕入れ。
実際に他社ではそうされている所も少なくないです。

ちゃんとそれはそれでお客さんに説明が成されていれば、
それはそれで裏無地の性格の一つかもしれません。

 

となみでは、そこではコストを掛けるべきと考えて、
同じ職人の同じ素材、織るのも同じ時期に拘って、裏地を表地に合わせます。
そのため、表地と裏地の沿いが最高によくなるため、結び易くなると考えています。

それはそれとして、裏無地作りへのメーカーの性格が出ていると思います。

 

最近作った裏地は、生糸の生らしい色を染めて作った淡いベージュにグレーで意匠を織ったもの。
紬の節で全体の色を柔らかくしました。

 

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伊藤若冲の世界/裏無地】

 

この柄の表に来るものは、ドンとしたお太鼓柄です。
 

お太鼓柄のインパクトは6通や全通のモノよりも力が強い事が多いので、
これだけ大柄を裏地にしても、柄の力では負けるとおもいます。

 

それでも、着物の不思議なところは、着物柄が入ってくることで、表の柄よりも
インパクトが無いのに、コーディネートした時の全体の力が強くなる時があります。

しかも、この表の柄を選ばれる方はあまり小柄や大人し目の柄では満足されない、
と作ったときは思っています。だから、表裏の両者とも、大柄で印象的なモノにしました。

 

さて、表の柄はどんな柄でしょうか(笑)?

 

 

2015年07月01日

着物の撮影中に。

 

ちょうど4Fの展示場(本当は和室。いつのまにか展示場になっています。)の総入れ替え
だったこともあり、スペースも空いていたので、その合間を縫って着物の撮影を行いました。

 

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【麹塵染/夏絽訪問着】

写真は試し撮りです。
新しい広角レンズを試す意味でも調度よかったです(笑)。

 

となみ織物で製作するものは、もちろんの帯をはじめ、着物、襦袢、小物などなどと『着物』全般に
渡るようになり、それも随分時間が経ちました。着物も初めは帯屋の着物と言われていました
(どちらかというとあまり良い意味ではない)が、社内に経験値も貯まったこともあり、今では他社には
作れない着物も出来るにようになり、今ではかなりの強みになっています。

 

ただ、着物に関してはCMをほとんどしていないこともあって、まだまだ知られていません。


ですので見せると驚かれます。

先日も、展示場に陳列していると『これってどこの着物。まだこんなの作れるんや。』と
驚かれていました。

 

3Fの展示場もありますので、帯では心づもりをされていますので、
着物に関しては、みなさん相当意表を突かれるそうです。

 

あくまで帯屋ですので、そこからのデザインは大切にしながら、となみ独自のモノづくりを
隅々まで広げていきたいです。

 

まだ新しいレンズを着物に向けながら、そう思いました。
それと着物に関しても、もう少しCMも行っていきますね.

 

 

21時頃にUP予定のFacebookには、若冲の訪問着が登場します。
デザインはもちろんのことながら、技法と色にも是非注目して下さい。
 ⇒
https://www.facebook.com/tonamiorimono?ref=hl


 

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2015年06月09日

今日はその工房の一つへ行ってきます。

 

先週末にふわふわバッグが上がってきました。

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『しぼ織/若冲の世界/ふわふわバッグ

 

よく勘違いされてしまいますが、仙福屋で製作するロット数は、
他から見ると『超』が付く小ロットの製作。8つです。

こういう風に書くと『8個って、一つの帯の柄につき?』と聞き返されますが、
すべての柄のほわほわバッグ、今回の製作数です。

 

それでも一度発注を掛けると、こちらの意図する柄の出し方での裁断、縫製。
全部を日本国内の職人に一つずつ仕上げ行ってもらうので、来週すぐに上がってくる。
ということはなく、1〜2ヶ月もしくはそれ以上掛かってしまうものばかりです。


自分たちのモノづくりも同じで、『つくったもの』『できたもの』がどういう反応を頂いて、
どのように使われるのか?毎日聞きたいですが、そういうわけには行かず(FBには感謝)、
出張スタッフからも含め、できる限り時間を作って、情報収集をやりたいと思っています。

 

おそらく今日行く工房も同じ。情報はとても大事です。

今まで作ってきて定番と言われるものは、これからも作り続けていくために、
お客さんの喜ばれている意見、どういう風に使われているか、あれば改善点の話。

を出来るだけ生々しく詳細に伝えて、これからも新しい気持ちを持って、
作り続けてもらえるように。

 

今から作る新しいものには、自分たちが想定する使い方を伝え、
帯の見せ方をそこに加えて検討、試作、本番と行っていきます。

 

やることは違っても日々行っている帯づくりも、全く同じです。
 

また成果は上がり次第、紹介していきますね。

2015年05月17日

昨日の前段階の話。

 

なかなか決まらない配色の目出し。
ある意味、面白い具合になっています。

 

帯は図案から設計図の意匠図、試験織⇒配色と進みますが、
その配色段階で詰まる(昨日も書きましたが)と、こんな状態です。

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『伊藤若冲の世界』

 

元々、他の織組織であったものが織れなくなったため、新しい組織で新しい意匠図を
作って←ここまで問題なくスンナリと行きましたが、ここからの配色がなかなか決まらず、
色や素材を変え、試行錯誤行っています。

 

これも詰まると本当に出来ないので、ここから一色行けそうなモノを選び、
修正をして、まずは一本織ってみて、全体の流れを見て、今後の方向を決めます。

 

おそらくその一本目が明日月曜日上がってくるので、どうなるか?
このままハマり続けるのか、脱出できるのか?

 

また、報告しますね。

2015年04月29日

出張中に飛んでくる配色確認の目出し。今回は葡萄。

 

出張へ言っている間に上がってきた目出しです。

 

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『若冲の世界』

 

配色確認のため、メールで飛んできます。
写真と実物は全く異なるので、あまり細かい修正は掛ける事はできず雰囲気を掴むだけです。
ただ、以前はそれすらも無理だったので、出張から戻った頃には、その時自分がほしかった色が
分からなくなってしまうこともありました。
(色は、漠然としていて、時間が経ったり、他に刺激ある図を見たりすると消えてしまう)

 

それを考えると、配色はこれ以上大してイジれなくても、しばらく自分の欲しい色の延命をするには、
とても助かっています。

 

今回も、実物見ないとわかりませんが、下から2つ目の地色、その上の葉の色をベースにと、
考えています。

 

 

今日は一日腰が痛い(笑)ので、この目出しを見て気がついたことは、走り書きで。
後は明日、修正して本番につながる様にしていきます!

 

ではでは。

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2015年04月27日

帯屋とは違ったモノ作り全体へのこだわりも増えてきました。

 

新潟2日目。
今日はあまり写真を撮る余裕がなかったので、この一枚。

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今日着ていた製作途中の襦袢です。
初登場で、初めて袖を通しました。

 

まだまだ製品には程遠く、試験織に毛が生えたモノです。
本来だったら10cm程度の目出しを織って、今後どういう素材(糸種)で筬の打ち込みは?
柄は?などと検討する段階です。

が今回は少し無理を言って、襦袢一枚分織った生地を仕立てしています。

 

今まで通りの染めの襦袢(後染め)も、もちろん良いのですが、
織屋として、しっくり来るのは先染めの織襦袢。

雪佳や若冲、夢二等の織襦袢があったら、かなり素敵だ。。。
そんな妄想も先立ったモノ作りです(笑)。

 

途中で止まっている原因の一つは柄の長さ(紋丈)をどうするか?。
長くなればそれだけ襦袢らしからぬ、膨大なコストが掛かってしまいます。
 ←とは言っても、そこまで大きな問題ではなくて、踏ん切りの問題です。

 

二つ目は大きな問題。
生地の風合いや着心地、着物を上から着たときの裾さばき等々。
その原料面。

いくら生地としてモノが良くても、着る姿と着た心地が良くないと問題です。
 ←着てもっさりした。そんなのはもってのほか。

 

今日着た限り、先染めの新しい襦袢として、かなり有望ですので、
明日も引き続き、この襦袢を敢えて着崩してみたり、無理な圧を掛けてみたりと、
生地が沿わなさそうな着物と合わせてみたり。実験は繰り返したいと考えています。

 

もう一つ大きな秘密もありますが、それは完成まで取っておきます。
そのための糸や生地の風に対するこだわりに時間を掛けていますので・・・

 

楽しみにしていてください!

2015年04月18日

今日の着物。。袷モノがもう少しほしい。

 

3日間の出張が終わり、京都へ戻ってきました。

写真を撮ろう撮ろうと思っていたのに余り撮れず、仕方なしに
今日着ていた自分の着物を撮りました(折角出てきたのに残念)。

 

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羽織は御召に紬を通した南蛮七宝文様←昨日は立涌地紋の無地。
麹塵染の南蛮七宝御召。角帯は紹巴織の作楽。羽織紐は仙福屋でもお馴染みの
純銀帯留め作家さんに作って頂いたモノ。

写っていませんがお襦袢は若冲の付喪神。
そんな構成です。

 

夏や単衣モノは最近作りましたが、袷モノは何年も作っていので、
そろそろ自分用に。そんなモチベーションでモノづくりに取り組んで行きたいと
思っています。

 

今日置いていたヤヤコシイ紬の着物(もちろんうちのオリジナル。)を見て触って、
何かできそうなイメージが湧きましたので、早いことこの気持のまま、
この辺りをベースにモノづくりをしていきたいです。

 

これくらい短い出張でも、皆さんから濃いお話も聞けて、とても有意義でした。
福岡の皆さん、ありがとうござました!

2015年02月24日

モノづくり中は、間違いなく無地も柄に入ります。

 

と書くと文字的にも少し違和感を感じます。

ただ、帯製作中はタイトル通り、無地も柄として扱っています。

 

どういうことか?というと、白紙の上に絵を描くと、
特に西洋的な感覚からすると、多くの場合、白は何も無いと見なします。

反対に、伝統的な日本人感覚は、その白にも柄や模様と同じ意味を持たせる、
ことが多くあります。琳派でもその傾向は強く有ります。

 

それに似た感覚、実利的な意味も含めて、帯を始めとする織物も同じです。
無地=『そこに何も無い、何も描かれていない場所』ではありません。

 

意匠図では、当然無地にも糸が通る訳であり、そこには無かったモノとして、
扱わないわけには行きませんし、場合によっては柄が入る部分よりも手を入れる
こともあります。それによって、織物全体の雰囲気、良否を左右してしまうことも。

 

例えば、先日上がってきた、この紬の帯。

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『伊藤若冲の世界より』


色を変えながら、経糸の綴じも変えて、柄になるように。
でも無地という役割を果たしてくれています。

 

この辺り、丁寧に教えてもらうわけでもないので、モノづくりしていく上で、感じ取って
行くしかありませんが、普通の学生生活を送っていて、白が何も無いのではなくて、
『あるんやけど、無地』、その切替は難しいです。

頭では理解してそうで、まだ紙の白がどこかに残っているので、柄の部分のモノづくりに注力
し過ぎて、無地がおざなりになりがちです。無地になったら安心してしまう、そんな感覚。

非常によく分かりますが、そのまま帯になってしまうと、どこかで見たことある?
似た感じの帯なかった?と言われる可能性が高いです。

 

最近、作った帯で上手く行った地紋(あくまで、自分のモノづくりとしてです。。。)。

ここにUPする前、画像修正のノイズを消す、それをイジるだけで消えてしまう、地紋です。

それなのに、この細かなアラレがあるお陰で、紹巴織の良さでもあって、欠点にもなる細密さを
少し弱め、僅かですが遊びや温かみを(帯地は寒色ですが)付けることが出来ました。

 

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木花菱

 

織り初めの時には、経糸の都合で非常に難しく試行錯誤していた引粉地紋。


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senpukuyaの八寸名古屋帯/雪輪

 

 

数千本の経糸が複雑絡み合って作られる地紋のため、上に乗せる柄が繰り返しシンプルな柄でも、
奥行きを感じさせ、『何かありそう?』な深みを作ってくれています。

 

帯を結ぶ方には、あまりにも自然すぎて、なかなか気付いてもらえない部分ではあります。

ただ、着物を着られる際に、そこをいつもより少し注意をはらうだけで、今まで何も無かったと
思っていた無地が活きてきて、コーディネートにも少し影響があるかもしれません。

 

モノづくりをある程度してきて、突然ムジが気になり出してから、作るものが変わってきた
立場からして、試してみる価値はあるはずです。ぜひ!

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2015年02月19日

今日のこと、美術館へ。

 

今日の朝から夕方までは少し遠出をして、美術館へ行ってきました。

モノづくりその他諸々の打ち合わせですが、まだ形になるかも分からない話なので、
どこまで書こうか?難しい所です。今日は全てぼかした曖昧な話になりそうです。

 

モノづくりを刷る際は、①自分(もしくは会社)で図案を考える、②図案家に依頼する、③図案展での入札、
④(うちの特色の)着物業界とは全く関係無いスペシャリストとのコラボレーション。
例えば、神坂雪佳、伊藤若冲、人間国宝の方々。

 

今回の話は④のモノづくりです。

スペシャリストの方々が作られる作品は、帯の図案とは違って、当然『帯』を意識されていないものです。
そのため、これらの方々の作品を直ぐ様帯にすることは出来ませんが、
逆に全く異なる発想で、今まで誰も考え無かった帯図案の元となる可能性があります。

 

ここがそういった方々の作品とのコラボレーションの面白いところで、
今まで何度も『新しい形の帯』が生まれてきました。
『大場松魚の世界』等。

 

もちろん、そのためには作品を使わせて頂くために、様々な契約と許可を頂いています。
(周到な準備をしても、最終モノづくりの結果としては、失敗となることも多いです。)

 

今回はまだ、初期の初期ですので、どうしたいのか?から自分の中で固めなければいけません。
今のところ、今日の美術館も含め様々なモノが並列して走っていて、結構大変ですが、
頭の中で関係ないモノ同士がミックスされて、寝かしているうちに、面白く調理されたものが
形を変えて出てくることがありますので、今のところそれにも期待しています。

 

なにか無いかな?と常にアンテナを張り続けて、拾えるものは拾っていきたいです。

やりたいことは沢山ありますので、できあがり楽しみにしていて下さい。

2015年01月19日

梅と桜。

 

少し先取りと、先日Facebookで『伊藤若冲の世界』から『梅』をモチーフとした帯をUPしました。

引箔と紹巴織の特長でもある、染み込み技法とで若冲の精緻というのを限界まで、
織り込んだ袋帯です。

 

時期的なモノなのか、織り的なモノなのか分かりませんが、
一万人を超える方に見て頂くことが出来ました。

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 →http://goo.gl/wTGJgP

 

引箔の帯は、写真で撮ると箔の色味が出ない、糸と箔との僅かな隆起が沈んでしまったりと、
残念なことにがちですので、今まで避けてきました。

今回も試し試しで撮ったものですが、皆さんのコメントを見る限り、
喜んで頂けたようですので、ホッとしています(まだまだ写真向上の余地はありますね。)。

 

この若冲の帯が評判良かったのと、この時期は『梅』という頭がありましたので、
(御池通を)散歩をしていても、樹木に咲く花は全て『梅』に見えてしまいました。

 

ちなみに、この花は『不断桜』、秋から春に見られます。
秋に一回、春に一回咲くそうです。

 

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普段の桜は春に見ますので、春の空に桜、もちろんそれも綺麗です。
ただ、冬の少し寒色掛かった冷たい青い空に、白い桜の組み合わせは、
頭にある春の『さくら』の組み合わせとは、少しイメージが違いましたので、新鮮でした。

 

これも腕かカメラかは分かりませんが、少し頭に残った色とは違いますので、
普段持つ iPhone以外のカメラが、まず欲しくなってしまいました。

 

 

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2014年12月15日

葡萄完成。

先日、Facebookにも上げていた、若冲の『葡萄図』、
表地織って、裏地織って、それを仕立てして、袋帯として仕上がりました。

 

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『若冲の世界/葡萄図』

袋帯の場合、表地に裏を付けて仮仕立てをしてみると、
『えっ?』と思うことも、たまにありますが、今回はそういうことも無く、
無事完成しました。

 

この帯のモチーフの好きなところは筆記体の様に、蔓がクルクルやひゅっとした
動きを感じられる所です。

この帯は他の織物から『織り組織の変更』をしたモノです。
その時の製作は図案とニラメッコしながらでしたが、今回に関しては、葉よりも葡萄本体は
置いておいて、『生の蔓』を凝視してきました(ただし瓢箪の蔓です)。

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若冲がニワトリを書くにあたって、何日も凝視し続けたことの何百分の一ですが、
今回の紬地の帯を織るに際して、意匠図をドット単位で微修正しています。

比べて分からない程度かもしれませんが、自分なりに活かしてみました。

 

一つの織物が織れなくなり、他の織物で織るために移管していくことは、
今の現状を見ると増えてくると思います。その際は、また意匠図を作らないといけませんので、
少しでも良くなるように、それだけしても全く同じ様にはなりませんので、
ある一面では優れている様に、できる限りのことはやっていきたいと思います。
(元の帯を超えれるも最近は増えてきました。)

 

ただいま、この織組織独特の『茶』がありますので、その色でも織っています。
色を変えて終了とは行かないので、もう少し掛かると思いますが、面白くなりそうです。

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2013年03月18日

京都も春らしくなって来ました。

 

京都も随分暖かくなってきました。

桜と紅葉では京都も観光客の方で一杯になりますが、

今の時期も意外に見どころが沢山あります。

 

杏と梅です。

 

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杏(あんず)

 

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梅や桜はまじまじと見ることはありますが、

杏はあまり見ませんし、周りの方も『桜』と思われていました。

(周りの気温と期待で、遠くからは確かに桜に見えます)

 

着物で言うと、最近は『桜の花』は様々なところに顔を出していて、

年中見られますが、梅はそれよりもずっと季節と連動している感があります。

 

昔はそこまで季節ごとの『花』に興味はありませんでしたが、

今は、花を見るたびに、帯と連動して考えしまします。

 

この日も梅を見ていて思い出すのは、『若冲の梅』。

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こういうのが思い浮かばない時が、モノづくりのチャンスかな?

と思っていますので、花が沢山咲いている時は、出来る限り(花粉症を我慢して)、

外へ出る。

 

重要です。

 

 

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2013年01月09日

長らく悩んでいた帯。

 

 

今日の帯は随分と紋づくりに悩んだ小袋帯です。

 

となみ織物の小袋は、広巾で織ってから、それを半分にして半巾よりも幅が広く、

丈も長い織物で京小袋と呼んでいます。

 

織物的には本袋と似たような感じで、一つの杼が裏と表を同時に織り上げていきます。

 

そのため、表と裏を別々に織っていく袋帯とは違った、

気にしなくて良い悩み事が多く生じてきます。

 

完成したもの

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『京小袋/若冲』

 

 

たとえば地色の場合でも、どちらかに黒を入れてしまうと、

通常その糸が全部に通りますので、色目は隣にも影響して、

色目を薄く織ろうとした、黒に影響され色目がくすんでしまいます。

 

この帯も、その部分が製作する際に、最も悩んだ部分です。

 

当初、いつものように織ったものでは、右に黒に近い色を入れると、

予想通り、左が濁ってしまいました。

 

そのため、極力一つの色目が片方では活きるように、

もう片方では全くの脇役になってもらうようにと、

 

地を通り糸の組み合わせを試験し、さらに地紋も最適なものを作りました。

 

右は左への影響を考え極力薄いグレーを黒に見えるような努力をする。

左は、薄いグレーをさらに薄く見せて、気にならないように地紋で封じ込め、

をしました。

 

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写真を見てもらうと、右と左の地紋が異なっています。

(右は細かな横段、左は細かく叩いたような地紋)

 

 

しばらく、以前紹介したペイズリーも含めて、小袋はイヤだなぁ〜。

というくらい悩みましたので、こういう帯は仕立て上がりが、

とても楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2012年09月13日

襦袢の新作/仙福屋オリジナル。

 

社内では、あまり目立たない存在ではありますが、

オリジナルの襦袢が少しずつ良い評判を頂きつつあります。

 

もちろん、帯屋ですので帯柄を中心に考えたものですので、

あまり世間では見られないモノになっているので、

良いのかもしれません。

 

まずは月々の生産本数の決まっている南蛮七宝。

 

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『唐長文様/南蛮七宝の襦袢』

 

今回の美しいキモノでは、この中の一反が登場しています(P204)。

人気のある色が段々と決まりつつありますが、どの色でも一反持ってしまうと、

他の色も欲しくなるという、不思議な柄の襦袢です。

 

左から2つ目を雑誌に載せて頂いたのですが、

ブルーの南蛮七宝の帯と並んで、ここ最近では一番の反響を頂きました。

 

作家のシリーズで数柄ありますが、

今回は、この2柄です。

 

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伊藤若冲の世界果蔬涅槃図

 

 

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神坂雪佳の世界/八橋

 

 

両柄ともあまり世間に無い襦袢ですし、

生地も様々こだわり抜いた結果、使っている生地ですので、

柄だけでなくて、着た感触も楽しんでもらえると思います。

 

すこしコストは張りましたが、意外なほど長襦袢は目立ちますので、

興味のある方はこれから、少しずつファンは増えていきそうです。

 

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2012年04月28日

砂糖鳥のその後・・・。

 

今日も新潟です。

 

以前、

製作した『若冲の世界/砂糖鳥』の帯留めをコーディネートされていたので、

写真を撮らせてもらいました。

 

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『大島紬×真綿紬×砂糖鳥』

 

こういう帯留めは一品物なので、一度手を離れてしまった後、

こうやって帯と合わさって、会えるととても嬉しいです。

 

帯の緑とあって、いきいきとしていました。

 

 

また、レアの総紗縫とも遭遇できたり、となかなか充実した

出張です。

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『総紗縫×仙福屋の御召』

 

 

2012年01月12日

涅槃。

 

帯を作っていて、この柄どうしても、もう一度作りたい。

たとえば、相当昔の紋柄で、今織れない織物の場合や、

その柄をさらに魅力的にできる、と思って作る場合もあります。

 

ただ、

前者のほとんどが上手く行って、後者は失敗が多いです。

元の柄の印象が残っているうちは、イメージに引き摺られて、

コピーに見えてしまうのか、分かりませんが、とても不思議です。

 

そういう状況でも、もう一度作りたい(元々のは他のスタッフですが)

柄がこの若冲の涅槃図。

 

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大根をお釈迦さんに見立てて書かれたものをモチーフに

帯にしたものです。

 

今のままでも、雰囲気は好きですし、お太鼓にすると可愛らしさもあり、

結ばれる方の評判もとても良いですが・・・。

 

個人的には、これから、色々なモノを引いて、寂しいバージョンを

作ってみたいと、この帯を見るたびに思います。

 

実現するかは、分かりませんが、あたたかいイメージがあるうちに

やりそうです。。。

 

 

 

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2011年12月24日

メリークリスマス!

 

と、(毎年のことながら)全然っぽくない24日ですが、

せっかくなので、この柄を登場させておきます。

 

以前も登場したので、覚えて頂いている方もおられると、

思いますが、『若冲の世界』より。

 

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若冲の世界

 

若冲の絵図をモチーフに製作した(特に違う意味で溶けそうな雪は、ならではですね)ので、

クリスマス限定の柄というわけではないのですが、

『今日ブログへ載せるとしたら・・・?』

と自分の中で考えると、まっさきにこの柄が頭を過ぎっていきます。

 

しかも製作した当初は、

『いくら何でも季節を限定しすぎじゃないかな?』

とも沢山言われもしましたが、今では『みんなが手に取るほど大人気』までは行きませんが、

相当に人気をもらっています。

 

このようにお太鼓にすると、濃縮されたようにいい味を出してくれますし・・・。

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毎年一回、クリスマスの時期に紹介して、密かな人気を呼びたい、

帯の一本でした。

 

クリスマス限定の帯ではありませんので〜。

 

 

 

 

 

 

2011年11月21日

横を縦に。

 

今日の帯は・・・。

モノづくりの横道と言ってもよい、モノづくりです。

 

下は、『伊藤若冲の世界』より虎図をモチーフに、虎縞を敷き詰めて、

うねりのある何かを表した意匠です。

 

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伊藤若冲の世界;虎図(紹巴織)』

 

個人的にも思い入れのある帯で、若冲の強烈なインパクトを濃淡だけで

作りたいと思い、選んだモチーフです。

 

また、若冲の作品自体は『絵』ですので、それに合わせて、

織組織的にも一番平面の『紹巴織』を採用しています。

 

この紹巴織は、立体感以外の表現力に最も優れていて、時間を掛けて、

練りこめば練り込むほど、帯の色目も深くなっていく、やり甲斐のある

織物です。

 

色柄は、緯糸(横糸)を使い、経糸は(色目など)干渉することなく、

織物を設計します。

 

 

今、製作しているのは、依頼を受けているのもあるのですが、

それを反対にしたものです。

 

要は、横で柄を出す組織から、縦(経)で柄を作り出す組織で

織っていく・設計していくというものです(経錦です。)。

 

写真は、ほぼ完成に近いですが、もう後ちょっとです。

IMG_jyakutyu.jpg

『虎図(経錦)』

 

横から縦になると、風合いや微妙な色目、質感、パッと見た感じの印象などなど

変わるものは多いのですが・・・。

 

さて、これを(同柄)作ってメーカーとして何が面白いか・・・。

(たぶん、同じ事をするメーカーは限りなく少ないと思う。。)

 

と言われるかもしれませんが、こういうのは本当に面白いです!

この辺りは、作る人間が楽しむ微妙な喜びの世界です・・・。。

 

イイものができそうですよ〜。

 

 

 

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