となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業 > 『紋図』について

2008年01月22日

『紋図』について

織物は、経糸(縦)と緯糸(横)の交差
でできています。

織るためには、帯を作るための設計図が必要で、
それを『紋図』(もんず)(意匠図)と言います。

図案を元に製作していき、実際には細かいマス目に、
一マス一マスずつ色を入れていきます。

紋図3.jpg
 ↑『伊藤若冲の世界』より

日々、私たちはこれを紋屋さんと呼ばれている
職人さんと一緒に製作していきます。

図案をそのままに設計図に写す作業と思われるかも
してませんが、
全く同じ図案でも、関わる人間のセンスで
完成する帯は全く違ったものとなります。

ですので、この作業は図案を描く、作る工程と同じく
とても重要な所です。

普段私たちが大きく関わる所ですが、
紋図作りながら、頭の中で考えていることは、
最終の
『織り上げの姿』です。

例えば・・・
『ここには金糸が入って、この部分はボリュームを出して、
ぼかして、やわらく・・・』などなど

というのが、頭の中にグルグルと渦巻いていますし、
理想とズレた時は、それに向けて修正するのか、
それとも別のアプローチを探すのかと、考えます。

さすがにこの紋図作りを始めて何年目かは、
『なんだこれは・・・??』
という、意味不明なものばかりでした。

数をこなしながら、常に新しいことを加えながら、
『ここをこうやったら、こうなる』という経験を積みながら、
していって、やっと『自分の頭の中を、紋図にそのままに』
映していくことができるようになりました。

万が一以上に、頭の中以上はできませんが・・・。、
100%に近い、所まで表現できるようになると、
また次の表現の仕方を考えて、新しいモノづくりを
考えて試験を行っていきます。


実際に職人さんの技が見られるのは、下の写真。
(上の方眼紙をアップにした所です。)

方眼紙の一番細かい目が見えルト思いますが、
これが、糸と糸との交差する『組織点』となります。

ここに手で、少しずつ色入れていくのですが、
これを巡って、長い長い時間を費やしています。

紋図2.jpg

特に、色と色の境目(際部分)を柔らかくする際には、
筆で点として一つずつ、つぶしていきます

その作業をされているのが、この場面です。

紋図象.jpg

非常に細かく少しずつ、進めていく作業ですので、
モノによっては、膨大な時間と手間がかかります。

ちなみに、今発表中の『熊野古道』などは、
日・月ではなく『年』単位でをかけています。

この写真の紋図は、まだシンプルな方ですが、
それでも入念な打ち合わせと、
修正の繰り返しで
完成したものです。

紋図1.jpg
『伊藤若冲より』


もちろん、写真のものは、まだまだ完成ではありません。
もう一工夫、二工夫を加えて、試験を織って、見直して、
完成へと繋がっていきます。

まだ、時間のかかる所ですが、
頭の中のイメージからすると、
紋図段階ではなかなかイイ出来です。。

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