2011年11月21日
横を縦に。
今日の帯は・・・。
モノづくりの横道と言ってもよい、モノづくりです。
下は、『伊藤若冲の世界』より虎図をモチーフに、虎縞を敷き詰めて、
うねりのある何かを表した意匠です。
『伊藤若冲の世界;虎図(紹巴織)』
個人的にも思い入れのある帯で、若冲の強烈なインパクトを濃淡だけで
作りたいと思い、選んだモチーフです。
また、若冲の作品自体は『絵』ですので、それに合わせて、
織組織的にも一番平面の『紹巴織』を採用しています。
この紹巴織は、立体感以外の表現力に最も優れていて、時間を掛けて、
練りこめば練り込むほど、帯の色目も深くなっていく、やり甲斐のある
織物です。
色柄は、緯糸(横糸)を使い、経糸は(色目など)干渉することなく、
織物を設計します。
今、製作しているのは、依頼を受けているのもあるのですが、
それを反対にしたものです。
要は、横で柄を出す組織から、縦(経)で柄を作り出す組織で
織っていく・設計していくというものです(経錦です。)。
写真は、ほぼ完成に近いですが、もう後ちょっとです。
『虎図(経錦)』
横から縦になると、風合いや微妙な色目、質感、パッと見た感じの印象などなど
変わるものは多いのですが・・・。
さて、これを(同柄)作ってメーカーとして何が面白いか・・・。
(たぶん、同じ事をするメーカーは限りなく少ないと思う。。)
と言われるかもしれませんが、こういうのは本当に面白いです!
この辺りは、作る人間が楽しむ微妙な喜びの世界です・・・。。
イイものができそうですよ〜。