2013年01月09日
長らく悩んでいた帯。
今日の帯は随分と紋づくりに悩んだ小袋帯です。
となみ織物の小袋は、広巾で織ってから、それを半分にして半巾よりも幅が広く、
丈も長い織物で京小袋と呼んでいます。
織物的には本袋と似たような感じで、一つの杼が裏と表を同時に織り上げていきます。
そのため、表と裏を別々に織っていく袋帯とは違った、
気にしなくて良い悩み事が多く生じてきます。
完成したもの
『京小袋/若冲』
たとえば地色の場合でも、どちらかに黒を入れてしまうと、
通常その糸が全部に通りますので、色目は隣にも影響して、
色目を薄く織ろうとした、黒に影響され色目がくすんでしまいます。
この帯も、その部分が製作する際に、最も悩んだ部分です。
当初、いつものように織ったものでは、右に黒に近い色を入れると、
予想通り、左が濁ってしまいました。
そのため、極力一つの色目が片方では活きるように、
もう片方では全くの脇役になってもらうようにと、
地を通り糸の組み合わせを試験し、さらに地紋も最適なものを作りました。
右は左への影響を考え極力薄いグレーを黒に見えるような努力をする。
左は、薄いグレーをさらに薄く見せて、気にならないように地紋で封じ込め、
をしました。
写真を見てもらうと、右と左の地紋が異なっています。
(右は細かな横段、左は細かく叩いたような地紋)
しばらく、以前紹介したペイズリーも含めて、小袋はイヤだなぁ〜。
というくらい悩みましたので、こういう帯は仕立て上がりが、
とても楽しみです。