2013年03月26日
こんな帯が上がってきました。
今までは総紗縫や上品綟といった帯に多かった、
『+汕頭刺繍』ですが、今回は捩り織ではない帯に行いました。
今回、ベースとなる帯の製作に多少関わったので、
とても気になる一本です。
『神坂雪佳の世界『海路横段』×汕頭刺繍』
単純に全部を刺繍するわけではなくて、横段に柄に応じているので、
(地がそのままの部分に刺繍を施しました)
動きのある帯になっています。
ちなみに、経糸は一切キズつけられず、このようになっています。
この織物自体、経緯のバランスが非常に繊細な織物ですので、
このように経を綺麗に出すとなると、相当の注意を払わないと、
筋が入ったように見えます(キズです)。
ですので、この帯上がってきたばかりの帯を見た時は、
帯一本の長さ(約4m40cm)をずっと一人の職人さんが同じ手で、
高い集中を持って、刺繍を施していく、その姿が目の前に浮かんで来ました。
日本もそうですが、段々と腕の良い職人さんが、色々な事情で減っています。
いいものを作るのも残すのも本当に難しい時代ですが、
可能な限り、やって行きたいと思います。