2013年06月25日
経の犠牲の元にできた総紗縫。
先日出来上がった『総紗縫+麹塵染』。
となみ織物の看板帯シリーズを2つ掛けあわせたものです。
色の変化する糸は、通常横だけに入れますが、
今回のものは、経糸にも入れてみようと、織ったところ、相当織り難く、
どうしても無理でした。
原因としては、
総紗縫も特殊な組織ですが、経糸を綟る『紗』ですので、
経糸の隣同士を交差させいくのを繰り返して織り進めます。
そのため経糸が動かない通常の織り方とは違った負担が経糸に掛かる上に、
これまた通常の染めとは違う麹塵染の糸とではどうしても上手く行かず、
数本を織った段階で断念しました。
大部分が残った糸は、非常に勿体無いですが全て裁断。
原料は無駄になってしまします。
お蚕さんから始まって、糸を紡いで、練って、染色して、整経して、
すべてが無駄になるのは、心も痛いですが、そんな超が付くほど繊細な糸を使って、
数本でも織ってもらえたことは、本当に有難いです。
『総紗縫+麹塵染』
緯糸にも経糸にも麹塵染が入っていますので、総紗縫の透け感と合わさって、
色の深みと浮遊感を感じる帯になっています。
今後は緯だけのモノとなりますが、それでも織れるまでに様々な山を超えていますので、
大事に育てて行きたいと思います。
写真の帯は、額にでも入れておきたいですが、
帯の立場としては結んでもらわないとダメですよね。。。
※総紗縫という織物は非常に繊細な織物ですので、キズとなることが通常のモノよりも、
10倍近く多いですし、何か新しいことをすると、10のうち8,9は失敗します。
以前も雪輪柄で、織るには織りましたが、ほとんどキズ物になったことを思い出してしまいました。
⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2012/06/post-1700.html