2015年02月07日
帯の耐久性、どこまで求めるか?
写真はもう何年も使っている手帳のカバー(最初期の試作バージョン)。
柄は・・・。おそらく写真を一瞬見るだけで、判ってもらえる南蛮七宝文様。
元々は文庫本用のブックカバーですが、毎日持ち歩くか?となると、手帳として使った方が、
おそらく取り出す回数、カバンの中にいる時間が多く、耐久性を見るのにいいと思いました。
しかも柄を周りの方に見てもらう意味でも、文庫本ではやりなさそうな、
仕事中も机の上の目の届く所に、南蛮七宝。
会議中もどこかに南蛮七宝。打ち合わせの時は相手の気が柄に行くぐらいの所に置いておく。
やはり文庫本でなくて手帳の方。そう思って、数年ほぼ毎日持ち歩いています。
使っている帯地の織は風通の『二重織り』。
経糸数、打ち込みを考えて、おそらく帯地の中でも最強の部類(変な表現ですね。)です。
様々な素材と比較して、どちらが強いか?というのも、やっていきたくなりますが、
この世界は生地の強さ以上に、しなやかさ、風合い、発色等の他の要素もあります。
小物にするときでも、帯地を使うのだから(それを忘れないように)、強さばかりに偏らない、
ただの普通の素材と基準が一緒にならないように、絹織物の特性も、捨ててしまわないように
したいです。
ややもすれば、同じ土俵に立ってしまって、自分たちの特長を消しかねないです。
さて、そんな前提の元。最初期の手帳の一番痛むであろう箇所はこんな所です。
数年間、そこまで雑には扱っていませんが、敢えて丁寧にも扱わず、これくらいの組織の
みだれであれば、全く問題と思います。
他にも、紹巴織、総紗縫、錦織、しぼ、本袋、その他諸々、ありますので、
ここまで使い切ったら、この裂地も本望だな、と言って頂けるように、生地の工夫や、
商品自体の縫製、形状等に工夫を加えていきます。
帯は結ぶ、解く、伸ばす、の力には慣れています。
小物作りを通じて、新しい視点を加えながら、バランスは壊さず、新しいものを
作っていきたいと思います。
絹の耐久性は永遠の課題ですので、やっていく価値は一杯あります。