となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業 > モノづくり中は、間違いなく無地も柄に入ります。

2015年02月24日

モノづくり中は、間違いなく無地も柄に入ります。

 

と書くと文字的にも少し違和感を感じます。

ただ、帯製作中はタイトル通り、無地も柄として扱っています。

 

どういうことか?というと、白紙の上に絵を描くと、
特に西洋的な感覚からすると、多くの場合、白は何も無いと見なします。

反対に、伝統的な日本人感覚は、その白にも柄や模様と同じ意味を持たせる、
ことが多くあります。琳派でもその傾向は強く有ります。

 

それに似た感覚、実利的な意味も含めて、帯を始めとする織物も同じです。
無地=『そこに何も無い、何も描かれていない場所』ではありません。

 

意匠図では、当然無地にも糸が通る訳であり、そこには無かったモノとして、
扱わないわけには行きませんし、場合によっては柄が入る部分よりも手を入れる
こともあります。それによって、織物全体の雰囲気、良否を左右してしまうことも。

 

例えば、先日上がってきた、この紬の帯。

IMG_0173.jpg
『伊藤若冲の世界より』


色を変えながら、経糸の綴じも変えて、柄になるように。
でも無地という役割を果たしてくれています。

 

この辺り、丁寧に教えてもらうわけでもないので、モノづくりしていく上で、感じ取って
行くしかありませんが、普通の学生生活を送っていて、白が何も無いのではなくて、
『あるんやけど、無地』、その切替は難しいです。

頭では理解してそうで、まだ紙の白がどこかに残っているので、柄の部分のモノづくりに注力
し過ぎて、無地がおざなりになりがちです。無地になったら安心してしまう、そんな感覚。

非常によく分かりますが、そのまま帯になってしまうと、どこかで見たことある?
似た感じの帯なかった?と言われる可能性が高いです。

 

最近、作った帯で上手く行った地紋(あくまで、自分のモノづくりとしてです。。。)。

ここにUPする前、画像修正のノイズを消す、それをイジるだけで消えてしまう、地紋です。

それなのに、この細かなアラレがあるお陰で、紹巴織の良さでもあって、欠点にもなる細密さを
少し弱め、僅かですが遊びや温かみを(帯地は寒色ですが)付けることが出来ました。

 

IMG_0172.jpg
木花菱

 

織り初めの時には、経糸の都合で非常に難しく試行錯誤していた引粉地紋。


IMG_0175−3.jpg
senpukuyaの八寸名古屋帯/雪輪

 

 

数千本の経糸が複雑絡み合って作られる地紋のため、上に乗せる柄が繰り返しシンプルな柄でも、
奥行きを感じさせ、『何かありそう?』な深みを作ってくれています。

 

帯を結ぶ方には、あまりにも自然すぎて、なかなか気付いてもらえない部分ではあります。

ただ、着物を着られる際に、そこをいつもより少し注意をはらうだけで、今まで何も無かったと
思っていた無地が活きてきて、コーディネートにも少し影響があるかもしれません。

 

モノづくりをある程度してきて、突然ムジが気になり出してから、作るものが変わってきた
立場からして、試してみる価値はあるはずです。ぜひ!

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