2015年02月25日
神頼みの偶然配色で。
帯つくりには要素があって、それは『色・柄・組織』といいます。
今回はそのうちの『色・配色』です。
いつもは原画となる図案を見ながら、紋図の横に糸を置き、見比べながら、
帯色を決めていきます。大体、それが一色目。それ以上どうもならない柄もありますし、
配色を替えて、元の色以上に上手く行くことも少なからずあります。
図案そのままに配色をする場合でも、糸には絵の具と全く同じ色はありませんし、
前者も後者いずれの場合も、大小それなりの配色を行う人間の意思が入ります。
今回はその場合とは違って、ちょっと珍しい、
ある意味人の意思があまり入らない配色です。
上に挙げた3つのうちの組織『経錦』。
経錦は元々中国の漢代(今から2000年以上前)から存在していた織物で、
日本では飛鳥時代にはあって、緯(ぬき)で柄を作る織物の普及とともに取って代わられました。
衰退した理由の一つとして、経糸で柄と配色を作るため、それに全てが左右されてしまうこと。
基本的に経3色で柄を作るので、一度整経した後は、その三色は変更できない。
そういうこともあって、非常にリスクの高い織物です。
逆にいうと、経錦で配色をする際には、先に経糸三色を決めますので、
その三色を使って、違う柄を織るのもそう難しくありません。
そこで、新しい経を整経をする度に、常に南蛮七宝を挟んで数センチ織ってもらっていました。
(ある意味自動的に)自分の感覚とは違った配色を見ることができます。
製品になるのは、何分の一?数十分の一?かもしれませんが、数センチで織り上がってきたものは、
こんな感じです。
この裂地を見ていると、柄同士がぶつかって、
何か新しいアイデアが出てきそうな時もあります。
その中から、拾い上げれたのは下の二色。
ほんの僅かしか影響はもたせられませんが、緯糸で最後の最後の味付けを行いました。
『南蛮七宝文様の経錦』
配色をサボった様に思われるかもしれませんが、途中の工程は色々あっても、
結果が納得いくまでやり続けるのも、モノづくりの楽しい所です。
異なる柄の間に挟んだため、各色3本限定の袋帯です。