2015年03月23日
南蛮七宝文様 上から色を引く。
南蛮七宝文様のモノづくり。
一つの柄を追っかけて、帯の織組織や着物、小物、織り産地まで変えて、
試行錯誤を続けています。帯のモノづくりの要素としては、色・柄・組織ですので、
そのうちの『柄』の部分は切り捨ててしまったモノづくり。
代わりに残りの2つ、色と織組織には徹底して拘ることができます。
その南蛮七宝文様の御召は、南蛮七宝文様の着物を作り始めた際の第一号となる
モノづくりでした。経糸に三眠蚕やブラタク糸を使って製作。
ハリがあって、薄く、単衣でも袷でも選択して頂くことができ、さらに風合いから、
着物でも羽織でもコートでも。また反物の巾も広く織っていますので、男物も可能という、
南蛮七宝文様に興味をお持ちの方には、抜群の広い用途をもった着尺です。
その反物を今回は引き染めしてみました。
通常、あまり先染めの無地では行わないことです。
御召入れた極彩の縞や織物の凹凸に染料が入ることで、文様と合わさって一体どうなるのか?
(ちょうど羽織も欲しかったので、失敗したら、最悪自分で着よう。と)
製作したものがこれ。
『南蛮七宝文様/先染め+引き染め』
元々ある縞に染料が入り込み、その縞が潰れ消えたり、表に出たりしながら、
奥行きができました。また、地に入っている元々の色が上から引いた色とで
干渉しながら、複雑な色になっています。
文様も写真のように浮いたり沈んだりします。
ただいつでも良い感じに上るとは思いませんので、偶然にも多少頼りながら、
着物を作る。そんなモノづくりです。
出来が良かったので、かえって自分の着物にしたくなってしまった、
そんな反物です。