2015年03月24日
南蛮七宝を羽織る。
先日、Facebookにも載せたところ、
他の色も見たい、実際に羽織ってみたい等々の反響を頂いていましたので、
今回取り上げてみました。
この生地は、かなり特殊です。
総紗縫の様に、シーズンを長く着て頂けて、透け感は少ないなりにあるので、軽やかに。
仕立てる前に特殊な加工をするので、水分や汚れに強く、しかも風合いは変わりません。
利点のとても多い生地です。
ただし、欠点が一つあり、それは生地があまり強くないこと。
そのため、着物としてではなく、
コートや羽織など、上から羽織るモノ専用となります。
元々、特殊な透け感がほしい、それに加え上記の利点を最大限活かすため、
『上から羽織るモノのためだけ』と割り切って製作した生地です。
それには十二分応えてくれています。
でも、『専用?』となると、着物とコートどちらでも選べる(作り手のリスクが少ない)
モノつくりが多い中、『ほんとに大丈夫?』そんな空気は流れていました。
しかも、今現在でも製作しているのは、この南蛮七宝文様のみ。
ただでさえ、上がってくる量も少ない。
そう遠くないうちに織れなくなってしまう織物です。
め〜一杯、できることを(配色ですね)やりきりたいと考えています。
今はこの5反(織り貯めしていました)を染め出し中。
南蛮七宝以外にも様々な柄の塵除けやコート生地があります。
なぜ、『帯メーカーがこだわるのか?そこまでやるのか?』
なんども聞かれたことがあります。
その理由の一つには、上から帯を守る。
帯屋としては、帯が可愛いです。
その帯を守ってくれるものにも、やっっぱり一生懸命こだわって行きたくなります。
話は少し逸れてしまいましたが、この紗の織はそう遠くなうちに無くなります。
これで作った羽織やコートを作られた方から、絶賛の言葉を頂く度に、
その後に据えるモノづくりが出来ていないことに気が遠くなりそうです(笑)。