2015年04月07日
モノづくりスタッフと身につく能力 その2
年間、帯にするために何百何千と図案を見て検討、モノづくりをします。
図案展があれば、図案を意識して新しいモノづくりのキッカケになることも
ありますが、それがなくても社内の図案庫に行けば、何かしらのアイデアがあります。
今、企画中のモノも、アイデアが降ってこないと進まないので、
時間を見つけては篭っています。これについてはまた後日。
図案を見ながら時々走馬灯の様に思い出すのは、初めて落とした図案。
意味も分からず、『どの図案が好きか?』と聞かれて、『これ。』と答えたものです。
いま見ると『帯の図案』としては、そんな良い図案とはおもいません(笑)が、
目をつむっても自分で書けそうなほど、鮮明に細部まで覚えています。
(自分では帯にせず、紋作りを横で見ていました。。)
図案に対する記憶というのは、不思議なものです。
意識して図案を見ていなくても、以前見たことがあるか、ないか?
社内に無数にある図案と、見ている図案、製作しようとしている図案と似たものがあるのか?
覚えています。
先日の展示場にある箱からのぞいている一部の帯柄を見て、全体の帯が分かるのもそうですが、
これも社員としての能力なのかもしれませんね。
つい最近目出しが上がってきた帯も、帯づくりを始めた頃に見た帯のリメイクです。
『しぼ織目出し』
この時は経糸に紬を使った帯で、黒地。元々は正倉院宝物の柄ですので、珍しい柄ではありませんが、
その帯を結ばれた姿を見た時に、『自分だったらこうしよう』。
そう思った記憶が残っています。
まだ、写真のように手探り配色状態なので、偉そうなことは言えませんが、時々こういう記憶が表に
出てきて、モノづくりのキッカケにもなります。
この帯も完成した時はぜひ皆さんに見て頂きたいです。