2015年05月08日
何度目かの『味とキズ』
『味とキズ』
モノづくりをしていると常に問題となり、毎日の様に話に出てきます。
天然繊維を使うと・・・、特にうちではほとんどが絹です。
『シルクの肌当たり、光沢、発色、風合い、高級というイメージ。』
大変素晴らしい素材です。ただ、お蚕さんが糸を吐き出来た繭を使い、
糸を紡いで作るものなので、化学繊維とは比べれない程、糸には太細が付いています。
それを使い生地として帯や着物、などの『生地』を織ると、味とキズの問題は
常に生じます。
どれだけ頑張っても、おそらく『全くなんの問題も無いというモノ』は、作れません。
では全てそれを理由にするのか?となると、粗悪品が増えますし、技術は良くなりません。
簡単に言ってしまえば、『味とキズ』の問題はその間となるわけですが、その点について
先日、ある方からご意見を頂きました(その方ご自身の作品への考え方です。)
確固たる技術があり、そこに拘りと、自分の作品へのプライド。
そこに魂を込めたモノづくりした後のモノは、キズではなくて、それは『味』。
反対に全く味も何も無いモノは、面白みが欠ける。
いつもモヤモヤしていた所でしたので、なるほど。
と感じさせられました。
今日まず第一弾が上がってきた『南蛮七宝文様/帯揚げ(夏)』。
『南蛮七宝文様/夏単衣帯揚げ』
以前はどうしても全く同じものに上がらない。
という意味の『難もの』が多く、困っていました。
ただ今回上がってきたものに関しては、そういう意味の難ものが大幅に減って、
一つ一つ生地へ向かわれる職人のプライドと気合いを感じました。
随分前から依頼していたので、やっとですが、
『納期は分からん。』と言われた意味がよく分かりました。
それでも数枚はどうしようも無いモノも上がってきます。
今までの過程を知っていて、ここまでしていたことを考えると、
この数枚のどうしようもない所が、味に見えてきます。