2015年05月14日
ついつい忘れてしまいそうになること。
つい先日あるお客さまが、となみ織物本社の出城(となみ丸?)の様になってきた
ショールームに来られました。
本題は全くの別件でしたが、たまたま小物が映えるために陳列していたプラチナ箔を
メインに使った帯を見られ、帯に穴が開くほどの興味を持っておらましたので、
少々その帯について話をしていました。
この帯のシリーズは新柄を加えつつ、
長い間(5,10年ではきかない)織ってきたロングセラーの袋帯です。
『瑞祥錦』
織組織は瑞祥錦という錦織の一種で織った帯です。
この柄自体の紋も相当昔の作ったもので、今現在、その意匠図を見ても
『はぁー』となるほど手が入ったモノです。
今では死滅しそうな様々な工夫がしてあり、配色に悩みそうなコダワリもあります。
たとえば、
意匠図は元々『白』で織るつもりは無く、色が入っていたモノを想定して作られる。
もし白のみで織るだけなら、もっと緯を減らすことができる(=コストダウンできる)
はずですが敢えて色を織るつもりで、多くの色を配色できるようになっている。
そこを白のみで配色をする、とても贅沢な帯です。
(極論で行けば、白一色で織るため、白のみ通るように設計すれば良い。)
その辺りの説明はなかなか実物を目の前にしても、伝えるのは難しく自己満足だけに
なりそうです割引しながら、話をしましたが、
そんなややこしい説明無しに、帯を実際見て頂くだけで、絶句して頂けました。
ある程度年月が経ったスタッフでも入った頃からあった柄に関しては、
最初の感動はあっても、段々と見慣れてしまいます。自分たちも同じで、
作る際の苦労は知っていても、その帯自体に新鮮な感動を持ち続けることは
大事とわかっていても、なかなか難しいものです。
でも、この日にプラチナの帯を見て頂いて、(そんなに詳しくも説明出来ませんでしたが)
それでも感動して頂けた姿を見て、ココはモノづくりに大事なことだなぁ。。。
とつくづく感じました。
新しいモノを驚いてもらおうと作りつつ、今までの行ったモノづくりも振り返りながら、
新しい新鮮な気持ちで続けていく、かなり難しいですね。
がんばります〜。
いい勉強させて頂きました。