2015年06月19日
ひそませる色
唐長文様のモノ作り。
新しい文様は帯地で順調に進んでいますが、ベースとなるのはやはり南蛮七宝。
⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/06/post-2156.html(参照、輪宝文様)
一度完成させた織や技法を後に他の柄へ応用を効かせることは、
その柄特有の問題(大きさや雰囲気作り)を除けば、そんなに難しくありません。
ですので、今は良いと思うことを南蛮七宝文様で、試行錯誤、繰り返しやっています。
今回、目指すモノづくりは、生地に色を潜ませること。
唐長さんが良くお話され印象に残る『色』は、シックや渋く見えてもきれいな色を潜ませることで、
はんなりとさせることができる。簡単そうで深い言葉です。
糸と染めでどこまでの表現が出来るのか、わかりませんし、自分なりの勝手な解釈になることも
ありますが、まずは『あ、これか。』と自分のお腹の中に落ちるまでは試行錯誤の連続です。
じつは、昔にほぼ同じ目標でモノづくりへ取り掛かりましたが、少々中途半端に終わりました。
失敗とは言えず成功の部類に入るとはおもいますが、落ちる所まで行っていませんでした。
文字で書くとこんな感じです。
白生地には白(もしくは生成り)が潜んできます。ただ、染めて色を乗せても、
見慣れているせいか、その白は目には入ってきません。
以前の時は、敢えて生地に白色を潜ませようと、
生成りではなく、白に染めた糸を使った先染め御召を使い、白を潜ませようと染めてみました。
結果、奥行きを感じる、とても良い雰囲気を持った反物になりましたが、
狙っていた目標までのホンの僅かに届かなかった、勿体無さも感じていました。
失敗というよりも成功だったので、それ以上直すところも見つからず、それはそれで。
だったのですが、今回はある所からヒントをもらい、ベースに使う御召を変更。
色は、『白⇒萌黄色』です。
※春先に芽吹く若葉の様な明るい黄緑です。
経も少し変えて、上から引く染料に馴染みきらないように、工夫もしています。
ちなみに、引き染めで上から引く色は『少しひねたグレー』。
最終の目指す所は、正面から見ると、ひねたグレーが、ふとした拍子に、もしくは光の加減で、
底から萌黄が浮いてきて、薄い地色の着物を着ているような透明感、きれいさを感じることが出来る。
そんなイメージです(文字は難しいですね〜(苦笑)細かい話ではなく、清々しい綺麗さを感じるけれども、
見た方はそれがどこから来ているのか不思議に感じる。そんなイメージです。)
そして、完成した染め上がりはこんな感じ。
写真でその萌黄を出そうと色々してみたので、upしておきます。
この手法ではまだ数反程度の経験しかありません。
まずは一つ目の『おっ』と思えた、成功作です。
今後は、どんな底の色に、どんな色を掛けるのが、きれいなのか?
まだまだこれから試行錯誤して、その感覚を磨いていきたいです。