2015年06月23日
顔は難しい。
織物はどれだけ細かいモノで経糸と横糸の交差点、ドットの世界です。
そのため、ドットで表現となると、どうしても限界がでてきます。
それがモノづくりの面白いところ。その限界を限界と見せないようにどう工夫するか?
モノづくりの大きな醍醐味です。
風景でも花柄でも何でも織物で表現するのは難しいモノですが、
特に難しいモノ、それは『顔』の表現。
例えば、紹巴織で織ったもの。
『狗児/雪佳』。
紹巴織の微細な織りで糸と糸を絵具のように、色を合わせ、中間色を作ったり、
水でぼかしたような柔らかい表現を織っています。
この風神雷神も同じく紹巴織。
陰影も糸の合わせ方で全て織っています。
『風神雷神/百楽』
織物以外では、モレッティの帯留め。
これも織物と同じく、職人の技で一つ一つ砂糖鳥の表情を作ります。
基本的『顔』のあるものはその帯の主題となるものですので、ここが崩れると、
いくら他の背景や生地の感じが良くても、残念な結果に終わっています。
自分の場合は、ここの顔の表情部分が一回で決まらないと・・・。
次のドットはもう少し上にして、表情に鋭さを、、あ、やり過ぎた・・。もう一度・・・。
今後は・・・。
と身動きの取れなくなる穴にハマってしまいガチです。
そのため、一番始めの紋で決めてしまうように、慎重に慎重に紋作りします。
今回のモノは、こんな表情。
一番最初に上がってきた時は、顔の中の目にしか、目が行かず。
他はあまり見ていませんでした(笑)。
紹巴と比べると、一ドットが大きいため、細部を直すのではなくて、
失敗すると全体のサイズから見直す必要があったので、今回は上手く行って、
ホッとしています。
この地に通っている、新しい使い方をしている紬糸にも助けられました。
それはまた別の機会に紹介したいと思います。
顔は緊張します。。