2015年07月06日
性格の出る裏無地。
袋帯がメインのとなみ織物のモノづくりでは、裏無地作りはとても大事です。
合わせ方として表地に動きがあれば、裏地には比較的静かなモノ。
その反対でも大丈夫ですし、表も裏も同じくらいの空気感もあり。
要はなんでも良いのですが(笑)、モノを作る人の性格はストレートに出てきます。
昔は字の通り、ほとんどが柄無しの無地で、となみ織物もほとんどがそうでした。
そのまま、思考を停止して、裏地は無地のままでも、そんなに問題はないのかもしれません。
が、現在のとなみ織物のモノづくりでは、真無地はほぼ織っていません。
製造からすると、コストを下げるため、表地は自社で織っても裏地は無地屋で仕入れ。
実際に他社ではそうされている所も少なくないです。
ちゃんとそれはそれでお客さんに説明が成されていれば、
それはそれで裏無地の性格の一つかもしれません。
となみでは、そこではコストを掛けるべきと考えて、
同じ職人の同じ素材、織るのも同じ時期に拘って、裏地を表地に合わせます。
そのため、表地と裏地の沿いが最高によくなるため、結び易くなると考えています。
それはそれとして、裏無地作りへのメーカーの性格が出ていると思います。
最近作った裏地は、生糸の生らしい色を染めて作った淡いベージュにグレーで意匠を織ったもの。
紬の節で全体の色を柔らかくしました。
【伊藤若冲の世界/裏無地】
この柄の表に来るものは、ドンとしたお太鼓柄です。
お太鼓柄のインパクトは6通や全通のモノよりも力が強い事が多いので、
これだけ大柄を裏地にしても、柄の力では負けるとおもいます。
それでも、着物の不思議なところは、着物柄が入ってくることで、表の柄よりも
インパクトが無いのに、コーディネートした時の全体の力が強くなる時があります。
しかも、この表の柄を選ばれる方はあまり小柄や大人し目の柄では満足されない、
と作ったときは思っています。だから、表裏の両者とも、大柄で印象的なモノにしました。
さて、表の柄はどんな柄でしょうか(笑)?