2015年08月31日
間に合った帯。
今は名古屋の古川美術館に展示されている袋帯です。
『南蛮七宝文様×信夫×光悦蝶』
11代目より作品を見せて頂いて、全てを置いて最優先で取り掛かった帯です。正直、8月29日初日に間に合うとは、とても思いませんでしたが(上がってきたのは28日夕方・・・)、帯巾におさめるための検討からはじまり、図案⇒紋作り⇒配色⇒試験織とほとんど無駄なく進みました。寄り道の多い普段のモノづくりも、その寄り道過程で新しいモノのキッカケになることも多いので、今後も止めるつもりはありませんが(笑)、最短のルートを真っ直ぐ突き進むモノづくりも悪くありませんね。
実際美術館へ運び入れて展示させて頂いたのは、お客様がおられる中でしたので厳密にいうと間に合ったか、と断言するのはとても微妙ですが(苦笑)・・・。
帯を織り上げた後、当然検品を行います。それから、写真にある通り光悦蝶の刺繍を施しました。元々の11代目作品にはプラチナの箔で光悦蝶がそっと置いてあります(これはぜひ作品を見て頂きたい。)。ので、同じ様にプラチナ糸(通常の糸よりも随分太い)を使い、京都の職人に刺繍を依頼しました。裏糸を避けながら、通常よりも太い刺繍糸を使っての苦労は・・・。そんな話もありますが、それは別の機会で・・・。
何回も言ってしまいますが、妥協無く当日間に合って本当に良かった。今でも間に合わなかったら、と考えるとゾッとしますので、とにかく今はホッとしています。あと言えることは、ぜひ11代目の作品に囲まれた、この雰囲気の中でのこの帯を見て頂きたいです。