2015年10月03日
防寒草履から・・・。
最近、ここにupするネタが『帯』というよりも『帯地を使って』のことを書く方が多いので、今日もその流れです。帯地を使って、帯じゃない他のモノを作るには、生地として帯地にハサミを入れなくてはダメです。帯の長さに関係なく、いまだに『勿体ない』そんな言葉が頭をサー、サーっとよぎっていきます。多少は慣れても帯屋ですので、完全に無くすことがムリなのは、仕方がないことです。その代わりと言ってはなんですが、帯を見られた以上に『使ってみたい。』と思われるモノを大事に作っていこうと、思うようにしています。
昔は、帯地を使った他のものというと、直ぐに思いつくのは、利休バッグをはじめとする小物です。そこまでは誰でも思いつきますし、その分突き詰めれば、本当に奥が深い世界です。糸、織組織、意匠、そのモノを作るのに拘れる部分、山程あります。他にも、素材としての質感や機能面。
せっかくハサミを入れたなら、とことんまで作りたいので、帯地に撥水を掛けたり、もう一つ進んで特殊コーティングしたり、今はしています。撥水までは世間にあっても帯地が質的に変わるコーティングまではあまり見られません。さらにもしコーティングを行っても、実用化するまでには、試行錯誤の繰り返しです。たとえば、うちでは2年ほど続けて、試作の山になってできたのが、この防寒草履。
撥水や防塵はもちろんのこと、耐久性、絹の発色、加工のし易さを求めるため、時間と手間を掛けています。そのため、今でもふつうの防寒は、カバーはビニールか革(アザラシ等)、または合皮がほとんどです。帯地を使ってちゃんと帯地らしさを残しつつ、絹の欠点をカバー。ここまではマネされないだろう、と思っています。また防寒草履の場合、カバー部分に柄が入ったら、雪の日でも外出たくなるはず。完成する直前はいつできるんだろう?と、少し摩耗した気持ちで試作の山を作りながら作った草履なので、今でも思い入れのあるモノになっています。
最近は人気も定着してきましたので、大丈夫ですが・・・。それまでは毎年作った分、全然売れず来年一年在庫に眠ったらどうしょう?と思いながら、発注を掛けていました。それが、今ではちゃんと完売できて、また次の年の今頃に新しいモノが上がってきます。
この防寒草履、まだおそらく帯地を使ったモノというのは、ほとんどマネされていないと思います。とことんやってみれば、小物でも、おそらく帯でもそう簡単に追いつけません。帯でも総紗縫は当初、そうでした。今は、仕上がるモノは全然違っても、同じ様な販売方法で販売される帯が沢山出てきています。しかもそういうところに限って、うちが一番最初に考えたと言われたり・・・(苦笑)します。
他にも、草履やバッグで使う、『ダックジュエル』素材も名前自体はうちで作った造語なのに、うちもある。と言っていたところもありました(笑)。ので、今度は『うちが先だった。』と言われないように、ちゃんと商標を取っています(本当はそんなことはしたくないのですが・・・)。
色々と書きましたが、作ったものを守るのも大事ですが、それ以上に同じ所で足踏みをせずに、もう一段大きなジャンプできるように、とことんやらないとダメですね。がんばります!