2015年10月06日
一式着物がほしい(男物)。
仕事の様な趣味の様な風で『男物を着て集まる会(少人数)』を1ヶ月または2ヶ月に一回実施しています。全く着物に興味を持たれていない、お付き合いの方もおられましたので、『いつまで続くだろ?』と少し不安に思いながらも、今月も含め結構な回数を重ねています。最初は美味しい食べ物につられ、最近は着物を着て歩くこと自体にも楽しみを感じてもらえるようになったのかな?
着物業界は、お客様へ着物を勧めるのに、なぜかスーツだったりと、ちょっと不思議な所もあります。実際、販売する方の着物に対する思いは『着物は着るものではなくて、売るもの。』(非常に残念ですが)そんな考えを持っている方も少なくありません。そんなこともあって、男物を着て集まる会が続くというのは、不思議な目で見られたりもします。
最初は、『今日は雨降りそうだし』とか『着る時間が・・・』だから、スーツ?最初の何回は毎回、そんな話も出てきました(気持ちは分かります(笑)。また実際に作られた着物も『一着で夏も含めて、ずっと行けるのが欲しい。』(未だに着物は難問です。。)と言われていました。ただ、会が回数を重ねるうちに、段々と目が肥えてきて、要望も出てきて『やっぱり、自分にはグレーが似合うから、次はグレーで。』『それに合わせて羽織は・・・、任せるわ。』そんな話になって、今では明らかにハマって来られました。
やっぱり、まず自分着てみて少しでも興味が出ると、日常もそれが目に入る、人の物を見て比較する。目が肥えて、自分に似合うものが判るようになる。そして欲しくなる。私も同じで、自然の流れです(笑)。着てイマイチと言われると、どうしょうもありませんが、値段がはるもので、しかも仕事の様な趣味の様な世界です。それでもハマって頂けると、これ以上嬉しいことはありません。
そんなこんなで、『新しい着物が一式欲しい。』と要望を頂きました。しかも、今回は前回のオールお任せと違い『色味の要望』(嬉しいです)を頂きました。それに沿って、お作りしようと思います。色味以外は基本的に全部任せる、と言って頂いています。
それを受け選んだものは『次自分が欲しい物リスト』の中から、その方の要望に応じ、かつ似合うモノを選びました。前回は、着物、羽織共に『御召』。それを踏まえて、選択したモノは・・・。
【左:東郷織物、右:大島紬無地】色目は要望を頂いた通り、黒×グレー。
とかなり落ち着いた感じに。両方の反物とも語りがありますので、納品の際にはどういう思いで作られたモノなのか、それをお伝えしてお納めしようと考えています。いまは要らないかな?とも思いましたが、いずれ必要になる、なって欲しいですので、まず(右から左に抜けても)言葉で伝えるのと同時に紙に書いてでも、伝えておきたいです(笑)。
知っているのと知らないのとでは、着る時の思いの入れようが変わってくると思いますし・・・。
さらに、長襦袢は任された強みで、ちょっと個性の感じる特別なものを入れる予定をしています。
【希少な東郷織物の綿長襦袢】
リストに入れているモノではなくて、その上のリスト自分の取り置き分です(泣く泣く譲ります)。。。今回の着物と羽織は今お持ちモノとのコーディネートはし易く、どこにでも着て行き易いモノです。たくさん着て頂いて楽しんでもらいたいです。
世間一般には、なかなか普及しないと思われる着物、その中の男物。和気あいあいと一緒になって楽しみながら、じりじりと着物ファンが増えればと思います。この会の話をすると、異なる業界の方からは『ぜひ参加したい!』と言われる方も結構おられますので、長く続けていきたいですね。