2015年10月20日
海の波を帯に織り込みたい『海路』図の帯。本袋です。
『毎回、変わったものを特に作ろう!』そんな風に常々思ってモノづくりに入るわけではありませんが(笑)、確率高く、今回も変わった目出し(試験織)が上がってきました。
柄は雪佳/海路図をモチーフに製作したモノです。
『本袋/神坂雪佳の世界/海路』
元々、この『海路』図は神坂雪佳がヨーロッパに渡航した際の海を元に図案したもの。今までも二重織や紹巴織では同じシリーズを織っていますが、今回のモノはそれらの柄とは雰囲気がころっと変わっています。もちろん、図案がありますので、それに基づいて意匠を作り(今回は縦に柄を流すように)、色を表現する部分(メートル)やボリューム感に気を付けながらの製作です。今回は作っている最中に、織物に近づくにつれ『なにか面白くなってきた・・・。』と、当初イメージからは逸れつつも意匠図までは完成し、試験織を作ったものです。
海路図は船旅の中、行く先々の変化ある海を図案されたモノだけあって、活き活きとしています。また、なにか生き物の様な存在感を感じるモノが多いです。そんなことも踏まえて、上がってきた試験織を見ると、(配色は今ある経糸を使いました配色は変更します。)『緩やかにゆったりとした波。でもなんか潜んでいる。』、配色次第で、その潜み方や潜んでいるモノの性格が変わりそうです。
まだこの段階です。当初のイメージから逸れたこともあって、もう少し試験を行わないと、最終どうなるか分かりませんが、設計的には上手く行ったと思います。後は配色を繰り返して、織ってみて、皆さんの評判を聞かないと、この帯の判断は難しいかな?それを聞いて、普段はあまりすることのない、一喜一憂したいとおもいます(笑)。
ちなみに、織り組織は、『本袋糸糸(いといと)』。波のゆったり感を織物の手触りから出したかったので、引箔の凛とした風合いとはまた違った、絹の柔らかさが際立つ『絹糸のみ』と素材はしました。完成まで、もうしばらく掛かりますので、まずは第一報を。。