2015年12月09日
ちょっと心持ち離れて横に座り、眺めていました。
自社の帯に合わせる『こういうイメージの着物が必要だ。』から始まった着物のモノつくり。(本格的に始めてから)20年以上は経ちました。それでも未だに『となみさん、帯屋でしょ?』とか『本業ってなに?』と言われることもまだまだありますが、この20年は経ったというと、『ヘェ~。』という声とともに、自分たちでも意外なほど経ったなぁと未だに思ってしまいます。
それでも生産量的にも、やはり本業は帯屋ですので、若手がモノづくりを始めるのもは基本的には帯から慣れていきます。その帯づくりが、少しずつ進むに連れて、個人レベルでも自分の作った帯には『こういう着物が必要。』という気持ちが芽生えるスタッフもいます。いきなり複雑なモノは心境的にもハードルが高く、周りからも『大丈夫かな・・・。』そんな空気が漂わないこともないので、まずはシンプルな御召から。
その時頭をよぎるのが、格言の様に言われている『シンプルなモノほど難しい。』という言葉。知っていて、人から言われても『わかってるわかってる。』とそれぐらい染み付いていても、やっぱり最初はワナに引っ掛かってしまいます。(苦笑)。自分もそうでしたし、まだこれからも何回も落ちると思いますが、簡単なモノほど『見くびりやすい』ので、ワナから抜けにくく、どちらかと言えば、経験になるとしてもハマらないほうが良いです。そのためもあって、若手のモノづくり(御召の場合)には横にいて、プレッシャーにならない程度の見学をする様にしています。極力アドバイスも控え、口を出さない様にもしています(これもまた難しい。。)。
今日はそんなモノづくり。やはり横にいるだけにしていました。製作するモノも以前製作した意匠。織組織もカッチリとしたモノです。後、主に検討するのは配色。それのみです。さらに、その配色も、今まで山の様に試した配色を参照に、この中から選んで下さい的なレベルです。しかも、本人の意欲も『こんな着物が必要。』と思っているので具体的なイメージもある。
なのに、いざ実際に織る色を選ぶ段になると難しいし、戸惑います。だから、モノづくりは難しんだ、もっと経験を積まないと・・・、と言いたいところですが、自分も最初のモノづくりは同じでしたし(確実に)、今は経験と慣れとで、悩み辛くなりました。でも、果たしてそれで新しいモノづくりが出来ているのかな?と考えると、そこはちょっと悩むところです。
今回の配色を中心とした組み合わせだけのモノづくり。モノづくりで言えば簡単な部類でしたが、今まで誰もその組み合わせで選択していなかった(思いつかなかった)ものです。おそらく仕上がりは、(彼のイメージ通り?)品のある春を呼び込む様なモノに仕上がると思います。
僅かかもしれませんが新しい感性のモノづくりです。ちゃんと探せば、まだまだ新しいモノが作れる空気は沢山落ちていますね。大変、勉強になりました。ほんと感謝感謝です。