2015年12月15日
龍紋;試しの初反。
11月27日に途中経過を上げていた『唐長文様/龍紋』。全体の流れを見るためにもまず一本を製織しました。この段階で南蛮七宝文様の着物と合わせるのが楽しみですが、その気持をグッと抑えつつ、配色や糸使いを中心に細部の修正をしていきたいです。
【龍紋(初反)】
織物は紹巴織。となみ織物の得意とする織組織です。筬での打ち込みが多く細密な表現が可能です。通常は糸もしくは箔を通し、フォーマル、セミフォーマルに結ぶ帯が主体ですが、今回に関しては、緻密な隙間を縫って紬糸を通しています。それとお太鼓の真ん中に来る龍に関しては、糸の綴じ方を綾目が出て、僅かに隆起する様にしました。中心の龍と端にいる龍とはその点で色とボリュームが変わって見えます(中心の方が少し白く見える。)。
なぜ、こんなことをしているのか?というと全ては陰影のためです。シンプルな意匠の分、何も触らないというのは有りだと思います。ただ、できれば拘るだけこだわって、パッと見てもその拘りはわかりにくい。使っているうちに何となく味わいが出てくる。好きになる、そんな風にできれば。そう思ってこの紹巴織をこの意匠に使い、素材、糸の綴じをその方向に向けるようにしています。
まだ修正の余地はあるとは思います。ただ、裏も付けていない丸巻きの段階の帯を巻いているだけで、なんかいい感じ、いい雰囲気が伝わってきます。そんな空気が写真から伝わればイイなぁと思っています。