となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

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2015年06月08日

次の一歩。『輪宝紋様』

 

唐長さんとのコラボで製作している南蛮七宝文様。

取り組み始めてから気がつけば随分と月日も経って、
そこには(少なくとも)十数年のノウハウが蓄積されています。

帯で、紹巴織、総紗縫、紬、しぼ、千寿錦、秘錦、紗楽、上品綟で8組織。
着物も御召や大島、紗、三重紗、ブラタク×2等。
さらに、小物もバッグ、草履、財布、帯揚、ショール等。

 

好きにモノづくり?試作作り?させて頂いていますので、
同じ期間で比較すると、通常のモノづくりよりも、遥かに多くの経験値がたまっています。

 

次の一歩として現在は2柄目に取り組んでいて、今までの路線には、全く同じ様には
乗せられませんが、山ほどの失敗(苦笑)をしましたので、根気強く
それらを活用しながら、進めることができると思います。

 

2柄目は、この『輪宝紋』です。

DSC05461.jpg
『輪宝紋』

 

この紋様は、11代目当主と奥さまとの打ち合わせの中で、
柄と色を幾つか選択して頂き、その中から、まずは・・・と選ばせて頂いた柄です。

 

この柄を選んだ理由はいくつかありますが、その一つは・・・。
南蛮七宝がありました。

となみ織物のモノづくり、スタートは当然帯からの製作です。
そうすると、関した帯に合わせたくなるものは、南蛮七宝の着物。

だったら、はじめに取り組むのは、南蛮七宝とは趣きが少し変わるもの。
候補となっていた数柄は、全て素敵でしたが、まずは2つの版木を使った
(その時点で趣きが異なります)この輪宝紋がいいのではないか?

そんなことから選びました。
おそらく何を選んでも間違いないから、余計に迷いました(笑)。

 

この輪宝紋は、七宝繋ぎと同じ様に、吉祥紋様の一つです。

意匠図を作る際に、この柄とずっと向き合っていると、柄の意味、配色関係なく、
柄に惹きつけれられるました。

なにか、あるな、この柄。
文章では説明できませんが、今はそんな感じを紋様から受けています。。

 

まずは頂いた唐紙の色に合わせた配色を行っていますが、
『糸』と『和紙』ですので、全く同じにはできません。

そのため、同じ空気を纏う位の雰囲気を近づけたいと思っています。
それを考えると、現状はまだ色を修正する余地があります。

今後、そのあたり詰めていきたいです。

 

 

この帯も、検品が終わり次第、となみ丸で他の着物との親和性を試したいと思います。
柄の大きさ、色味、やりたい要素は多くあります。

 

 

他の自分としてのモノづくりも、昨日の本袋も含め、山ほどあります。
一つずつ、確実に乗り越えていきたいです!

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2015年06月03日

定番の御召作り。

 

一箇所に留まってしまいそうで『定番』という言葉はあまり好きではありません。
が、『仙福屋の御召』に関しては、敢えてそうなっていいと思っています。

 

世の中に着物地が減ったといっても、まだまだ選択するモノは沢山あり、
その中から最適な一枚を選ぶのは、楽しいですがなかなか困難です。

そんな時に初めて手に取る着物として、もしくは手持ちのほとんどの帯に合わせ
ることのできる着物として、定番は必要だと思います。

 

先日紹介した『Kilim菱』(一番左)。
今日は他の2色が上がってきました。

 

Kilim菱.jpg

 

今まで製作した御召の柄は30ほどありますが、こうやって全ての柄に
別配色を作ります。ものによっては8色、少なくても4色。

 

いつもは新しいモノ、面白いモノをイメージしながらのモノづくりですが、
この時ばかりは、無数の色糸から柄とケンカしなさそうな色を選び、見本で織って、
ひたすらピンと来る色を探す、そんな静かなモノづくりです。

 

となみ織物の着物といえば・・・。
段々と定着してきましたので、ここはこれからも堅実にやっていきますね。

 

 

2015年06月01日

総紗縫のまとめみたいになりました。。

 

よく言われます。
帯ってこの柄、一本しか織らないのですか?

 

図案を描き、設計図(紋図)を作り、試織してとなると、一本のみでは採算が取れません。
時代を先走り過ぎてか、遅すぎたのか、そんな時代は来ないのか、わかりませんが、
頑張っても(苦笑)一本しか売れないモノもあります。

 

もちろんコスト面だけではなくて、一本目ではキズが多く織りなれる二本目に
安定する、という技術的なことも意匠によってはあります。

 

ずっと同じ柄同じ配色でそのまま織って、売り続けることもできますが、
となみ織物ではしたくない、新しいモノづくりして、多種の柄を世の中に発信したいと考えています。

 

そういった意味でも、総紗縫は非常に人気の織物で、売れ筋を追っかけていれば、
大変有り難いですが、同じ配色の同柄ばかりにならないように、新しいものを1柄作っては、
今までのモノを1柄廃盤としています。

 

遥か昔は、同じ帯が何百本も出た時代もあったそうなので、そんなの気にせず売れるものを
作って売ったらイイ、そう言われるメーカーもありますが、うちでは基本的にやりません。
(例外が出そうなのは、裏無地。同じ柄で被ってくることも、
 それでも意識的に避けるようにしています。)

 

そんな嬉しいような困ったような織物の代表、総紗縫。
当初のモノづくりは箔のみで織るシンプルなものでした。

そこから上記の様な新しいものを。という声に押され、モノづくりして、
大幅に可能性を広げてきました。

 

大きく流れを書くとこんな感じです。

 ☆初期紗⇒緯を入れる⇒切り替え横段⇒プラチナ箔、純金箔使用⇒蛍光糸⇒併用シリーズ『彩』

 ☆後加工としては、『汕頭刺繍』、『相良刺繍』、『竹屋町刺繍』、『スワロ』等々

 

となります。

改めて書くと、『ほーっ。よーやってきなぁ。』と感慨深いです。

 

最近はこの『黒』も定着してきて、今は『黒+』も一緒にモノづくりを行っています。

 

IMG_0094.jpg

『黒+』

 

はじめのはじめは、ほとんどが軽い思いつきです。

そこから作っても、ほぼ100%失敗してしまいますが、ほとんどが失敗してからの2回目で、
方向性や成功の確率が決まるので、この目出しもこれをどう持っていくか?探りたいです。

 

あまり体調が良くないので、治してからがんばります。
多分、最近の京都の気温ですね。

 

 

 

2015年05月30日

今年じゃなくて来年用の・・・。

籠バッグです。

 

SDIM0213.jpg

『南蛮七宝文様/椰子籠』

 

今日上がってきたので、
早速陳列してみたところ、夏の風を感じました。

 

写真のものは、襦袢地を使い製作。
その他にも、この籠用に織った上品綟組織のモノもあります。
ただ、製作数は大3つに小3つの計6個だけ。

評判や使い心地を聞いてから、来年どうするか考えようと思っています。
(出来上がりのモノは試作じゃないけど、試作のような商品です)

 

巾着袋を籠の中に入れるので、当たり前の様に袋に使う柄や織物を検討していました。

ただよく考えてみると、着物地や襦袢地はまだしも、帯地で巾着袋を使える贅沢。
また巾着袋にしても違和感を感じない裂地の軽さや厚み、外から言われて思い出す、
自社帯の優れたところです。

 

この辺り下手くそです。
もっと訴えてないと、といつも色んな人に同じことを言われています(苦笑)。

 

 

 

 

2015年05月28日

(襦袢ですが)モノづくり過程を並べる

 

去年から特にお気に入りの夏単衣(動く人は通年を通じてOK)襦袢地です。

 

SDIM0193.jpg
『南蛮七宝文様/夏単衣+α襦袢』

 

会社の向かい『となみ丸』にこうやって陳列をしています。
この生地、ただの色違いの様に見えますが、実はちょっとずつ性質が違います。

 

そんなに大したことではないですが、この襦袢ができるまでの、
モノづくりの変遷ショートバージョンです。

 

まず、一番向こうの『白✕白』。この生地で一番最初に作った南蛮七宝襦袢地です。
色も生地も、誰にも文句をいわれることのない、夏にぴったりお襦袢です。

次に、一番手前『白✕碧』。
この生地を染める際、襦袢屋さんに夏物は(透けるので)こんな濃かったダメですよ(売れませんよ)。
と反対&止められた色味です(笑)。今までのモノからすると大変気持ちはわかりますが・・・。
そんなことなかったです。

 

写真のモノは試作で、去年実際に完成したものは『こんなのが欲しかった。』と言われ、
驚くほどの評判をいただけました。(完売です)。
もちろん反抗心みたいに世間に無いものを。と思って作っているワケではなく、
『着てみたい!』と感じてもらえる様に、できるだけ先回りして作ろうとした結果だと思います。

 

そして、真ん中は今年の色。
白とアイボリーに少し茶を入れた色味のモノです。

 

こちらは洗えるようにしています。
自分の洗濯機で実験を繰り返し行いました。

『ここまで洗ったらアカンやろ』と心のなかでは思っていましたが、
全く問題ない生地感です。
実験の様子はこちら⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/03/post-2071.html

 

できた完成品をポンと陳列するのはとても簡単ですが、この場所ではモノづくりの試行錯誤を
過程と共に感じていただいて、楽しんで頂ければいいかな?と思っています。

スタッフも自分の身になった体験談を話せるようにと、一生懸命モノづくりを頑張っています。

2015年05月27日

過去の難問 その2

 

今日も

前回に引き続き
雪佳の世界を総紗縫で織ろうとした目出しです。

 

カキツバタと同じ難問があります。
それは帯一本にずっと流れる『流水』部分です。

 

DSC05308.jpg
『総紗縫/神坂雪佳の世界』

 

 

そこを見ると流水は3種類あります(同じ紋を素材を変えて織っています)。
(一番上の少しザラザラした箇所①、真ん中のグレー掛かった所②、下の白に近い部分③。)

 

『味の回』でも触れていましたが、帯で使うものは天然繊維です。
目で見たり手触ったりしても全くわかりませんが、均一性が完全にあるはなくて、
ほんの僅かな太細はもちろんあります。

 

この流水部分は、その僅かな太細で地に『味に極めて近い』微妙なキズが出来てしまいます。

それが出てこない、又は隠れる様な織り組織であれば解決できますが、
この総紗縫はその辺り全く容赦のない、こまった織物です。

 

上で①〜③で上げた部分は、特にそのむき出し部分ですので、
おそらくこのまま織り進めたら、5本織って5本とも正反ナシとなりそうです。

 

以前はここで止まっていました。それを再びやり直しをしていますが、やはり詰まるところは一緒。
過去の自分と同じところで詰まった瞬間、その時のことをハッキリと思い出しました(笑)。

 

昔なかった地紋を地に入れることでほぼ解決できるはずですが、
今回、その地紋を知っていても過去通った道を完全再現してしまいました。
『作り手自体のモノづくりのクセ』は直らないなぁと感じました。。。
はぁ、、、です。

 

もう一柄、同じく雪佳があります。

つぎは過去の自分に負けないように頑張ります〜。

 

2015年05月26日

帯以外のものも。

またまた雪佳

 

つい最近こんなのが上がってきました。

DSC05346.jpg
 

軽く身長を超える高さがある雪佳のバナーアップスタンドです。

いつもは図案や図を八寸二分の中にギュッと収めることを意識しますが、
これは思いっきって拡大。

モノづくりストレス一杯な時、スッキリする大きさです。(笑)。
(やっぱり帯巾が好きで、落ち着きますが。)

 

『雪佳』の帯つくりをしているので、まずそれを知って頂く入り口部分のモノです。
モノづくりと違ったこういう部分、あまりが上手くないのが、となみ織物でしたが、
そういう社風(?)を少しずつ変えれるようにがんばります。

 

単純に原画を拡大したわけではないので、これだけ大きくても大味にはなっていません。
データでも手を入れて、雪佳らしさは残すようにして頂いています。

 

帯や着物じゃないので、単純に拡大して印刷。
そうすれば手間が掛からず安くて楽なのかもしれませんが、折角作るんだったらと、
これにも相当力を入れていました。

 

この近くに陳列するはずの帯や着物に注目をして頂きたいですが、
そこまでに誘導するこのバナーアップスタンドへのコダワリにも少々注意を払って
いただけると嬉しいです。

 

2日連続、カキツバタでしたね。

2015年05月25日

過去の難問 その1

 

まだ若かりし頃(笑)、途中まで製作した雪佳の総紗縫。

総紗縫の初期の方に製作したモノで、途中そのときの限界を感じ、しばらく寝かしておいた
モノづくりです。

 

スタッフから
『雪佳の総紗縫って作らないのですか?』と聞かれ掘り出してきました。
(先週掘り出して、目出しまでは織りました)

 

なにが問題か?というと、
単純に製品として織れない。そんな難問です。

DSC05302.jpg
『八橋/神坂雪佳の世界/総紗縫』

 

ブルーで織ったカキツバタの花の部分、ここの上げ方も相当怪しいモノですが、まだ比較的マシです。
他の部分の白濃淡は、織ってみないと分からないものの、おそらくこのままではキズだらけになります。

 

最後まで完成せず、止まっているのが改めて納得する状態です。

 

完成までまだまだですが、この柄の総紗縫がお太鼓にきたら、間違いなく素敵な着姿になります。

それを頭に置きつつ、心が折れないように、紋を修正していきたいです。

 

 

タイトルに『その1』と付けたのは、まだ同じ時期に同じく雪佳の総紗縫で止まっているのが、
この柄を入れて3柄あります。

 

今後、まとめて全部上手く行くかもしれないし、2柄だけかもしれない。
そんなのも抱えています。

2015年05月24日

となみ丸

 

昨日まで会社向かいのショールームで『夏単衣小物展』を行っていました。
(準備を少々お手伝いしました。入り口はこんな感じです。)

 

IMG_0010.jpg

 

元々ここは倉庫。
となみ本社は企業秘密がそこら中に広がっていて、なかなか入って頂けません。
ので、そのためのショールーム(出城となみ丸?)です。

 

このショールームでは基本的に帯や着物はコーディネート見本程度にしか置いていませんので、
小物を中心とした、他の出張組の参考・参照になるために、陳列のテスト舞台となっています。

 

 

自分の仕事スペースでもありますし、常に2〜3人のスタッフもいます。

打ちっぱなしの棚は可動式ですので、並べる商品、棚の位置、季節によっても
ゴロッと変えれば、気分も変えれて良い環境ですね。
(そういえば観葉植物に囲まれた環境より私好きです、と言われました。)

 

それでも何かのキッカケを作らないと、そうは変えれませんので、
数ヶ月に一回の時々は『〜展』を継続して実施していきますね。

 

個人的には『南蛮七宝文様』で埋めつくしたいです。
いかがでしょうね〜?

そう遠くないうちに誰も来なくてもやろうと画策中です。
今日は『楽しみにしていて下さい。』ではなくて、『楽しみにしています』です(笑)。

2015年05月23日

雪佳本袋。その一

神坂雪佳の世界より

雪佳が渡欧した際に見ていた海を図案化した『海路』。
今まで八寸名古屋帯で製作したり、紹巴織や雲龍錦で袋帯を製織していました。

 

今度は『本袋』で挑戦したいと思っています。
現在、手元にあるのは雪佳の図案のみですが、イメージは出来ていますので、
このモノづくりは停滞せず進めれることができるはずです。
(そうでないと、経錦に入れない・・・(苦笑))

 

今日の夜にFacebookにもUPされると思いますが、たとえばこの柄。

 

DSC05295.jpg
『海路図/神坂雪佳の世界(雲龍錦)』

 

今のところ、4柄ほどピックアップしています。
できる限り、レトロさを残しつつ、結び易さ、軽さ、耐久性の進歩というか
今現代の織物の良さは取り入れて、製作したいと考えています。

 

この絶妙の空間と配色バランスは図案のまま、帯に濃縮できれば面白くなりそうです。

 

相変わらず法則通り、進みたい方向からは外れています。
良いモノができれば、いいかな(笑)。

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