となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 『日記』

2016年11月04日

修学院・唐長工房へ。

修学院の12代目工房へ行きました。
しばらく見てもらっていなかったモノや試作を交えて、秘密のモノづくり&企画会議中です(笑)。


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『経箔/名古屋帯』

自分ではほんの僅かに理解し始めたかもしれない、と勝手に思っていた唐長文様のこと、
今日の打ち合わせの間だけでも、『ホントにまだまだだなぁ。』と深みを感じながら、
圧倒されてしまいました。

唐長文様を帯にする場合、唐紙を見せて頂いて(場合によってはお借りして)、
そこから新たに、帯としての図案→意匠図→試し織→帯にしていきます。

その一つ一つの工程、どこを取っても、唐紙の空気感を織りにするコダワリと、
そのままモノづくりした場合、帯地としてどうなのか?の間にスッポリと挟まってしまって、
しばらく作業は進まず、悩むことは多いです。


そこから進めるために、たとえば、『あー、もうこれでいいわ!』と自分の中で納得してしまおう。
と諦めそうになりますが、そんな時は一旦一呼吸おいて、できれば、次の日くらいに『あかんあかん。』
またやり直そう〜、となります。そんなこと、よくあります(苦笑)。

減ってはきましたが、そうなってしまうことが今でも時々ありましたが(だから勘違い?)、
今日の様に、面と向かって唐長さんの話を聞かせてもらうと、ここに関わっている有り難さがわかって、
次のモノ作りへのモチベーションが頂けます。

そんなことをしながら、会社としては何十年、個人としても20年近く唐長さんに学ばせてもらったこと、
驚くほど、本当に沢山あります。

また、この秘密会議の行く先、楽しみにしていて下さい。

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2016年10月31日

伝統産業×イノベーション  西陣の匠の技等を建築・インテリアに!プロジェクト第二弾 三井ホーム「禅の家」内覧会@相国寺門前町




『西陣織、清水焼、京漆、京銘竹、京唐紙、丹後ちりめん、京杣木等』をインテリアなどに採用。その中の『西陣織』として選ばれ、地袋(一番下の棚)部分の襖に帯地を使って頂きました。

意匠は、唐長文様『光琳大波』。
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『地袋の部分に帯地』

帯部分のちょうど真上に、唐長一二代目が制作された唐紙の『光琳大波』があって、
見ていて、ほっとする様な『イイ感じ』の空気を流れています。

去年の古川美術館で行われた『唐長の世界』と似た、同じ空間に配された、唐紙と帯。
思った以上に、コラボとしても、今回行われた形は良かったんじゃないかな、と思います。

そして、今回の帯の織組織は、『紹巴織』。

襖に貼る話を伺っていたので、帯地の裏側(織り糸が見える方)の綴じを最大限細かくし、貼りやすくしています。そのための新たに設計をしました。また、襖に貼ると、帯地の居場所は、お太鼓以上に平面部分ですので、陰影を意識した織りに。文様のシンプルさに気を付けながら、損なうこと無く、仕上がったと思います。また、本来はこのためだけに作った意匠図でしたが、意図は全くしなかったけれど、帯地としても面白そうなことも見つかりましたし、今後に色々と発展させていけそうです。

今回は正確を期するため、引用だらけになっています(笑)。
まずは報告まで・・・。

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2016年10月24日

『ふわふわバッグ』の発注を考える・・・。

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ふわふわバッグ

このバッグは、帯屋泣かせです。


一つを制作するのに必要な尺は、バッグ史上最高の長さを必要とします。

また仙福屋の小物作りには暗黙のコンセプトには、

『着物のお太鼓姿をバッグにも。』があり(笑)、

帯地をタレ先から順次、必要な長さをカットして制作していく・・・。
というわけにも行きません。

バッグでも花緒でも、その帯の持つ魅力が一番伝わるところを中心に据えて裁断、
縫製をします。ということは、ほとんどの場合それはお太鼓部分の柄ですので、
裁断の際、端切れとなる帯地も一杯出てしまう、本当に贅沢な作りです(苦笑)。

さらにさらに、その柄を出す部分のこだわりも凄まじくなっていて(苦笑)、約2m。
一つのバッグを作るのに、帯地を要する場合があります。

帯の長さは、約4.40mですので、割り算して、2つ・・・。

※端から端まで使えるような柄であれば、3つギリギリ取れることもありますが、
それは、ほぼ例外・・・。


では、『それでも、なぜ作るのか?』

少し現実的な理由としては、バッグ自体、大きいものから小さいモノまで
デザインが無数にあるため、折角できた人気の型は続けていきたい。
そんなこともあります。
が・・・。

それよりも・・・


パッと通りすがりのお客様を惹きつける形。
持たれている方からの絶賛。
バッグの用途としても優れている。

とあれば、作るしか無い・・・。
本当に泣かせてくれるバッグです(苦笑)。


今回、発注を出すのは『CandyCircus』シリーズの『アネモネ』。
しぼ織をふわふわバッグに。

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『アネモネのほわほわバッグ』

バッグ元々のふわふわした形に、しぼ織のしぼ感。
当初、このバッグを作り始めたとき、この相性が一番良いと考えて、制作。

それから随分と経ちましたが、今見ても、いい組み合わせだと思います。


ちなみに、着物とは少し離れたお客さんの多い、舟田さんの個展でも、このふわふわバッグは展示して頂いていて、
そちらでもイイ評判を頂いています。


※帯地を作るのに、絹糸・金銀糸などの原料、織り手さんの工賃、紋・図案費を考えると・・・。
と割が間違いなく合わない・・・となりますので、余った経で織った生地、
もしくは織キズが出た場合、そこを外して裁断などなど出来る限りの努力を行っています。

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2016年10月19日

『作楽』袋帯、制作試運転中。

少しずつ『作楽』シリーズを再始動させようと、今までのモノづくりを振り返っています。
自分が関わってきたモノの柄、色、織り方はキッチリと覚えていても、モノづくりの時点で
その意匠をどう料理したのか?←一番苦労したところなんかは、不思議と・・・、特に
忘れています(苦笑)。

つい先日、じっと眺めて、着物の上にのせたり、小物を合わせたりしていたのは、
この『作楽』シリーズの袋帯。。。


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『作楽/二重織』

柄的には、なでしこをはじめとする小花をいかに白く見せて、残像の様な印象を残せるか?
そのためにフチ取りの『白』の糸使いに焦点を合わせて、制作した帯です。


それは覚えても、一番苦労したところは一番目立たない地紋部分。
これを入れないと、柄の白部分と小花全体が安っぽく唐突に柄があるように見えてしまう、
そうならないために、入れた黒・濃いグレー濃淡。ここが(気付いてもらいにくいですが)
大変でした(苦笑)。

それを思い出したのは、意匠図を見たとき。
『なんで、この柄作るとき、こんな遠回りしているやろ?』と、改めて気づくまで、
全く、この部分に一番時間を掛けて作った。そのことを忘れていました。

そんなこんなをしつつ、自分がしていたモノづくりのコダワリを再度見つけながら、
モノづくりの試運転をしています。

準備しながらも、作りつつ。
もう少しで試作の八寸名古屋の帯も上がってきます。
また紹介しますね。

2016年10月17日

唐長さん尽くし。輪宝文の御召も

昨日一昨日とお客様が京都へ来られていました。
本社に来ていただくのが、メインイベントでしたが、その前は特別に、
工房見学等で色々と体験して頂きました。

その中の特別な一つに唐長さんの12代目の工房(修学院)へお邪魔させて
頂きました。さらに、今回は特別に唐紙の制作工程も目の前で見て頂き、
(しかも12代目自ら・・・)数名のお客さんにはミニ唐紙講習も・・・。


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事前にお客さんにはこの辺りのことはお伝えてしていませんでしたので、
大きなサプライズにもなり、良い感動を持って帰られたと思います。
(実際に、唐長さんの話はこの後ずっと話題にされていました。)


12代目、ありがとうございました。

一昨日昨日とそんなイベントがあり、さらに先ほど図ったかのようなタイミングで、
唐長文様『輪宝文』の御召の仕立も上がってきて、一日唐長気分に浸っています。

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『御召:仕立て上がり』

経糸はベージュの濃淡縞に、黄緑で文様を淡く織ったモノです。

また、この着尺を作る際にあった自分の中のイメージと見比べるために、
帯と合わせてみて・・・。

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また結ばれた所を紹介させてもらいますね。

そんな2日間でした。。

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2016年09月24日

今日・明日と『CandyCircus展』

今日明日の二日間限定で、

京都の本社向かいのショールームで『CandyCircus』の個展を行っています。


今まで制作してきた帯・着物・小物が全て集合するのは、初。
多くの作品と一緒に陳列するのも、初。となみ織物としても、こういう個展は、初。

と初・初尽くしで、皆さんからどんな反応を頂けるのか?


不安も結構ありますが、小さなスペースにギュッと詰め込んだ『CandyCircus』の世界観を、
とにかく見てもらおう。まずは、そんな気持ちが一杯のイベントになっています。

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(帯と作品が一同に・・・)

これからも、年に一回くらいはこうやって、作品や帯を見て頂ける機会を作れればと考えています。
そうできるように、まずはこの二日間やっていきたいです。

私は今日は一日。それと明日の午後から最後まで、スーツでカメラマンをしている予定です(笑)。
どうぞよろしくお願いいたします。

『CandyCirCus』Pintrest
 →https://goo.gl/uPyLg7


DSCF0043.jpg
(これから入り口には目印が入ります)

2016年09月20日

まずは、『きものサローネ』参加報告・・・。

先週末から昨日まで『きものサローネ』へ参加してきました。
となみ織物としても初。今回は2つのシリーズを中心にブースを作りました。


1つは『南蛮七宝文様
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もう一つは『CandyCircus

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100社近いメーカー、問屋、小売店が参加されていましたので、
それを見に来られた何千人というお客様の目的もさまざま。



ちょっと広い『和』に関係するという括りでは同業なのに、扱う商品、価格帯、

見せ方も異なり、大変勉強になりました。

ただ、3日間日中ずっと立っていましたので(トータル25時間ほど・・・)、
今日は足がパンパンです(苦笑)。それに加え、台風のため、会社は早仕舞い。

モノづくりは明日から再スタートです。

2016年09月16日

お月・・・。

昨日の夜は中秋の名月。

ということもあって、
帯の意匠でお世話になっている(おそらくとなみ織物中では、私が一番。)
お礼も兼ねて、超望遠を持って撮影してきました。

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『2016年9月15日撮影』

ここまで望遠で撮ると、京都の月でも東京のも北海道のでも、大して変わりませんが(笑)
昨日の京都はどんより曇り。
時々雲の隙間から顔を出す、月をじっと待っているのも良いもんでした。

今日から来週初めまでは東京出張。

イイ刺激をもらって帰ってきます~。

この帯も持って行きます。
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『唐長文様【光悦月】』

2016年09月12日

準備月に突入。

先週初め、今週末、来週末、来月初め、と何やかんやと、イベントごとが続いていきます。 そのため、準備のバタバタで、気だけが急いています。


先週は、京都の白沙村荘で、トークショーでした。

前日搬入、当日の商品搬入陳列、本番、そして撤収と、何か考える間もなく、あっという間に終わりました(笑)。慣れないことに気は使いましたが(苦笑)、皆さんの帯への反応が楽しかったです。

ここから始まって・・・。


そして来週が東京で『きものサローネ』。右も左も分からん状態での初出場。未だによく分かってません(苦笑)。『ちょっとも知らんの?』『イメージぐらいはあるやろ?』等々と周りの方々に何回言われたことか・・・(笑)

分からんなりに、スタッフと一緒にショールームで、練習展示してみたり・・・。と涙ぐましい努力はしています(笑)。ここで見せたいモノが本当に沢山あります。が、スペースは相当限られたものですので、いつもの様な大量の持ち込みは止めておこう・・・。でも・・・。そんな感じの準備中です。

また、ここではトークショーと同く、となみ帯については一からの説明になることが多い(ほとんど全部?)と思いますので、極力見て、触って感じてもらえるものを中心にと考えています(予定は唐長文様『南蛮七宝』と『CandyCircus』)。


この週はどうなるんでしょうね?

そして、その次の週末は本社で『CandyCircus』の発表会。展示は舟田潤子氏の作品をメインにして。これも初めての試みになります。試行錯誤しながら、できれば細々と長ーく続けてれるように。

これもどんな形になるのか(笑)?

来月はおそらく『奄美へ』。ある柄(初めてのもの)の途中を見に行きたいとおもいます。その他、諸々も予定していますし、天気だけ何とか保つ様に・・・。今まで何度も行っているので、このイベントが一番安心かな?
(と言っていて、そんなのが一番危ない・・・? 笑)


他にも、今月末までには異業種とコラボする生地の見本を完成させる期限があったり、結構今からの9月から10月までは、ギュウギュウの忙しい日々が続きます。

2016年09月07日

「Demitasse ✕ でみたす」トークショー

トークショー、参加してきました。


demitasse×でみたす表.jpgのサムネイル画像
 →http://www.hakusasonso.jp/exhibition/detail/-demitasse.html


打ち合わせでは、トークの内容は、帯の話を中心で大丈夫ですよ。
(それしかできませんが・・・笑)とは言われても、当日フタを開けるまでは、
どんな方が来られるのか?分かりません。



出来る限り、
どんな話でも出来るようにと、社内から色々なモノを持って行きました。



例えば、おそらく来らる方のほとんどが見られたことがないであろう、
帯の図案・紋図、杼・繭・原糸・染め糸・金銀糸・筬などの道具類、

あとは、それらが合わさり最終形となる帯。
豪華なモノから最新のモノまで本当に盛り沢山です。

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当初、道具類をメインにして『帯を作る工程等の話から、どれだけ大変なのか。』
それを訴えるのも良いかも?と考えていましたが、それはほんの僅か。


今回は、いまは着物に興味を持たれていなくても、帯の意匠や色、手触り。

普段、身近には着物が無い方が多いので、話すよりも、まず一杯触って頂く。
そんな内容を中心にしたつもりです。

結果、予定時間を超え、『おそらく質疑応答も無いだろう。』という予測も当たらず、
数名の方からご質問も頂けました。

何人かの方には興味を持って頂けたのかな?と思っています。

他にも方陣に組んだ撞木に帯を掛け、広間にはその帯たちしか無い。
そんな空間を作ったりと、個人的には非常に楽しみました。


DSC01020.jpg


課題は、毎日おこなっている『帯を作る』ことなのに、いざそれを出来る限り、簡単に伝えること。
本当に難しいです。

それは、大事な仕事の一つ、
課題だらけですが、頑張りたいです。

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