2010年02月03日
『光琳大波』の場合。 好きもの
昨日は、『南蛮七宝』の袋帯を紹介しました。
今日も、唐長柄『光琳大波』です。
今までも帯の紋にはしていましたが、ある所で、
これと似た柄を見て(うちの帯ではありませんが)、
とても残念に思ったことがあります。
それで、もう一度製作し直したいと思って、
モノづくりに掛かっていました。
試作を織って手直し、また織って、
との繰り返しの中で、今回出来上がってきたものです。
先程上がってきたばかりです。
まず地の部分には柿渋を使った引箔を使い、
とにかくシンプルに色んなものを削いで削いで
削ぎ落として作った帯です。
作りながら思っていたことなのですが・・・
着物の世界には、織と染があって、
織の場合、表現にある面で制限を受けると言われます。
(経糸と緯糸(横糸)の交差した組織点が柄になるので・・・)
もちろん、その面はありますし、否定はしませんが、
ただ織の中にも染にはなかなか出来ない表現もあります。
それをシンプルな形で生かしてみたかった、ということが、
強く思っていたことです。
まず、昔からある柿渋染めを箔としてベースにする。
そのベースに、糸を乗せてシンプルに上げる。
書くとたったこれだけ。
いつものように『ここが拘りです。』と際立ったモノはありません。
ただ、引箔と糸が通るシンプルな紋作りに、キッチりと時間を掛け、
一色だけの色の配色に時間を掛けて、自分の感性に合う引箔を使う。
趣の違うモノづくりの中、仕上がったものは、
とても満足の行く仕上がりです。
この裏も織り上がっていない帯を見ていたら、この大波と一緒に、
ゆらゆらとした良い空気が帯に漂ってきました。