となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 『日記』

2016年05月01日

一旦休止。

 

となみ織物は、5日までのGWに突入です。体調不良からも、やっと脱しつつ(もうちょっと早かったら良かったのですが・・・ 笑)、あります。この休みの間に、仕事的にやってしまいたいことが沢山あります。あれもこれも、例えば、もっとデータで図・図案を触れる様になるとか・・・、(毎年毎回のことながら)図案・書類・走り書きを整理する、だとか。詳細にそれらをこの日記に書いて自分にプレッシャーを与えるのも良いですが、いつも『あー休みが終わる!』と休みらしくない過ごし方になってしまいますので、今年は密かに例年と違うパターンで、コツコツとこなしていきますね。

 
それプラスして、3〜4月はモノづくり以外で、本当にバタバタとしていましたので、十分に時間が取れなかった目出し(試験織)の検討はやりたいです。そのために、ちょっと前に上がってきたモノから直近まで、写真に撮ってきました。それらを見ながら、この織物で次にどんな柄を織る?色は?それがもし上手く行ったら、その次はどういう表現ができそう?等々、ちょっと先までのことを(社内にいなくてもできますし、かえってやりやすい)想像、膨らませておいて、準備をしておきたいです。
 
そんなことで、なんやかんやとやりたいことはありますので、充実しそうなお休みになりそうです。今年は、頭で覚えておけると過信せず(苦笑)、ちゃんとメモして残しておきます。これが一番大事かもですね(笑)。

2016年04月27日

アリスの着姿を見て・・・。

 

先日出張先でお客さんに結んで頂いていた、アリスシリーズの3柄目。
マザーグースに出てくるハンプティダンプティの詩を毛筆で書き、図案→意匠図→製織したもの。

アリスシリーズは文字をデザインに使いたくて、何かとチャレンジ中、面白いんじゃないか?と製作した柄です。実験的な要素も色々と含んでいます。デザインが個性的過ぎて帯としてどうなんだろ?周りの目を見てもそんな感じもありました(苦笑)。特にアリス3に関しては、結ばれる際にお太鼓の中心がズレてしまうと、柄として成立しないので、結構ハードルも高い帯です。

その分、着物と合わせてお太鼓に結ぶと、(好きずきはあっても)目を惹き、本当に素敵な着姿を作ってくれます。

ちなみに、このお太鼓の丸は詩の答えを表しています。

 

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この帯を作った時のことは忘れてはいませんが、改めて、しかも着姿として見せて頂くと、過去と今のモノづくりの差に気が付きます。今は技法的に新しいことが出来るようになっても、もっともっと新しいことをしよう、そんな意志・勢いは、この帯の製作時の方がある様な気がします。反省よりも、これからのモノづくりに、もっとそういう意志が込めれる?感じられる様に、遊び心をもって、取り組もうと思います。

 

 

アリス帯2

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帯揚げも

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→https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=1459

2016年04月26日

人気だったもの。

 

今回の出張で、特に特に目立って人気だったのが、この襦袢。

DSCF1051.jpg
【襦袢/南蛮七宝文様】

 

今回の出張の結果、色によって偏りはありますが、納期まで最大5ヶ月待って頂くことになりそうな・・・、多くの注文を頂きました。この襦袢に関しては、以前も紹介したことはありますが、そこから徐々にパワーアップしていって、今は特性がてんこ盛り、『生地があり得ないほど丈夫、洗える(洗濯機)、でもシルクの風合い、しかも柄は南蛮七宝文様⇒見せたくなる、諸々。』になって、使い勝手の面からも良いモノに仕上がっています(お洒落ものだったら、この一枚でいい?)

 

 

 

これをお客さんお見せして返ってくる反応が『こんなのが欲しかった。』と言って頂けます。着物と帯だけではタンスの肥やしになっている可能性がありますが、この襦袢が洗える襦袢が欲しかった=必要ということは、そこから『着物着よう!』そんな意思が伝わってきますので、本当に嬉しいです。

 

自分が着物を来てどこかへ行っても、『いいけど、私は着るところないなぁ。』そんな話を聞くことが多い中、有難いです。

反対に、そういったものが今までモノづくり出来ていないから、着物は着にくい。そういうイメージが強いのかもしれません(反省です)。

 

帯だったら、総紗縫。オールシーズンと軽さ、結びやすさ、柄の多様性、コーディネートのし易さ等々。人気が集まるものというモノは、意識をしていなくても、こういった使う方の立場からの目線が優しくいつも入っています。

『使う身になって考える』当たり前のことかもしれませんが、モノづくりしていて、そこを忘れがち、考えた気になっていることが多いです。ちゃんとやっていきますね。

 

夏に近づくに連れて、涼やかな上の写真の様な色が人気です。次に染めるのは、こんな色かな?もしくは帯でこんな色が出るかな?というのが下の写真。質感のある色。糸で出るかなぁ・・・。

 

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2016年04月25日

夏らしい新色/南蛮七宝文様/総紗縫

 

機が空かなかったため、予定より約一週間遅れましたが、南蛮七宝文様の総紗縫・新色が上がってきました。夏らしい(オールシーズン帯なんですが・・・苦笑)色目で、とても新鮮です。

 

ちなみに、この文様で総紗縫を織ると、構造としては一番シンプルな形です。帯の色に影響する要素は、『経糸、緯糸、箔』の3つだけ。(糸の本数等々の話を除けば)基本的にこれだけで色が決まります。ただし、一番シンプルと言っても、この総紗縫は、独特な綟り織りですので、透け感も特殊。それに加えて、素材の箔も独自のものですので、横に通す糸の色味は、透け感と箔に持っていかれ、非常に仕上がりの予想を立てにくい織物です。

 

今回、織った帯の色目と織り上がりの帯を見比べると・・・。
色味はこれくらい違います。

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『南蛮七宝文様/総紗縫』

 

箔を使わない『KILIM(キリム)』等であれば、もう少し糸に近い色で、クッキリと色を出すこともできます。が、見る角度や光によって、この南蛮七宝文様が消えかねない、それくらいの柔らかな色をイメージしていましたので、この2色はとても上手く行ったと思います。

 

ただ、南蛮七宝文様の紗に関しては色ごと限定3本しか織りません。上手く行ったと満足して止まっていると、その後は直ぐに新しい配色を考えること、というのが後ろから迫ってきます。単なる配色変更だけにしても、常に色のこと、モノづくりを考えておかないと、自分の中の色ストックが無くなってしまいます(苦笑)怖い話です。。。

 

この帯に関しては、後これから2本ずと織り上げていきますが、織り上がり後、機が空いている間等々を考えると、時間は全然ありません。写真のように色糸のイメージだけでは織り上がりも異なりますので、色を考えて、試験取って、修正をして・・・と考え過ぎると、ヤバイ時間が・・・となってしまいます。

遅れるのは良くありませんが、色々と横に置いておいて、新緑の自然の色を眺めながら、色出ししてと、GW中は多少でもゆっくりと考えたいですね〜。

 

まずはこの2色、夏に結んで頂けることを楽しみにしています〜。

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2016年04月21日

上がりが楽しみな・・・夏しぼ。

 

今までとは流れを変えて作っている帯です。
 

織物のベースとなる織組織自体はイジっていませんが、イジった?と周りが感じるほど、糸使いや地紋に変化を付けています。そのため、今までだったら、『こんな感じでできあがるんじゃないか?』とイメージできますが、今回のモノづくりはぼんやりと霧がかかった状態です。名古屋帯にした方がイイような気もするし、裏地を上手く利用した袋帯にした方が・・・と、まだ気持ちは揺れています。

 

それでも、生地自体の完成度は試験を取る度に上がっていますし、着実に完成へ進んでいます。
(こう書いた途端、この下の目出しの後、大きく失敗しましたが・・・苦笑)

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『試験織3 CandyCircus4』

 

見切り発車に近い形で、この織物を使って3柄、新しいモノづくりを進めています。
一つは横段柄。意匠自体は今までも何度か製作していて、見慣れたといえば見慣れた柄です。現在は試験織でのチェックが終了して、配色の最終段階です。3つの柄の中では遊びは少ないものの、この織物の指標となってくれそうな帯になりそうです。

あと二柄は、ドンと思い切った意匠です。『Candy Circus』シリーズの4柄目となりますが、しぼ織全体としても、今までに見たことのない、またはやったことのない意匠・しぼの使い方の帯ができそうです(だからこの帯が一番霧がかかっています・・・。 笑)。

完成して、結んだイメージは可愛い、思いのほか着物や小物とのコーディネートし易い帯、だけれども未知な部分がめちゃくちゃ多い、そんなモノづくりを今は色々な出来事と並行しながら楽しんでいます。

 

今日は、今から出張へ行ってきます〜!

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2016年04月18日

今から見てもらう夏物。

 

一足も二足も遅い遅い夏物(南蛮七宝文様)の段取り、やっと形になってきました。
通常の流通に流すものだと、『夏』はとっくの昔に終わっていますが、この南蛮七宝文様のモノに関しては、流通に流さず今月末くらいにお見せ、し始めるものですので、何とか間に合っています。もう少しだけ余裕も・・・(苦笑)。

 

ものは去年から製作している『紋紗の着物』。
遠目からの写真ではわかりにくい、地紋で南蛮七宝文様を織ったものです。

 

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白生地で織ってから染めをかけますが、同じ色は無く全部一反限りの色目です。
自分の中にあるイメージと、元となる色見本とを合わせて色出しをする。生地と紋作りを除けば、それだけのモノづくりではあるのですが、これが非常に難しい。意匠は南蛮七宝文様、生地(織組織)はある、後は色を決めるだけ、考えることは一つだけなのに、なかなかそれが難しい。

 

普通は図案作り、紋作り、配色等々の各工程に色んな事があり、ストーリーが出てきますが、この着物に関しては各色それぞれにその悩んだ時の具体的な話が浮かんできます。色んな事が並列して進んでいますので、極めてシンプルなモノづくりに少しの間没頭できましたので、これはこれで良かったモノづくりです。

 

こんな感じで毎日モノづくりを積み重ねていく。モノを作るメーカーですので、それを忘れず大事にしていきたいです。

2016年04月15日

今日の着物。衿にも入れてみました。

 

今日はほぼ一日、着物です。
昼間は、相当暑かったので(20度超え?)、この時期からはほとんど単衣で動きます。年中通しても、真冬、どうしてもと言われるお席以外はほとんど軽やかな単衣がここ数年多いです。夏は羽織を着たいので、ここ最近はどんどん織物を薄くしていく傾向です。

 

そんな今日の着物はこんな感じです。

 

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着物;御召(南蛮七宝)、襦袢:坪金(南蛮七宝、衿は染御召地)、羽織:大島紬の黒無地、角帯:組紐。

 

夜は100名を超える会合に参加します(年一回開催)。初めてお会いする方もおられます。お会いした印象を少しでも残して頂くために、また、今こんな着物があるんだ。着てもイイかな。と思って頂けるように、いつもよりも南蛮七宝文様の箇所を一つは多く増やしています。

 

最近は男物の注文、問い合わせを多く頂きますので、この流れを身近なところにも広げていきたいですね。
ただ、着物ってイイですよ、と着物を着ながら勧めていると、自分も欲しくなってしまう、それが問題です(笑)。

2016年04月14日

Candy Circus 3柄目、悩み中

銅版作家舟田さんとのコラボして製作している『CandyCircus』の帯。
今のところ、①水花と②舟(名前検討中です)の2柄が完成しています。

次は、3柄目の蝶々と4柄目の夏しぼの帯を現在進めています。
夏しぼに関しては、意匠図の製作が終わり、紋を彫りも終わりそうですし、近々3柄目を先に飛び越えて、帯の形になりそうです。

3柄目の蝶々に関しては、作品の色数と雰囲気を織物でどう作っていくのか、今現在悩みのど真ん中にいます。(多すぎて不可能ですが)もし作品の色を全て拾うとすると、色が濁りすぎる。反対に少なすぎると雰囲気を作り出せない。じゃ、そのバランスを織物の限界を踏まえて、どこで取るのか?そこが一番の悩みどころです。


メーカーが一番力を出せる部分でもありますし、その自負を持ってこの二ヶ月間、一歩進んで、また戻っての繰り返しを行っています(笑 ホントに大変です。)。悩みの元を解消するキッカケがもうちょっとで見るかりそうな感じもしますので、それを見つけることがでれば、何とか来月中には、目出しくらいは取れると思います。

昼間には、一柄目の水花を南蛮七宝の御召や大島に合わせたり、

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『水花✕南蛮七宝文様/御召』

外に持って出て、太陽光に当てて、黒緯と一緒に織り込んだラメ糸の具合を確認したり。
しながら、三柄目をどうするか、悩み中です。現実逃避ではなくて(苦笑)・・・。

このシリーズは、帯としては個性のある意匠と配色です。
最初は人を選ぶかもしれませんが、見ていると人を楽しくさせる何かありますので、ゆっくりとモノづくりしながら、帯や着物、小物?のファンがじわじわと増えるようになったらと思っています。自分の周りには少しずつですが、ジワーっと広がりを感じていますので、今後たのしみな、CandyCircusです。。ぜひ、一度見て、触って、当ててもらいたいです。

 

2016年04月04日

2016年 曇空の桜

 

京都市内は桜がちょうど満開。わざわざ観光気分で、桜を楽しみたい気分もありながら、まずは身近なところで(車をちょっと降りて歩くくらいのところで)、観賞してきました。ここ数年は、綺麗な青い空に淡いピンクの花の組み合わせ(もしくは夜桜)がばかりでしたが、今年に関しては曇りの中に淡い花。

 

桜の色と枝や幹の【濃い色】が効き色、堤防の緑も含めて、全体で春を感じることができました。

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着物の世界では一番の定番と言ってよい『桜』ですが、自分の中での『桜』というと、まずパッと思い浮かべるのは、帯ではなくて(苦笑)この帯揚げが自然に出てきます。

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この帯揚げ(一番上のモノ)は、色目は元々からかみであったものを、着物との相性を考えて、微修正したものです。配色をしながら、自分のイメージとしては、ほんの僅かにガス状になった雲の白が入った、綺麗な青空、それに映える桜の花びら。そんな二色を使って作りました。


文字や言葉で『桜』を考えると、(枝付きの)桜そのものの意匠を、特に帯を思い浮かべます。ただ、実際の桜を目にして思い浮かべるものは、どんな桜・桜した意匠よりも、まずこの南蛮七宝の帯揚げの方が、先にフッと頭をよぎっていきます。

 

この日見た桜は、今までの青空の下とは違っていましたので、もっと曇空の下をイメージする。空全体は曇っていても、ところどころ少し明る射すグレーに、少しくすんだ淡いピンク。そんな色みを作ってみたいと思いました。すこしでも気を抜いて上げてしまうと、相当地味な組み合わせですが、そうならないようにピンク色に赤みが綺麗に入ると、他には出せない配色ができそうです。全然上がってこない帯揚げではありますので、配色はじっくりと時間を掛けて作りたいです。

 

 

 

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2016年04月01日

仙台⇒京都へ戻ってきました。

 

仙台出張2泊。半年ぶりに行ってきました。
実質2日間だったので、あっという間に終わってしまい、今日は京都にいます。その2日間をお客さんと目一杯、雑談を交えた着物中心話をさせて頂きました。モノづくりのヒントを沢山。気付かされることも沢山。刺さることも沢山と、とても実り多い出張でした。本当にありがとうございます。今日は、その頂いたものを一日中、整理⇒紙に書き出し、また整理(ときどき電話)ということをしています。今からそれを種にして、次の大きなモノづくりへ育てていきたいです。

 

今回は南蛮七宝文様の他に少し大きく『輪宝文』の帯を持って行きました。まだ帯だけの紹介でしたが、とても評判が良く、当初想定していた南蛮七宝とのコーディネート以外でも多くの着物と合わせて頂いていました。これから御召や小物でも製作していきたい文様ですので、大事にモノづくりしていきますね。

 

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他にも、伝えたいことが多くあり、モノづくりのメモと混在してダーッと文章を書いていました。この日記に書くにはあまりに整理がつきませんでしので、まずは輪宝文だけを・・・。京都から出すぎるとモノづくりが止まり、頭も切り替わってしまって、元に戻すのが大変になりますが、月一、二回くらいは出て色んな話を聞かせて頂くほうがイイですね。モノづくりで、その時考えていたことや悩んでいたこと、帰ってきても解決はしませんが、なんとかなりそうな気がしてきました(笑)。

 

後は帯づくりでお返ししたいと思います。

 

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