となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 『日記』

2009年04月24日

総紗縫のモノづくり。 自分の考え方。

何度も書いていますが、

帯というのは、経糸の間を
横糸(緯糸)が通り織物ができていきます。

『総紗縫』綟織といって経糸が交差する
少し特殊な織ですが、
基本は同じで綟織の一種です。

そんな総紗縫ですが経と横糸の変化
(表への出し方)を付けることで、

シンプルな配色をしていても、
奥行きを付けることができます。

例えば、↓
分かりにくいですが、
IMGP1714.JPG

このアップの写真には今までと違った
新しい織の使い方(上げ方)が多く入っています。

それらを使って織り上げた見本裂です。

上げ方が増えると、表現方法が増えるので、
おもちゃをもらった子供のように嬉しくなります。

そんな気持ちで製作した(途中)帯。
IMGP1716.JPG

特に楽しいのは、

例えば、黒、白という2色の糸を
織の加減、経糸の見せ方、横糸の出し方
で、
グレーやオフホワイトに見えることです。

そうすると出来た色は、見る人、角度、天気、
光、場所、空気によって
、表情を変えてくれます。

自分の想像通りに上げることができて、
ベースを作り、その上に色を入れていく。

(白に白、黒に黒を重ねるというのも、
奥行きを増すための色数の増加です。)

この辺りの帯作りは、
ケーキ作りと似ている気がします。
(ベース作った後に、飾り付けていく。)

来月は、この土台ができているモノを、
完成させていくことが多くなりそうです。

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2009年04月23日

撮影してはる横で・・・

会社の前の寺ノ内通りで、昼休みの間、
新作のショールの撮影を行っていました。

人通りは少なく、静かで天気も撮影日和↓
IMGP1755.JPG

まずは、着姿を載せておきます(before)。

藍染の無地大島+『伊藤若冲の世界』袋帯(紬)
IMGP1718.JPG

帯留は、石のようなモレッティガラスの帯留。
IMGP1719.JPG
三分紐はオフホワイトに、グレーのライン。

1、さて、一つ目のショールは青を基調にした暈し。 
  刷毛で、すべて人の手で染め上げたものです。
IMGP1729.JPG
透け感のある生地に透け感のある色目。
好きな色目です。

2、二つ目は、薄いグレーと淡いピンクを
 ステンドガラス風にしたものです。
IMGP1733.JPG

3、薄いグレーベースの暈しです。
IMGP1737.JPG

透け感はあるのですが、防水加工もしてあります。
塵よけ、ちょっとした雨除けにも、いいかもしれませんね。

4、クリームを基調にしたもの。
IMGP1740.JPG
濃い地とは、合わないかな?と思っていたのですが、
ハマってます。白部分がポイントに・・・

優しい上品な感じがしますね~。

5、そして、最後はモノトーンで絞めです。
IMGP1747.JPG
ぼかしとぼかしの間に、境界がないので、
全体がゆったりと流れるような感じを受けます。

濃い地の着物とは、まるでセットのようなハマり方です。
と、撮影組の横で呟きながら見ていました。

『生地の薄い塵よけやショール』は、
帯がチラチラと透けてみえます。

帯作りしている側からすると、帯が見える方が
やっぱり嬉しいですね。

手で一つずつ、それも生地を濡らしながら
刷毛で染めていきますので、全く同じものはできません。

ある程度は作り手が決まった柄を
頭の中に描いていても、手の動き等の偶然
出来上がりに影響を与えるのも面白い所です。

皆さんの好みの色や刷毛の目があれば、
嬉しいです。

それでは
午後からは、進みかけのモノづくりをしていきます。。

2009年04月21日

雀⇒海路

恒例になりそうな、着姿シリーズ。
 前回は『百樂』
  ⇒http://senpukuya5.seesaa.net/article/117408110.html

今回は、『神坂雪佳の世界』より・・・
Image296.jpg

着物は、無地の藍染大島

写っていませんが、
帯締めは春らしい淡いグリーンの帯締め。

なかなか春らしい装いです。

この雪佳つながりで、先日言っていた
小物も紹介しておきますね。

この小物は、念願のモノです。
IMGP1691.JPG
現在、まだ小ロットでの製作ですので、
販売は限定的になっています。

『海路』シリーズ。

すでに受注上がり待ちとなっていのも
ありますので、興味ある方は是非!
 ⇒『仙福屋online』で近々並べる予定です。

『海路』の更紗ペイズリー調を自分用に、
持とうと思っていますが、
IMGP1690.JPG
先に取られてしまったようです。。。

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2009年04月20日

最後の組織変更。

『雪輪と梅』をモチーフにした帯というのは、
世間に沢山あると思います。

『雪輪』の柄。
と言えば、夏の柄。

それに、『梅』を加え、
季節的に幅広く使える実用的な柄です。

自分が製作した中にも、同じモチーフの
お気に入りがあります。

とても好きで、織り方を変えつつ、
何度も帯にした柄です。
Image293.jpg
『組織』を変えては、新しい空気を入れて
少しずつ変化している帯です。

この柄は、
これが最後の組織変更になると思います。

変えるたびに良くなるというよりは、
大きく趣きが変わっていってます。

変遷をずらっ~と並べようと思っていましたが、
人気のある柄で、今現在手元にないので、
 ⇒http://senpukuya5.seesaa.net/article/67130153.html
  (一本上げておきますね。)  

また、織り上げた時に紹介しますね。

織り上げた帯を、職人が経糸を櫛で、
一つずつ揺らしてくので、地に味があります。

Image294.jpg
 ↑微妙な揺れが分かりますか?

シリーズ名は『白黒紬』。
コツコツと製作しているシリーズです。

特徴は、あまり色目を使わず
重量的に軽くシンプルな仕上げました。

普段着に気軽に結んでもらえるのと、
小物を活かしやすい帯です。

 ちなみに、一番手前の『雪輪』が一番人気です。
   (雪輪一つ一つが異なってみえるので・・・)

小さい雪輪を囲むように、大きな雪輪(グレー部分)が
入っていますが、これは右付き、左付きと交互に。

若冲『鯉』
と同じような柄付けにしています。

結構のこの柄付け、自分的には、好きですね。。

結ぶ時はほとんど関係ないのですが、
そこもまた好きな感じです。

2009年04月19日

日曜日なんですが、だんだん曜日の感覚がなくなってきました。

昨日、横浜から帰ってきましたが、
今日は半日ちょっと会社にいます。

忘れないうちに、
横浜で思った『モノづくり』の資料集めです。

もう一日経つと、100%のものが、少し風化して
75%くらいになってしまいそうだったので、

早めに形づくりです。

紋屋さんにも電話して、『こんな感じ』というのを
言って、今の『生々しさ』を伝えました。
(この辺の気持の共有はとても大事)

後は、まだ出来あがってもいない『組織』の図案を
考えながら探していました。

そして、最後にこの日記に書きこんで、
自分のモチベーションを上げる。

とにかく、明日までは、
モノづくりの空気は保存できそうです。

そして、もう一つは、
ちょっと溜まった仕事を整理すること。

今までは、思いっきり溜まったモノを
一気にするというのでしたが、

段々、性格が変わってきたのか、
(歳かも?)

溜まらないうちに、コツコツしよう、
と言う風になっています。

周りは、喜んでいると思います。


日曜日で社内が静かなのもあるせいか、
こういう日が一番面白いモノができますよね~。

ケルティックの新しい柄も出来そうですし、
今日は、なかなか充実の良い日です。

それと、明日は面白い小物も上がってくるので、
是非それを載せますね~。
 ⇒こんな感じのものですよ。

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2009年04月18日

帰りの新幹線で・・・

横浜から帰ってきました。

帰りの新幹線に飛び乗り、駅弁を食べながら、
先ほど京都へ。

最近、こういう日が多いせいか、今日は、
何を食べようかと、気がつけば楽しみになっています。

そして、いつも自分なりにの『イイ絵』を
見つけた時に、写真を撮っているので、
それを車内で整理していると・・・

良いのがありました。

↓これです。
Image2601.jpg

横浜会場の玄関に並べているのですが、
『となみ帯+古都里+唐長』です。

創業から長い年月の伝統を持って、
モノづくりしている、という共通点があります。

またこの3つは、偶然並べたものですが、
すべて陰影で、そのものの表情が変わる。

というのも面白い共通点です。

古都里は、ランプシェイドなので、光をさえぎり、
柔らかくするものですし、

その光を受けた唐長は、
もうまさに光の陰影で柄の浮き沈みが
なんとも言えん良さですし、

織物も、微妙な凹凸で、表情が変わる。
(この柄は作楽の中でも自信作です。)


思い返してみると・・・

そういえば、その一角は他の所にも増して、
存在感がみなぎっていました。。。

何と言っていいのか分かりませんが、
じっと眺めていられる良さがありますね。

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2009年04月17日

使いたくなる小物。


『専務、これ宣伝しておいてください。』
と言われて、見せてもらった小物。

0743_01.jpg
そーいえば、作りました。

去年の夏の終わりかけだったので、
一年以上経つと、えらく前のように思います。

その時は、今までの夏小物(中の部分)を
来年に向けてリニューアルする話をしていました。

09’バージョンとして、で見えにくい所を
シンプルに少し変えました。


自分では使わないモノなので、
『着心地』に関しては、

とにかく周りの方に使ってもらう
⇒意見集める

をするしかありません。

今のところ、評判は・・・
◎です。

それも、真綿入りの草履と同じような評判です。

周りの人は、『これ使うと他のは使えへん』ということを
聞き、今とても自信があります。

もし、興味のある方は是非試してみてください。
ちょっと長くなりすぎたCMでした。

(今モニタ期間中ですので、
    正式販売にはもう少し先です。)

男向けに、
汗かいても快適な小物作ってもらおうかな~

と、暑くなってくると欲しくなってきますね。


2009年04月16日

作楽の新作。 『月つなぎ』

横浜行ったり、帰ってきたりとしながら、
製作していた帯が、やっと上がってきました。

ただでさえ通常より時間をかけたのに、
さらに時間が掛ってしまいました。

図案を見た時に、一目で惚れた柄です。

黒に近い地色に、白い月のような円が
すっきり縁取られながら、浮いている。

そんな柄で、図案の段階でも良かったのですが、

『この柄は、上手いこと帯にしたら鳥肌立ちそう』
と思いました。

自分の中では、黒にほど近い地色に、
白を浮かすように入れたのが細かいこだわりです。
Image285.jpg
この織物は、通常白は黒に影響されて、
白が死んでしまい易いので、大きく手を加えました。

自分的には、ここがこの図案の惚れた所でもあるので、
何とかしたかったので、時間をかけました。

上手くいったかどうかの結果は・・・
  ↑ 見てください。


裏地は、今この2色で悩んでいます。
Image284.jpg
雪輪』柄の裏地

シリーズは、『作楽』です。
まだ、誰も見ていない帯です。

早く結ばれた着姿を見てみたいと、
思いながら、裏地の配色を考えています。

2009年04月15日

憔悴です。

今日は、憔悴し切った・・・ので、
空いた時間に会社4階から窓の外を見ると、

大文字と夕日が綺麗だったので、
ぼーっと見ていました
Image278.jpg
窓をすぐ下を見下ろすと、
瓦の屋根の濃さと、

遠くの大文字の山等々、
普段見慣れていても、

なかなかイイもんです。

それとこの景色見ていて、帯の柄一本
できそうなことを思いつきましたよ。

ちょっと変な柄です。

2009年04月14日

これ以上はちょっと・・・

今日、上がってきたものがあります。
試作からすでに3か月
 ⇒http://senpukuya5.seesaa.net/article/112653154.html

完成しました。

『これ以上はちょっと難しい・・・』
という帯締めです。

麹塵染の帯と全く同じ糸を使い、
組も手組みで、その職人さんも超一流です。
 ⇒http://senpukuya5.seesaa.net/article/104276159.html

ずっと、何かうちらしさの出る形で、
一緒にモノづくりができたら・・・

と思い、念願が叶った形です。
Image275.jpg
じっと見ていると、組目の綺麗さと、
最高の帯糸の光沢とが相まって、

素晴らしいとしか言いようのない、
帯締めになりました。

これ以上の帯締めは現段階では、
製作できそうにもありませんよ。


また特徴は、あらためて。
自慢したい事が、山ほどあります~。

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