となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 『日記』

2016年02月18日

出張用に着物をつめる。

 

今日は半日打ち合わせ、残りバタバタと進めています。
書きたいことはいっぱいありますが、まずは明後日から行く出張準備。

着物はこんな感じで持っていく予定をしています。

 

上から、襦袢、羽織、着物。

L2120028.jpg

 

今回は着物は先に送って、身一つで新幹線という出張予定ですので、荷物を詰めて・・・。
とすると、しばらくして、ここに写っていない角帯を入れるのを忘れていました。角帯だけ手持ちです(苦笑)。

 

最近は私が着ているもの、そのものか色違いで後はコーディネートは任せます。という話を頂くことが多いです。その時は「この色目の組み合わせはどういう考えで?」みたいなことを聞かれることも多いですので、今までの様にある程度、適当ではなくて、それなりに理由を考えて、コーディネートするようにしています。

 

写真の着物は麹塵染めの南蛮七宝御召。コーディネートをし易い着物の一つです。もし、色の変化が気になる(そういう方は麹塵染めを選ばれないですが・・・)方でも、御召の立涌調の柄で全体のバランス、墨色とのコーディネートでそこまで気にならなくなります。
 

自分でよくする組み合わせです。

 

折角、忘れた角帯ですので、3本くらい現地に持って行って午前午後、夜とで変えたいですね。

 

 

 

 

 

スクリーンショット 2016-02-18 17.47.37.png
http://goo.gl/WFpZ1d

 

京都では、2月21日からデザインウィークが開催されます。
となみ社内では実施致しませんが、少しのブースを頂きましたので、いつもと違うとなみ織物を展示したいと思います。

 

この準備もまだまだ。。。

2016年02月10日

若手モノづくりⅡ

 

西陣のモノづくりに関わる人に、もし世代別モノづくり分布表の様なモノがあれば、間違いなく自分も若手層の真ん中よりも下の方に入ると思います。今回モノづくりするは、そこよりも遥かに若い、最若手と言っても良い、となみスタッフです。

いいな、と思うのは、『こんなモノが作りたい!』という気持ちが溢れているところ。(繰り返しますが)自分も少なくないはずなのに、とにかく熱いその熱意に押されてしまいます。

 

今回進めているモノづくりは、新しい試みが中心です。勢いある熱意のまま『いきなり本番いきましょうよ!』と言いかねないので(笑)、そこはこちらの意見を通してちゃんと満足が行くまで試験する。それ以外は好きに、本人のイメージ通り、モノづくりを進めれればイイ、と思っています。かえってその方が意表をつくモノができそうです。

 

というわけで、まずは帯としては使えない丸巻きを使って行う実験・試験の下準備中。

IMG_5070.jpg
(こんな感じで率先)

 

職人さんとの打ち合わせ中でも、こちらへ質問してきたことを少し返すくらいで済んでいます。本人のイメージがしっかり固まっている証拠で、とても頼もしいです。ちょっと前は上がってきたら、『どうしましょう〜?』だったんですが。

 

すぐにはできませんし、形となっても一つだけでは、メーカーと言えませんので、次の課題として、継続することを伝えていきたいです。

2016年02月08日

昨日の着物。海路/衿

 

昨日は本社にお客さんが来られていました。
一日の結構な割合で、階段を走り気味で1〜4階を駆け上がる。普段運動不足には結構こたえて、スタッフには怒られそうですが、少々足が筋肉痛気味です(苦笑)。洋服よりも足が上げにくい、着物の方が運動量は少なく見えますが、実際はどうなんでしょうね?階段を駆け上がることを想定するTPOは無いにしても、こういう時は御召か大島紬の裾捌きの良さに助けられました。

 

そんな昨日の着物は、こんな感じです。

DSC09347.jpg

 

上から、羽織は南蛮七宝文様/御召←特別バージョンで紬糸を通しています。

着物は、大島紬。←女性物を男用に仕立てています。

帯は、写っていませんが、経紬で織った南蛮七宝。

衿には、御召で織った『神坂雪佳の世界/海路図』。御召で織った衿ではなく、御召を仕立てた後、余った生地で衿に持ってきています。南蛮七宝でももちろん出来ますが、ここに南蛮七宝を入れると、帯、羽織、襦袢、草履に南蛮七宝となってしまいますので、ここは譲って、海路図を。

 

全員が全員とも気付かれる、そんなポイントでは無いかもしれませんが、この海路図の市松意匠と色、経に見える経糸で作った縞が非常に良い感じにコーディネート出来たと思います。もし、仙福屋の御召を仕立てられて(特に単衣で)、余っている場合、衿として使ってみることもお勧めいたします。

 

久々にスマートフォンの万歩計が8,000を超えました。大した自慢になりませんので、もう少し運動がんばります。

 

 

2016年02月05日

2016若手とのモノづくり①

 

若手とのモノづくりを頻繁でない程度の時々、行っています。今回は帯を一本だけ作るというのではなくて、シリーズ・塊として製作をしようとしています。今回は長い時間、行く先を決めるために繰り返した打ち合わせから、モノづくりを実際に動き出す、最初の一回目です。

 

具体的には、この帯地(紗楽)に刺繍を施すこと。それがこれからするモノづくりの中核。

 

IMG_4940.jpg

 

そのため、まずは下地となる帯地を作ることから(いきなり一番大事な部分です)。

主に考えることとして、柄はどうするのか?色は?素材は(糸種等)?帯の柄は上にのる刺繍とどう絡ませるか?
が当面のモノづくり。初めての試みも、いつか入れる予定をしていますので、今から取り掛かる試験織は、遊べる範囲をできるだけ広く作っています。試験を取るので地色も普段使わない色味でやってみようと思っています。

 

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となみブルーに緑っけを足してみて、鉱石の色を作ろうと思っています。
まず今年前半(5月くらい)までには一旦形にして、そこから少しずつ大きくなるようなそんなイメージでのモノづくりです。

2016年02月03日

本社3F、一瞬の模様替え

 

いつもはこんな様子の本社展示場。

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それが今日の昼間にはこんな状態に。

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常時3,000本くらいは陳列している袋帯がほとんど空になりました。

 

明日の昼に完成予定です。この帯が無くなったスペースに、大島紬おそらく800反(もしかして1000反位になるかも?)とそれに合わせる、となみ帯を入れていく、そんな大模様替えです。そのほとんどが逸品や珍品ばかりで、質量ともこの時は日本で一番の大島紬の会場になっていると思います。

 

キッカケは昨年参加させていただいた、本場大島紬織物協同組合の創立100周年のパーティーです。そこから話が始まり産地の各機屋さんにご協力いただき、となみ織物の帯とのコーディーネート。考えれば考える程、貴重な時間です(まだ着物は1反も並んでいないのに、少し感動しています)。次あるのは100年後と言う話も真顔で聞かれます・・・。

 

スタッフ5人掛かりで、丁寧に桐箱を重ねては、片付けて、を繰り返しを丸一日掛かけてやります。日曜日の夕方には、再び元通りに戻しますので、本当に一瞬のことですが、自分たちも楽しみたいと思っています。

 

大島に絡めた南蛮七宝文様の新作と袋帯も新たに紹介していきたいと思いますので、見所沢山、来れられるお客さんにも楽しんで頂けそうです。陳列が完成したところもまた見てもらいますね。

2016年02月01日

2月、新たな期のスタート。しぼ織;花柄。

 

無事、棚卸しの勘定が全て終わり、あとは集計等の事務的な作業に入ります。昨日は社内が原料、商品、人も引っくり返って、お盆・年末の大掃除以上の掃除となりますので、今日はビシっとすっきりとした空気が社内には漂っています。まずは一息です。いつもビシっと空気が大事ですが、片付けるとともに、帯見本があっち行ってたり、していますし、もう一度散らかさないように気を付けながら(笑)、自分のモノづくりのモノを集めていきます。その中の一つ。

 

現在、試験を繰り返し、なんとか前に進んでいるモノが『しぼ織』の新しいアイデア。

この試験は(帯になればいいですが)、今後作って行こうとする『しぼ織の土台』、柄の一部になるようなモノづくりです。しぼ織に使う素材には、今では希少と言っても良い、『御召緯』を使って製織しています。その特徴は水分に浸けると縮むことです。織りの段階では、それを見越して帯巾を広く織り上げ、お湯に浸けて縮め、帯表面に隆起(しぼ)をつけ、帯巾として再度巾を整えます。

 

しぼ織.jpg

ちなみに、これがベーシックなしぼ。
縦に流れる隆起になる様に、柄に沿って縮む様に設計。織りでは糸で止める様にします。何も考えずに、この糸を使って織ると、しぼが暴走して生地が捻れてしまい、帯になりません。←しぼ織の織り始めは、そんな感じです。

 

新しいアイデアは、しぼをある意味暴走させながら、周囲を深く括って、それ自体が柄になる様に糸で止めています。


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(花に見える部分は袋状になっていて、触れるとしぼが動きます。)

 

これをこのままで進めてしまうと、生地的に弱くなるので、ここからはバランス。糸で所々止めながら、しぼが動けるスペースは残しておく(帯をお湯に通す→縮める、というのが前提なので、予測は難しく、やはり経験が重要です。)。

 

今後、帯にしていくためには、これをどの程度のバランスが良いのかを理解して、その時点で使う意匠と相談しながら実用的な地紋を作る、となります。考えているのは、従来のしぼと写真のしぼを共存させながら、しぼだけで出来た帯やこのしぼは意匠の無地部分を構成、あとはしぼを立てず、柄で見せるモノ。等々、完成すればしぼ織で作る帯の表現力は確実に上がりそうです。

このモノづくりのキッカケはある方から頂きました。上手く使えるように試験繰り返していきます。
ありがとうございました〜。

2016年01月31日

2015年度/棚卸し

 

日曜日の今日は休みですが、1月末がとなみ織物の決算となります。そのため、出張者以外全員出社で棚卸しを行っています。
どの会社も似たようなことになりますが、うちは帯のメーカーですので、織り上げた帯、製作した着物、小物以外に、原糸、染糸、箔、図案、意匠図その他諸々も全て勘定&チェックをしていきます。

 

社内には今まで製作したモノが沢山あるため、商品は別として図案(意匠図)等はこの棚卸ししか目に触れないモノもあります(しかも結構たくさん)。それに触れることで、毎回過去の帯をリメイクしたり、全く作っていなかった図案に関しては一から製作することも、少なくありません。特に過去の図案は今のものよりも手が込んでいる(込み過ぎている)こともありますし、多少修正は必要ですが、やりがいがあります。

 

そんな棚卸しが終わると、新しい期の始まりです。

 

ちなみこの棚卸しのボスは、最近Facebook上で登場するようになった、中村です。

スクリーンショット 2016-01-27 17.54.43.png

 

また、となみ織物研究会の方も今年は盛り上げていきたいと思っています。
よろしくお願いします〜!

 

2016年01月22日

順番待ちの織物。

 

業界一般的に見て、帯を織れる職人さんがずっと減り続けています。
それにつれて、生産数自体が減り、織れない織物が出てきたりもしていますので、以前と同じことをするのが簡単ではありません。となみでも、織り手が少なく直ぐには織れない場合、技術的にその方しか織れない様な織組織、素材の問題等々、モノづくりの環境は良いとは言えません。それでも周りを見ると、相当良い方ではあります。

『(図案、意匠図が出来たものを)直ぐに織りたい。』おそらく誰がメーカーをやっても、その気持は間違いなく強く出ると思いますが、今は織組織によっては、機の空くのを待つ、そんな時間も必要になってきました。

 

その待ちが長い織物。社内には幾つかあり、時期によっても変わりますが、一年を通してそれが必要なのは、この本袋。
先日、唐長11代目の奥様に登場して頂いて、撮影を行った帯シリーズです。

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 Pin⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/本袋/

 

神坂雪佳の世界/海路】シリーズ/本袋
図案・意匠図を作り、目出しを織った段階で止まっていたモノ。となみ織物の中では一風変わった雰囲気です(目出し見ると特に)ので、早いこと帯一本で見たい。そう思っていた帯です。

L2050048.jpg(表)

IMG_4723.jpg(裏)

その順番が回ってきました。

 

写真の段階から配色を修正、その糸を準備して、本番を織るのを待ちわびていました。織る段になり改めて、その糸を見ると、やっぱりこっちの方が良いかな・・・とか、糸の太さはもう少し細くするか?、そんな迷いが出てくるのが目に見えています(今まで何度もありましたし・・・。)。その対処方法として、ここだけは拘らず、以前行った配色を信じて、そのまま行くことする。自分の多くないルールの中の一つを適用することにしています。

 

そうは言っても、仕上がりどうなるでしょう?
 

2016年01月21日

しぼ織。2016年最初の柄スタート。

 

ひっぱり出してきた、しぼ織りの目出し。

 

IMG_4699.jpg
『しぼ織/目出し』⇒Pintrest『しぼ織り』

一番手前にある鳳凰の目出しは、この横段具合がお気に入りです。
PinterestにもUPしていたりします。

 

一つの柄を完成させるためには試験として、柄(お太鼓)全体を織ることもあれば、一つの柄を寸断する様に多くの配色を試しに織ることもあります。この試しに織る生地のことは、いろいろな呼び方がされていて、一応となみ社内では『めだし』と呼んでいます。何回も何回もこの目出しを取り、図案や自分の中にあるイメージに近づける仕事を京都にいる間は、日々行う。それが帯地メーカーとしての大事な仕事です。

 

帯作りの大きな工程の中では、①図案後の②意匠図作成、その後の段階でする仕事。この目出しを引っ張り出してきて、今はしぼ織りとしては画期的なモノづくり(になるはず・・・)をしようとしています。そのイメージ作りのため、写真の様に並べて、しぼの具合や緯糸と経糸の関係。どこまで緯糸で発色できるか?この織物を作った時に、繰り返し行ったことの再確認をしています。

 

やっているうちは、そうでもありませんが、日々様々な試行錯誤を行って、こういう目出しを作っています。一日2,3枚だとしても、何十年と積み上げるので、時々振り返って見るとスゴイことになっています。掘り起こせば、なにか見つかる、宝の山と言っても良いかもしれませんね。

 

(自分で言っておいてなんですが)画期的な新しいモノづくりをしようとするのも大事ですが、目出しを掘り返しながら、寸断された色の再確認。これは今ならできるモノづくり。この時は先走り過ぎたモノづくり。等々、呟きながら、目出しの山と向き合うことも、モノづくりの一つです。

やることはまだまだありそうです。

 

この写真をベースに作る帯、おそらく皆さんが予測できない所に入り込む帯になるとおもいます。お楽しみに(笑)。

 

 

 

 

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2016年01月20日

京都の雪はこれでも大変。

 

朝は雪も凄いし(京都にしては、です。)今日は来客はなくて、資料集めと整理。目出し(試験織)を見ながら配色チェックをかためてできる日、と出社途中、雪を見ながら心に決めて行ったら、終わって振り返ると・・・。結果なんやかんやとバタバタの日になりました。

 

防寒草履が冬には欠かせない地域の方々からすると、『これくらいは雪じゃない。』と言われると思いますが、一応こんな感じです。

IMG_4680.jpg
(京都で言う、よく降った雪です。)

車はノロノロ、道でコケる方、頑張って頑張って作ったと思われる、小さな雪だるま。

 

 

来週は奄美へ(もちろん仕事です。。。)行きますので、今のうちにと進めている幾つかのモノづくり。その一つが、初登場の唐長文様『角花文様』。12代目から頂いた宿題として、今意匠図を製作しています。

 

DSC09103.jpg

 

文様を作る2色が表情に繊細な色なので、上手く撮れたとしても雰囲気が異なり・・・。さらにモニターでの色表現は難しい(ですので、白黒でとも思いましたが、せめて色の持つ雰囲気だけでも。届くかな?)。

この意匠、今のところまだ帯にするとは決めていません。ただ、地に入った雲母(きら)を織物でどこまで表現できるか?それの実験をしようと意匠図を製作中です。先日、紹介した南蛮七宝文様で使った技術を改良して使いながら、とイメージして職人と打ち合わせを繰り返しています。

 

来週の今頃までには、これで紋を掘って下さい。そう言えるように頑張ります〜。

 

 

他にも久々に作楽の新柄。ケルティックも図案を作ったり、ここでのUPは最近偏りがありますが、順調にモノづくり、進んでいます!
 

 

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