となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > コーディネート

2016年04月11日

『アンティークと唐長の世界』展

 

9日(土曜日)には、京都の『ギャルリー田澤』さんへ。
唐長11代目のギャラリートークへお邪魔してきました。

 

o0406068913603324559.jpg
『アンティークと唐長の世界 4月7日〜22日』

 

ギャラリートークでは11代目から、
ケルト・アイルランドから始まる文様が時間を掛けてユーラシア大陸を渡り、日本へ。
日本とアイルランドには1万キロ以上の距離が離れているが、ほぼ同様の文様がある。
アンティークと唐紙との相性の良さ。
唐紙を感じるのに、必要な光の話、等々。

今まで何回か聞かせて頂いたことのある話もありましたが、実際に唐紙とアンティークがコラボとして形になった姿を見ながら、唐長や唐紙に対して多大な興味を持たれている方々が30名集まり、一緒に聞く、その空気感は格別に良かったです。これはついでですが、自分も南蛮七宝の御召(薄ベージュ)を着ていたせいもあって、作品にはなれないまでも(笑)、他の方よりも作品に近づくことができた、ちょっと特別な時間を体験してきました。

 

今回の11代目の話にも出てきたこと。また自分の唐長さんでのモノづくりで意識していることがあります。

それは、季節や光、調度品などを含めたその場の空気感を唐紙に映すこと、です。

 

例えば、今の時期であれば、襖に入っている唐紙が、その季節の空気や射してくる光、周りの調度品を映して、4月らしい色目になる。5月だったら5月、秋であれば秋・・・。そういう色使いを常に意識すること。

きものに置き換えると、帯だったら帯の色目がその時の季節や着る人の雰囲気、着物の色に応じて、雰囲気を映してくれる。
もちろん、コーディネートは必要にしても、その帯を結んだときには、それらを越えて何かいい感じを与えてくれる。そんな帯作り、を意識しています。

 

最近、上がってきたのはこの『角花文様』の帯。
意匠的には、日本が文明開化期に入って、洋が流入、急に変化するその時代の空気感も受け入れて、消化できる、そんな雰囲気を持っている文様です。

 

L2200005.jpg
【角花/紹巴織】

 

いくつかの配色替えも意識して意匠図を製作していますので、もう数色は織りたいと思っています。ただ、どうしても一番目に作りたかったのが、この配色。地色は柔らかなベージュに胡粉をくすませた白、また柄部分の緯糸は絹と箔を使い、素材感の差、異素材のメリハリを利用して柄を浮き上がらせました。裏地はまだですので、袋帯として完成するのはもう少し先ですが、おそらく周りの空気感を拾いながら、着物や小物とコーディネートしていくと、上手く馴染んでくれる帯になったと思います。

 

この文様でも、沢山試作は取りましたが、まだまだ素材部分やってみたいことはあります。また、文様が変わるとそれに応じて、したいことも変わります。それに応じて、倍々と試験織も考えて、試し織りもやっていかなくてはいけませんが、一番シンプルな文様で、色んな話やモノを見て、色や文様の表現にプラスすることができる環境、なかなかありません。最大限、活かしたいと思います。

 

 

ギャルリー田澤さんでの唐長の世界展は、22日まで。もう少し会期があります。
もし、お時間と興味のある方は是非、訪れてみてください。

桜が終わった京都は少し空いてくるかもしれませんので・・・、ぜひ。

 

 

 

タグ: ,

2016年02月18日

出張用に着物をつめる。

 

今日は半日打ち合わせ、残りバタバタと進めています。
書きたいことはいっぱいありますが、まずは明後日から行く出張準備。

着物はこんな感じで持っていく予定をしています。

 

上から、襦袢、羽織、着物。

L2120028.jpg

 

今回は着物は先に送って、身一つで新幹線という出張予定ですので、荷物を詰めて・・・。
とすると、しばらくして、ここに写っていない角帯を入れるのを忘れていました。角帯だけ手持ちです(苦笑)。

 

最近は私が着ているもの、そのものか色違いで後はコーディネートは任せます。という話を頂くことが多いです。その時は「この色目の組み合わせはどういう考えで?」みたいなことを聞かれることも多いですので、今までの様にある程度、適当ではなくて、それなりに理由を考えて、コーディネートするようにしています。

 

写真の着物は麹塵染めの南蛮七宝御召。コーディネートをし易い着物の一つです。もし、色の変化が気になる(そういう方は麹塵染めを選ばれないですが・・・)方でも、御召の立涌調の柄で全体のバランス、墨色とのコーディネートでそこまで気にならなくなります。
 

自分でよくする組み合わせです。

 

折角、忘れた角帯ですので、3本くらい現地に持って行って午前午後、夜とで変えたいですね。

 

 

 

 

 

スクリーンショット 2016-02-18 17.47.37.png
http://goo.gl/WFpZ1d

 

京都では、2月21日からデザインウィークが開催されます。
となみ社内では実施致しませんが、少しのブースを頂きましたので、いつもと違うとなみ織物を展示したいと思います。

 

この準備もまだまだ。。。

2016年02月08日

昨日の着物。海路/衿

 

昨日は本社にお客さんが来られていました。
一日の結構な割合で、階段を走り気味で1〜4階を駆け上がる。普段運動不足には結構こたえて、スタッフには怒られそうですが、少々足が筋肉痛気味です(苦笑)。洋服よりも足が上げにくい、着物の方が運動量は少なく見えますが、実際はどうなんでしょうね?階段を駆け上がることを想定するTPOは無いにしても、こういう時は御召か大島紬の裾捌きの良さに助けられました。

 

そんな昨日の着物は、こんな感じです。

DSC09347.jpg

 

上から、羽織は南蛮七宝文様/御召←特別バージョンで紬糸を通しています。

着物は、大島紬。←女性物を男用に仕立てています。

帯は、写っていませんが、経紬で織った南蛮七宝。

衿には、御召で織った『神坂雪佳の世界/海路図』。御召で織った衿ではなく、御召を仕立てた後、余った生地で衿に持ってきています。南蛮七宝でももちろん出来ますが、ここに南蛮七宝を入れると、帯、羽織、襦袢、草履に南蛮七宝となってしまいますので、ここは譲って、海路図を。

 

全員が全員とも気付かれる、そんなポイントでは無いかもしれませんが、この海路図の市松意匠と色、経に見える経糸で作った縞が非常に良い感じにコーディネート出来たと思います。もし、仙福屋の御召を仕立てられて(特に単衣で)、余っている場合、衿として使ってみることもお勧めいたします。

 

久々にスマートフォンの万歩計が8,000を超えました。大した自慢になりませんので、もう少し運動がんばります。

 

 

2016年01月12日

先日の撮影(の続き/男性編)

 

先日の撮影の写真が少し整理できましたので、紹介しておきますね。

P2030297.jpg

 

このモデルさんと身長が同じくらいなので撮影に自分の着物を提供。(身長は180cmと同じですが、重さが全然違います(笑)。それでもなんとかなる着物は凄いなぁ・・・と、今更ながら思いました。)

 

最初から、『ん?』と感じたのは、過去あったかもしれませんが、自分の着物をこうやって人の姿で見たことがない・・・。①畳んであるのと②写真で見ることくらいですので、とても不思議な感じがしました。立ち姿、所作は流石というのを引いても、こういう雰囲気で自分は着物を着ていて、周りの方の目に入っているんだ。それを感じることができたことだけでも、何となく得した気分?になりました。

ちなみに、ひげの着物に、南蛮七宝文様/紬角帯です。手には新作のクラッチバッグ(南蛮七宝文様)。

 

時々、『自分のお太鼓が見れないし、勿体無い!』と言われるお客さんがいはります。それは仕方ないかな?とその時は思っていましたが、確かに自分の着姿を外の目で見てみる。素敵な経験ですね。貸し借りはなかなか難しいかもしれませんが、それも惜しくないと思えた、この日でした。この後、女性物の小紋で作った着物を着ていただきましたが、自分で思っているのと見え方は違いましたし、何でもホント、勉強になりますね。

 

2015年06月18日

自社の強み。御召から見てみる。

『となみさんは〜』と始まって自社の強みに気づいていないと、
昔から・・・特に最近はよく言われます。

反省しながら『この織物の強みって?』『じゃ、この小物は?』
『となみ織物って?』と、事あるごとにスタッフと話をしているので、
今日はその流れを汲んで、自分の頭の中の独り言のような感じになりそうです。

 

『仙福屋の御召』⇒オリジナルという軽さが目について、個人的には
あまり好きな言葉ではないのですが、それ以上いい表現を思いつかないので、
となみ独自のオリジナル御召です(これから上手くなるように努力します)。

 

何がオリジナルなのか?というと、この織物自体、糸種、糸の使い方、織組織、
意匠。すべてが独自のモノを独自の組み合わせでモノづくりをしています。

自分たちが考える一番着やすく、意匠が美しく見えるように。
また、意匠に関しては時間とコストを相当掛けた帯のモノを利用し製作します。

 

じゃ、もしかして手抜き?
と思われるかもしれませんので、使用前後を乗せておきます。

DSC02801.jpg
Kilim経錦帯✕御召』

 

この帯の意匠を使い、着物として一番美しく見える(もちろん仕立てした時を想定)様に
再構成し、製織しました。

 

元の図案に力があるため、変化を加えすぎると良さが消える恐れがあり、
そのまま使うと、着物として成り立ちにくい。

そのバランス感覚も帯の意匠をオリジナルの着物として使うには、大事な要素です。

 

こんなことが出来る様になったのは、となみの歴史からすると、そんな昔ではありません。
今では、大きな大きな強みの一つですし、同じことをずっと同じままするのではなく、
新しい分野でモノづくり出来るように会社が変化できる、それも一つの強みかもしれませんね。

 

 

2015年06月15日

今日は自分と周りへのプレッシャーをかけます。

 

今日Facebookにも同じ組み合わせがUPされる予定ですが、
この商品を中心に、次の発表商品の打ち合わせを行っていました。

L1870209.jpg
『本袋引箔×南蛮七宝文様Premium』

 

この日記を読んで頂いている方のために、もう少し踏み込んで書きますね。

 

前回から、きものsalonに移り、その初回は琳派400年ということもあり、
神坂雪佳の世界』で少し様子を見ながら、それでいて少し雰囲気を変えたモノでした。
1753591eb4c028ef40ce509138c526bd.jpg
『きものsalon掲載』

 

制作側としては花びらを上から落とすのを何時間も繰り返し行なったりと、
随分、今までとは違っていましたが(笑)。

 

前回の時から話が出ていた、今回は二つ目以降になりますので、さらに変化
させる予定です。少なくとも今回8月に発表するものに関しては、変えます。

失敗したら・・・、という気持ちも少しはありますので、
次回も、とは書けません(笑)。

楽しみにしていて下さい。

 

何も書かず、発表まで全て隠しておくのも一つの手だというのも判りますが、
こうやって公表しておけば、自分も含めた制作スタッフに多大なプレッシャーを
与えれますから。

頑張ります!

 

 

 

2015年06月05日

美しさ満点の特別な草履

 

先月、アップしていた素材のホースヘアー。
草履として、上がってきました。

 

DSC05423.jpg
『ホースヘアー真綿入り草履』

 

本当に美しい草履です。

 

この素材もホースヘアーを染めた糸と共に織った、ある意味生地ですので、
帯が負けないように花緒もウンと気合を入れて、と思っていましたが、敢えて対抗せずあっさりと、
飽きが来ないようなシンプル花緒をまずは合わせてみました。

 

DSC05421.jpg
『総紗縫の花緒とホースヘアー草履台(巻:ダックジュエル)』

 

花緒とのコーディネートはほとんど履かれる方の好みですので、
この草履に関しては花緒と台共に仲良く馴染んでくれればと考えています。

 

 

ホースヘアー地も品質はピンきりで、尻尾?の様にぴょんぴょん繊維が出た物等あります。
この生地はそういったことも殆ど無く、とても綺麗です。
(そのため、一旦織ったモノが無くなると、生地で3ヶ月待ちです・・・。)

 

後は職人さんに挿げで魂を入れてもらえば完成です。

DSC05394.jpg

 

 

花緒と草履台が挿げ回っていますので、明日には上がってくる予定です。
また、UPしますね。楽しみです。

タグ: , , ,

2015年04月25日

これから数ヶ月は経錦にハマります。

 

しばらくは『しぼ織』で御召緯の縮む具合と対峙していました。
次の『しぼ』に掛かるのは、少し時間を開けた方がイイので、今度は『経錦』へ。

今までのものは、ある程度は自分たちでコントロールしながら、
やるだけやって後は自然に任せていたモノづくり。

今度はかっちりとした紋の中でのモノづくり。
性質は反対くらい異なる織組織です。

 

この『経錦』=『漢錦(あやにしき)』、目立つのはこの様な大柄。
UPするととても評判の良いシリーズですが・・・、

 

10944830_824767170893403_7768276997260317473_n.jpg
 ⇒Facebook
 ⇒https://www.pinterest.com/senpukuya5/漢錦/

 

 

本当はこういった帯ばかりでなく、結構質素な(笑)柄も得意です。
少し前に『鳴錦』シリーズで製作していたモノは、モリスの静かな壁紙みたいな柄が
多く、目立つとは言いづらい。でも根強い人気のある帯群でした。

 

ここで書く自分もそうですが、この織組織はできれば柄だけでなく、結び心地に注目
して頂きたいです。触った感じは、(打ち込みも違うので)紹巴織よりも少し固く、
表面に凹凸がすくないため、紹巴織と似ている様に思われることが多いです。

 

ただ、結ぶと紹巴織の緯で柄を作るのとは違って、経てで柄を作る織物です。
どちらが結びやすい?ではなくて、結び心地の感覚自体が異なります。
(だから紹巴に慣れきってしまうと、切り替えが必要かな?)

 

文章にするのは難しいのですが、この漢錦の結び心地にハマってしまうと、
紹巴に比べて柄はグッと少ない、経錦の柄探し、もしくは新柄待ちとなってしまいます。

 

機が一台、職人も一人と、となみ織物の中ではマイナーな織物ですが、
是非、試して頂きたいです。

 

そんな風に心からお勧めしたい、織物にしばらくは自分もハマって行きたいです。
楽しみにしていて下さい。

 

明日からは、久々の新潟へ行ってきます!

そう遠くならないうちに、久々の北海道も行きたいな〜。
と企画中しています。。。

2015年02月17日

むじおびづくり。

 

着姿の顔は『帯』と言われています。
帯を作る立場としては、とても有り難い言葉です。

その時できる最高の技術を詰めこみ、出来る限り手の込んだモノを作るというのは、
それは作り手として、最高の場面です。

ただ、そればかりし続けると、それが普通になってしまい、最高の場面もそうでなくなって
しまうこともあります。その時は、全く反対のことを考え、反対のモノづくりをすると、自分の中の
充電池に充電することができます。

 

そんな時、オススメは無地帯作り。

たとえば、こんな帯。

540697_344881738881951_642089621_n.jpg

 

着姿の顔は帯に違いありませんが、帯留めや帯揚げに少し助けられ、全体として『帯』になります。

 

314215_429072780462846_183384381_n.jpg

 

こちらは、帯締めの色が帯の柄のように加わり、帯揚げの縞も帯を『帯』にしてくれています。

 

これらの帯は、通常のモノづくりとは違った思考回路で、気をつけてモノづくりしていかないと、
本当に何も面白く無い、帯になってしまいます。

 

 

しばらく作楽シリーズで製作していたモノは込んだ柄が多く、気を詰めて製作していましたので、
今度は、写真の無地に近い帯を何柄か製作しようとしています。

 

今度は、どう表現するか?というよりも、
どうやって帯締や帯揚げ、帯留めたちに助けてもらうか?入り込めるスペースを作るか?

そんな所に気を払いながらのモノづくりですので、少々頭を切り替えながらになります。
どのように展開するのか、楽しみにしていて下さい。

 

同時並行で、しぼ織でヤヤコシイ物も作っているので、頭が鈍ることはないはずです!

 


 

 

 

 

タグ:

2013年12月13日

しぼ織つづき

 

なかなか進まない帯・組織もありますが、ある程度順調に進んでいるのが、
『しぼ織』。なんやかんや言いながら手堅く柄が固まっていきます。

 

以前、何度紹介した『Rococo/しぼ織』。

 

1424395_595118920524897_189903420_n.jpg
Rococo

 

この帯は箔と色糸、地色が上手くハマってくれたので、お太鼓にした時に力強く、それでいて
綺麗にまとまってくれます。

 

似た帯を作っても面白く無いので、配色自体は似てしまいましたが、柄と地色が下から
湧いてくる、そんな流れを帯に持たせてみました。

 

基本的に立涌っぽい柄ですが、葉の葉脈や色の抜け方を工夫して、流れが出ていると思います。

 

IMG_4178.png

『作楽/しぼ織』

 

もう少し配色に透明感を持たせて作りたいので、地に僅かブルー系で沈ませるつもりですが、
全体のイメージはこんな感じになると思います。

 

しぼの作り方も地の紋次第で面白いことが出来そうなので、遊びながらやってみたいと思います。

タグ: , , ,

1  2  3  4  5

カテゴリ

バックナンバー

  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介

となみ帯

Facebook

LINE@はじめました
友だち追加

新着記事

五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

携帯サイトのご案内

QRコード

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...