となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 草履

2016年11月21日

雪がある時でも外へ行ける様になる草履。

『京都は雪ふらないしなぁ』と言われた所からスタートした『防寒草履』のモノづくり。
今年も少しだけ新作が上がってきました。


スクリーンショット 2016-11-21 13.37.40.png
→FB防寒草履へ(結構写真だけでも評判良し、です。)

モノづくりの最初は、滑り止めは素晴らしいけど、台の高さが足りない。
(京都人、雪=滑る、が一番怖いところ。でも、そこまでは積もらない、だからかな?)。

反対に草履台が高すぎると、雪に足(草履)が取られて、かえって危険。
また、ある程度以上積もると、それから先は長靴履くから、それまでの草履が欲しい。
などなど台の高さだけでも、一つ聞くと20〜30は意見を頂けました。

さらに、ちょうどその頃、ある程度の期間、雪の降る地方に出張していたこともあり、
その時に聞いたことを形にしていった型が、現在のモノになっています。

スクリーンショット 2016-11-21 10.01.35.png

ちなみに、この仙福屋の防寒草履、ほかとの違いは『最大限に帯地を使う。』こと。
花緒だけ帯地を使って、台には他から見つけてきたものに挿げる。そんなものがほとんどです。
そうしてしまうと、カバーは面積的に大きいし、花緒の大部分は隠れてしまいます。

せっかくの帯屋が作る草履として、それは嫌だったので、帯地が活きる様に考え、最終的に
帯地をコーティングしたモノでカバーを作ることにしました。

今ではこの『せっかくの帯屋が・・・。』と思ってこだわった部分。
ここが、この草履の特長として活きていますので、拘っては、ごねて(苦笑)良かったと思います。

皆さんが雪の日に着物で外出することが、
少しでも億劫じゃなくなれば、このモノづくりは大成功です。

生地やコーティングの問題、台自体の制作は早いものではありません。
少し作っては展示会に出したり、UPしたりしています。
 →https://goo.gl/XmtTFr(仙福屋の防寒草履へ)

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2016年10月04日

仙福屋の真綿入り草履/Mサイズ、LLサイズ

仙福屋の小物でも1,2番の人気を誇る「真綿入り草履」。
写真はサイズの見本ですが、下がMサイズ(23.5cm前後)、上がLLサイズ(25.5cm前後)
の草履台です。

DSC09972.jpg
仙福屋の真綿入り草履

比較すると、これだけ違います・・・。
(思ったよりも、違いますね。。)

草履の台はキルクを削り製作していくものですが、最近ではその職人・会社も減って、
今では、サイズ自体が減って、2サイズだったり、全てフリーになってしまったり。

そんな状態になっています(これはドンドン悪化)。

写真のLLサイズですら、お客さんに見せると、
「このサイズ、探してもあまりないし、良かったぁ~。」
と言う声を聞くことも・・・。

やはり草履が良くないと、着物で外出することは、大幅に減ります。
そうすると、帯の出番も当然減って・・・。となりますので、ここの分野も
今後も頑張って、続けて行く必要があります。

帯屋ですが、草履を沢山扱い、拘る理由はこの辺りにもあります。
今日、話をさせて頂いている中、そんなことも出てきましたので、書いてみました。

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2016年09月30日

となみ帯地を使った利休バッグ/草履の鼻緒をセットで。

帯地を使った草履バッグセット。となみ織物が作る小物を扱う「仙福屋」では、草履とバッグももちろん作っています。どちらも帯地の意匠を見て、「草履の花緒として相応しいか?」「バッグに使える帯地としては?」と一つずつ個別に制作をしています。


そんなこともあって世間で言う、いわゆる「草履バッグセット」にはあまり興味が無い、さらに言えば、良いモノのイメージはありませんでした(イメージだけですみません)。もちろん、制作もかなり特別な場合を除き、ほとんどしていませんでした。

ただ最近、『帯と同じ草履や和装バッグがほしい。』以外にも、『草履の花緒と同じ帯地のバッグがほしい。』とか、反対に『バッグと同柄の花緒で草履がほしい。』そんな要望を頂くちょこちょこ増えています。

つい最近、花緒探しをしていると、そのことが頭の片隅に入っていた(アンテナが立っていました)こともあり、見つけてしまいます。

IMG_7854.jpg

これは二重織という織り方。
経糸に8000本近くの糸を使い、それを上下させることで柄を織り成す帯。
色数は少ないのに、何重にもなった経が作る重厚さが特長、バッグとしても花緒に使っても、
この帯地の意匠が活きています。

これは経紬という帯を使った草履と利休バッグ。しかも花緒は柄取りを変えて2種類。

DSCF1047.jpg

意匠的に相応しくないもの、経糸の関係でどうしてもできないこともありますが、
皆さんからの要望もありますので、少しずつ揃えていければ・・・、と考えています。

それと、帯作りしている時はいつも『メーカーとして何かできないかな?』というのが、
頭の中にあります。

皆さんからの要望を頂いて形にする、それもメーカーとしての大きな仕事です。
リクエスト頂いた帯地の小物を作る、たとえば『お持ちの帯と同じバッグを後から作る。
今までは、諸事情から難しかったところもありますが、もしご要望があるようであれば、
皆さんに喜んで頂けるのかなぁ・・・。

とか考えたりもしています。

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2016年01月18日

雪が降ると防寒草履に注目が・・・。

 

京都も今夜から雪という話が・・・。
今、出張へ出ているスタッフは関東地方が多いので、覚悟をして出る北海道や新潟と違って『ほんまに大変です。』。そんな報告が来たりもしています。気をつけてくださいm(_ _)m。

 

普段、雪が降らない地方に降ると、人気がでるのが防寒草履。何十センチと降ってしまうと、全く役に立ちませんが、それでも雪の溶けた道路を歩く場合や少々の雪であれば、必需品です。帯メーカーとしては『雪が降ったので(雨が降ったので)履くものが無くて、洋服にしました。着たかったのに・・・。』と言われるのは辛いですから、作り続けています。

 

仙福屋ブランドの防寒草履、冬になるとFacebookでも時々UPしていて、この前上げたアヴェマリア楽譜の防寒草履。

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Facebook
/楽譜/防寒草履リンク

 

とてもいい評判を数多く頂いています。他にも少しカラフルなものとか、作る/作ったときにはちょっとやり過ぎたかもしれない・・・。というようなモノから出て行っている様な気がします。やはり雪でも、外に出て見せたい!と強く思うものの方が良いのかもしれませんね。

 

当初、この防寒草履も、全く無地のカバー、花緒も同じ。そういうものを仕入れていましたが、実用面では問題なくても、やっていて全然面白く無い。そんなこともあり、となみ社内では当たり前のようになってしまった(苦笑)、帯地にコーティングをして製作をしています。周りを見ても、(数年経っても)実用化されているところは殆ど見ませんし、やっぱり難しいんだと職人さんと自画自賛をたまにしています(笑)。

当初は、織組織に応じて、また発色ができる限り維持できもの、さらに持った際の厚み。裁断、縫製等の加工が困難にならないもの。
ということで、試行錯誤して出来たものです。今でも織組織には制限があって、できないモノも中にはありますが、完成度はとても高いです。←とういうことを社内にはほとんど伝えていませんので、『①冬が来て、②雪が降り、③この防寒草履が人気になって、④いつ上がってきますか?』と言われる度に、言おうかな、と思います(笑)。

 

モノづくりはできる限り苦労話ではなくて、前向きに。こういうことが出来るようになったから、どんなもの作る?そういう風にしたいと思っています。

 

 

2015年10月21日

草履の底を赤にしてみました。南蛮七宝文様モデル。

レッドソールの草履、とくれば撮るのはやっぱり底。【底】ばかりの撮影です。こちらが伝えたい雰囲気を上手く出せるように試行錯誤しています。(最初は恐る恐る)検討するために3足製作し、意見を聞いたところ、一部を除く、大絶賛でした。ありがとうございますm(_ _)m。Facebookでも中々の評判を頂いています。
 

 

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 ⇒Facebookレッドソール初登場

 

 

正式にはまだ職人さんとの打ち合わせが出来ていませんが、納期的にはおおよそ5日、最大で10日ほど余分に頂ければ、製作できそうです。この辺りは詰めるとして、まずは南蛮七宝を使ったモノから製作して頂きました。

 

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(撮影中です。)

 

花緒部分の帯地『白』とツボの『赤』。この2つがハマってくれましたので、できればこれは動かさず、レッドソールと白のダックジュエル、それと南蛮七宝の花緒。この組み合わせに関しては、この組み合わせ限定にしようと考えています。

 

DSC07318 (1).jpg

 

 

常務も気に入っていますので、一楽モデルも色を検討中です。

 

ちょうど上の文書を書いた後、この『一部を除く』の方に、見本を履いていただきました。『似合わないし、いいよ。。』と初めは言われていましたが・・・・。履くと、変わりますね(笑)。赤は女性を(さらに)魅力的に魅せますので、やはり見るもイイですが、まずは履くですね。

帯屋だけに、一瞬、真紅の裏地が思い浮かびました。ヒネリがないかな・・・?

2015年05月29日

特殊台に合わせて

 

結構苦手なことの一つに花緒を合わせることがあります。
台と花緒の帯地だけ色を合わせるのであれば、そう難しくないですが、
柄にツボの色、裏側のビロード部分の色となってくると、時間かかります。

 

自分の私用草履は、南蛮七宝の花緒で無地的にシンプルに、とそんな逃げもできます。


が、陳列されるフラッグシップ的なモノ(今回は、となみ丸用です。)に関しては、
入念に、丁寧に(自分の時とは比べ物にならない)時間を掛け、
何百のモノ数の花緒からベストを探すようにしています。

 

しかも今回は特殊台。もう一つ考慮要素が増えました。

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『ツートン台』

 

 

花緒は悩みます。

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(台の白に負けないように、黒に銀色の箔引き箔を使った帯地・・・。)

 

 

ちなみに、南蛮七宝文様の花緒を使った際は、台天部分を挟む様にして、
オセロをイメージしました。

 

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たったこれだけでも時間かかりましたが、
まだ、この他にも色があります(笑)。

 

 

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2015年03月10日

真綿入りのさらに特別な台。

 

となみ織物の小物ブランド『仙福屋』では年間で約1300足の草履を販売しています。

そのうちの大部分は真綿入り草履

毎月、ずっと一定の需要があるわけではなくて、年のうち大きな山はあります。
全て手で製作していきますので、その山の時には草履の工房はパンパン、一杯です。


そういう時にこそ、新しいものをパッと思い付きますが(付いてしまうの方が正しいかも?)
が、実際にそれを作るとなると、ある程度ゆっくりとした時間がお互い必要です。

 

DSC00705.jpg

 

今年に入って、この3月前半までは多少余裕がありましたので、新しく定着しそうな
モノが一つ出来そうです。

 

その前に余談ですが、バッグは定着する形を作るのは非常に難しいです。
反対に、定着するかは別として(笑)新しいものを作るのはそう難しくありません。

 

草履はある程度の形の枠内でのモノづくりのため、新しいモノ自体、作るのが難しいです。
特に画期的なもの。いつも頭の上にアンテナ張っていますが・・・。

今までは、帯地を使った防寒とか・・・?なかなか難しいです。

 

話は戻りますが、その新しい草履の名前は、『真綿入り草履R』。

『R』というのは、別に奇をてらったわけではなくて、
通常の真綿草履のキルクをそこから、一手間かけて、『R』を付けて削ったものです。
(キルク自体は企業秘密。その代わり出来たてホヤホヤの台です。)

 

IMG_4329.jpg
『仙福屋の真綿草履R』

 

一手間掛けて、長時間

 

2足目以降にオススメの草履と考えていますので、キルクの上にはエナメルを。
ちょっとヒネた色目の革を使った草履になります。

 

元々、仙福屋で草履を作った理由が、『足(鼻緒)が痛いから着物で外に出たくない。』、
という言葉を何とかしたかったからです。

それを忘れずに、よそへ逸れて行かないようにしたいと思います。

 

最近は『スニーカーよりも履きやすい!』との声も聞かせて頂けますので、
今度はそれに負けない様に、見せたくなって外に行きたくなる帯作り。

がんばります!

 

履き心地も試してもらえる機会も増やしたいです。

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2008年08月23日

相乗効果。。。

以前、依頼していた草履が上がってきました。
見た瞬間テンション
が上がりそうなものです。。

写真を見てもらう前に・・・

こんな『過程』で完成した草履です。

ここのところ私物草履は作ってないので、
ちょっと変わったものを、と思いました。
(結果モノ凄いインパクトあり)
       ↓
花緒は面白そうな生地ということで、
ある生地を選択(相当数ある中で、わざわざそれ。)
       ↓
台は、本革は台は数足持っているので、
それ以外・・・
       ↓
色も染めてほしい。
(男物に絶対に使わないような色が良い)
       ↓
ただし、花緒のツボは、『黒』。


そして、

花緒が仕立て上がってきたとき。
台が完成したとき。

とそれぞれのモノを見た時は、

『普通かなぁ?』

と思っていました。


しかし、花緒と台が合わさった時、
見てみると・・・

こんな感じです。
草履

『下手をすると、これは趣味悪いで、専務~』

と言われるか、

『なかなかないなぁ、この草履』

と言われるか、
ギリギリの所の草履です。


個人的には、前者の方が強い気もしますが、
着物の合わせ方もあると思いますので、

かなり履いてみたい気持でいっぱいです。


ノリで製作した草履ではありますが、
『真綿』はキッチリ入ってますので、

z04_2.jpg

実用的です。


とにかく、履きたいので、
早く来い、秋!

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