となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年06月26日

刺激もらってます。

 

2日連続半日の打ち合わせ。
毎日、異なる業界の方ですので、視点が違って面白いです。

 

その方々は帯を『帯』と見ていない、ところからのご意見です。
自分の中でも帯を違った角度から見ているつもりでしたが、この2日間に関しては
思わず『それはムリなんじゃ・・・。』と頭のなかに思い浮かべることが、何度も・・・。

 

あくまで機屋なので帯ありきですが、モノづくりの中にはどこか冷めた目で
見ないと、次のステップに進むモノづくりはできないものです。
その意味でも、これらの打ち合わせはとても面白いです。

 

ちなみに、図案家さんも人によっては(師匠の一人ですが。。。)、
『帯のことは巾以外、知らんし、気にしたらアカン。』とそんなことを
いつも言われていました。

 

図案家が『帯、帯、帯。』と考えてそれが織り易く絵を書くと、小さくなってしまう。
そんなことばっかり考えてしまったら、モノづくりも結果小さくなって、
機屋さんは面白いものできひん用になるし、ちょっと位、困らせたらいいんや(笑)。
と何十回と聞いてきました(苦笑)。

確かに上がってくる図案は、その度に相当困っていましたが、
新しい技法や工夫をするキッカケになっているので、
この先生の仰ったとおり感謝しかありません。(やっと言えるようになりました(笑)。)

 

 

来月いっぱいまでは、この異業種の方々に挟まれた状態が常時続いていきますので、
『あそこは帯屋さんやし、これはむりやろなぁ』とか、
図案だったら『この図案は向かんやろうし、やめとこ。』と、ならないように、
頑張ってキャッチしていきたいです!

 

それと、頭がパンクしないうちに、モノづくりでアウトプットもして
行きますね〜。

 

2015年06月23日

顔は難しい。

 

織物はどれだけ細かいモノで経糸と横糸の交差点、ドットの世界です。
そのため、ドットで表現となると、どうしても限界がでてきます。

それがモノづくりの面白いところ。その限界を限界と見せないようにどう工夫するか?
モノづくりの大きな醍醐味です。

 

風景でも花柄でも何でも織物で表現するのは難しいモノですが、
特に難しいモノ、それは『顔』の表現。

 

例えば、紹巴織で織ったもの。
『狗児/雪佳』。

紹巴織の微細な織りで糸と糸を絵具のように、色を合わせ、中間色を作ったり、
水でぼかしたような柔らかい表現を織っています。

 

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『狗児/神坂雪佳の世界』

 

この風神雷神も同じく紹巴織。
陰影も糸の合わせ方で全て織っています。

 

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風神雷神/百楽

 

織物以外では、モレッティの帯留め。
これも織物と同じく、職人の技で一つ一つ砂糖鳥の表情を作ります。

 

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『砂糖鳥/モレッティ帯留め』

 

基本的『顔』のあるものはその帯の主題となるものですので、ここが崩れると、
いくら他の背景や生地の感じが良くても、残念な結果に終わっています。

 

自分の場合は、ここの顔の表情部分が一回で決まらないと・・・。
次のドットはもう少し上にして、表情に鋭さを、、あ、やり過ぎた・・。もう一度・・・。
今後は・・・。

と身動きの取れなくなる穴にハマってしまいガチです。

 

そのため、一番始めの紋で決めてしまうように、慎重に慎重に紋作りします。
今回のモノは、こんな表情。

 

一番最初に上がってきた時は、顔の中の目にしか、目が行かず。
他はあまり見ていませんでした(笑)。
 

DSC05697.jpg

 

 

紹巴と比べると、一ドットが大きいため、細部を直すのではなくて、
失敗すると全体のサイズから見直す必要があったので、今回は上手く行って、
ホッとしています。

 

この地に通っている、新しい使い方をしている紬糸にも助けられました。
それはまた別の機会に紹介したいと思います。

 

顔は緊張します。。

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年06月22日

続行中の本袋モノづくり

 

今まで色々と寄り道をしていました。
やっと本袋の話ができます。

いま、現在3柄を進めています。
二柄が『雪佳本袋』。一つは『作楽本袋』です。

雪佳本袋の2柄は図案にて間取ってしまい、先週に図案が出来て、
いまは意匠図を作成しています。ただ、細部にしばらく時間が掛かりそうです。

これらは進み次第、順次紹介しますね。


 

自分の本袋モノづくり、一柄目は、秘錦のこの柄のリメイクです。
 

L1870237.jpg
『秘錦』⇒『本袋作楽』へ

 

いまは紋彫り中ですので、そろそろ配色を決めて行くところです。

 

裏地もこの時の七宝柄をそのまま活かし・・・、

 

L1870240.jpg

 

と、今のところ順調です。

今後の自分の中での本袋モノづくりの基準となるところです。
丁寧にモノづくりしていきたいです。

 

 

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2015年06月21日

青色。

 

今日は久々の一日休みだったこともあり散歩していました。
その時見つけた青です。

 

DSC05668-1.jpg

 

となみ社内には何千色も色糸はありながら、やっぱり敵わないのが、自然の色。
元々の本物なのだから、仕方がありませんし、できる限り近づけようと努力するのも、
新しいモノづくりに繋がっていきます。

 

今、ちょうど製作しているこの輪宝文様にと思っています。

 

スクリーンショット 2015-06-21 21.19.09-2.jpg

2015年06月20日

キズモノ/普段見せるモノではありませんが。

 

今日は、なかなか普段見せることのない、いわゆるキズもの話です。

市場には出ませんが、社内では一杯無いものの、メーカーですので、
モノによっては、そこまでも珍しいものではありません。

 

今は小物などがあるので、一部はそういうものに使い、また織組織の資料として
ずっと保管するモノになることもあります。

そんな意味では重要なモノです。

 

ただ、モノづくりをしている立場なので、キズや直せないモノを実際に見ると、
慣れることは無く、ショックなものです。

 

DSC02792 (1).jpg
先日UPしたばかり、ですが・・・。こういうこともあります。)

 

写真はそこの部分だけ、ロット違いの緯が通って段になったものモノです。

 

仕立ての際、生地を裁つ位置で出ないこともできますが、反物で納めますので、
当然この生地はキズものとなります。

 

帯の場合で4m以上、着物で13m以上、全く何も無く織上げていく、
奇跡とは言いませんが、それだけでも充分素晴らしい技術です。

 

これに複雑な織物の場合は、他にも気を配って行きますので、織り手さんには
本当に頭が下がります。

2015年06月19日

ひそませる色

 

唐長文様のモノ作り。
新しい文様は帯地で順調に進んでいますが、ベースとなるのはやはり南蛮七宝。
 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/06/post-2156.html(参照、輪宝文様)

一度完成させた織や技法を後に他の柄へ応用を効かせることは、
その柄特有の問題(大きさや雰囲気作り)を除けば、そんなに難しくありません。

ですので、今は良いと思うことを南蛮七宝文様で、試行錯誤、繰り返しやっています。

 

今回、目指すモノづくりは、生地に色を潜ませること。

唐長さんが良くお話され印象に残る『色』は、シックや渋く見えてもきれいな色を潜ませることで、
はんなりとさせることができる。簡単そうで深い言葉です。

糸と染めでどこまでの表現が出来るのか、わかりませんし、自分なりの勝手な解釈になることも
ありますが、まずは『あ、これか。』と自分のお腹の中に落ちるまでは試行錯誤の連続です。

じつは、昔にほぼ同じ目標でモノづくりへ取り掛かりましたが、少々中途半端に終わりました。
失敗とは言えず成功の部類に入るとはおもいますが、落ちる所まで行っていませんでした。

文字で書くとこんな感じです。
白生地には白(もしくは生成り)が潜んできます。ただ、染めて色を乗せても、
見慣れているせいか、その白は目には入ってきません。

以前の時は、敢えて生地に白色を潜ませようと、
生成りではなく、白に染めた糸を使った先染め御召を使い、白を潜ませようと染めてみました。

結果、奥行きを感じる、とても良い雰囲気を持った反物になりましたが、
狙っていた目標までのホンの僅かに届かなかった、勿体無さも感じていました。

 

失敗というよりも成功だったので、それ以上直すところも見つからず、それはそれで。
だったのですが、今回はある所からヒントをもらい、ベースに使う御召を変更。

色は、『白⇒萌黄色』です。
 ※春先に芽吹く若葉の様な明るい黄緑です。

 

SDIM0026.jpg

 

経も少し変えて、上から引く染料に馴染みきらないように、工夫もしています。

 

ちなみに、引き染めで上から引く色は『少しひねたグレー』。

最終の目指す所は、正面から見ると、ひねたグレーが、ふとした拍子に、もしくは光の加減で、
底から萌黄が浮いてきて、薄い地色の着物を着ているような透明感、きれいさを感じることが出来る。

そんなイメージです(文字は難しいですね〜(苦笑)細かい話ではなく、清々しい綺麗さを感じるけれども、
見た方はそれがどこから来ているのか不思議に感じる。そんなイメージです。)

 

 

そして、完成した染め上がりはこんな感じ。
写真でその萌黄を出そうと色々してみたので、upしておきます。

DSC05580.jpg

 

DSC05563.jpg

 

DSC05588.jpg

 

この手法ではまだ数反程度の経験しかありません。
まずは一つ目の『おっ』と思えた、成功作です。

今後は、どんな底の色に、どんな色を掛けるのが、きれいなのか?
まだまだこれから試行錯誤して、その感覚を磨いていきたいです。

 

 

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2015年06月18日

自社の強み。御召から見てみる。

『となみさんは〜』と始まって自社の強みに気づいていないと、
昔から・・・特に最近はよく言われます。

反省しながら『この織物の強みって?』『じゃ、この小物は?』
『となみ織物って?』と、事あるごとにスタッフと話をしているので、
今日はその流れを汲んで、自分の頭の中の独り言のような感じになりそうです。

 

『仙福屋の御召』⇒オリジナルという軽さが目について、個人的には
あまり好きな言葉ではないのですが、それ以上いい表現を思いつかないので、
となみ独自のオリジナル御召です(これから上手くなるように努力します)。

 

何がオリジナルなのか?というと、この織物自体、糸種、糸の使い方、織組織、
意匠。すべてが独自のモノを独自の組み合わせでモノづくりをしています。

自分たちが考える一番着やすく、意匠が美しく見えるように。
また、意匠に関しては時間とコストを相当掛けた帯のモノを利用し製作します。

 

じゃ、もしかして手抜き?
と思われるかもしれませんので、使用前後を乗せておきます。

DSC02801.jpg
Kilim経錦帯✕御召』

 

この帯の意匠を使い、着物として一番美しく見える(もちろん仕立てした時を想定)様に
再構成し、製織しました。

 

元の図案に力があるため、変化を加えすぎると良さが消える恐れがあり、
そのまま使うと、着物として成り立ちにくい。

そのバランス感覚も帯の意匠をオリジナルの着物として使うには、大事な要素です。

 

こんなことが出来る様になったのは、となみの歴史からすると、そんな昔ではありません。
今では、大きな大きな強みの一つですし、同じことをずっと同じままするのではなく、
新しい分野でモノづくり出来るように会社が変化できる、それも一つの強みかもしれませんね。

 

 

2015年06月17日

試作・実験をしながら、帯作りへも繋げる。

 

『自分の持ちたいもの』から作っているやろ。
とよく言われる小物(特に雑貨)作り。

今まで完成品までの遠い道のりの中、沢山の試作を作ってきました。

 

おそらく自分が一番雑な使い方をしていそうですので、
帯地の弱点である耐久性を見るためにも、一番向いていると思います(笑)。
ホントに雑です(『敢えて』にしておいて下さい)。

鞄の中に入っているのは、財布・ペンケース(ケルティック)、
名刺入れ、キーケース、手帳を入れるブックカバー(南蛮七宝)。

そうそう、入れている鞄はケルティック。

と、ほぼ自社です。

 

継続して様子を見ていますが、コーティングを掛けていないモノが、
このブックカバー。特にいつも鞄に突っ込み、雑にしています。

 

おそらく使い始めから3年は経っていますが、現状はこんな感じです。

IMG_0005.jpg

 

ほぼ問題ない感じです。

 

帯屋としては、帯として想定して織組織を組み、それを違う用途で使ってみて、
問題が起きない。『帯』の立場からすると、鞄の中に突っ込まれ、持ち運びされる、
というのは考えられないほどのビックリの過酷さです。

立場に立つと、少々可哀想な気持ちもしますが安心します。
(これだったら、帯としてどんな使い方でも耐えれそうですから。。)

 

 

その経験を活かしつつ、次に製作しているのは、未だ試作の試作ではありますが、
このカードケースです。

IMG_0009_1.jpg

 

今度は着物とのコラボではなくて、話をさせてもらっているのが、
からかみとのコラボ。

 

新しいものを作りつつも、その経験が次のモノづくり、帯や小物へと繋がり続けている間は、
上手く両方とも、試行錯誤しながらやっていきたいと思います。

 

発表の期限もありますので、ゆっくり急ぎます〜。

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2015年06月16日

一番最初の小物作りから・・・。

 

仙福屋でも根強い人気の懐紙入れ。

 

L1870198.jpg
『作楽/懐紙入れ』

 

 

よくよく考えると懐紙入れが、一番最初の仙福屋の小物作りです。
初めはプレゼント用として、ホントのハギレを(変な表現ですが)使って製作。

良い評判を頂いて、製品として現在に至ります。

 

そんな一番最初のハギレの時からでも気を付けていたのは、
『帯』としての美しさです。

もし、ギリギリこの懐紙入れが作れる尺のハギレがあったとしても(勿体無いと思っても)
帯としての美しさが完成した時の懐紙入れから、見えないとなると、
そのハギレは懐紙作り用としては、全く使いません。

 

と、試作やプレゼント段階からして、そんな状態でしたので、
現在でも、その考えは懐紙入れ⇒バッグ、もっと帯地としては小さな面積の花緒でも
同じ考えで通しています。

 

機能面からすると、もっと優れているものは他の素材、
たとえば化繊等でそう難しくなくできると思います。

 

となみ織物が織り、仙福屋が製作するモノに関しては、
そういった部分も片目では意識はしつつも、美しさ、持った時の満足感、
そこを大事にしていきたいと思います。

 

今日、懐紙入れに使う帯地を選択しながら、そのように考えていましたので、
形になってできるのを楽しみにしていて下さい。

2015年06月14日

これで本当の最後。

 

まず一本目が上がってきました。

これが最後の南蛮七宝文様大島紬です。

 

L1870161.jpg
『割込大島紬/南蛮七宝紋様』

 

『白』と同じ絣のはずですが、全く異なる雰囲気を持っていて、
茶OR白?という選択肢もありましたが、両方織って良かったと思いました。

 

(『当面の間』と書きたいですが)
おそらくこれで南蛮七宝/大島紬のモノづくりは、最終です。

 

後は、この柄が好きで大事に着て頂ける方の元に行くように願うばかりです。

 

まだ今のところは写真のみの公開で、実際の反物は7月から見て頂ける様に考えています。

 

この茶を私用の単衣を作ろうか?
と真剣に悩んでいます。。。

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