となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年05月23日

雪佳本袋。その一

神坂雪佳の世界より

雪佳が渡欧した際に見ていた海を図案化した『海路』。
今まで八寸名古屋帯で製作したり、紹巴織や雲龍錦で袋帯を製織していました。

 

今度は『本袋』で挑戦したいと思っています。
現在、手元にあるのは雪佳の図案のみですが、イメージは出来ていますので、
このモノづくりは停滞せず進めれることができるはずです。
(そうでないと、経錦に入れない・・・(苦笑))

 

今日の夜にFacebookにもUPされると思いますが、たとえばこの柄。

 

DSC05295.jpg
『海路図/神坂雪佳の世界(雲龍錦)』

 

今のところ、4柄ほどピックアップしています。
できる限り、レトロさを残しつつ、結び易さ、軽さ、耐久性の進歩というか
今現代の織物の良さは取り入れて、製作したいと考えています。

 

この絶妙の空間と配色バランスは図案のまま、帯に濃縮できれば面白くなりそうです。

 

相変わらず法則通り、進みたい方向からは外れています。
良いモノができれば、いいかな(笑)。

2015年05月22日

載せたい写真は一杯ですが、一枚も載せられません。。

 

今日の午後は唐長さんへ。
修学院のお店へお邪魔させて頂きました。

 

モノづくりの話が中心です。
今まで十数年通わせて頂きましたが、今まで見たことが無い【からかみ】を見て、
テンションが相当上がりました。

それを文章で書くのは大変難しいですが、その瞬間パッと頭に思い浮かんだのが、
『モノづくりをしている上で今探しているものが、ここにあった。』です。

 

完全にそのままモノづくりに持ってくるのは、厳しいものもありましたが、
その難しいモノ、いかに織物で表現するか?近づけるか?の繰り返しが、技術、
技法の進化に繋がります。そんなことよりも、早く帯にしたい。

 

今は、そんな気持ちで一杯です。

 

明日が土曜日で残念ですが、一度落ち着いて、キッチリ土日で練り直したいです。

 

帰りの車の中で、まだ全く形にもなっていないのに、帯の最終形として、
袋帯にするか?名古屋にするか?相当悩みました。

 

袋の案だったら、こう。
名古屋案だったら、こう。

 

しっかりそこまで描けたので、余計悩みます。。

 

写真も撮らせて頂きましたので、プリントアウトなりして、並べて、
2日間したいと思っています。

楽しみにしていて下さい!

2015年05月21日

Kilim夏。

 

今日は待望の夏御召が上がってきました。

夏だけど・・・。
帯の総紗縫の様に、透けすぎない透け感を追求し続けて織っているものです。

 

IMG_5560-3.jpg
『夏単衣/Kilim菱(キリムビシ)』

 

ぱっと見た感じ白大島?そんな雰囲気も持っていますが、
持った感じはもう少しフワッとした絹らしい風合いを持った織物です。

 

帯『Kilim』の柄を多少変化させ、モチーフにしたものですが、
そういえば、龍郷柄にも見えなくもないですね。

 

色自体は、ほぼ2色で構成されています。
今から慎重に配色を行い、このKilimシリーズ(今2柄)を充実させたいです。

 

 

 

ここまで柄が詰まると、自分で着ても大丈夫そう・・・。
 

最近は毎日(小さくない)大・中のハプニングだらけで、
今日は、iPhoneが突然動かなくなりました。

これが続いたハプニング最後の締めだということを祈っています(苦笑)。

 

2015年05月19日

しぼとしぼの間。

 

まだ、経錦に入れていない毎日が続きます。

次のモノづくりに掛かろうとすると、次にしたいものではなくて、
今までやっていたことについて、良いイメージが沸くことが多いです。

それで次に取り掛かれない。。。

今回もそうなるとおもいます(笑)。

 

今までやってきた帯というと、このしぼ織。

裏無地を付けて『袋帯』なったばかりものです。

IMG_5204.jpg

 

以前も書きましたが、丸巻き段階で見るモノと裏無地を付け袋帯となったもの。
月並みな表現ですが、すごく良くなります。

(今まで平面だったのが、フワッと温かな空気を入れ立体的になった様な・・・)

さらに、芯を入れると魂がこもり、風合いも柔らかく、より絹が感じられます。


 

今回は、この帯のしぼの間と間。

 

IMG_5206.jpg

 

墨黒に見える部分ですが、
ここの地紋に関しては、紋を使い糸でしぼが起きてこないように押さえています。

 

その部分とグレー・グリーンのしぼ部分。

 

よく考えてみると、このしぼ有り、無しの2択ではなくて、もう一つ選択肢を作ることができれば、
見た感じ、光の加減での陰影にもう一つ表現を加える事ができそうです。

 

この柄ではハッキリとした色でハッキリとした地紋で良いです。

今後作るモノとして、やわらかな色味の中に段階を付けたしぼ織、
そんな表現も出来なくはないのかな?

 

物凄く漠然としたイメージの話ですが、これができると、モノは作りやすいです。


 

 

これらのため、もう少し経錦に入るのは先になりそうです・・・。

 

しぼ織
 ⇒https://www.pinterest.com/senpukuya5/しぼ織/

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2015年05月18日

作り変えたらイイんだ・・・。

 

今日はこのモノづくり。

IMG_5540.jpg

 

このバッグ『タスケ型』を製作してしばらく経ちました。

人気は上々で、随分と注文を頂き、納期までしばらく待って頂いている方もおられます。

帯地の柄、柄取り、革の色等を決め、職人さんへ発注する度に、
『このバッグ、イイよなぁ・・・。』そう思っていましたが、よく考えれば女性専用ではなく、
自分が持っていたいモノ、それに作り変えたら良いんだと、つい先日そこまで思いが行きました。

 

いつも袋帯は自分が作ったものでも結び難いものですので、
『自分ものでも良いんだ。』そんな発想が抜けていることがあります。

だから、モノづくりしているスタッフ、女性もいますので、『自分が結びたいものを作れる。』
よく考えれば物凄く羨ましいですね。。

 

そんなわけで、今日のモノづくりはいつもと趣向を変え、自分だったら。
そういう視点も混じりながら、でした。

 

IMG_5543.jpg

 

タスケ型よりも一回り大きいコーティングトートですが、
このバッグのサイズ感を考えながら、今外回りを検討中です。

マチも含めて、『個人的にはMacのノートが入れば・・・』ですが、それでは視野が狭すぎるので(笑)、
細部のデザインとの兼ね合いで詰めていきたいです。

 

さらにさらに大事なのは、仙福屋で製作するバッグは常にお太鼓を意識、イメージしています。
それに帯締めや帯揚げの小物で色を挿すように、革やダック?の色使い。

 

まだまだ、試作完成までも遠いですが、面白いもの作りますね。

もちろん、最終は女性にも気に入って頂けると、最高です。

 

 

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2015年05月16日

逃げ道 その1

 

今回のメルマガも触れていましたが、(自分の)モノづくりが絶不調な時は、
今のとなみ織物は、違う分野のモノづくりへ力を使うことができます。

いい意味での逃げ道で、しばらくそこで詰まったモノづくりを忘れつつ、
違うモノづくりで他の視点を入れてから、再度戻ってくると、大抵詰まりは解決できます。

 

帯の場合、経錦を除き、今はそんな状態ですので、
他のモノづくりへ力を割いています。(帰ってきた時には、本袋に掛かりたいです。)

 

逃げ道として、いくつかありますが、結構新鮮で楽しくやっているのが、
ショール作り。

DSC05269.jpg
『第2弾ショール、ストール』

 

以前も紹介していましたが、少しずつ進みました。

緯に使う糸を変化しながら今は風合いを確定させる段階です。

帯とは似たようなモノづくりでもあり、全く違うところもあります。
手探りだった段階からは随分とこちらも進化していますので、
これからはそれなりにスンナリ進みそうです。

元々は男物を作ろうと始めたものづくりですが、
女性物でも相当良いモノが出来そうなので、期待していて下さい。

 

南蛮七宝文様以外でも予定しています。

そちらは柄の選別に入っていきますね。
今月中にはそこまで行きたいです。

2015年05月12日

パレット−1。

 

今日のFacebookにUPしている帯話です。

 

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【Rococo/しぼ織

この帯は御召緯を使って織り、織り上がってから、お湯の中に通し生地を縮めて
しぼを作るシリーズです。

 

この『御召緯』は、非常に希少だ。
そんな話は何度か書きましたが、それよりも先に、
予想外に、この中に使用する、ある一色の『箔』がなくなってしまいました。

職人がいなくなったではなくて、原材料が無く作れない、ためです。

 

西陣にも出入りしていて、他の業界にも詳しい方(どの業種か判る方は分かりますね。)
が、よく言われることは、『西陣はつぶしが効く。』ということです。

西陣の会社は一社で全てをまかなうのではなく分業制です。
そのため、どこかの工程が無くなると、本来はモノづくりが止まります。

分かりやすく言うと、紋屋が無くなると、意匠図が作れなくなる。
整経屋がなくなると、経糸の手配ができなくなる。等です。

 

それを良い言い方では工夫、悪く言えばごまかし、ながらやってきました。
(もちろん他へしわ寄せが来ることもあります。)

 

今回はそこまで大変なことではないのですが、その箔が無くなると、
当たり前ですが、今まで通りには、その色が作れなくなる=『その帯』が作れなくなります。

 

これまでも、そういった事態は何度も起きていて、(ダメですが)ある程度慣れています。


しかも、そういう問題が起きた過程で工夫することで、新たなモノづくりのキッカケが
ポンとできることもあるので、全くダメとはいいませんが、
やはり今まで出来たことができなくなる。
表現の手数が減る、
パレットの一色が無くなるような感じで、少々イヤな感じがします。

 

DSC05204-1.jpg

 

今回も今の色では少し単純になり過ぎるため、箔の上に通す緯糸を調整したりして、
元の色に近づける、もしくは全く違う色にする。ということで進める予定です。

 

もし、同じ帯を同じ配色で作るとなったときでも、今後はほぼ一から。
そんな状態になることが予想されますので、それなら新しい意匠を作ろうか。
そういう風にポジティブに考えていきたいです。

 

もうやってる、と言われそうですが、その場合にはさらに。。。

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2015年05月10日

気がつけば本業化です。

 

昔は堂々と本業外と言えた(笑)のに、今は完全に自分の仕事の一つ『帯締めの色出し』。

=帯締めの配色です。

 

となみ織物=(ほぼイコール)仙福屋の色を出して行きます。
基本的に帯を配色する際の糸棚の色を使い色出しを行いますが、帯(や着物)の中に入っても
埋没しないモノ。それも色出しするときの視点として、重要です。

 

IMG_5161.jpg

 

 

これは秋用の『小田巻き』の色見本。
今までの色を見ながら廃盤色にするのか?新色を加えるのか?
今製作中の帯等をイメージしながら、色を置きます。

 

『時代の流行に合わせた』と言葉でいうと簡単ですし、実際に言う方もおられますが、
そんなモノはどこを探してもありませんので、今の帯に具体的に合わせ易い保守的なモノを作りつつ、
それと同じくらいの割合で、今後合わせて行ってもらいたい、少し冒険心を出したモノも一緒に
考えていきます(以前の国旗帯締めみたいなもの)。

 

一つ考えているのが、となみブルーの小田巻き。
となみブルーの入っていない帯地にも、となみブルーが足せる(笑)そんな帯締めです。

そんな単純な動機だったのですが、周りの着物を良く着るスタッフに言ってみると、
相当評判が良かったので、外郭はそういう感じで、あとはもう少し練って(そこが大事)、
進めていきたいと思います。

 

この帯締め作り、一旦発注を掛けると、忘れた頃にしか今は上がってこないです。
職人が少ないためですが、どんどん作れなく、無理したモノづくりもし難いので、
寂しいですが、出来る間は最大限やりたいです。

 

今後のことももちろん考えないとダメですが、いま現在出来ないわけではないので、
進めていきます。

 

おそらく発表は夏末かなぁ。。。

2015年05月09日

次はこの二つ。

 

帯の柄を着物にそこまで詳しくない、
ただデザイン関係の方に見て頂く機会が最近とても多いです。

 

そこでは、典型的な和柄に関しては『素敵』で終わりますが(『古臭い!』ではないので有り難いです)、
シンプルなモノ、例えば裏無地に近いシンプルなものなどは、『洋に持って行きたい。』
と、かなり真剣に言って頂けます。

常にそこには『帯だけでは勿体無い』とい気持ちが有るようです。
(帯屋としては微妙なところもありますが・・・、喜んでいいですよね?)

 

コラボ的な話も頂いていますので、どう進むか分かりませんが、
一生懸命モノづくりを続けてして行きたいと思います。

 

帯揚げへ

 

自分たちもその『帯だけでは勿体無い』部分も感じる所が、確かにありますので、
少し前から、和からは離れない程度で、帯揚げの意匠にもしています。

 

以前製作した『上品綟』の意匠を使った帯揚げです。

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帯揚げの常識に近づけるのではなく、敢えて修正せずに帯の意匠のまま作りました。
そのため、その道のプロ?からは常識外なところも多く、どの方面から見ても面白い帯揚げに
なっています。使う人にとって興味深いモノに仕上がればそれで充分ですが、作り手からの
評判も良い越したことはないですよね。

 

 

次は・・・

今、予定しているのはこの2つの柄。

元は両者とも紹巴織の裏地意匠です。
シンプルな上げ方にはなっていますが、その分配色のメリハリが活きやすく、
思い切った配色で行く予定です。

 

IMG_5286.jpg

 

ただ、問題が一つ。

夏物なので今から型を作って(写真はその元となる図です。←帯そのままです。)、
配色をして、染めに入るのでどの時期に上がってくるか?

 

寒い間はどれだけ頑張っても配色が多少抑え気味になるので、思い切ってするには、
暑い日がせめて一日は必要です。。。

 

救いは生地は用意済みなので、なんとかなるかな〜。

 

2015年05月08日

何度目かの『味とキズ』

 

『味とキズ』
モノづくりをしていると常に問題となり、毎日の様に話に出てきます。

 

天然繊維を使うと・・・、特にうちではほとんどが絹です。
 

『シルクの肌当たり、光沢、発色、風合い、高級というイメージ。』

大変素晴らしい素材です。ただ、お蚕さんが糸を吐き出来た繭を使い、
糸を紡いで作るものなので、化学繊維とは比べれない程、糸には太細が付いています。

 

それを使い生地として帯や着物、などの『生地』を織ると、味とキズの問題は
常に生じます。

 

どれだけ頑張っても、おそらく『全くなんの問題も無いというモノ』は、作れません。

では全てそれを理由にするのか?となると、粗悪品が増えますし、技術は良くなりません。

 

簡単に言ってしまえば、『味とキズ』の問題はその間となるわけですが、その点について
先日、ある方からご意見を頂きました(その方ご自身の作品への考え方です。)

 

確固たる技術があり、そこに拘りと、自分の作品へのプライド。
そこに魂を込めたモノづくりした後のモノは、キズではなくて、それは『味』。

反対に全く味も何も無いモノは、面白みが欠ける。

 

いつもモヤモヤしていた所でしたので、なるほど。
と感じさせられました。

 

 

今日まず第一弾が上がってきた『南蛮七宝文様/帯揚げ(夏)』。
 

IMG_5302.jpg
『南蛮七宝文様/夏単衣帯揚げ』

 

 

以前はどうしても全く同じものに上がらない。
という意味の『難もの』が多く、困っていました。

 

ただ今回上がってきたものに関しては、そういう意味の難ものが大幅に減って、
一つ一つ生地へ向かわれる職人のプライドと気合いを感じました。

随分前から依頼していたので、やっとですが、
『納期は分からん。』と言われた意味がよく分かりました。

 

 

それでも数枚はどうしようも無いモノも上がってきます。
 

今までの過程を知っていて、ここまでしていたことを考えると、
この数枚のどうしようもない所が、味に見えてきます。

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