となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年03月21日

次の総紗縫できるかも・・・。

 

少し前の『猫/総紗縫/黒』。

 

IMG_5644.jpg
猫/総紗縫/黒

 

この意匠は元々、紹巴織→それを紬→総紗縫→今回の総紗縫と4回目のリメイクです。
全て新しく設計図(紋図)を作ります。

 

新しいものが出来ると、前のモノは織らないか?というと、そういう時もありますが、
柄は同じでも作り始めのコンセプトが違うことが多いので、ほとんどの場合、並列して、
同じ柄の帯として存在、製作することが多いです。

(前のモノよりも少なくとも劣るわけには行かないので、
良くわからない自分の中のプレッシャーはありますが・・・。)

 

IMG_5639.jpg

 

 

前のモノは『猫』を一つの上げ方で猫を織ったので、縦に方向に流れる粋な柄になっていました。

反対に写真の2バージョン目は、総紗縫の経緯の関係でそれぞれ一匹ずつ変えて織っています。
 

 

今日は次の総紗縫を・・・と思って、じっと一匹ずつの猫を見ながら、
次の帯のもとになりそうな図案を探していました。

 

 

『総紗縫』という織物は緻密さ他には無い特別な紗です。

一番シンプルな作り方、箔を柄に使うだけで充分訴求力のある帯になりますが、
モノづくりをしていると、何か次に進みたくなります。

 

初めてこの帯を見る方には、一番シンプルなモノを見て頂くだけで、
驚いて頂けはずです。だから、①一番シンプルなモノ→②次に改善したモノ、
③最新のモノと順次、小出しにすれば、順次購入して頂ける可能性があるはず。

 

ですが、となみ的には、いきなり①〜③を見せてしまいます。

会社的な売上や利益を考えると、『どう、それって?』と
異業種の方(同業もそうかも・・・)からも言われることもあります。

 

『それがお客様のため、と強く考えています・・・。』と断言できるとカッコイイのですが、
そういう訳ではなく(そこまで考えていないのかも?)、常に新しいモノづくりを見せる。


そうすると、飽きられないためには、常に新しいモノづくりをしなくてはいけない。
そんな危機感にさらされる、頭はモノづくり、そしてアンテナもいつも立てておく。

おそらく、これがうちの良い所と、強みです。

 

なんて非効率な。。とこれもよく言われますが、メーカーが新しいものが作れなくなったり、
作らず同じものばかり売ることで満足してしまったら、もうメーカーでなくなりますからね。

 

スランプで詰まっても、少ししか進まなくてもモノづくりは続けて行ける会社でいたいです。

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2015年03月17日

新しいけど見た目ほとんど変わらないもの。

 

やっと上がってきました。『総紗縫/黒』の新しい技法。

総紗縫は・・・と始めると永遠と書いてしまいますので省略しますが、
この織物、当初想定していたから、色、織に工夫をすることで大きく表現方法が
発展しました。雑誌で紹介したものでも、ざっと変遷を追っかけて頂けます。
Pinterest『総紗縫』へ

 

もちろん、新しい表現方法が出来たからといって、今までの織り方をしないか?
というとそうではなく、電化製とは違って並列してモノづくりします。

 

モノづくりする人間はほぼ例外なく(自分も含め)新しいもの好きが多いので、
新しいモノを使って作りたくなりますが・・・、
それだけを中心に据えてしまうと、かえってその技法に縛られてしまい、
出来上がりがショボくなることが多々あります。
(この『ショボくなる』という表現がピッタリです)

 

ですので、新しいモノでも大喜びはせずに、社内アナウンスも小さくして、
紹介します。といっても今はまだ目出し段階です。

 


DSC04771.jpg
『総紗縫/黒+』

 

見た目はそんなに変わらず、透け感も総紗縫らしい透け感。
という風に見えますが、じつは画期的なことがいくつかあります(おいおい紹介しますね)。

 

DSC047802.jpg

今までの総紗縫にはできなかったことです。

ただ前述のように、使わなくて良い意匠で使っても反対に野暮ったくショボくなってしまいます。
 

 

結ぶ方からすると、気付かれない可能性もある変化ですが、今後の表現が何倍にもなる、
(何度も言いますが、全く使わなくてよい柄も沢山あります)可能性を持った技法です。

 

素材が凄い!織り方が凄い!色が変わっている!等、派手なところは全くありません。
今の流れで言うと『消費者に届かないと意味が無い。』。そんな風潮からすると、
けしからんと言われそうなモノづくりですが、自分の中ではこういうモノづくりが
かなり好きですね。

 

この後は2柄。これを進めていて、じわじわ総紗縫を内部から染めていこうと
こっそり企んでいます(笑)。

 

まだ、一本織り上がるかも分かりませんので、ここにUPしながらも内緒です。。

 





 

 

 

2015年03月16日

みおバッグ、スタートしました。

今日は、別件の打ち合わせでバッグの話。

どれだけ時間を掛けても、『ここをもうちょっと』。

そんな意見を頂けるのがバッグ作りです。

 

面白いのは一つの完成形でもあるはずの『利休型』ですら、もうちょっと手の長さが・・・、やマチを大きくして欲しい。とご意見を頂きました。

その意見を抽象化してできたのが、タスケ型やダテ型になっています。

 

今まで無かった形の叩き台を作ると、どうなるか?(笑)
(これ以上書かなくてもいいですよね?)

 

IMG_4170.jpg
『叩き台初期(ちなみに帯地は『海路』)』

 

構造はシンプルで、できる限り小さく(でもA4)、可愛くて、
キレイ系な洋服にも持てる和のバッグ。細部にも細かな拘りを散りばめて、
中は『となみブルー』の生地を使う。

 

頂いたご意見に社内、職人とで意見を交わし、それらをベースに自分たちが持って欲しい。
そういう叩き台です。

 

 

また、こういう試作で使う帯地は『勿体無いです。』と良く良く言われることですが、
良い生地を使うこと。残り裂、裏無地に近いモノで試作を取ると、全て駄目なように見えて、
叩き台より先に進めようと思わなくなります。

だから、写真海路や南蛮七宝、Celtic等でできる限り製作をします。

 

あのバッグ、とか昨日見本の上がったバッグ、そんな名前で呼ぶのは愛着が湧きませんので、
今のところ、コードネーム(ちょっと大層です)『みお(ミオ?)バッグ』です。

 

試作から完成まで、何度も呼んでいるうちに、愛着とともに定着して、
そういう名前のバッグに見えてくるのが不思議です。

 

2015年03月15日

梅の花見て、帯の失敗を思い出しました。

 

今日は久々に一日休みでしたので、京都で用事を済ませながら、
少し散歩ができました。

花粉症なので、目薬と飲む方の薬は忘れず、キッチリとしましたが、
全くダメでした(笑)。

 

一応、これは。と感じた構図で梅を撮ってみました。

うめ.jpg

 

背景の木々と馴染みすぎて、梅が・・・。
と、たまに帯を作っていてもしてしまう失敗です。。。
(しかもこの一枚のみしか撮ってません。)

 

ここから帯つくりの話で。

 

帯作りの最初はビギナーズラック的な部分で上手く行くこともあります。
それがモチーフや配色を悩みだした頃、する失敗はほぼ皆んな同じです。

それは何かというと。『盛り込み過ぎ』(今もやってしまいます。)。
自分の作りたいものを『あれも、これも』もなってしまい、自分色を前に出した結果、
主観的過ぎて、雰囲気が重く、結び難い帯になります。
『なんとなくやりたい方向はわかるけど・・・。好きじゃない。』そんな帯です。
(それはそれで面白く。最終品にならなくても、次の発射台として活きてきます。)

 

基本的に昔の帯の傑作は、3層(3つのレベル)の中に収まります。

たとえば、梅をモチーフにした引き箔の帯だったら。

箔で織り上げた背景部分①、箔の上に乗る柄のベース的な枝や樹木部分②、梅の花や月③。
そういうイメージです。

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『図案の段階は頭の中で、1,2,3。良い帯なりそう。頭の中にいつもあります。』

 

これに額や樹木に入る苔などにも階層を付けることは出来ますが、それをやってしまうと、
普通は主体の梅がボケてしまい、煩くなり、何の帯か?よく分からなくなります。

今日の写真みたいで、説明の役に立ってくれましたね。

 

もちろん、これを崩して全然違う帯を作ることもあったりと、一つのルールではありますが、
知っているのと知らないのとでは、同じ図案でも、作ると出来る帯は変わります。

 

帯作りされる方は少ないと思います。ただ、これを知って帯を見ると帯の見方への視点が
増えますし、もしかして今まで漠然として選んでいた好きになる帯の理由が分かる様に、
なる(かもしれません。。)。

 

 

 

結構まじめに書きました。

でも、今日は折角きれいに咲いていた梅の写真への反省のつもりです。。。

 

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2015年03月06日

リメイクをリメイクし、配色替えしました。

 

モチーフ自体が好きで、大きさ、色、織組織、素材を変えながら
最後まで柄を使い切ろう。

そんな柄の黒地バージョンが上がってきました。

 

DSC04690.jpg
『作楽/紹巴紬』

 

好きな図案の帯ですので、それぞれのバージョンに全部に思い入れがあります。
(どれが一番好きか?と聞かれても、多分、全部と答えてしまいそうです。。)

 

 

一番最初は・・・。

染織美術館.jpg
(ちょっと分かりにくいです。一番左です。)

 

これがサイズ、配色、織組織が変わり、こうなります。

DSC04645.jpg

 

もう一つあって、その後に冒頭のバージョンです。

 

 

この3つ並べると『あー、確かに同じ柄』となりますが、
配色を変えるだけで、雰囲気はごろっと変わり気付かれないことが多いです。

サイズまで変えてしまうと、さらにです。

 

普通はこれも新柄だと言ってしまえば良いのですが、
こうばらしてしまうと、『手抜きだ!』と言われそうです(笑)。

 

一応書いておくと、帯の場合サイズも織組織を作るとなると、
ほぼ一から作るのと同じ手間が掛かってしまいます。

図案を作り、紋意匠図を作り、新たに糸を置いて配色、目出し。

手を抜いた!と言われる可能性を考えると、割に合わない様な気もしますが、
自分が好き、と思える柄はそうは出てこないので、この帯の様にやってしまいます。

 

元は一つの柄を様々な角度から、モノづくりのエッセンスを加えながら、
自分なりにモノづくりできるのは、なかなか楽しい仕事です。

 

ちなみに、一番最初のモノは自分はちょこっとしか入っていませんが、
同じ柄にずっと接して、細かく柄を分解して、あーだこーだしているうちに、
最近は完全に自分の柄の様になってしまいました。

 

 

でも、まだほとんど社内社外とも、あまり注目されない不思議な柄です(笑)。

 

 

 

 

2015年03月04日

キズもスジも汚れも無いB反。稀です。

 

タイトルの通りだと思わず、問題無さそうですが・・・。

昨日紹介した御召と一緒に上がってきました(百何十本かに一本の確率です)。
(もちろん織り手さんは気づかれ、すみませんと。)

 

IMG_4452.jpg
『仙福屋の御召/麹塵染め(アウトレット)』

 

 

問題は、重量面。

この表題御召はそこで、引っ掛かりました。

 

モノづくりする際は帯も着物も、この『重量』には特に気をつけています。


糸を沢山使った方(重くなる)が原価的には高いので、高級。
という考え方を元に製作されているモノもあります。

特に昔は今よりも、そういう考え方が強くあって、昔の帯は総じて重いです。

 

ただ、お洒落着、街着である限り、生地を軽くしていくのが、着る方への負担も少ないため、
モノづくりの正しい方向だと考えています。

とは言っても、生地が軽すぎると、手持ち感がペラペラで、
シワになり易く、しかも戻らない。そうなると、絹の場合それもまた問題です。

 

 

 

『仙福屋御召/麹塵染め』この着尺は帯と同じ麹塵糸に通常の糸とを交互に入り、
重量面やシワ、風合いのバランスを取りながら織ります。

 

 

余談になりますが、時々反物の〜gという重量自体は軽くても、
手持ち(着心地)が全く軽さを感じない、不思議な反物があります。

織組織や糸の使い方、打ち込みの具合でそうなってしまうのですが、
こればかりは織ってみて、実際に手に持ってみる。そんなアナログさも重要です。

 

人間の手ってスゴイとその度に感じます。
ぜひ、沢山の反物を見られる際は、実際に反物全体(←ここが重要)を持って触って、
他と比較する、是非して頂きたいです。

 

話は戻りますが、丸巻き自体で見ても、これだけ違います。

IMG_4456.jpg
『左が通常。右が今回の稀な反物』

 

この反物は自分用でも相当枚数を作っているので、どうしょうか検討中です。

 

さらに余談ですが、反物や帯を持つ時に軽ければ、その時心のなかでは『よしよし』です。
重かった場合、『重っ』とは言いますが、感覚的には『おもい』というよりも『ヘビー』に近いです。

そうすると、本当にイメージが重く、どれだけ糸の通った織物でも、せめて『重いなぁ』くらいに
戻そうと思います。感覚だけの話で、非常に伝わり難いアナログな部分ですが、これも心掛けとしては、
大事です。

 

 

 

 

2015年03月03日

桃の節句。

 

3月3日は桃の節句。

FullSizeRender.jpg

 

桃をモチーフにした帯は社内でも少なく、図案で数柄のみです。
(思い当たっただけですので、来年はもう少し調べてみます。)

 

桃の節句も桃太郎の話と関係があり、鬼(邪)を払う。
だからお供は鬼門(北東)の反対方向、申、酉、戌を連れて行った。

古代中国でも仙人の果物、仙果だったり、孫悟空が食べ散らかしていたのが、桃だったり、
とモノづくりのベースとなりそうな題材は(熟れていないものの)一杯あります。

おそらくモノづくりをしていないと、
『桃の花』を『桃』として意識することも少なかったと思います。

 

ほわっとした色を作るために、染めも含めて、ゆっくり考えたいな。
と桃を見ていました。。

 

 

 

さてさて、今日は年間通じてずっと人気のある、仙福屋の御召。

新色が上がってきました。

IMG_5890.jpg
『仙福屋の御召』

 

この織組織は打ち込みを入れてシャリ感を作りつつ、生地を立てると透けるほどの
薄さを持った生地です。

 

そのため生地としては、真夏以外の袷・単衣時期を仕立てによって対応できるため、
同じ織り方で春は春らしい色、単衣は涼しげ、秋はシックに、冬は暖かみのある色で
配色を行います。

 

今回は(桃色はありませんが)真冬に想像した春から、単衣時期をイメージした色目です。

 

どんな色、柄の帯を合わせて頂けるのか、楽しみです!

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2015年03月01日

図案のつくりかた。

 

色んな話を頂いたり、キッカケを頂いたりして最近は『何をつくろうか?』
とは困らず、『どこから手を付けようか?』に変わっています。
幸せな悩みですね〜。有難いです。

 

そんな帯づくりの最初、柄の工程としては図案が一番最初です。

 

図案は、ざっと分けて3つパターンで製作します。

一つ目は、図案家に依頼や図案展。

図案家さんは色んな方がおられますので一概には言えませんが、
敢えて帯を考えず図案を描く方がおられます。

ヘタをすれば、『限りなく帯にし難い様な図案(笑)』。
そんなのもあります。

そう書くと、ダメな図案っぽく見えますが、
何の苦労も無く帯になる図案よりも良いことも多いです。
織れない→織れるように色を省く、柄をシンプルにする。という工夫もありますが、
そうではなく、織れるような新しい織組織、糸使いを作り出す。

そのキッカケになることもあります。
そう簡単には新しい組織や糸使いは出来ませんので、
この場合には図案家さんと図案には、本当に感謝感謝です。

 

2つ目は、自分で作る場合。
自分の場合はシンプルなモノだけですが、①の様に新しいモノづくりのキッカケにしたいのですが、
完成の帯がどうしても頭にチラつくので、本当に新しいものには向かないのかもしれません・・・。
(一応頑張ってはみています・・・。)

 

3つ目は、
着物とはまったく関係のない所から、コラボレーションでの製作。

今まで多くの方とモノづくりさせて頂いてきましたが、帯の柄を作っておられるわけではないので、
作品を帯にする、のは柄の取り方、配色、それらを実現するための織組織など、前提が帯ではない分、
こちらも相当勉強になります。

 

こんな感じで帯が出来る前の前の段階ですが、失敗を繰り返しながら、モノづくりしています。

最近は帯を沢山持たれることはそんなに多くは無いと思いますが、自分たちが製作した帯を結ばれた際、
図案をはじめ一つ一つの工程に込めた職人の気持ちが伝わる様に、丁寧にモノづくりして行きたいです。

2015年02月27日

最終判断の目出し。

 

試験織り目出しが上がってきました。

 

モノによってはこの段階『えっ、なに。』となるのが少なくないので、
勝手に人のはUPできません(怒られます。。。)。自分のです。

 

毎日、こういう試験が新しい織組織、柄や色で何種類も上がってきます。

ときどきに、設計ミスで糸が爆発しているモノもあります。原因の分かるのはまだマシですが、
配色のせいで『気持ち悪いモノ』。織組織のせいで『触りたくないモノ』。

等々、帯の感想とは思えないものが上がってくることも。
ステップあっぷのための付き物みたいなものです。

 

試験織り、社内では『目出し(めだし)』と呼んでいますが、それが山になっていて、
ダンボールにすると100を優に超えます。

昔のものを掘り返すと、次の新しいことを思いつくこともあり、ある意味宝の山です。
いずれ時間が許せば、その山を解体して一つ一つ紹介していきたいです。

その発掘作業は面白くて手が止まり、おそらく相当難航するとおもいます。

 

 

さてさて、そんな目出しの一番新しいもの。
紹巴紬です。

 

DSC04607.jpg

『作楽紹巴紬/宝相華』

 

3色の配色を一度に織りました。


この柄は濃い糸で縁取っている糸をなにも考えずに織ってしまうと、地色も一緒に濁ってしまいます。

それが必要以上に濁らない様に、糸に工夫をし、華の中の縁側にぼかしの様なモノを入れ、
柄に奥行きを作りました。

ヘタすると紬糸の節に潰されて、汚れのように見えてしまいますが、
埋没してしまわないように、紋、糸の太さを計算しています。

それはモノづくりの細部の話になってしまいますので、今日はパスします。。。

 

 

普段の流れはこんな感じです・・・。

まず朝会社へ行き、こういった目出しが上がっています。

生地をパッと見ると似た感じのが並んでいるので、何となく、どれを選んでも、
行けそうな、そんな悪い感じはしないように見えます。

でも、行ってしまえ。とはなりません。

特に、ここまで配色の詰めが進んでいる時には、最終のイメージが決まっているので、
安易に織ってしまうと、『う~ん、やり直し』となって余計手間が掛かります。
(それは今まで何度もやってしまいました。。)

 

まだ頭が完全に起きていない時は、基本に戻って、目出しを配色ごとに折って、
一色ずつ自分の目でゆっくり確認していく様にしています。

 

こんな感じで。

DSC04613.jpg

 

DSC04615.jpg

 

DSC04614.jpg

 

こうして見ていくと、全部同時に見るよりも自分のイメージと重ねやすいです。

 

ここから①一色を選ぶのか、②選んでから少し修正するのか、
それともこれは③一度白紙にして、再度一からやり直すのか?

 

また、帯地が一本の帯として上がってきた時に紹介しますね。

 

確率はそんなに高くないのですが、ここで柄を織ること自体を止めてしまうことも。
(冒頭の『帯として大丈夫?』と思った時です。。)

 

今回は大丈夫そうでホッとしています。

 

 

 

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2015年02月25日

神頼みの偶然配色で。

 

帯つくりには要素があって、それは『色・柄・組織』といいます。

今回はそのうちの『色・配色』です。

いつもは原画となる図案を見ながら、紋図の横に糸を置き、見比べながら、
帯色を決めていきます。大体、それが一色目。それ以上どうもならない柄もありますし、
配色を替えて、元の色以上に上手く行くことも少なからずあります。

 

図案そのままに配色をする場合でも、糸には絵の具と全く同じ色はありませんし、
前者も後者いずれの場合も、大小それなりの配色を行う人間の意思が入ります。

 

今回はその場合とは違って、ちょっと珍しい、
ある意味人の意思があまり入らない配色です。

 

上に挙げた3つのうちの組織『経錦』。

経錦は元々中国の漢代(今から2000年以上前)から存在していた織物で、
日本では飛鳥時代にはあって、緯(ぬき)で柄を作る織物の普及とともに取って代わられました。

衰退した理由の一つとして、経糸で柄と配色を作るため、それに全てが左右されてしまうこと。

 

基本的に経3色で柄を作るので、一度整経した後は、その三色は変更できない。
そういうこともあって、非常にリスクの高い織物です。

 

逆にいうと、経錦で配色をする際には、先に経糸三色を決めますので、
その三色を使って、違う柄を織るのもそう難しくありません。

 

そこで、新しい経を整経をする度に、常に南蛮七宝を挟んで数センチ織ってもらっていました。
(ある意味自動的に)自分の感覚とは違った配色を見ることができます。

 

製品になるのは、何分の一?数十分の一?かもしれませんが、数センチで織り上がってきたものは、
こんな感じです。

DSC04596.jpg

この裂地を見ていると、柄同士がぶつかって、
何か新しいアイデアが出てきそうな時もあります。

 

その中から、拾い上げれたのは下の二色。
ほんの僅かしか影響はもたせられませんが、緯糸で最後の最後の味付けを行いました。

 

IMG_4395.jpg
『南蛮七宝文様の経錦』

 

配色をサボった様に思われるかもしれませんが、途中の工程は色々あっても、
結果が納得いくまでやり続けるのも、モノづくりの楽しい所です。

 

異なる柄の間に挟んだため、各色3本限定の袋帯です。

 

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