となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2016年08月26日

Candy Circus 3柄目

やっと完成しました。舟田さんとのコラボレーション『CandyCircus』。

四柄目『アネモネ』の方が先に完成し、どちらが三柄目か(苦笑)わかりまりませんが、
なんとか表地の完成です。


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気を付けたことは一つ。

一もニも三もなくて、色の発色だけ。
そこに気を付けて、すべてを向けたモノづくりです。


この紹巴織のモノづくりは、ベース部分三色の使い方が最終の出来を大きく左右します。
そこをいかに選択するのか?が、その人のモノづくりのセンスが出てくる部分です。


とどこかにも書いていましたし、まだそう思っています。
が、このCandyCircusの三柄目に関しては、その公式は当てはまらず、糸の色同士が
滲んでくすまない様に、祈る気持ちで、頭の中で色を混ぜながら、紋図を作りました。


そこに最大限意識を払いましたので、色数、色を混ぜた(染み込み)箇所、発色の面に
おいて凄く満足度の高い仕上がりになっています。


まだ裏地を作らないと、袋帯にはなりませんので、完成ではありませんが、
それを作って、袋帯にしてから、もう一度登場させたい帯です。

2016年08月19日

色をメインに。

今までに無いイイ色を作りたい。と試験を繰り返しながら制作しています。

色というと、今では定着した『となみブルー』もそうでしたが言うのは簡単、
そこに至るまでの、作る・発見する・使う&使える。ようになるまでには、試行錯誤の連続。

この制作方法で着物は、今までもちょこちょこ登場していますが、試行錯誤を繰り返し、段々と形になりつつあります。


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『南蛮七宝文様/御召』


今までのモノをご存知では無い方のために、まず通常染めの着物は白生地を使います。
白(または生成り)の上に色を置くため、染めあがりの色は当然予想し易いです。

今、制作しているモノは、元々色の入っている先染めの着物(これだけで製品として成り立つ)の上に色を加えて、 元々ある色が底から照ってくることを想像しながら、深い色を作る。

そんなモノづくり。特に今回挑戦したのモノは、底にピンク色があり、その上からグリーンを足す。

料理だと隠し味に、りんご、チョコレートでコクを・・・。イメージとしては一緒ですが、なかなか思い通りに行かず、 最終のブレ幅も大きいので、苦戦中。

また、この着物の場合、同じものは作りたくありませんので、完成する度に異なる色を作る。

そのため、経験も蓄積されにくく、失敗も未だにあります。
それでも少しずつは欲しい色が作り出せてきました(現状5反のうち、失敗は1くらいです)。

帯が最大限にイキイキしてくれるイイ色作り、帯作りと同じくらい力を入れていきたいです。

2016年08月08日

要勇気の着物

織物は経糸と横糸(緯糸)で柄を織ります。通常その両者の色が入り混じり、織組織などの様々な関係性によって、目に入る色(配色)が決まります。また織物の性質上、緯糸は変更し易く(杼を変える)、経糸は変更し難いものです(一度機に掛けた経糸を替える場合、基本的に裁断することになる)。

帯も着物も基本的に同じ。そのため『経錦』などの経の配色でほとんど全ての色が決まる場合は、経糸と心中するつもりでやります。変わった色目のモノづくりの場合、配色を考えた後、それを実行する場合、要勇気!です(笑)。帯よりも要尺の長い着物の場合、さらにもっと勇気が必要です。今回は、その勇気を出して(苦笑)制作した『仙福屋の御召』が織り上がっていますので、紹介します。

DSCF3758.jpg
『仙福屋の御召/となみブルー』


こんなモノづくりの場合、勇気は要りますが、その反面、通常の着尺経糸にはある程度汎用性のある色を使います。例えば、薄い地色の着物であれば、淡い生成り色やオフホワイトの経糸。その色が製織時に、緯糸と一緒になることで、(ある程度は計算できますが)柔らかな奥行きのある中間色に仕上がりますし、ある意味それを狙っています。

写真の着物はそのモノづくりとは異なって、経糸に『となみブルー』を染めて使っています。もし失敗してしまうと、全部青みが強烈に入った、こちらの想像とは大きく違った反物・・・。になってしまうので、上記に要勇気と書きましたが、まさにそのモノづくりでした。まだ、ほんの一部の方の評判しか聞けていませんが・・・、物凄く良い評判です(笑)。

ただ、こういう時に限って、リスクを考え、出来る限り経糸を小さく、織れる本数が少ない経糸で織ったりしています。モノづくりって色んな意味で難しいですね(苦笑)。

2016年07月29日

輪宝文で紗を織ってみました。

帯にするかは、ちょっと横に置いておいて、まず色んな試験を取ってみました。

輪宝文』の総紗縫です。

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唐長11代目奥様好みとして、最近物凄く注目されている意匠。
最初の帯は紹巴織で織りました。

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この帯は、南蛮七宝を陳列する際には常に一緒に持って行きます。
唐長文様同士をコーディネートしたりもしますが、この輪宝文、
気がつけば自然に他の着物の上にコーディネートされ、上手く着姿の顔になっています。

その様子はかなり自然に。
文様としての主張はあるのに、どこでも馴染んでしまう。
唐紙で頂いた異なる配色もありますが、全部そんな感じ、ホントに不思議な柄です。

今回は一番上の写真。
総紗縫の輪宝文の試験です。目出し(試験織)で取ったのは6つ、横段になっている部分です。
色と素材を変化させて、柄の見え方、色の出方、素材によっての帯巾は?透け感は?
等々、1つずつ様子が違うので、チェックしていきます。

生地として織り上がっているので、モノづくりの終盤に見えるかもしれませんが、
全体を100とすると55〜60くらいの中盤です。

最初に織った紹巴織とは違い、各織物には表現力に限界、得手不得手があります。
今回の仕上がりを見て判断するつもりでしたが、この総紗縫の帯に関しては、今のところ無地に近い感覚で、
全体の色目を今まで無いような【青】を使って、モノづくりする。そちらへ持っていくつもりです。

おそらく帯まで持っていけると思いますので、仕上がりを楽しみにしていてくださいね。

2016年07月20日

久々の更新/夏しぼの新作途中。

一週間ぶり、久々の更新です。
その間、ちゃんとモノづくりも進めていましたが、8月と9月にあるイベントの段取りで、ここの所あまりメーカーらしくない動きばかりです。

このブログやとなみFBページもそうですが、帯メーカーが何をしているのか?どんなモノを作っているのか?等々をを伝えること。僕の中で優先順位の高い、ほとんど永遠のテーマのようなモノです。今回やることは、随分苦手な分野ですが、頑張ってやっていきたいと思います。

なにをするのか?、というのはまたお知らせしますね〜。はぁ~(苦笑)。

さてさて、モノづくりはというと・・・。

一つ新作の『しぼ織』が上がってきました。

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『Candy Circus(アネモネノクモ)/夏しぼ』

しぼ織という織物は、普通の帯よりも一つ手間を加えて完成させる帯です。まず御召緯を使い通常よりも広い巾で製織します。その後織った丸巻き上のモノをお湯に浸け、キュと糸が縮む力を使って、帯巾を縮めることで、帯地表面にしぼを作る。そんな織りの帯です。

ちなみに、この帯地表面のしぼを作るために、御召緯の代わりにナイロンの糸を使い、それに熱を加えることで縮ませ、類似のモノを作る。そんなのもありますが、風合いが固いですし、何か違う気がします・・・。折角だったら、似たものでなくて、全く違うモノを作ったほうが良いような・・・。

この帯も基本は御召緯を使って、お湯に浸け、しぼを作ることは同じ。違うのは、全体にしぼを付けるのではなくて、花弁部分にしぼを集中させ縮めることで、ボリューム感と面白みを作るようにしました。

また、しぼ織を作るベースの考え方として、縮む御召緯の特性を、いかにコントロールして『柄や文様』を作りだすのか?が基本です。

この帯では図案の面白みを活かしたいため、敢えてコントロール部分をほとんど考えず、思い切って開放してみることをコンセプトにしています。『一体、どうなるんだろう?』ちょっと無責任の様に(笑)始まり、当然のように最初失敗しながら、次はちょっとだけコントロール⇒チェック・・・、を繰り返してここまで来ています

結んで頂いても大丈夫ですし、縮み具合や紋の具合に関しては問題ありません。後は配色、お湯に浸ける際の細かな問題を一つずつ解決してければ、帯として皆さんに見て頂けると思います。

写真の帯から箔を変え織った二本目も上がってきましたので、また実験し、チェックし、修正を繰り返していきたいです。真夏に結んでもらうには少々遅い完成になりそうですが、夏にも結べるということで、できるだけ長い季節結べる配色のものも考えていきたいです。

CandyCircus
 ⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/candycircus/

2016年06月30日

2016'6 奄美研修。

ブログは久々の更新です。その間、毎年恒例になりつつある奄美研修へ行ってきました。今回は、初奄美のスタッフも一緒に行きました。彼は、それなり勉強もして基本知識は十分にあり、商品としての大島紬に関しては、これ以上ないくらい扱ってきたスタッフです。

その彼が、実際に現地で、自分の目で見て、奄美の空気を感じて、モノづくりを体感しました。知識がある分、今まで点であった様な内容が一つずつ頭の中でくっついて、線になり、それが広がって、またくっついて面になる。そんな感じを受けて来たようです。

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また、この研修で訪れる場所は、休眠しているわけでもなく、実際に現役でバリバリと使われている工房、泥田に直接行って体験を行います。

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そこにバリバリの職人さんもおられますので、貴重な時間を割いてもらい、作業を見せてもらったり、自分でもやってみる。しかも、工房内でピリピリの緊張感の中で・・・。勉強にならないはずはありません。

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現地の方の話によると、全く普段は使っていない泥田にそのときだけ職人を呼んできて、モノづくりをここでしている様に見せかけることもあり、それを取材や撮影等で使うこともあるそうです。こういう話を聞くと、テレビや雑誌などを通して見られた方が、本物はこんなものか・・・。と思われるのではないと、本当に残念です。

唐長さんの時も書いていましたが、簡単に本物が失われてしまう時代です。その流れが一度出来てしまうと、逆らうのはとても難しいことですので、自分たちはできるだけ早めに、本物をちゃんと伝える。ということをやっていきたいと思います。

研修は奄美だけでなく、自分たちの本拠地西陣、その他の産地も行っていますので、絶やさず継続して、本物を伝える努力をしていきたいです。どの産地へ行ってもそうですが、毎回そう思います。

2016年06月23日

6月の追い込み 着物制作。

日曜日から奄美へ三日間行きますので、6月最終週の来週京都にいる日は、2日間・・・。
あまり時間がありませんので、今月中に上げていきたいモノ、次の工程に渡しておきたいものの仕上げに掛かっています。

今週初めの段階では、今月中にやらなければいけないことは、ギリギリ間に合いそう。でしたが、大変押しています(例えば、昨日だけでも二時間ほどで終わる予定の仕事が午後全部使ったり(笑うしかないです。 笑)とっても厳しい事態です(苦笑)。

それもモノづくりが壁にぶつかり悩むのではなくて、盛り上がり過ぎているためで、まあ仕方がないかな(押しているのは、なんとかします 笑)。特に若手が中心のモノづくりなので、その空気を大事に、勢いまでその中に組み込んでいければ、面白い仕上がりになりそうです。

具体的に、一つのモノづくりは、新しいコラボの立ち上げ。

一年以上モノづくりの摺り合わせ、特にベースとなる方向性の打ち合わせに時間を掛けています。
それがやっと、三柄だけですが、図⇒型が完成、素材となる生地も決まりましたので、目に見えて進みました。

そして、もう一つは秋用の御召の打ち合わせ。特に新柄出し、です。
となみ織物で作る着物の中の柱です。今までは主に私がやっていた所に、ちょっと新しい空気を入れてみます。

以前も若手との帯つくりのところで書いていたと思いますが、とにかく口を出さない。目でもモノを言わない。後からも何も言わない(笑)、仕上がりとお客さんからの感想ぐらいは聞く。

それを強く強く意識して、同行しています。大変難しいですが・・・(笑)。

たまに違うなぁと思うときは、この感じが良いんじゃないか?
という反物を気づくように流してみたり・・・(笑)。

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『仙福屋の御召/輪宝文』
  ←こんな織物の上げ方が良いのになぁと無言で横に置くとか・・・笑

まだまだ、言いたくなるので、ダメですね〜(苦笑)。

2016年06月20日

秋に向けて仕込み中。となみブルー御召

まだまだホントの仕込みですが、新しい色を試しています。
と言っても、横に通す糸を通すだけで色が変わりますし、今まで使っていない色を使えば、新色の反物が上がってきます。横糸を変える自体は、そこまでの手間ではありません。となると、新しい色を試す、ということはそんなに大したことが無い。と思われそうです。

が、今回の『新しい色を試す』というのは、経糸を変更しての新色作りです。経糸というのは織物を一本織る度に変えるのではなくて、場合によっては何十本モノ織物を一つの経糸、一種類のモノで織り上げます。

そのため、失敗すると、何十本織れるはずの経糸が全て無駄になってしまい、最悪の場合は最後まで織り切らず、途中で切断となります。そのため、今まで安定的に織れていたモノから経糸変更することは、そこそこ大きなチャレンジです。(だから、少なからず『問題ないのに、なんで?』そんな声も聞かれます)

今回の目的は、単純に『新しい色を作る』ことにもありますが、その色は『となみブルー』を表現したいと考えています。となみブルーで織る御召つくりです。今のところは試織で柄も試験です。

IMG_6570.jpg
(となみブルーの御召)

まだ完成していませんが、もちろん経糸を変えず、緯糸(横糸)だけでも、これに近い色をつくることもしてみました。ただ、その時は経糸の色が邪魔をして、濁ってしまう。悪くない色でもあったのですが、まだ途中段階のこのブルーの方が遥かに透明感があり、となみブルーに近い色をしています。

この目出しサイズで見ていると、よく見えても、これが『反物になると、どうなのか?』。そこから修正が必要か・・・、などなど、まだ完成までは遠いですが、秋に向けてこのモノづくりは視界良好です。楽しみにしていていください。

2016年06月17日

巡り合わせ良く・・・。CandyCircusのきもの1

CandyCircus』、今度は着物。
と言っても、季節的にまずは、ちりよけが一反完成しました。

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まず舟田さんに怒られること覚悟して(笑 大丈夫でしたが)、作品を切りばみ状態に。実際の作品ではなくて作品の写しを切って、パズルのように、また図案として成立するように貼り直します。

その出来上がった下絵を舟田さんに数度打ち合わせをしつつ、修正を掛け図案に。そこから型を作り、反物に染め上げていきます。

この様に工程を一言で書いてしまうと、簡単に見えてしましますが、このCandyCircusシリーズはできる限り、完成したモノから、作る大変さよりも、出来上がったモノから楽しさやワクワクを感じて頂きたい、そんなモノづくりを心がけて行こうと思っていますので、大変さの部分は今回カットしておきます。それはまた帯の時に(笑)。

今回、幸運だったのはこの図に応じた白生地が抜群に良かったこと。

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普段はあまり意識が行かないかもしれない白生地ですが、今回はこの生地のお陰で意匠の陰影、奥行き感、流れや勢いまで、上手く乗せてくれました。

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非常に個性的な作品を元に作らせてもらった、塵除けです。ここまで来るまでにも、何度も着姿の確認を・・・と、書くと苦労話になるので、今回はここまで(笑)。

ホントにいい出来栄えで、安心しています。

ちなみに発表は、今まで制作した帯も含めて8月を予定しています。
どんな反応を皆さんから頂けるのか、ちょっと怖いですが、楽しみにしています。

この後は、3柄目帯のお腹部分を作り始めていますので、これもまた8月に間に合うように頑張ります〜。

2016年06月13日

こだわりを浴びてきました。

先日は電車に片道5時間少々揺られて、モノづくりの打ち合わせへ行ってきました。
次の午前早めに打ち合わせがあったので、(泊まりたかったけど)日帰り。

5時間✕2は少々堪えます。年?(苦笑)

今回お邪魔したお店とのお付き合いが始まって、まだ数年。と比較的短いのですが、ここのモノづくりへのコダワリと姿勢は半端無く、うちのモノづくりへの共感も含めて、今後も一緒にモノづくりしていきたい、と感じさせられる、数少ないメーカーです。今回のモノづくりも、となみ色が全面に入りますので、0から摺り合わせを繰り返し繰り返しして、進めていくことになります。

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ちなみに、今回は【伊藤若冲の世界】と【神坂雪佳の世界】の着物作り。
若冲の場合、今年の生誕300年には間に合わない可能性も高いのですが、こことのモノづくりの性質上仕方がない(苦笑)、と割り切っています。

本来、帯屋である、となみ織物が着物を作るようになったのは、自社帯が活きる着物を作るため、でした。それが最近は、着物でも、となみらしいコダワリを作り出す。そこに強く意識が無くようになってきましたので、おそらく今後もこことのモノづくりは強くなっていくと思います。

頻繁には来れなくても、出来る限り顔は出したいです。
次回は一泊かな(笑)

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