となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 袷物

2016年12月21日

不思議な魅力を持つ猫つなぎでモノづくり。


今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。

帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。


IMG_9420.jpgのサムネイル画像

ここから型を起こして、その間に配色を決めたり、白生地を選択・・・。
それらが合わさって、帯揚げとなります。

先日も紹介していまいしたが帯の意匠はこちら
『猫つなぎ』
 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/10/post-2436.html

帯の意匠は、違う織物へ変更して作ることもあります。
たとえば、紹巴織バージョンは袷の着物用で制作、そこからもっとシンプルにして、
夏中心の総紗縫に変更するなど・・・。

DSC03605.jpg
(不思議な魅力の猫つなぎ)

この『猫つなぎ』は、同じ柄に見えないほど修正しましたが、最初の紹巴織から始まって
②紬や③総紗縫と、織組織を3種類も作った珍しいデザインです。

そして、今回の帯揚げ・・・(合わせて4種類、凄いなぁ・・・)。

となみ織物が新しく意匠を作っていない訳ではなく(笑)、過去のモノでも、
なぜか作りたくなってしまう、意匠というのは、たまにあります。

また、他スタッフが制作した自分の好きな意匠を織物を変えて、
自分の意思を入れて再度、作り変える(ただこの場合は大きく手を入れることが多い)。

と新しいモノづくりとはちょっと違いますが、今までとなみ織物が何万と制作してきた柄です、
今一から作るよりも、いいモノ作りができるのであれば、今後も並行して作りたいです。

個人的にはこの帯揚げ作りにハマっています。
型を使う意味では同じの襦袢制作も同様、来年は名古屋帯作りととも、面白いモノが皆さんに
紹介できると思いますよ〜。

もちろん、となみ織物としては、新しいモノづくり、袋帯中心ですので、
少しそれとは異なる動きになると思いますが、それはいつものこと、ご心配なく(笑)。

2016年12月09日

唐長文様『南蛮七宝』のビロード

『わかりにくい』かもしれない。
というよりイメージが湧かない、との意見を頂き、
職人さんに、ビロードが『どう大変なのかがわかるモノ』を織って頂きました(笑)。


ビロードというと、憧れの着物の一つ。
仕立てず、丸巻きの状態でも特徴的なこのビロード。

IMG_3506-2.jpg


昔ながらのやり方で織っている所は、ホンの僅か・・・。
そうじゃないのは、こういう感じで反物で見ると、大体わかります。

この織りを説明する際には『鉄線の様なモノを通して織り上げ、柄を強調さたい部分をカットする。
しかも手で一筋ごとに・・・。』的な説明をしています。

『絹の反物に鉄線ってなに?』と思われるかもしれませんので、写真を載せておくと、
鉄線部分はこんな感じです。

P2220074 (1).jpg

この鉄線を織り込むことで、経糸が鉄線の太さ分、余計に糸が取られます。
その鉄線を抜くと『輪っか』になります。→いわゆる輪奈織

鉄線を抜く前の輪っかを一筋ごとにカットすると・・・、

P2220073 (1).jpg

この様な感じで輪の先が花開いたようになります。

そして、全体を染料で染めると、このカットした部分が濃く見え、強調される、
ということになります。

通常の織物より、一手間どころか、二手間も三手間も掛けた織物です。

今まで、南蛮七宝文様で様々な織物、素材を試してきましたが、
これだけやっても、全然飽きず、余計に好きになる文様です。

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2016年11月22日

牡丹唐草①。型の前段階と白生地。

長い目で言うと400週年に向けてのモノづくり、その一部を新たに始めています。


唐長さんの中にある650の柄から、12代目と先日選んだ3つの柄(牡丹唐草、枝桜、瓢箪唐草)。
それを今から帯や着物、小物の形にしていきます。

その一つ目、唐長文様『牡丹唐草』。


IMG_8961.jpg
(白生地と右は唐紙を元に制作した型を作るための前段階)


最初のイメージに引っ張られることもあり、帯から?着物から?小物から?と数ある選択肢の中から、
『これから始めよう。』と決めるのは、意外なほど大事なこと、です。

その意味から帯のイメージがまだ固まっていない段階で、始めると後々苦労しそうなので、
まずは一番ニュアンスを掴みやすい着物作りからスタートしています。
その後、帯かな・・・。

(昔から帯にしたかった柄なので、ホントは帯から・・・の気持ちがありますが)

型が上がってきて、どんな風に上がるのか?
その段階の打ち合わせを入念に終わりましたので、そちらは後祈るだけ・・・。

次に、写真にあるように生地と、配色です。

着物としてはもちろん、唐紙の雰囲気も残しつつ、上品で色は柔らかく、使いやすくて、
ここぞという時にも出てきそうな着物。

気持ち先行で、まだまだ最終の仕上がりまで時間掛かります。

それまでに、見本で染めること、その前に型を見ること。それを元に、配色と生地の地風で雰囲気を考え修正をしていきます。
『やった。出来た〜。』といえるまで、上記のイメージを何回も頭で唱えつつ、後は進めていくだけです。

楽しみです。

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2016年10月28日

『作楽シリーズ/Henna』

新しい帯が出来ました。
この帯について、書くことが沢山あります。


DSCF0033 (1).jpg

まず一つ目、相当久々の新作の作楽シリーズ。
しばらくは、唐長・CandyCircus、着物、小物のモノづくりにほとんどの時間を振っていました。
今回は土台仕様から作るために、多くの時間を使い、長期間試行錯誤の上、制作しました。

この帯意匠のモチーフは『Henna(ヘナ)』。
このヘナという名前はインド、中近東に数千年前も昔からある、ヘナという植物を使って肌に紋様を書く、ヘナアートから来ています。婚礼や様々な儀式に行われて、描かれる意匠には幸せや吉祥、魔除けの効果をもたらすとされています。

このHennaの帯は、ヘナアートの作家さんに一からデザイン、それを元に制作したものです。
市松を構成する一つ一つの柄に意味があり、祈りがこもっています。

そして、織組織は紹巴織+紬の『紹巴紬』。通常の紹巴織の緯糸に紬を加えて製織。
さらに通常の絹糸も合わせる本数を変え(約1.3倍増)しなやかさを残しながら厚みを持たせています。

生地の想定としては、八寸名古屋として結んでもらうこと。


デザイン、紋を最大限シンプルにして、原料、質、織りは変えることなく、(裏地も要らない分)
価格はお手頃なところまで・・・。と思っています。


個人的にはしばらく、そんなモノづくりにも力を入れていきます。


※ちなみに、帯の前にこれと同じ図案を使い、貴久樹さんとのコラボで制作した小紋もあります。
(そこから今回は帯用として、柄のサイズ・配色に修正を加えて制作したもの。)

IMG_7434.jpg
『小紋(タッサーシルク使用)』

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2016年08月31日

洗える襦袢→洗う襦袢

昨年に続き今年も山ほど洗っては着て洗っては・・・
のお襦袢です。

nanbanjyuban.jpg


この襦袢、製作途中に色んな機能を搭載していきました(搭載って言葉がピッタリ 笑)。
『南蛮七宝の襦袢をずっと着ていたい。』お客様からの言葉でした。

そこからスタートして、
最初はオールシーズンの南蛮七宝を検討。
 ↓
折角なので、着ていて身体が楽なモノ=より軽い生地
 ↓
居敷当ても無しで⇒耐久性の検討
 ↓
樹脂とかの加工なく、絹そのまま風合いで、
洗える機能を➕!(ここが結構無茶・・・)


と、当然ながらコスト&手間が掛かりました。

そのお陰もあって、社内いても、複数の色数を見ない(いつも1色か2色があるだけ)
そんな人気のお襦袢になりました。

値段的にも通常品の3倍くらいなので、この人気は脅威的です。。。


ちなみに、上の写真は機能を詰め込みながら、あれやこれやと試作段階で仕立てたモノです。


実験として、例えば、着る度に洗濯→着る度に洗濯。本当は必要ないのに居敷当を付けてみては洗濯。


普通の衿つけては、そのまま洗濯。最後に乾燥機まで回してみる
(これは流石に途中で止めておきました・・・。苦笑)等々。


そんなことがあっても、今年の一番洗う時期を無事?乗り越えることができました。

普通に考えれば、『夏でも、簡単に洗えないの?』と言いたくなる襦袢。


それを洗える様にする。簡単そうで結構大変でした・・・。


見渡せば、他にも当たり前にあってほしいけど・・・、
そうで無いものが着物の世界には色々とありそうです。
妥協して安易な物にせず、良いモノづくりが発表できる様にしたいですね。


そんな気持ちを忘れないためにも、
この襦袢に関して、どこまで洗い続けれるのか、時々皆さんに見てもらいますね〜。

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