『仙福屋の懐紙入れ』について
Onlineの仙福屋上で1、2番人気なのは、懐紙入れです。
この懐紙入れ、そもそもの最初は、母が使っていた懐紙入れでした。
お茶のお稽古の際など、となみ帯地を使った懐紙入れはとても目立って評判が良かったようです。
そこから、少しずつ口コミで広がりました。
この頃の懐紙入れは、形はそこまで変わらないものの、帯地には、資料として残さない織物の目出し(試験織)
を使って作ったモノだったので、よく見ると(検品すると 笑)多少の織り段や糸浮きがあったりします。
ちなみに、この懐紙入れ。
一番最初のモノができるまでに・・・。
ちょっと長くなりますますが、その部分を書いておきます。
まず、『機屋』は一本の帯を完成するまでに、色・柄の試行錯誤のため、
大量の試験織を製織する。
織物の工程で柄の部分だけを取り上げると、
大きく分けて①図案→②意匠図→③試験織→④完成
とわけられます。
その各段階、全てに手間と時間が掛かります。
この中でも目に見えて『沢山、消費するなぁ』というのは、糸や金銀糸、箔を使う③の工程。
無駄になってしまわないように、一つの帯を完成形に持って行くまで、無数の試験織を織ります。
そして、その試験織の中から後々まで残すものは、基本的に最後の一枚。
資料として残します。
基本的に、帯の場合、着物と違って、仕立てる際にも端切れは出ません。
が、この試験織では、大量に端切れが残ります。
かなり変な配色のものは、どうしょうもないのですが、完成間際のものを捨てる・・・のは、
だれがどう見ても勿体ないです(だから、それが大量に倉庫に溜まっていたりもします)。
そこで・・・、と、
その生地を活かしたのが最初の『懐紙入れ』でした。
⇒http://bit.ly/2xKDTaK(これは完成品。少し前のFBの記事から引用した写真です)
これが、前述の様にお茶のお稽古で周りの方からの評判が良く、
世間に少ないのか、要望もたくさん頂きました。
生地はある、作る技術もある、世間からも求められている。
じゃ、
とスタートしたのが『仙福屋の懐紙入れ』です。
試験織で『商品』を作るわけには行きませんので、
現在では帯を織って残った経糸や製織を行った生地やキズ物が織り上がった際、
その部分を避けて裁断した生地を使って、制作しています。
本当の一番最初、使い物になるのか?を模索していた頃。
周りの方に試験的に使用(モニター役)して頂いていました。
もう十数年前ですが、その頃の懐紙入れをまだ大事に使って頂いている方もおられます。
『帯だから大事にお気に入りでずっと使ってます。』と仰って下さいました。
そういう話を伺うと、帯地という生地はやはり、なんか特別なんだ・・・。
と毎日触っていると忘れそうになる気持ちを思い出させてもらったりもします。
そんな意味でも、私たちにとって、懐紙入れは大事なアイテムだったりします。
数寄屋袋もスタートは同じですが、それはそれでまた色んな話もありますので、
また後日書きたいと思います。
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