濃淡を活かす織物/綟り織をつかって
【モノづくりの最初は】
帯を制作していく上で問題になることは、本当に山ほどあります。
それを①一つずつ解決して進むのか、②その表現方法では止めておくのか、③全く方向転換して、違う織物で制作するのか、などなど、解決方法は色々とあります。
実際のモノづくりのスタートは、帯の元である図案、それを見てどの織組織で進めるのかを決める所からです。この傾向の図案だったら、紹巴織とか、総紗縫、しぼ織・・・、と暗黙の了解的なものがあり、それがモノづくりの通常の流れですが、この図案をこの織物でどうしても織りたい、そんな例外があるときも。
大体、そのときは、上に挙げた①〜③のような問題にぶつかり、ほとんどの場合、夏や単衣物などの薄物のモノづくりが多いです。今回、上記解決方法の中の①で突破を考えているモノづくりがあります。
【紗の組織を改良、濃淡で見せるモノづくり】
夏物の織物といえば、紗。経糸同士を交差させることで、透け感をつくります。この綟織は、無地だったら問題は起きませんが、紋で柄を入れると、地が透けているため、柄をつくる色糸が表に見えてしまいます(『渡っている糸が見える』と言います)。これも夏の織物らしさの一つのため、昔の帯を見ると、よくある表現の一つともいえます。
ただ、今回の場合は、この糸を無くしたい。そんな意匠を帯にしたいため、(①で突破して)紗をつかった新たな織組織を考える必要があります。
この最初の試験織では紋(設計)と上手く織りを作れるのかの確認。それと、地色と柄部分の発色の違い(ここが今回の肝部分)、紗の透け感がどこまで残るのか?3種類つかった素材の風合いチェックなどを行いました。最初の試験織は結構思い切ったことをするため、外すことも多いのですが、今回に関しては思いの外、濃淡で上手く文様が表現できていて、最初にしてはかなり良い着地です。
たまたま、この配色と織物が上手く見える。そんな可能性もありますので、早速つぎは本番を見据えて、これとは違った雰囲気の配色で再チェックを行います。多分、うまくいくはず・・・。。。(笑)
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