2020年11月19日 21:00

紋図をつかってモノづくりする時

帯をつくる上で、大事なのが紋図(意匠図)です。

IMG_0263.jpeg
『こういう和紙の大きな紋図もしくはPCで制作したものを使います。』

帯の設計図なので、これと図案とを見て、色糸や金糸・箔などを考え、一つずつ配色していきます。配色の前の段階、この紋図が完成時には、ほぼ帯の性格が決まっています。だから、メーカーとして、図案とともに個性や特性を出せる大切な部分です。

紋図を見て配色する工程は、帯づくりをはじめてする人にとって、図案の色と同じ色糸を紋図をみて当てはめていく、塗り絵みたいな感じで簡単に見えてしまうかもしれません。特に、糸を出して配色をしている途中、最初の試験織くらいまでは、そう思ってしまいます。

最初の試験織が上がって2度目の試験を取った時、感じることは塗り絵とは違って、色糸同士が干渉し合うため、思い通りの色がでないこと。自分の完成イメージ(図案)との間を行ったり、下手をするとその繰り返しで、ずっと試験織を取り続けることになります。

IMG_0268.jpeg

それもしばらくやっているうちに、経験で何とかできるようになってきます。
でも、ここがまず、スタートライン。

ここからすることは、図案と紋図と向き合うこと。
図案に関わる・紋図を制作・配色する人がおなじであれば、そんなに問題は少ないのですが、結構な割合でこれがバラバラになります。 そうすると、図案が描かれた意図、紋図がこのように作られた意図に気付け無いことになって、塗り絵的な平坦なモノづくりになってしまいます。

この意図を汲み取る仕事が帯の配色する仕事に求められます。配色する人は紋図と図案の意図を汲み取る、紋図を作る人は図案の意図を汲み取りながら、当然配色される時のことを考える。図案を描くときは、最終の帯をイメージをしながら。と言う風に全部つながっています。

だから、単純にパッと見てパッとできる仕事ではありません。そんなことを考えながら、先ほども名古屋帯の紋図を制作していました。このまま自分で配色すると、全部が連動した帯になると思います。でも、どこかの工程(おそらく、配色部分)を任せると、時々物凄く(いい意味の)飛躍をすることがありますので、全部自分でするかどうかは、難しい問題でもあります。

こんなことを毎日しながら、モノづくりをしています。

<<前の記事   次の記事>>

検索

LINE@はじめました
友だち追加

最近の投稿

五代目日記 一冊目